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2023年11月25日号 1面

実戦想定の民間施設での訓練拡大

戦争準備の岸田政権打倒しよう

 米国は台湾有事をあおって自衛隊と米軍との一体化を進め、対中国の最前線に立たせている。岸田政権はこれに呼応し、安保3文書の改定などで「専守防衛」から「敵基地攻撃」を可能とする防衛政策の大転換を行い、沖縄をはじめ南西諸島での基地強化、戦争準備に拍車をかけている。

民間空港で自衛隊機訓練
 陸海空3自衛隊によって11月10日から実施された最大規模の実動演習「自衛隊統合演習」には、自衛隊約3万人に加え米軍1万人も参加、沖縄や南西諸島で米軍との共同訓練が行われただけでなく、戦時体制の強化は九州本土をはじめ全国に広げられた。今回、九州と中国地方の四つの民間空港では戦闘機の離着陸訓練も実施された。空自の基地が攻撃によって使用できなくなる想定で、自衛隊の戦闘機が民間空港で離着陸訓練をするのは、軍民共用空港を除いて初めてである。岸田政権が昨年末に閣議決定した安保3文書で「有事において、部隊等の能力を最大限発揮する」ため「民間の空港、港湾施設等の利用拡大を図る」としたのを具体化したもの。大分空港では、空自築城基地(福岡県)が使えなくなったとしてF2戦闘機が着陸、給油、整備訓練などを行った。岡山空港でも同種の訓練が行われた。徳之島空港や奄美空港では、空自那覇基地のF15戦闘機がタッチ・アンド・ゴー訓練を行った。
 岸田政権は民間空港・港湾などを、自衛隊がより使いやすくするため整備や機能強化を進めるとしている。報道によると、沖縄や九州、四国を中心に約40の空港や港湾を候補地としてリストアップし、既に地元自治体と調整を始めている。民間空港では、沖縄県の与那国、新石垣、宮古の3空港で滑走路の延長が計画されている。また、「有事の際の対応も見据えた平素からの利活用に関するルール作り」を行い、自衛隊が民間施設を優先使用できるように、管理者である自治体に申請手続きを必要としない調整の枠組みを作ろうとしている。
 今回の訓練で、鹿児島県・徳之島では19日、陸自水陸機動団と海自が連携して上陸する訓練や、サトウキビ畑への空自輸送機から陸自第1空挺の隊員降下訓練など島嶼(とうしょ)防衛を想定した着陸・上陸訓練なども行われた。
 これらは「台湾有事」で軍事介入した米軍を支援するため、集団的自衛権の行使で自衛隊が武力行使に乗り出す事態を想定した演習である。戦場は日本全体に広げられようとしている。

トマホーク配備を繰り上げ
 米国務省は17日、巡航ミサイル「トマホーク」最大400発の日本への売却を承認し、議会に通知したと発表した。関連システムなどと合わせた総額は計約23億5000万ドル(約3500億円)に上る。
 トマホークは、日本が導入する「反撃能力」の手段として、今年10月の日米防衛相会談で、従来型200発の配備を当初予定より1年早め、25年度からとすることで一致していた。最新型200発は26年度から導入する予定。

陸自と英陸軍が実動訓練
 陸上自衛隊と英国陸軍は15日、群馬県の陸自演習場で共同の実動訓練を開始した。双方の部隊の往来をしやすくする「円滑化協定(RAA)」を今回初めて適用した。英国との訓練は、米国に次いで安全保障面での「準同盟」が実践段階に入ったといえる。合同演習は26日まで、陸自の相馬原(群馬県)や関山(新潟県)、王城寺原(宮城県)などで行われる。
 次期戦闘機の開発でも英国、イタリアとの共同開発が進められており、日米や日英だけでなく日仏、日独などとの多国間の軍事協力も一段と進んでいる。中国や朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する軍事的対抗が狙いである。

沖縄に米軍有事即応部隊
 米海兵隊は15日、沖縄に駐留する第12海兵連隊を、離島有事に即応する第 海兵沿岸連隊(MLR)に改編した。重点を大規模な地上戦から島嶼部での作戦に移す狙い。MLRの創設は昨年のハワイに続き2例目となる。今後、新型の無人式地対艦ミサイルシステム「NMESIS(ネメシス)」や防空システムを沖縄に配備し、25年までにMLRとして必要な機動展開能力を整える予定。MLRは、部隊を最前線の島嶼部に分散して展開し、対空・対艦攻撃などの拠点を築いて、米海空軍の作戦を支援する。陸自は、第15旅団(那覇市)を「師団」に格上げし、部隊を増強するほか、与那国駐屯地(沖縄県与那国町)に地対空ミサイル部隊を配備する。今後、MLRと協力して離島有事に備えた共同訓練を積み重ね、実戦体制を強化するとしている。

国民生活は悪化の一途
 岸田政権は、防衛費の国民総生産(GDP)比2%への増額のため増税を決めているが、実施時期を先送りし、支持率挽回を狙って目先の「減税」や「給付金」などで国民の目をごまかそうとしているが、多くの国民は岸田の魂胆を見抜いている。先に決めた経済対策も借金(国債)依存で、大企業の懐は痛まないようになっている。世論調査では内閣支持率は下がる一方で、狙っていた年内の解散・総選挙も見送らざるを得なくなった。読売の調査でも、若年層で岸田政権に対する支持率が下がっていることが明らかになっている。多くの若者の生活は苦しいのだ。
 実質賃金は下がり続けているのに、食料品や日用品の値上げが続き、国民生活は悪化の一途をたどっている。岸田は「デフレ脱却のチャンス」と言うが、円安など物価高騰の原因をごまかし、物価高騰に苦しむ国民に目を向けず、国民感情を逆なでする最悪の政権である。だが、国会の論戦は相変わらず低調で、国民は野党にも期待できない。
 国民生活を置き去りにして米国に追随、軍備拡張、戦争準備に明け暮れる岸田政権に対する怒りを結集し、岸田政権打倒の声を全国で上げよう。(C)

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