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2021年10月5日

岸田政権の成立に際して

日本労働党中央委員会総政治部責任者・大嶋和広

一、岸田文雄氏を首班とする自公連立政権が10月4日、成立した。
 菅前政権はコロナ対策などで悪政を繰り返し、国民の支持を失って政権を投げ出した。自民党は「総裁すげ替え」の茶番で目先を変え、有権者を欺こうとしている。
 岸田氏は安倍・菅政権下で外相や政調会長など重職にあった。岸田政権は安倍・菅政権の「亜流」であり、幻想を持ってはならない。

一、岸田首相は会見で「普遍的な価値を共有する国と連携」と発言した。「敵基地攻撃論」にも言及、「経済安保」担当相や「人権問題担当補佐官」を新設するなど、中国への挑発を繰り返している。
 安倍・菅政権が踏み込んだ、米アジア戦略を支えて政治軍事大国化をめざす外交・安全保障政策を継続・強化する意志を示している。中国を敵視し、台湾問題などでアジアの緊張を高め、わが国の独立・自主、アジアの共生に逆行する道である。
 バイデン米政権主導は「クアッド」などで日本を「対中国」の最前線に立たせ、他方で中国との貿易交渉を再開するなど「自国第一」である。だが、アフガニスタンからの無様な撤退に見られるように、急速に没落している。
 日本経済が中国なしに成り立たなくなっているこんにち、岸田政権が進める道には財界でさえ不満を高めざるを得ない。岸田政権は遠からず、深刻なジレンマに直面するだろう。

一、岸田氏は「新しい資本主義」「格差是正」などといって有権者の歓心をひこうとしている。財界も「大変心強い」(日本経団連)と歓迎している。
 だが、世界資本主義は「持続不可能」なほどに行き詰っている。「社会革命の時代」である。
 財界の望む「生産性向上」「競争力強化」は容易ではなく、実行すれば労働者をはじめとする国民諸階層に多大な犠牲を押し付けることになる。コロナ対策でも「医療破壊」への反省はなく、「第6波」への備えはおぼつかない。大規模金融緩和も継続され、国家財政危機も「泥沼状態」である。これらも岸田政権の手足を縛ることになる。
 国民の生活と営業は厳しさを増している。岸田政権が抜本的に打開することは不可能である。

一、解散・総選挙が迫っている。政権支持率の「ご祝儀相場」を生かし、ボロが出ぬうちに選挙に臨もうという魂胆である。
 一方で野党の掲げる政策は、岸田政権の「新自由主義批判」とほとんど違いがない。外交・安保政策も「現政権継続の現実主義」と、岸田政権に対抗できるものではない。
 難題山積の岸田政権を打ち破るもっとも頼りになる力は、国民の怒りと不満に依拠した広範で強力な国民運動である。労働運動は主導的役割を果たさなければならない。
 わが党は悪政を打ち破るため、国の進路の転換と大衆の切実な要求を掲げて闘う。


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