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2020年8月5日号 1面

コロナ禍で深刻化する雇用情勢

大リストラ攻撃を跳ね返そう
 長期不況に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を口実に大企業は人員削減攻撃を強め、雇用情勢は深刻の度を増している。
 「希望退職」という名の首切りを打ち出した企業は、今年上半期だけで上場企業の四十一社に及んでいる。この数は昨年比で倍増している。
 なかでも、三菱自動車による工場(岐阜県坂祝町)閉鎖は、電気自動車(EV)など技術革新の急速な進展の影響もあり、事態の深刻さを示している。

深刻化する雇用情勢
 厚労省は七月二十九日、新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇い止めの人数(見込みを含む)を発表した。その数は四万三十二人に達し、コロナ危機の発生以降、一カ月で約一万人も増加している。全体のうち一万五千人以上、四割近くが非正規労働者である。
 業種別では、宿泊業や飲食業だけでなく、製造業でも六千人を超えている。
 六月の非正規の雇用者数は、前年同月比で百四万人も減っている。
 ただこの数値は「氷山の一角」にすぎない。
 六月の完全失業率は二・八%と、前月比〇・一ポイント改善している。だが、雇用者数は前縁同月比で九十四万人も減少しており、三カ月連続でのマイナスである。休業者は、緊急事態宣言の解除によって前月から大きく減ったが、それでも二百三十六万人もいる。
 新規求人は前年比一八・三%も減少、生活関連サービス業・娯楽業(三四・八%減)を筆頭に、製造業(三四・二%減)、宿泊業・飲食サービス業(二九・四%減)など、幅広い業種で減少している。
 雇用情勢はますます厳しく、わが国労働者の生活はいちだんと追い詰められている。

さらに悪化する可能性大
 しかも、今後の雇用情勢は、さらに悪化する可能性が高い。
 緊急事態宣言は解除されたが、飲食店などの客足は通常の半分にも満たない状況である。ここに再度の感染拡大が襲いかかり、「営業時間短縮」要請などが再発出されている。多くの企業の業績も上向かない。
 雇用調整助成金の特例も、現在のままでは九月に期限が切れる。同制度は、雇用維持にはきわめて効果が薄いが、それでも「特例廃止」は企業の首切りに拍車をかけかねないものである。すでに多くの企業では、非正規労働者を中心に休業者を抱えている。いまだ二百万人を超える休業者の存在は、以降の雇用情勢がさらに悪化することを予感させる。
 技術革新が進展し国際競争が激化するなか、大企業はいちだんのコストダウン経営に踏み込んでいる。
 連合中央指導部は、支配層の「生産性向上」宣伝に追随し、雇用流動化やリストラ攻撃との闘いを放棄している。
 労働組合は、大企業によるリストラ・首切り攻撃に対する闘いを抜本的に強化しなければならない。併せて、政府に雇用対策の拡充を要求して闘わなければならないのである。

資本主義の末期症状が背景
 ただ、先進的労働者は、そこにとどまってはならない。
 こうしたコロナ禍の影響は確かに深刻だが、本質的な問題ではないからである。
 世界資本主義が末期症状を深め、わが国経済も完全に行き詰まってること、ごく一部の多国籍大企業、投資家に富が圧倒的に集中する一方で、労働者・人民の生活が耐え難いものに追い込まれていることこそ、根底的な問題である。
 この状況下で、需要が拡大するはずもない。これは、「一方に富、一方に貧困」という、資本主義の本質的矛盾でもある。
 コロナ禍は、これを浮き彫りにし、深刻化させたにすぎない。
 こんにち、私的所有に基づく資本主義の生産様式は限界に達し、「次の社会」への移行期となっている。
 全世界の労働者階級、とくに先進諸国の労働者は、こうした大局を見据え、自らが政権を握るための闘いを抜本的に強化しなければならない。各国でマルクス・レーニン主義の革命政党を建設し、強化することは、そのための不可欠で最大の課題である。(O)

7月以降に発表された主なリストラ計画

・三菱自動車(自動車)岐阜県工場の閉鎖
・ミツバ(自動車部品)500人の希望退職、新潟・群馬の工場閉鎖
・タツミ(ミツバの子会社、自動車部品)30人の希望退職
・シチズン時計(時計)550人の希望退職
・ラオック(免税店)12店舗の閉鎖、250人の希望退職
・日本ケミファ(医薬品)30人の希望退職
・ペッパーフードサービス(飲食店)約110店舗の閉鎖
・DDホールディングス(飲食店)約50店舗の閉鎖
・グローバルダイニング(飲食店)5店舗の閉鎖
・石垣食品(飲料水)外食事業から撤退
・アツギ(アパレル)330人の希望退職
・銀座山形屋 アパレル)北海道工場の閉鎖
・レナウン(民事再生中、アパレル)300人の追加希望退職
・ジャパンイマジネーション(アパレル)「セシルマクビー」などの店舗閉鎖


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