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2023年3月15日号 8面

統一地方選挙に際して

日本労働党中央委員会自治体対策部

 2023年の統一地方選挙が間近に迫った。前半戦は北海道、神奈川、大阪、大分など9道府県知事選(3月23日告示)、札幌や大阪など6政令市長選(26日告示)のほか、41道府県議選、17政令市議選(31日告示)が実施される。後半戦では、これ以外の市区町村の首長選、議員選が行われる。
 また後半戦に合わせて、衆院補欠選挙が千葉5区、和歌山1区、山口2、4区の4選挙区で、参院大分選挙区でも補欠選挙が同時に行われる。

4年間で住民生活いっそう厳しく
 前回の統一地方選挙以来の4年間、地域住民と自治体をめぐる環境は大いに変化した。3年に及ぶコロナ禍は住民の命と生活をいちだんと脅かし、一方で富は一部に集中して、アベノミクスがもたらした格差拡大と貧困の増大はさらに深刻となった。ウクライナ戦争前後からの諸物価高騰は庶民の生活に追い打ちをかけ、住民の生活はいちだんと苦しく、農林水産業、商工業の経営は危機的となっている。
 岸田政権はこの国民の窮状を顧みないどころか、「戦後安全保障政策の転換」を公言して、中国敵視をエスカレートさせ、日米軍事同盟での戦争準備に自治体を動員し、軍拡のための増税で国民にさらなる負担を強いようとしている。
 こんにちの全国の自治体を覆う地域衰退と少子化問題の根源は、戦後の歴代自民党政権による、財界中心で対米従属の政治にある。国境措置を解かれた農林水産業が壊滅的打撃を受け、大店法などの規制緩和によって中小の商工業、地場産業が成り立たなくなった。大企業は海外で稼ぎ、労働者は生活できる賃金を得られず、国内需要がますます減少。地方都市では優遇措置を得て進出した企業も転出が相次ぎ、従来の産業は維持できず工場なども撤退、跡には物流倉庫が立ち並んでいる。労働者は働く場を失い、将来にわたって安定した収入を得られない青年は、家庭をもつこともままならない。人口が集中した大都市での新たな貧困と高齢化、地方の衰退の状況は覆い難い。
 今回の選挙は、対米従属政治のもとで変貌・衰退してきた地域社会を、住民の力によって住民の命と生活を守る自治体政治に変えていくための闘いである。
 戦争準備で国民負担を強いる岸田政権に対する自治体としての態度を改めさせるとともに、地方財政を食い物にしてきた中央資本と地域の支配層のための自治体政治から、徹底した地域産業の育成と生活支援の政治に転換できるかが問われている。
 わが党は、党籍のある候補者の当選をめざすとともに、この方向で連携できる首長、議員候補者を支持して闘う。
 以下、共通する政策課題について提起する。

命を守り、徹底した生活・経営支援を
 今回の選挙で問われているのは、まず第一に自治体が住民の命を守ること、生活と経営を守ることである。
 コロナ禍は、これまでの公的衛生・医療の大幅削減による惨禍を浮き彫りにした。公的医療への支援拡充が急務である。政府が進める病床削減計画を撤回させ、救急医療、地域医療体制を確保する。コロナ感染症の5類への変更に伴う自己負担増に反対し、自治体は必要な措置を行うべきである。
 誰一人取り残されることのない徹底した生活支援をすべきである。
 賃金が上がらず、とくに非正規雇用者、ひとり親世帯、女性など低賃金で生活困難を抱える人びとが増えている。そこに食料など生活必需品の著しい物価高が生活を圧迫している。年々減額される年金で暮らす高齢者も、無理をして就労したり、切り詰めて生活防衛をしたりしている。さらに昨年後期高齢者の医療費負担が増え、介護保険料の増額、利用料の2割負担の拡大など介護保険制度の改悪が進められようとしている。介護・保育職の人手不足は住民福祉に直結している。介護報酬・保育報酬の大幅な引き上げを国に働きかける。
 岸田政権が掲げる「子育て支援」は、年金・医療・介護保険などの公的保険財源から拠出、世代間の所得移転でまかなうもので反対する。出産、育児、教育にかかわる国の予算拡充を求めるとともに、就学援助の周知・拡大、学校給食無償化を独自に徹底すべきである。昨年、学校給食を一時的にも進めた自治体は全国の3割に及んだ。これらの施策は、国への強い要求と、再開発事業など大規模な財政投入を中止させることで財源確保は可能である。
 地域の産業、とくに肥飼料・燃料価格高騰、需要減退などで酪農、畜産農家をはじめ農林業者は塗炭の苦しみのなかにある。地域の中小零細企業も、コロナ禍での借り入れ返済、原材料の高騰で経営が厳しく、倒産件数は増加し始めている。ここへの自治体としての直接支援が求められる。
 農林水産業をはじめ、製造業でも、商工業でも、地域にある産業、資源を生かし発展させ、働く場を確保することが基本である。
 農林水産業の振興、食料自給率の向上、エネルギーの地域自給の拡大は、農村部だけでなく、都市部でも重要な政策課題である。食料安全保障への関心が高まっているこんにち、地方自治体が財政を投入して生産の担い手を支援し増やすこと、流通体制見直しや消費拡大などは急務である。
 気候変動危機のなかで化石燃料依存から脱却するためには、岸田政権の安易で危険な原発再稼働ではなく、自治体レベルでの小水力、地熱、バイオなど新たな研究、成功事例をふまえた政策転換が課題となっている。

戦争準備に反対し、平和守る自治体に
 岸田政権は対中国の日米軍事同盟を強化し、軍事大国化の道を明確に選択した。沖縄、南西諸島ではミサイル配備、自衛隊基地司令部の地下化など基地機能が格段に強化されている。台湾有事に備えた日米軍事演習が本格化し、横浜港ノース・ドッグへの小型揚陸艇部隊の配備、大阪港への揚陸強襲艦の寄港、全国の自治体が管理する港湾、空港などインフラが動員され始めている。
 基地攻撃能力保有、専守防衛からの転換、大幅な軍事費増などとした「安保3文書」閣議決定の撤回を求めるとともに、戦争準備に協力しない自治体としての姿勢を、住民の力で押し上げ示すことが急務となっている。「二度と戦場にはしない」と新たな高揚をみせる沖縄の闘いと連帯し、戦争の危機を共有化しよう。
 全国の自治体は、中国と密接な経済関係、企業関係をもち、47都道府県全部、379の自治体が友好姉妹都市を結んでいる。中国敵視の政策ではなく、中国との友好、共生をめざすことが地域経済発展のためにも必須である。政府の誤った外交政策に対して、自治体独自の日中関係を発展させることがきわめて重要で死活問題でもある。

岸田政権に厳しい審判を下そう
 喫緊の課題は、岸田政権が踏み込んだ戦争準備に反対し、平和を求めることである。
 歴史的転換期のなか、わが国が生きる道は、対米従属政治から脱却し、平和の環境のもとで貿易・国際関係を維持・発展させるとともに、食料・資源・エネルギーの自給率を高め国内産業を発展させることだ。そのために地方経済の再建、子育て環境の整備、安定した働く場をつくり、豊かな国民生活を保障する。そのためには、一握りの財界中心の政権から国民大多数の政権へ、政治の根本的な転換が不可欠である。
 に岸田政権と地域に巣くう「敵」に対し、地域住民ととも奮闘する候補者期待する。岸田政権に厳しい審判を下そう!


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