ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

2023年6月15日号 1面

「安全保障」口実に戦争準備

地域の平和と逆行する日本

 岸田政権は、米国の対中包囲網強化に追随していちだんと中国への対抗を強めている。  6月2日からのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に合わせて日本、米国、オーストラリア、フィリピンの防衛相がシンガポールで初めて会談した。マルコス政権になって、フィリピンは中国の海洋進出を口実に、米国との同盟強化を打ち出している。会談では、中国を念頭に、安全保障分野で連携を強化する方針を確認、4カ国の協力を進めることで一致した。さらに日米比3カ国は安全保障担当高官による協議の枠組みの初会合を16日に東京で開催する。これは日本側の提案で開催が決まった。
 4カ国会談に先立って行われた日米豪3国の防衛相会談では、最新鋭ステルス戦闘機「35」の共同訓練を初めて豪州内で実施することや自衛隊が米軍、豪州軍と訓練を行う際、武器を使って両軍を守る「武器等防護」を定期的に実施することでも一致した。
 また、浜田防衛相は日米韓の防衛相会談も行い、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)のミサイル情報を3カ国で即時共有することで合意した。日韓のレーダーシステムを米国経由で連結し年内に運用を始める。日米韓の情報共有にとどまらず、共同訓練の拡充などで対処能力を高める必要があるとして、レーダー照射問題などでこじれた日韓間の信頼回復のための協議を加速させることで一致した。
 岸田政権による対中包囲網強化、戦争準備は、九州・沖縄などでの基地強化、拡大と併せて国際間でも際限なく進められようとしている。

対中包囲強化で米追随
 一方、アジア安全保障会議では、オースティン米国防長官が呼びかけていた李尚福中国国防相との会談は中国側が正式の会談に応じず、見送りとなった。米国が2018年からの李氏に対して科している制裁を解除しないままの会談要求を拒否するのは当然であろう。
 双方の偶発的な衝突回避のため、この期間も米中の高官協議が続けられているが、同時に台湾海峡での米海軍の艦船航行も起こされており、中国への挑発も続いている。
 安全保障会議では、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国からは「米中の歩み寄り」を求める声が上がるなど、地域の平和と安定を求める姿勢が強く示された。こうした声がある中で、わが国は米国やその同盟国との防衛相会談を行うなど、地域の平和と安定には全く逆行する姿勢であった。わが国はアジアの一員として、中国やアジア諸国と平和の国の進路を進むべきである。(H)

Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2023