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2022年5月15日号 2面

ウクライナ情勢と日本の進路
大隈鉄二同志逝去1周年
党演説会開かれる

新たな時代、党建設と革命の好機

 「ウクライナ情勢と日本の進路 大隈鉄二同志逝去1周年 日本労働党演説会」が4月 23日、党中央委員会の主催で福岡市で開かれた。ロシアによるウクライナ侵攻開始から約2カ月、世界は歴史的転換期に入った。情勢の急速な進展についての党の見解や展望、さらに「社会革命が始まっている」という歴史的な時代に党がどう闘うのかなどについて大嶋和広・党中央委員会総政治部責任者と秋山秀男・中央委員会議長が訴えを行った。また労働党結党以来、中央委員会議長として全党を指導した故大隈鉄二同志の逝去1周年を迎え九州各地からゆかりの方や現場の同志たちが参加、大隈同志の遺志を受け継いて闘う決意を表明した。
大嶋同志ーー戦争の背景と米帝の策動暴露
 演説会の司会は渡邉浩・党熊本県委員長が行なった。
 基調演説で大嶋同志は、ウクライナ戦争について、「過去の戦争と違ってSNS時代の戦争。スマホで撮影した映像が流され、戦争がいかに悲惨なものか、これが人びとの認識に影響を与えている。戦争の形が変わって、サイバー攻撃、経済制裁、情報戦争など、戦場だけにとどまらないハイブリッド戦争となっている。事実上米ロの戦争で、これを米国が主導しており、戦争に至る経過をみると米国の責任は免れない」と指摘し、「ロシアとウクライナの若い兵士の殺し合い、きょうだい殺しの戦争をただちにやめるべき」と力を込めた。
 続いて、戦争の背景にある米国の事情について「第二次大戦で世界の覇権を握った米国が凋落し、世界支配のための巻き返しを図っている」こと、そしてロシア側について「2014年のクリミア併合以来、西側による制裁で経済が苦しくなっている」ことを指摘した。
 その上で、米国が主導してきた第二次大戦後、そして冷戦崩壊後の世界秩序が崩れ、「中国やロシア、インド、ブラジルなどが台頭、欧州の政治統合など『特殊な多極化』の流れが続き、アフガン撤退に象徴されるように米国の威信は失墜した。米国内は厳しいインフレ、燃料高など国民生活が厳しくなっている」との分析を示した。
 また、ブレジンスキー・元米国家安全保障大統領補佐官の「ユーラシア大陸の西と東を押さえることが肝心だ」との発言を紹介、「東は中国を抑え込むこと、西はロシアとドイツを分断すること。ロシアの資源とドイツの技術力・経済力が結び付くことが米国の世界支配にとって脅威となると言った。米国は巻き返しに必死になっている。肝心なことは世界の労働者が政権を奪取することなしに今の戦争を止められないし、核戦争を防ぐことや平和を実現することはできない」と訴えた。
 次に「世界が大きく変化する中で、日本の支配層は米国と共に歩むことでアジアの中で大国として登場することを狙っている。安倍元首相らが『ウクライナの次は台湾』だと、今にも中国が台湾に攻め込むかのように宣伝している」と述べ、安倍一派らの策動への警戒を呼びかけた。併せて「中国はロシアのウクライナ侵攻には賛成していないし、制裁に反対しているだけだ。インドや他の国も同じ態度だ。林外相は主要7カ国(G7)の会議で中国だけを非難し、それを口実にして対米従属の政治・軍事大国化を進めようとしている。こんな政権は倒す必要がある」と訴えた。
 最後に「日中国交正常化と沖縄施政権返還の2つの50年に際して、日中不再戦、アジアのなかでわが国が平和的に生きていく新しい進路をめざすべき。全国で沖縄の人びとと連帯する闘いをいっそう強める。そのためにも、労働党が強くなる必要がある。今年一年かけて前進していく」との決意を示した。

秋山議長ーー党建設の前進熱烈に訴える
 秋山議長は「ウクライナ戦争は大ショックだが、これは米バイデン政権が綿密に計画したものだ。今後世界はどう変わっていくのかという見通しをもって闘いに備えなければ世界の激動に立ち遅れる」と提起、今回の戦争の本質的な背景について2点挙げた。
 「全体として資本主義が末期症状をさらしていることが背景の一つ。次に、米中対決など地政学的リスクが煮詰まってきている。米国の覇権に対抗する唯一の競争相手は中国であり、米国はどんな手を使ってでもそれを阻止せんと策動していること。米中両国は広い意味で戦争を続けており。いつ爆発するか分からない深刻な状況だ。米国の最大の戦略目標はあくまで中国が『現代化された社会主義強国』として自分たちを追い越すことを阻止することだ」と喝破した。
 続けて「こんにちの世界は、核大国が国益や覇権を求めて相争う時代になった。世界の労働者人民・被抑圧国はこれまでとは違った闘いを進める必要がある」と指摘、当面する闘いで「日本はウクライナ戦争の即時停戦に向け、中国やインドなどと和平交渉を呼びかけること、米国による対中戦争を阻止すること」を提起、「米帝国主義の世界的な侵略や悪あがきを阻止するために日本の労働者人民は闘うべきである」と呼びかけた。併せて「日本の労働者階級と人民の任務」として、米国の指揮下での対中戦争の阻止、アジアでの覇権を狙った政治・軍事大国化を阻止する課題を挙げ、「そのために強大な党と統一戦線が必要である」と強調した。
 秋山議長は最後に「戦争は歴史の歯車だ。悲惨でだが革命のチャンスでもある。人びとのの覚醒を促し、革命政党を大きくする条件も増えていく。生活困窮者、非正規労働者、女性、青年が政治的に登場できるように一緒に闘おう」と熱烈に訴え、演説を締めくくった。

来賓、現場の同志から追悼あいさつ
 来賓として、村山弘行・社民党福岡県連合幹事長、山下初男・熊本県民主改革協議会会長、久保山教善・自主・平和・民主のための広範な国民連合・福岡世話人、平和・人権・環境福岡県フォーラムの松尾純一事務局長の各氏からそれぞれ、大隈前議長との生前の思い出などに触れながら、今後とも連携し闘っていこうとのあいさつが行われた。また会場に参加した4人の地方議員が紹介された。
 続いて、新垣洋子さん(故新垣善春・社民党沖縄県連合委員長の妻)、朝鮮総聯福岡県本部、堤かなめ衆議院議員、原竹岩海・福岡県議会議員、渡邊美穂・福岡県議会議員から寄せられた追悼メッセージが読み上げられた。
 次に現場同志から追悼のあいさつが行なわれた。
 長崎のN同志は、国交正常化以前からの日中友好運動への参加を通じて労働党へ入党した経過を振り返り、新たな指導体制のもとで一緒に闘っていく決意を語った。
 福岡のY同志は学生時代からの大隈前議長との思い出を語った。同じく福岡のK同志は県南地域での党建設の経験や職場・地域での活動を振り返った。最後に親族のSさんが大隈前議長との生前の会話を回想し、マスコミが振りまくデマにごまかされることなく現実にある矛盾を暴露することの必要性を強調した。
 最後に藤井準二・党長崎県委員長が「世界は新しい社会に向かっていく時代にある。真に人類史的な社会をつくろう」と閉会あいさつを行い、演説会を締めくくった。


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