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2022年9月15日号 1面

「台湾有事」策動と闘おう

独立・自主の政権こそ平和への道

 わが国と中国が国交を正常化して9月29日で50周年を迎える。
 長い両国の交流の歴史の中で、わが国が引き起こしたよる侵略戦争などを経たが、両国の先人たちの努力で1972年、国交正常化を実現した。署名された日中共同声明で、両国は「長期にわたる平和及び友好のための協力」をうたった。併せて、台湾が中国の不可分の一部であるとする中国の立場を「十分理解し、尊重」すると「一つの中国」の立場を確認した。この共同声明を含む4つの文書で、この立場は一貫して確認され、日中両国の外交関係の基本とされてきた。
 以来50年間、中国との人的交流を含む友好協力関係や経済関係は飛躍的に発展してきた。両国関係だけでなく、アジアと世界の平和と経済発展のためにも大きく貢献した。

未来の50年を見据えて
 中国は改革開放政策以来、経済規模ではわが国を追い越して、購買力平価国内総生産(GDP)では、米国を追い抜くまでに急速に経済成長を果たした。こんにち、わが国経済は、中国抜きは成り立たないほど、供給網(サプライチェーン)でも複雑・強固に結びついている。
 50周年を節目とするなら、以降の50年を見据えて、さらに両国関係を発展させていくことがわが国を含むアジアの平和と安定にとって極めて重要である。

中国への対抗迫る米国
 だが、経済関係の発展とは裏腹に、日中関係は極めて緊張が激化している。急速に台頭する中国を取り込めないと見るや、米国は対中国政策を対抗、抑止政策に転換し、わが国にも中国への対抗を迫ってきた。日中の争いは米国にとっては「漁夫の利」を得る思惑もある。
 昨年のアフガニスタン撤退は米国の衰退を象徴する出来事だった。今年2月からのウクライナ戦争は衰退する米国の巻き返しための悪あがきが背景にある。米国はウクライナ戦争を契機に、アジアでは「台湾有事」をあおって中国への干渉と抑止を強めている。
 わが国も米国に逆らえず、菅前政権、岸田政権と「台湾」問題に踏み込んだ。5月の日米首脳会談で、岸田首相は、わが国が中国敵視の最前線に立つことを宣言し、クアッド首脳会議や北大西洋条約機構(NATO)首脳会議などでも中国への対抗を声高に叫んできた。
 8月のペロシ米下院議長の台湾訪問は、台湾問題をめぐる米中間の緊張をさらに高めた。その後も中国を挑発するかのように米国会議員団やわが国の日華議員懇など相次いで訪台し、「一つの中国」否定し、台湾の独立をそそのかす言動を続けている。米国は軍事的緊張の高め、偶発的な衝突さえ引き起こしかねない蛮行を繰り返している。

中国抑止に走る岸田政権
 岸田政権は中国に対抗し、GDP比2%、「ミサイル 1000 発」などの大軍拡を進めようとしている。さらに経済安全保障を名目に、中国を含むサプライチェーンを再編する動きもある。
 こうした「日米同盟強化一辺倒」で「抑止力強化」のみに頼った外交・安全保障政策では、日中両国による再度の戦争につながりかねない。沖縄をはじめと南西諸島は、すでに「最前線」に立たされている。有事となれば日本全国の米軍基地、自衛隊基地が戦争に巻き込まれることは必至である。「台湾有事」をあおる戦争挑発を阻止しなければわが国の未来はない。

広範な連携で反対しよう
 50周年を目前に岸田政権の対中姿勢には動揺も見られる。だが、米国の戦争挑発策動に追随せず、中国などアジア諸国と共に生きていく自主的な道は、わが国の独立、対米従属からの脱却なしには実現できない。台湾有事を避けるためは、保守層も含む各界の広範な連携をつくり上げることが切実に求められている。
 そのための第一歩として、自主外交を求める緊急集会が呼び掛けられている。野党の多くが安保・外交政策で自公政権と明確に対決する政策を掲げることができず、中国敵視の世論づくりを許すような状況の中で、わが党はこうした取り組みを断固支持して、成功のために共に手を携えることを呼びかける。とりわけ将来の日中関係を築き担っていく青年学生の皆さんの参加を願う。(H)


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