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2023年10月25日号 1面

イスラエルはガザ
「虐殺」をただちにやめよ

米国の戦争政策反対の
声を世界に広げよう

 イスラエルによるパレスチナ暫定自治区のガザ地区への無差別攻撃がますます激しくなっている。まさに無防備のガザ地区住民に対する「虐殺」であり、絶対に容認できない。イスラエルはガザ地区の完全包囲と無差別攻撃をやめただちに停戦せよ。
 イスラエル・ネタニヤフ内閣は10月11日、ガザ地区を実効支配する「ハマス」への報復攻撃を口実に「挙国一致戦時内閣」を成立させ、予備役30万人を招集し、ガザ地区を完全包囲し、電気、水、ガス、食料のすべてを遮断した。「ハマスを地球上から一掃する」としてガザ地区への地上侵攻も宣言し、ガザ地区住民の南部地区への移動を強制した。ガザ地区の約230万人の半数が南部へ着の身着のままでの避難を余儀なくされている。イスラエルは連日、地上侵攻が近いと脅迫しているが、地上侵攻を待たずに、イスラエル軍はガザ地区への連日の無差別爆撃や砲撃を続け、南部の避難地域へも爆撃を加えている。すでに4000人以上の死者が出ており(10月20日現在)、これは非武装・無防備の住民に対する「虐殺」行為である。
 ガザ地区住民は水や食料、医薬品なども欠乏する中で南部の避難場所も爆撃されるなど、耐え難い攻撃にさらされている。世界各地でイスラエルの蛮行を糾弾する声が上がり、抗議行動が広がっている。

虐殺の蛮行支える米国
 こうしたイスラエルの蛮行を米バイデン政権が支えている。
 18日には、バイデン米大統領自らネタニヤフ首相と会談し、イスラエルへの支持と軍事支援の強化を約束した。同時に米国は「紛争の仲裁者」を装って、ヨルダンでアラブ周辺国首脳との会談を予定したが、病院爆撃で会談はキャンセルされ、バイデンの仲裁外交は出はなからしくじった。アラブ首脳の取り込みが失敗しただけでなく、水面下で進めていたサウジアラビアとイスラエルの国交正常化の動きも頓挫するなど、米国の中東政策は失敗続きである。
 バイデンは、19日のテレビ演説で、「米国のリーダーシップは世界をまとめ上げるものだ」「米国は世界を照らす灯台だ」などという時代錯誤の演説を行い、イスラエルとウクライナを支える必要性を訴えた。演説でバイデンはイスラエル支援とウクライナ支援も合わせて1000億ドル(約15兆円)の緊急予算を議会に要求したが、米下院では共和党内の対立で議長が解任されて、新議長の選出さえままならない状況が続いており、予算審議の開始時期さえ見通せないという惨憺(さんたん)たる国内状況である。
 さらに、米国内はイスラエル支援をめぐって世論が割れており、世論調査では武器支援に約半数が反対している(米CBSニュース)。ワシントンではホワイトハウスや議会周辺でも停戦を求めるデモが相次ぐなど、バイデン政権の足元は揺らいでいる。

世界で孤立する米国
 国連安保理では18日、議長国ブラジルが提出した戦闘「中断」決議について、米国が拒否権を行使して否決、各国から批判の声が上がった。逆に米国は 日、安保理各理事国に対し、ガザ情勢についてハマスを非難し、イランをけん制する決議案を提示した。米国のこうした身勝手なやり方に各国からの支持が得られるはずがない。
 また、21日には、エジプト・カイロで、エジプトのシシ大統領が呼び掛けて「カイロ平和サミット」が開かれた。中東や欧州を中心に20を超える国・地域の首脳や外相が集まり、グテレス国連事務総長も参加した。日本からも上川外相が出席した。シシ氏は演説で、支援物資をガザに届ける方法を確立した後、即座に停戦交渉に移るべきだと主張。イスラエルとパレスチナの「2国家共存」に向けた交渉も進めるべきだと訴えた。中東・湾岸諸国は周辺国への衝突拡大を抑えようと懸命に努力している。こうした国際会議に出席することもなく、世界から孤立しているのは米国とイスラエルの側である。

米国追随からの脱却を
 上川外相は出席した「カイロ平和サミット」で「イスラエルとパレスチナ国家が共存する『2国家解決』を支持する日本の立場は揺るがない」と表明した。だが、一方でハマスによるイスラエル攻撃を「テロ」と非難し、国際法を踏みにじって無防備なガザ住民への無差別爆撃を続けているイスラエルへの非難はなく、それを支えている米国への言及もなかった。
 中東に石油の大部分を依存するわが国が、米国に追随して湾岸諸国との関係を悪化させればそれこそ国益に反する道である。米国に追随するのではなく中東・湾岸諸国と足並みをそろえて、日本独自の中東外交を貫くべきであり、岸田政権の中東外交が厳しく問われている。

世界は歴史的大激動
 ウクライナ戦争は開始から1年8カ月と、長期化の様相を呈し、ウクライナを支援する米欧も抜き差しならないところに追い込まれている。さらに中東での今回の事態である。世界経済が行き詰まり、さらに地球温暖化などによる異常気象が各地で被害を拡大するなど、世界の資本主義がまさに末期となり、各種の矛盾が激化、歴史的な大激動の時代に入っている。
 米国が頂点に君臨してきた世界秩序が終焉(しゅうえん)を迎えている。中国やインドをはじめグローバルサウスの登場と前進で、世界は「多極化」の様相がさらに強まっている。米欧の労働運動の激化など、先進資本主義国でも資本主義の屋台骨を揺さぶる闘いが高まっている。わが国にもその兆しが表れている。
 目前の戦争や戦争策動を阻止し、地域に平和を実現するためにも労働者階級を中心とした広範な国民運動をつくり上げなければならない。さらに平和を希求するすべての国々、人民の闘いと連帯する運動を進めることが求められている。
 パレスチナ人民と連帯し、米国の戦争政策に反対する声を世界中で上げていこう。(H)

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