ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

2022年10月5日号 1面

政権発足から1年、
危機打開の道示せず

難問山積の岸田政権を
追い詰めよう

 岸田政権が発足して10月4日で1年になる。
 政権発足直後の総選挙と7月の参院選での「勝利」で、岸田政権には次期総選挙までが「黄金の3年」となるはずだった。だが参院選を経て岸田政権への支持率は下がり続け、9月の報道各社の調査でも、「支持しない」との回答が「支持する」を上回っている。
 10月3日の臨時国会開会まで、実質3カ月近く国会は閉じたままだった。
 安倍元首相の射殺事件に端を発した旧統一教会問題や、国民の半数以上の反対を押し切って強行された「国葬」など、国民の疑問や不信に背を向け続けている岸田政権の姿勢だけが目立ち、多くの国民が不支持の声を上げている。

政策は見かけ倒し
 政権発足から1年を振り返ってみても、岸田政権の政策の多くは、対米追随外交に終始する姿勢だけが目立った。アベノミクスのもとで行き詰まった経済と、急拡大した格差で高まる国民の不満をそらすため「再分配」や「新しい資本主義」を掲げて登場したが、いつの間にか「再分配」の声は消え失せ、「新しい資本主義」は掛け声だけで、具体的な形は示せないままに1年が過ぎ去った。
 6月に岸田政権が参院選目当てに示した「骨太の方針」の内容も「貯蓄から投資」へのシフト、「資産所得倍増プラン」など破綻したアベノミクスの焼き直しだった。
 コロナ禍は第6波、第7波と襲ってきたが、なすすべもなく感染の拡大を放置した。そればかりでなく、さらなる感染拡大を防ぐための医療保健体制の強化ではなく、経済活動優先の感染防止措置、入国制限の緩和などに踏み込んだ。
 2月のロシアによるウクライナ侵攻は、米国を頂点とした第2次世界大戦後の世界秩序が大きな転換期に差し掛かっていることを示しているが、岸田政権は歴代政権と同様に米国に追随してロシア制裁に踏み切った。だが食料やエネルギーの確保などの困難に直面して、国民生活にさらなる苦難を強いることになった。

米国追随の限界明らか
 そればかりでなく5月の日米首脳会談などを経て、「台湾有事」を口実に中国への抑止、干渉を強める米国に追随する姿をいっそう鮮明にした。北大西洋条約機構(NATO)首脳会談で中国への対抗を呼び掛けたり、経済でもIPEF(アジア太平洋経済枠組み)を先導したりするなど米国の先棒を担いできた。米国と一体となってアジア諸国をはじめ新興諸国の取り込みに奔走してきたが、東南アジア諸国連合(ASEAN)も含めて新興諸国は、米欧日などの7カ国首脳会議(G7)などの取り込み策と距離を置き、自立の傾向を強めている。
 9月の国連総会での一般演説でも岸田首相の演説はほとんど注目されず、会場がガラガラだった。安倍が提唱し、米国も進めるインド太平洋戦略の限界は明らかである。
 日中国交正常化 年にあたっても、最悪の日中関係の打開を求める財界などの声にもかかわらず、米国の顔色をうかがい、右往左往するばかりである。
 9月の沖縄県知事選挙では、玉城デニー知事が再選され、政府が進めてきた辺野古新基地建設反対の民意が改めて示されたが、岸田政権は基地建設を強行する姿勢である。商業新聞でさえ「台湾有事の最前線になりかねない沖縄が示した民意を、政府は今後の安全保障論議で重く受け止めなければなるまい」(日本経済新聞社説)と言わざるを得ないほどである。自主的外交の確立以外にわが国の生きていく道はない。

国民生活の危機打開を
 食料品だけでなく幅広い製品で物価が高騰し、国民生活を圧迫している。今月、食品だけでも6600品目が値上げや再値上げされ、各種料金や高齢者の医療費や社会生活に関わるものも値上げが相次いでいる。円安による輸入物価高も影響しているが、金利や為替でほとんど打つ手はない。岸田政権は「経済総合対策」を今月末に策定すると発表した。柱の一つに円安・物価高への対応を挙げているが、「緊急対策」による財政の膨張が常態化している。「国の借金」は、6月末時点で1255兆1932億円に達して過去最大を更新している。防衛費の増額は国民生活をさらに圧迫する。財政赤字の制約で「新しい資本主義」どころではなかろう。
 岸田政権では、わが国が直面する内外の危機を打開する道は見えない。物価高騰など国民生活はますます困難になっている。中国をはじめ近隣諸国との協力関係抜きにアジアの平和、繁栄など問題にならない。岸田政権に対する国民の不満はますます高まるだろう。野党が全体として無力な中でも、肥料・飼料の高騰にあえぐ農民は各地で危機打開の集会に立ち上がるなど行動を強めている。右往左往する岸田政権を追い詰めるため、国民各層の切実な要求と結び付き、広範な国民運動をつくり上げるために闘おう。(H)


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2022