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2023年2月5日号 2面〜3面

各地で新春講演会

戦争阻止と生活危機
打開へ、意気高く

 中央委員会に続き、近畿地方委員会、九州地方委員会、熊本県委員会、長崎県委員会でも日本労働党新春講演会・旗開きが相次いで開催された。同志をはじめ、友党や労組などから多くの人びとが参加、団結を打ち固めた。同時に、激動する内外情勢の中で闘いへの確信を深めた。各地の様子を紹介する。
■近畿
 党近畿地方委員会の主催による新春講演会・旗開きが1月22日、大阪市で開催された。
 開会あいさつに立った長岡親生・党大阪府委員長は「岸田政権はウクライナ戦争に乗じ『台湾有事』をあおり立て、安保3文書改定で米国との軍事同盟を強化した。危機を高めているのは米国と岸田政権だ。誰が危機をつくり出しているかを曖昧にしてはならない」として、「東アジアでの戦争阻止のために闘いを進める」と表明した。
 併せて、大阪をはじめ近畿圏を「本拠地」にしている日本維新の会について「敵基地攻撃能力、改憲など岸田政権を右から支える役割を果たしている。統一地方選挙では、その後の闘いを展望しながら、反維新勢力が前進するように闘っていく」と力を込め、独立・自主の政権樹立に向け、労働者、青年・学生に直接働きかける活動を増やして、党の拡大・強化に努めていくと強調した。
 続く講演は、田中剛・党中央委員会政治局常務委員(党青年学生対策責任者)が行った。
 田中同志は世界のすう勢について「労働党が昨年示した『社会革命の時代に入った』という時代状況は、昨一年を通じてますます進んだ」と結論づけた。
 そして、一昨年のアフガニスタンからの敗走、混迷した下院議長選等々を例に挙げ、「米国内の分断はもはや内戦状態ともいえる」と断じた。また、台頭する中国とサウジアラビアなどとの間で「ペトロ人民元」取引が合意されるなど、ドル支配が揺らいでいることを明らかにした。併せて、ケニア、インド、インドネシア、シンガポールなど新興国・途上国の首脳らの発言を紹介しながら、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でさえ、必ずしも米国の言う通りにならない世界の多極化が決定的となり、「米帝国主義の衰退は覆うべくもない」と述べた。
 続けて「世界的なインフレで人民が苦しむ一方で、コロナ発生以降に生じた世界の富の3分の2を富裕層上位1%が奪っている。コロナ禍への対策で官民の債務が増大、米国の利上げは『近隣窮乏化』と言われている」と指摘、これが1930年代の大恐慌、ブロック化、そして第2次世界大戦につながったように、次の危機を準備していると警鐘を鳴らした。
 また田中同志は、米国や英国、フランスなどの労働者がストライキなど街頭行動で闘っていること、ドイツのIGメタルによる大幅賃上げ獲得などを挙げ、「先進国内の労働者階級の闘いは大きな広がりを見せている。全世界で資本主義の歴史的限界があらわになり、米帝国主義を頂点とする先進国内での支配が打倒される『革命と戦争の時代』『戦争を含む乱世の時代』だ」と結んだ。
 国内情勢に話を進めた田中同志は「世界の激動の中で対米従属下の日本は世界での『弱い環』だ。『貿易立国』であるわが国が『生木を裂く』ように中国とのデカップリングが強いられればわが国の経済的基礎は成り立たない」と指摘、岸田政権が日米の軍事力で中国に対抗することはまさに亡国の道であり、独占資本家も含め、これ以上の対米従属政治ではやっていけない全国民的危機が進んでいること、そして民族的課題があるということはわが国の労働者階級が政権を握る上で大変有利なことであると訴えた。加えて、物価・資源高、増加する企業倒産、低迷する賃金、子どもや女性の貧困等々、厳しい国民生活の実態を挙げ、こんにちの日本で言われている「失われた30年」の根源は対米従属政治であることを明らかにした。また23春闘における岸田政権、経団連による「賃上げ」は、世界的に激化する高度人材確保のための「賃上げ」に過ぎないと喝破、特に中小企業では関生支部のような背景資本に対する闘いが重要だと強調した。
 さらに、沖縄県民の闘いはわが国の真の独立実現のため重要な位置を占めていること、与党内にも「日米基軸」への疑義と自主的なアジア外交を重視する声があるなど、「戦争と増税反対」の一大国民運動の発展は可能と提起し、最後に、独立・自主の政権を勝ち取るため、労働者、女性、青年に労働党への結集を熱烈に呼びかけた。
 二部(旗開き)は、細野直也・全日建連帯労組関西地区生コン支部書記長、大椿ゆう子・社民党全国連合副党首(大阪府議選予定候補)、田中誠太・前八尾市長(リアルオーサカ代表)、安井勉・京都市議(立憲民主党府連会長代理)、飛鳥井けい子・向日市議、立山寿幸・元三池労組書記次長(映画「いのち見つめて」実行委員長)、澁谷文孝・自主・平和・民主のための広範な国民連合・大阪事務局長から、それぞれあいさつがあった。また参加した地方議員の方々も紹介された。
 各氏からは「戦争と増税」に反対し、近畿でも広範な国民運動で岸田政権打倒の世論をつくっていくこと、統一地方選挙で反維新勢力の前進を実現すること、労働運動が生活条件を闘いながら、戦争反対、国の進路の課題でも闘っていくなどの決意が語られた。
 閉会あいさつで由良隆・党京都府委員長は「大隈前議長亡き後の党の新たな体制がつくられ始めていることが反映した旗開きとなった。情勢の見通しと闘いの方向についての理論活動にいっそう力を注ぎながら党を強めていきたい。党が前進できる情勢だ」と述べ、参加者にお礼と闘いの共同を呼びかけた。
 最後に京都府党の現場同志による発声で団結ガンバローが行われ、今年の前進を誓い合った。
■九州
 党九州地方委員会主催の新春講演会・旗開きが1月15日、福岡市で開催された。
 講演会は、大城敏彦・党福岡県常任委員の司会で進行し、冒頭に小山明雄・党福岡県委員長が主催者あいさつに立った。小山同志は「歴史的転換期という時代認識のもと、本年も皆さんと固く団結して奮闘したい」と述べたあと、昨年12月31日に、1974年の党結成以前から半世紀にわたって革命運動に邁進(まいしん)してきた党中央委員会政治局常務委員で、党福岡県委員長の中村哲郎同志が永眠したことを報告し、参加者全員で哀悼の意を表して黙とうをささげた。続いて、故中村同志の連れ合いの中村美幸同志から参加者に謝意が述べられた。
 講演は党中央委員会政治局常務委員で総政治部責任者の大嶋和広同志が行った。
 大嶋同志は最初に「日本の独立・自主の政権をつくるために、今年は例年以上に奮闘したい。当面してはアジアにおける戦争、それと岸田政権が踏み込んだ国民大増税に反対していくことを大きな旗印にしていく」とし、そして「それを進めるためにも労働党の建設で成果を上げるよう奮闘する」と強調した。
 内外情勢の特徴と展望について、まず歴史的転換期にある国際情勢について指摘した。「いま世界は大きく変わっている。昨年の講演で秋山議長が『社会革命の時代』と述べた。今の資本主義社会が次の社会へと変わっていく、そういう時代だ。昨一年を通じて『社会革命の時代』はいちだんと色濃くなった。被支配階級だけでなく、支配層もこれまで通りにはやっていけない世界だ」と強調した。
 続いて岸田政権の内外政策について触れた。外交・安全保障政策では「米国の対中国戦略の最前線に立つことを選択した。『安保3文書』で『専守防衛』を投げ捨て、防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上への増額など、戦時体制づくりを宣言した。英国などとも事実上の同盟関係になった」と解説した。経済など国内政策では「『新しい資本主義』を掲げるが、国民生活はそっちのけ。『物価高・円安対応』は実際には大企業支援で、国民生活改善には全く不十分。今後、大軍拡のための増税や社会保障制度改悪が焦点化するだろう」とした。
 その上で「戦後の対米従属政治の転換は不可避だ。岸田政権は『覇権的利潤追求のための政治』で反動的に打開しようとしているが、中国を敵視する限り米国に依存せざるを得ず『ニセの独立』にとどまる。わが党は『独立・自主、アジアの共生』の政権をめざす。この道こそ労働者階級による政権奪取への近道だ」と訴えた。
 また野党の現状に触れ、「外交問題で自民党と同じでは闘えない」と述べ、とくに中国問題で敵を利するような共産党の見解を鋭く批判した。
 最後に、今年労働党がいかに闘うかに触れ、「アジアの平和のため、対米従属の岸田政権を打倒しなければならない。独立・自主の政権樹立がその最大の保証だ。労働者に依拠し、全国で労働党を拡大・強化していく。同志の皆さんには激動の年なので、今年一年、改めて中村哲郎同志の思いも胸に抱きながら、一緒に頑張っていこう。参加された皆さんには、アジアでの戦争、国民への増税に反対する運動を大きく盛り上げて、日本の政治を変えていくために共に頑張っていこう」と呼びかけ、講演を締めくくった。
 続いて、野田国義参議院議員、社会民主党福岡県連合の梶原正実代表、福岡県教職員組合連絡協議会の本村隆幸議長、在日本朝鮮人総聯合会福岡県本部の李周学委員長、自主・平和・民主のための広範な国民連合・福岡の中村元氣全国世話人、平和・人権・環境福岡県フォーラムの松尾純一事務局長、熊本県民主改革協議会の山下初男会長から連帯のあいさつが行われた。また会場には、古くから故中村哲郎委員長と久しくされていた労働組合役員なども駆け付けた。
 また、今年4月に行われる統一地方選挙を闘う地方議員を代表して、原竹岩海・福岡県議会議員、上村和男・筑紫野市議会議員、柿野義直・みやこ町議会議員から決意が表明された。
 続いて、九州各県、遠くは広島から参加した現場で闘う同志が決意表明を行った。同志たちからは「悲しみを力に変え、時代の責務を担って故中村同志の遺志を受け継ぎ、党の隊列を拡大・強化する」との力強い決意が次々と表明された。
 閉会に当たって、党熊本県委員会の渡邉浩委員長が「九州・沖縄から平和を目指す闘い、生活を守る闘いの大きな運動をつくろう。党を強め、国民連合を強め、人びとの期待に応える活動と闘いを展開していく」と結んだ。
 最後に「戦争反対、増税反対」を訴え、団結ガンバローを三唱した。
 悲しみを乗り越え党の隊列を拡大・強化していく決意を固めた。
■熊本
 党熊本県委員会の新春講演会が1月21日、熊本市で開催された。熊本での新春講演会は、再開されてから今年で6回目を迎えた。党の同志や、社民党、新社会党、立憲民主党、民主改革協議会、沖縄県人会などの政党・団体や労働者が参加した。
 講演会の冒頭、熊本県委員長の渡邉浩同志(写真)は「平和が脅かされ、生活の困難がますます強まる情勢の中、労働党の見解や闘う方向についての提起を聞いてもらいたい」とあいさつした。
 講演は大嶋同志が行った。大嶋同志は「内外情勢の特徴と展望」として、歴史的転換期にある国際情勢、岸田政権の内外政策について党の見解を述べた。
 講演の後には、会場から活発に意見や質問が出された。「日米会談で日本の軍備増強を評価するバイデンの発言は内政干渉だ。抗議行動を起こすべき」「歴史から学ぶ必要がある。中国、朝鮮、ロシアを非難する前に、 年前にわれわれが加害者だったことを思い起こすべきだ」「環境問題など世界共通の課題を取り上げてやるべきだ、若者の運動を応援すべきだ」「これから増税も言われていて、本当に国民は大変になる。とても不安になる」などの発言が出された。沖縄県人会からは「辺野古の基地建設や自衛隊の増強など、本当にどうしようもなく、歯がゆい思いをしている。反対する運動に協力をお願いしたい」との訴えもあった。それぞれの意見は闘いが必要とされていると実感できるもので、わが党や参加者にいっそうの努力を求める内容だった。
 閉会にあたって渡邉同志が「当面する統一地方選では岸田政権に反対する野党の候補を支援して闘う」「特に沖縄での戦争に反対し平和を守る闘いを大きく広げよう」「生活の困難に直面する人のための運動を取り上げて闘う」などと呼び掛け、「庶民の中に力があると信じている。力を合わせて頑張りましょう」と締めくくった。
 新たな参加者も増え、今回の講演会は成功した。さらに、闘いの中での党建設の前進の契機としたい。
■長崎
 党長崎県委員会主催の新春講演会が1月22日、長崎市で開催された。政党関係、国際交流・宗教・ボランティア関係、労働者、失業者、市民など、多彩な人々が参加した。
 主催者を代表して藤井純二県委員長があいさつ、「自公政権の軍拡と大増税に反対する県民運動を広範な諸勢力と共同して発展させよう。国家や民主主義のありようについて、その根本を問い、新しい社会に向け、大変革の道を探らなければならない」と訴えた。
 続いて坂本浩・社会民主党幹事長(県会議員)が連帯あいさつを行い、「日本国憲法を踏みにじり、軍拡に踏み込んだ政府の戦争への道を阻止するためにも、統一自治体選挙で断固として前進しよう」と語った。
 次に労働党中央委員会を代表し、大嶋和広総政治部責任者が講演を行った。大嶋同志は「歴史的転換期」にある国際情勢に触れ、昨一年を通じて「社会革命の時代」はいちだんと色濃くなり、被支配階級だけでなく、支配層も「これまで通り」にはやっていけなくなったとして、次の5点を指摘した。(1)ウクライナ戦争の長期化。最大の責任は米帝国主義にあるが、その衰退は決定的、(2)新興諸国の台頭。世界は中国抜きではもはややっていけない、(3)世界経済の危機がインフレなどでさらに深まり、金融危機も切迫、(4)人民生活はさらに悪化、米欧などで大規模ストライキ頻発、各国で階級矛盾が激化、(5)地球温暖化からくる問題の深刻化。
 講演ののち、質疑応答が行われた。「青年層をもっと引き付けるために、スローガンを利権政治暴露の面からもっと検討すべきではないか」「米国追随の歴年の売国農政で破壊された日本農業と食料自給問題を安全保障問題としてもっと強くアピールすべきではないか」などの質問や意見が出された。
祝電・メッセージを寄せた方々(敬称略・順不同)

【近畿】
立憲民主党・参議院議員 辻元清美
参議院議員 嘉田由紀子
れいわ新選組・衆議院議員 大石あきこ
大阪府議会議員 ののうえ愛
大阪府議会議員 山田けんた
大阪市会議員 武直樹
堺市議会議員 渕上猛志
新社会党大阪府本部委員長 茨木市議会議員 山下けいき
社会民主党兵庫県連合会 代表 梶川美佐男 副代表 大島淡紅子
伊丹市会議員 大津留求
前公明党京都府本部代表 角替豊
9条連近畿北部連絡会共同代表 大槻正則
全日本港湾労働組合関西地方大阪支部執行委員長 小林勝彦
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部執行委員長 碓氷良介
大阪市職員労働組合執行委員長 金子俊雄
部落解放同盟大阪府連合会執行委員長 赤井隆史
在日本朝鮮人総聯合会大阪府本部委員長 夫永旭
在日韓国民主統一連合(韓統連)大阪本部

【九州】
新社会党佐賀県鹿島支部支部長 谷口良隆
衆議院議員 堤かなめ
参議院議員 野田国義
福岡県議会議員 佐々木徹
福岡県議会議員 原竹岩海
福岡県議会議員 渡辺美穂
飯塚市長 片峰誠
筑紫野市長 藤田陽三
太宰府市長 楠田大蔵
大野城市長 井本宗司
福津市長 原崎智仁
添田町長 寺西明男
みやこ町長 内田直志

【長崎】
立憲民主党・衆議院議員 山田勝彦


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