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2021年4月5日号 1面〜2面

訃告
党中央委員会議長
大隈鉄二同志 逝去

日本労働党中央委員会

一、日本労働党中央委員会議長大隈鉄二同志が、去る三月二十二日午前一時半、心不全でその闘いの生涯を閉じた。この悲しい事実を、全党の同志たちと日本の労働者階級に、対米従属政治の転換を望むすべての人びとに、全世界の友人たちに、謹んでお伝えする。
 大隈鉄二同志の生涯は、日本の労働者階級の革命的前衛政党建設と共産主義をめざした偉大で革命的なものであった。享年九十一歳。
 大隈同志の逝去は、わが党とわが国革命運動にとって大きな損失であるが、われわれは遺志を受け継ぎ、革命党の建設と日本革命の勝利に向けて闘うことをここに誓う。

一、大隈同志は、労働者階級の先進分子を結集する革命的前衛政党の建設に全力を傾け、日本労働党の結党を主導し、一貫して党の闘いの指導者であった。
 大隈同志は、一九七四年一月、日本労働党の結党大会を主宰した。
 戦前の天皇制絶対主義下の日本帝国主義との闘いの革命的伝統を持った日本共産党は、敗戦直後も労働者階級・人民の先頭で革命的に闘った。当時の労働運動で大きな影響力を持っていた国鉄労働者の一人だった若き大隈同志はその一員だった。占領軍主導のレッドパージは過酷をきわめ、同志は職場を追われ職業革命家となった。
 だが、米占領軍支配下の厳しい闘いの中で共産党指導部は分解した。支配権を簒奪(さんだつ)したこんにちの志位委員長につながる日和見主義一派は帝国主義に屈服し、資本主義国家権力との決定的闘いを回避する議会的改良主義、修正主義に転落した。かれらは当時の組織労働者の中心である総評と中立労連が準備したゼネストに公然と反対し、あるいは部落解放同盟などにも襲いかかるほどまでに腐敗・堕落した。
 こうした共産党の裏切りには、一九五〇年代末からさまざまな批判が労働運動、人民運動で起こり、共産党内にも広がった。しかし、当時の学生運動、新左翼諸派に典型的だったが、大衆運動での反発にとどまった。他方、中ソ論争に代表されるように国際的な共産主義運動にも分岐が生まれていた。
 こうした中で大隈同志は、改良主義・修正主義に転落した共産党を打ち倒し、労働者階級としっかりと結びついた真の革命的前衛党の建設を唱え、すべての共産主義者の団結を主張して日本労働党の結成を呼びかけ創立を闘い取った。労働者階級の最良の先進分子による党の組織原則を打ち立て、労働者階級の改良のための闘いを重視するとともに、政権奪取に向かう「階級的革命的労働運動」の形成・発展を提起し、志を同じくする労働運動の戦闘的指導者たちと深い盟友関係を築いた。
 その後こんにちまで、一貫して労働党の建設、日本革命の闘いの最先頭で闘い抜いてきた。
 この五十年間、世界は激変した。とりわけ、第二次世界大戦の危機の中で全世界の三分の一にまで前進した社会主義陣営は大きな試練にさらされた。ソ連・東欧の社会主義は、歴史的条件と指導の誤りで帝国主義の攻撃に敗退し、消滅した。中国も試練の中にある。帝国主義の思想攻勢で、全世界のマルクス主義の思想、革命理論、運動の権威は大きく損なわれた。
 こうした中で大隈同志は、「帝国主義に反対する」というプロレタリア国際主義の立場を堅持し続けた。  勝利したはずの資本主義だったが、こんにち決定的に歴史的限界をさらしている。
 今や資本主義は使命を終え、経済社会のありよう、すなわち資本主義的な生産様式が問われる歴史局面となった。
 第四次産業革命といわれる技術革新は資本主義の危機を加速させ、新しい社会の到来を予見させている。
 昨年来のコロナ禍は、この危機の根本問題を露呈させ、危機を加速させている。世界の資本家たちは、「持続可能な資本主義」を振りまいているが、それは文字通り幻想にすぎない。地球温暖化と相次ぐ自然災害なども、誰しも認めるように産業革命以来の利潤追求一辺倒の資本主義経済の結果であり、どこから見ても持続不可能である。こうした資本主義的な生産諸関係、国家権力に裏付けられた資本主義的(私的)所有関係を基礎とした社会は今や歴史的な限界にきており、完全に行き詰まっている。この世界は変わらざるを得ない。改良的打開は不可能で、根本的解決以外にない。社会革命の時代だからである。
 同志は、この歴史的時代の到来をいち早く見抜き、われわれを導き、闘いの準備、革命的前衛党の強化を呼びかけた。
 その決戦に向かう歴史的準備の途上で大隈同志は斃(たお)れた。同志が導いた革命党建設は残念ながらいまだ成功していない。しかし、この歴史的瞬間を予見し、備えることを公然と提起したのは、われわれが知り得ない全世界での努力はともかく、少なくともわが国では同志だけだった。
 時が来ている。わが党は結束を強め、この時代の変化の予兆を感じているすべての人びとと共に、遺志を継いで奮闘する決意である。共に前進することを呼びかける。

一、大隈同志が提起し、確定した党の政治路線は、五十年来の内外情勢の発展と闘いの試練に耐え、こんにちますます重要な戦略的な指針となっている。
 戦後のわが国は、米占領軍の支配以来、日米安全保障条約によって米帝国主義の事実上の支配下にある「従属国」となった。残念ながらこんにちもそれは変わらず、真の独立の達成は民族の課題として今もある。
 しかし、一九五〇年代からの共産党の日和見主義・裏切りもあって、わが国が従属国であるとの現状規定と独立という民族課題への反発は闘う勢力の中に強かった。米帝国主義は対中・対ソの戦略上から日本独占資本の強化を支援し、「日帝自立」という誤った理論も広がった。
 そうした中で大隈同志は、高度に発展した独占資本主義国でありながら従属国であるとのわが国の現状規定を再確立した。そのポイントは、「独立の課題を、独占資本を中心とする支配層もまた解決を必要としている」ことだった。革命運動の前進に向けて、米国の支配や圧迫から生じる支配層内部のさまざまな矛盾を利用できるし、利用しなければならないこと、そのためには労働者階級が民族独立の課題を重視し闘うことで国の政治で指導権を持つ任務を明確にした。ロシア革命を導いたレーニンや抗日戦争と中国革命を導いた毛沢東などの経験と理論に学び導かれていた。
 この戦略路線に沿って、同志は統一戦線問題に一貫して深い関心を払い、こんにち的組織づくりにも尽力した。こうした「組織化」の経験は、わが国では初めてのことであり、わが党の政治的前進を導いた。
 結党初期には、社会党左派のリーダーの一人だった穂積七郎氏などと共に「左翼連合」を結成した。また、「日中平和友好条約締結」や「北方領土返還」などでは、社会党委員長も務めた佐々木更三氏や曽我祐次氏などと党派を超えて友誼(ゆうぎ)を築き、運動を発展させ、自民党の一部や財界人とも党を代表して友人関係を広げた。
 その後九三年には、以前から深い信頼関係にあった槇枝元文氏(元総評議長)らの呼びかけを支持し協力して「従属国からの脱却」の課題を最優先に掲げる「自主・平和・民主のための広範な国民連合」結成を呼びかけた。大隈同志の指導下でわが党は国民連合の発展のために尽力し、引き続き奮闘している。
 さらに、沖縄県民の闘争を支持・支援し、その全国化のために闘う過程で社会党県委員長であった新垣善春氏はじめ多くの人士と深い信頼関係を結び、運動の発展に貢献した。
 現在の国際関係は、資本主義の末期を背景に、米国を中心とする帝国主義とその他諸国の対立、大国間の対立も激化している。とりわけ米帝国主義は力が衰える中で、強大化する中国を抑え込み世界覇権を維持しようと、戦争も辞さない攻撃に出ている。
 平和の危機の中で、安倍政権を引き継いだ菅政権も「日米同盟基軸」で、米国の対中国戦略の先兵となる道に踏み込んでいる。これは、発展するアジアの中で孤立する道である。財界、大企業も中国抜きには成り立たず、選択が迫られ動揺している。米中対立のはざまで、支配層・保守層も含めて、わが国は岐路に立たされている。
 この情勢は労働者階級にとって、独立・自主の旗を高く掲げて、支配層の一部も含む最も幅広い統一戦線を形成し政権を打ち立てるチャンスである。
 同志が提唱した「独立の課題の主導権を握る」政治路線は、歴史の試練に耐えただけでなく、今、真価を発揮する時を迎えているのである。
 同志は、その最前線で指導力を発揮して闘いの発展を願い、われわれもそれを望んでいたが、もはやかなわない。

一、大隈同志は哲学を重視し、労働党の哲学水準を高めるために心血を注いだ。第六回党大会で採択された労働党規約には「弁証法的唯物論、史的唯物論を世界観、歴史観として堅持し、唯物論的弁証法を党活動のすべての分野・領域の認識と行動とに適用する」と書かれている。
 大隈同志は「闘う人」であるとともに、卓越した思想家、「考える人」でもあった。冷戦崩壊後の帝国主義のイデオロギー攻勢とソ連・東欧社会主義の歴史的な敗退の下で困難な闘いであったが、大隈同志はマルクス・レーニン主義を日本の現実に適応し、発展させた。その業績は大きい。
 資本主義が末期症状を深める下で、こんにち国際的に価値観、世界観は混乱し、マルクス主義は世界の哲学戦線で劣勢下にある。わが労働党は、だからこそマルクス・レーニン主義を指導思想として堅持し、それを具体化して闘った大隈同志の思想と実践に真剣に学び、闘いを継承・発展させていく。
 そのことが情勢の発展と大衆の要求に応え、反帝国主義闘争、そして日本の革命運動の前進を切り拓くと確信する。
 大隈同志は労働者を一貫して深く信頼し、「労働者階級の解放は労働者階級自身の事業である」ことを確信し、労働者の自覚と階級形成、闘う力の発展にその生涯をささげた。
 途半ばに倒れた大隈同志の遺志を受け継ぎ、全党は中央から現場の同志まで固く団結して、党の総路線と六大会決議に沿って闘い続ける。
 大隈同志はわれわれの心の中に生き続ける。われわれの闘いを見守ってくれることを確信し、勝利の日まで「共に闘う」ことを誓う。
 同志、友人、諸先輩、各界の皆さんに日本労働党中央委員会議長大隈鉄二同志追悼会への参加を呼びかける。
 同志、友人、諸先輩、各界の皆さんに日本労働党中央委員会議長大隈鉄二同志追悼会への参加を呼びかける。
日本労働党中央委員会議長大隈鉄二同志追悼会
 日時 2021年4月24日 午後2時開会(午後1時半開場)
 会場 日本教育会館・8階・第2会議室
(当日は平服でご参加ください。なお、感染症対策に万全を期すため、マスク着用をお願いします)


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