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2022年8月25日号 1面

日中関係膠着(こうちゃく)の
責任は岸田政権にある

広範な国民運動で
日中関係打開を政府に迫ろう

 わが国と中国が国交を正常化して、9月29日で50周年の節目を迎える。
 1972年のわが国と中国の国交正常化に際し、田中首相と中国の周恩来総理との間で署名・発出された日中共同声明では、「日中間の過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」として、「両国間の平和友好関係を強固にし、発展させる」ことが合意された。また「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」として「一つの中国」の原則も確認された。
 以来、日中間では、この共同声明や78年の日中平和友好条約など4つの基本文書を基本にして外交関係が進められ、政治、経済、文化など各方面で日中間の交流は拡大されてきた。
 この50年間、さまざまな曲折はあったが、経済関係だけをみても、中国経済は急成長し、日中の経済的力関係は大きく変化した。それだけでなく、サプライチェーン(供給網)も含めた相互の結びつきは複雑かつ強固になっている。だが、歴史問題など、こんにち両国間で解決すべき課題も多い。
 一方、衰退著しい米国は台頭する中国を抑え込み覇権を譲るまいと中国への対抗・敵視政策を強めている。岸田政権も、米国に追随しながらアジアでの覇権を狙い、わが国は中国への対抗と抑止を強めている。

台湾問題に口出しするな
 昨年4月、菅前首相は日米首脳会談で、「台湾海峡の平和と安定の重要性」に言及し、「一つの中国」を投げ捨て、米国と共に中国を敵視する道にさらに踏み込んだ。岸田政権はこれを踏襲している。
 安倍元首相をはじめわが国の保守派は「台湾有事は日本の有事」などと、中国を敵視する国内世論をあおり、米国と共に台湾問題を口実にした中国への干渉、圧迫を強めてきた。
 先のペロシ米下院議長の訪台は中国の警告を無視して強行された。中国が強く反発するのは当然だ。中国は台湾周辺での軍事訓練を行ったが、わが国マスコミも、中国の軍事的脅威だけをことさら宣伝しているが、ペロシ訪台に合わせて米第7艦隊の原子力空母打撃群が台湾近海での訓練を繰り返しており、中国を挑発し、軍事的緊張を高めていたのは米国の方である。
 米国と歩調を合わせれば、中国との友好・互恵の関係など続けられるはずがない。わが国は台湾問題に口出しすべきではない。

不信感あおる岸田首相
 岸田首相は、ペロシと会談し「台湾問題での緊密連携」を確認した。また林外相は、中国の軍事訓練を非難するG7外相声明に名を連ねた。中国は予定されていた林外相と王毅中国外相の会談を急きょキャンセルし、日中間の対話の機会さえ途切れた。これらはすべて岸田政権の責任だ。
 ようやく8月17日になって、秋葉国家安全保障局長と楊潔チ中国共産党政治局員との会談が行われた。7時間に及ぶ長時間の会談の詳細は明らかにされていないが、対話の継続だけは確認されたようである。国交正常化 周年に向けて日中の首脳会談などハイレベルな対話が実現するかどうかは分からないが、問題はわが国の姿勢次第である。
 首脳間の対話が遠のけば経済への影響が生じ、偶発的な衝突も起きやすくなる。岸田首相は「新時代リアリズム外交」として中国との「建設的で安定的な関係」を重視するというが、基本的に岸田政権の対中政策は安倍・菅政権の流れを踏襲し、米国と共に中国への対抗を強める姿勢に変わりはない。岸田首相は、この間の北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議や東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議などでも繰り返し中国の脅威をあおり立て、対抗を強める発言を繰り返している。これでは日中間の対立を激化させるだけで、不信感を増大させるだけである。岸田首相や林外相に本気で日中関係を打開する気があるのかまったく疑わしい。
 行き詰まった日中関係の打開を岸田政権に期待し、任せることはできない。
 いまこそ、広範な国民的連携と国民運動で日中関係の打開を政府に迫るべきである。(C)


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