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2019年1月1日号 2面〜5面

新春インタビュー

秋山秀男同志に聞く

  二〇一九年新年に際し、「労働新聞」編集部は、労働党中央委員会の秋山秀男同志にインタビューを行った。昨年に続いて映画の話題から始まり、内外情勢と党の闘いなど多岐にわたったが、紙面の都合で、一部を割愛して掲載する。(聞き手・大嶋和広編集長)


大嶋 明けましておめでとうございます。党中央委員会の秋山同志への新春インタビューです。よろしくお願いします。

秋山 おめでとうございます。情勢が激変するなかでの新年に際して、全国の同志、友人、「労働新聞」読者の皆さんに、ごあいさつ申し上げます。

昨年に続いて映画の話題

大嶋 昨年のインタビューは、映画の話題から始めました。読者からは「新年らしくてよい」「秋山さんの人柄が分かる」という評価がある一方で、「一般の劇場やレンタル店で見られる映画が少ない」という意見も寄せられました。
 今年も、内外情勢や党の闘いについても後ほど伺いたいと思いますが、こうした意見を参考に、映画の話題から始めたいと思います。

秋山 よろしくお願いします。

大嶋 昨年見た映画で、印象に残る作品を数本上げてみてください。

秋山 米国デトロイト市での黒人暴動とそのただ中で起きた「アルジェ・モーテル事件」に迫った「デトロイト」、英国の女性参政権獲得運動を題材にした「未来を花束にして」、光州民主化運動をシリアス、かつコミカルに描いた韓国映画「タクシー運転手」、スラップステック・コメディの傑作といえる日本映画「カメラを止めるな!」などです。

大嶋 まず、本紙でも紹介した、英国映画の「未来を花束にして」(監督・サラ・ガヴロン)からいきましょう。第一次世界大戦前の、女性参政権を求めた英国での闘いを描いた映画です。原題は、参政権運動活動家の通称であった「サフラジェット」で、個人的には、この名前で公開して欲しかったと思っています。

秋山 この映画では、彼女たちの参政権運動の過激さが印象に残ります。放火や電線の切断など、今なら「テロ」と決めつけられかねない手段も使っていますし、映画の最後では自分の命をも投げ出してしまうのですから。実際、彼女たちは当時の支配層から「テロリスト」とも呼ばれていました。
 彼女たちの闘いは見るものに共感を呼び起こしています。それは主人公が普通の女性労働者であり、彼女が力強く階級的、政治的に成長していく姿が描かれているからです。映画全体が、困難に立ち向かう勇気と確信を与えています。これがこの映画の最大の長所ですね。
 考えてみれば歴史的に、労働者階級・人民の闘いは決死のものですし、すべての権利は一つひとつ勝ち取ってきたものです。何も、女性参政権運動が特殊なわけではありません。昨年末、フランスの労働者・人民がマクロン政権に反対して立ち上がりましたが、この大衆闘争だって、ある意味で決死です。こうした闘いがあってこそ、歴史が動くことを再確認できます。

大嶋 勝手な意見かもしれませんが、多くの労働者や意識分子、とりわけ女性労働者に見て欲しい映画だと思いました。

秋山 次に取り上げたい映画は「デトロイト」(監督・キャスリン・ビグロー)です。この映画の特徴は一九六七年当時のデトロイト市での黒人「暴動」の現場のリアルな描写と「アルジェ・モーテル事件」(白人警官による黒人たちへの苛酷な拷問と黒人三人の少年の殺害)という歴史的な事実を徹底的に再現したところにあります。
 この映画を見れば、誰しもが今でも続く米国社会での黒人差別のすさまじさに圧倒されてしまいます。ビグロー監督が昔の事件を取り出して映画化した真の理由はこの黒人・人種差別と米国社会の病理を告発したかったからだと思われます。

大嶋 それは成功しているのですか?

秋山 三分の一は成功といえるでしょう。ただ、白人警官の人種差別主義や暴力は描かれていますが、当時の情勢全体が描かれていないのは致命的な欠点だと思います。

大嶋 もう少し説明してください。

秋山 当時は米国がベトナム戦争に直接介入した直後であるし、何よりも大事なのはマーティン・ルーサー・キングらを中心とし、平等と抑圧からの解放を求める公民権運動が大きく盛り上がろうとしていました。こうした背景が描かれていないことが一つ。
 もう一つはこんにち、米国は「人種戦争」と言われるほど社会は分裂し、「内乱的な様相」を時に露呈しています。それは支配層が、米国の衰退を背景に、米国の世界支配、覇権を取り戻すために「歴史の巻き返し」を図り、そのしわ寄せが最底辺の黒人や白人に押し付けられているからです。それが人種暴動になって顕在化している。こうした背景が描かれていないから「デトロイト」は中途半端なものに終わっています。従って、この映画を見た者には警察権力への憎しみをもたらしますが、「真の敵は誰か」が明らかにされておらず、闘いの展望と勇気を引き起こさないのではないでしょうか。

大嶋 「タクシー運転手—約束は海を越えて」(監督・チャン・フン)はどうでしたか?

秋山 この映画は三十七年前の一九八〇年五月に韓国・光州市で起こった反独裁民主化運動を独特な視点で活写したものです。韓国では大ヒットしました。
 自身も光州事件経験者である文在寅大統領は演説で、「文在寅政府は光州民主化運動の延長線上に立っています」「新政府は五・一八民主化運動とロウソク革命の精神を仰ぎ、この地の民主主義を完全に復元します」と高く評価しています。

大嶋 とりわけどこが面白かったのですか?

秋山 光州民主化運動という重い主題を外部から来たドイツ人記者と、何も知らない普通の労働者の目を通して描いているところですね。光州市民とかれらの交流が素晴らしい。心にしみます。
 大金が手に入るということからドイツ人の報道記者をタクシーに乗せて光州市に連れて行く少々ずるく、またちゃらんぽらんな運転手が主人公の劇映画です。つまり観客はかれらと共に労働者・市民とクーデターで軍の実権を簒奪(さんだつ)した全斗換指揮下の軍隊との激しい闘争が行われる光州市の現場にタイムスリップして、その様子をつぶさに体験することになる。光州市民は外部から来たかれらを温かく迎え、「もてなす」のです。市民との交流とかれらが「自己犠牲的に」闘っている姿に接してこのタクシー運転手の心も次第に変化し、市民との信頼と友情をはぐくんでいくのです。

大嶋 なるほど。韓国の労働者人民の苦難と闘争の歴史を想起すれば涙なくして見られないですね。

秋山 私は韓国人民の民主化闘争の成熟と前進を感じます。南北朝鮮の和解と統一、そして自主を唱え実践しようとしている文大統領が、光州民主化運動をこんにちの「ロウソク革命」の「原点」として高く評価するのもうなずけます。
 この映画はその一端を独特の視点で描いているといえます。

大嶋 私は、「沈黙ーサイレンスー」(監督・マーティン・スコセッシ)も興味深く見ました。二〇一六年の制作で、遠藤周作原作の江戸時代の「隠れキリシタン」への弾圧を描いた映画で、一九七一年にも篠田正浩監督により制作されています。
 封建社会の下、農民が抵抗する思想は宗教以外になかったわけで、「隠れキリシタン」の不屈さと悲劇が描かれています。

秋山 印象に残ったのは長崎県五島列島の農漁民の貧困と苦難、闘い、そして海と空の青さです。それに、長崎奉行役を演じたイッセー尾形の演技は実にすごいですね。戦前の特高警察が「主義者」たちを転向に追い込んだ姿を想起させます。
 もっとも、私は「負けて終わる」映画はあまり好きではありませんが。

大嶋 私の趣味になりますが、「沈黙」はオペラ化もされています(作曲・松村禎三)。原作にはない「オハル」という女性が追加されていて、弾圧の過程で精神に異常を来してしまうなど、より悲劇性を強調した作品になっています。
 反戦映画という点では、「STAR SANDー星砂物語ー」(監督・ロジャー・パルバース)はどうでしょう。二〇一七年の作品です。戦闘シーンはまったくないのですが、沖縄の離島で、日本と米国の両脱走兵、さらにハーフの少女が出会う話です。結末は悲劇ですが。

秋山 人気女優の吉岡里帆が出ている映画ですね。彼女は現代で、離島で起こった過去の事実を追跡していく役です。戦前・戦中・さらに戦後に何が起きたのか、若い人たちが探求していくことの重要性には賛成です。むろん、年長者には事実をしっかり伝える義務があるわけですが。
 ただ、戦争を拒否した日米の兵士は、脱走以外に抵抗の手段がないのかどうか。厳しいかもしれませんが、指摘しておきたい点です。

大嶋 登場シーンはわずかですが、空襲で娘を失って離島に帰ってきた女性を演じた、寺島しのぶの演技は抜きん出た存在感を示していました。余談ですが、吉岡里帆はあくまで「テレビドラマ向けの女優」だと思いましたけどね(笑)。

秋山 「カメラを止めるな!」(監督・上田慎一郎)は面白かったですね。現代日本にもこんな素晴らしい映画を作る人たちがいるとはびっくりです。上田監督はじめ制作人に感謝と連帯のエールを送ります。
 ストーリは実にたわいのないものです。ゾンビ映画をつくりに山奥に来たチームが廃屋で撮影をしている最中に本物のゾンビがあらわれてかれらを襲撃する。ゾンビにやられた人たちもゾンビ化して暴れ回る。映画監督はカメラを回して取り続けることを命じる。最後は生き残ったただ一人の女性がゾンビをやっつけて空を見上げる。
 はじめは「なんかドタバタで退屈だな」と見ていましたが、途中からがぜん面白くなりました。映画館の観客の中からも笑いが起こります。最後は拍手喝采です。
 何故か分かりませんが、とても元気になる映画です。上田監督は「無知で無名で無謀、それが掛け算されると無敵になるのだ」と言っています。この言葉の中にこの映画の面白さ、すばらしさの秘密が隠されていると思います。
 何事も(たとえ、それが一見ナンセンスなものに見えても)真剣に、徹底的にやることが共感と支持を呼び起こし、ひいては活路を切り開くのではないでしょうか!

大嶋 秋山同志は、日頃から「ハチャメチャな映画が好き」とおっしゃっていますね(笑)。

激動の情勢を理解する上で参考に

大嶋 情勢の話題に移ります。昨年末、わが党は、中央と各地で時局演説会「資本主義は末期、迫る破局 いかに闘うべきか〜ロシア革命百一周年記念」を開催しました。
 中央での大隈鉄二議長の講演は、すでにブックレットとして出版されました。近いうちに新春講演会も控えています。党の見解、とくに政治闘争についてはそこでの内容を聞いていただくことを前提に、ざっくばらんにお話しいただきたい。

秋山 はい。世界経済は、リーマン・ショック以降の危機を脱するどころか、低成長はいちだんと顕著で、末期症状を呈しています。すでに資本主義はアフリカ大陸にまで浸透し、新規に開拓で来る「新しい市場」はもはやありません。この間のわずかな経済成長は、官民の債務の拡大によって辛うじて支えられたものです。これが、次の金融危機を準備する大きな要因です。また、急速な技術革新が、危機を加速させています。
 衰退を早める米国は台頭する中国を蹴(け)落とそうと、「貿易戦争」だけでなく、安全保障を含めて攻勢を強めています。そうした全体情勢の下で、初の米朝首脳会談や南北首脳会談、米国による中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱検討、ファーウェイ(華為技術)問題に代表される技術優位をめぐる米中間の争奪戦、さらに欧州政治の不安定さとフランスでの大衆闘争の激化など、次から次へと、世界はまさに激動です。
 お話しがあった時局演説会は、われわれ労働党にとっては政治的に、また党建設上でも画期的な意義を持つ闘いと評価できると思います。
 概括的に言えば、激変する世界、諸勢力間で生き残るための争奪の闘いが激化する世界で、党が世界情勢の認識や闘いの方向について鮮明な旗を掲げて争い、党内外に思想政治的に確信あるいは影響を与えたことです。
 時局演説会での大隈議長講演は、「緊迫する最近の情勢」「情勢把握の観点と具体的な論点について」「情勢の展望と課題、闘い」「力が必要である」、それに必要な資料から構成されています。詳しくは緊急出版された時局講演会での大隈議長講演のブックレットをぜひ読んでいただきたい。
 議長講演は、全体として、資本主義の危機が深刻化し、内外で階級闘争・政治闘争が激化するこんにちの世界を、「歴史的、本質的な観点」で分析し、情勢全体の展望と闘いの方向を生き生きと提起しています。敵は困り騒然としていること、破局は不可避であることが活写されており、われわれにとって現在の世界はまさに「夜明け前」です。胸躍るような情勢です。
 急テンポで進む技術革新についても、日経フォーラム「世界経営者会議」の発言、トヨタとソフトバンクとの提携のいきさつとその意味するものなど興味深い。さらに「技術革新の論点と現在」では米中間の技術革新をめぐる争奪の争いを絡めて詳しく党の見解を説明しております。議長は旧ソ連のマルクス経済学者ヴァルガの「技術革新は決して資本主義の延命に役立たない、むしろ資本主義の寿命を縮める」という論断を紹介し、賛意を示しております。
 日本の現状と課題も日本で闘うわれわれにとっては重要な指針になる考え方を提示しています。「米国と対中国で運命を共にする」安倍政権の暴露、自民党の石破元幹事長の発言、共産党と公明党に対する批判、日本の政局全体に対する評価などです。
 議長講演の最後は「世界史の転換点に立って、激動の真っただ中を突っ走れる、そして勝利を勝ち取れる革命党、自主・平和・民主のための広範な国民連合、そのような壮大な夢、その力を共につくりませんか」という呼びかけています。
 党第十五回中央委員会総会後から取り組まれた情勢把握のための全党的な学習運動を踏まえて、中央を先頭に関東三県は結束して、時局講演会の成功をめざして取り組みました。党が旗を掲げて外に打って出て思想政治的に争ったことは党に確信と活気をもたらし、九州や近畿にも波及したのです。党の原点に立ち戻り、政治路線と県の戦略の具体化を進めて党建設で成果を上げる意識的な闘い、その第一歩を切り開いたといえるのではないでしょうか。

大嶋 おっしゃったように、大隈議長の講演では、世界経済が「先食い」に陥っていることに言及がありました。これを理解する上で、「債務、さもなくば悪魔」(アデア・ターナー著、日経BP社)は個人的に役立ちました。一六年の本で、債務(DEBT)と悪魔(DEVIL)をかけているわけですね。
 著者は英金融サービス機構(FSA)の元長官で、リーマン・ショック後の英金融危機の対処にあたった人物です。彼は、官民の債務が拡大するに至った経過を述べ、対処策を探っています。債務の拡大が近年に限ったことではないこと、程度の差はあれ、世界経済は債務の拡大による「成長」とその破裂を繰り返してきたことが分かります。むろん、現在の債務水準は史上空前の規模になっているのですが。
 著者の結論というか、提案する危機打開策は、マネタリーファイナンス(中央銀行による直接の国債引き受け)による危機打開です。

秋山 何だか、月並みな結論のように思えますが。

大嶋 はい。それだけ世界の帝国主義者・支配層には危機脱出の方法がないということなのでしょう。
 著者は日本について、「問題なのは、マネタリーファイナンスが実施されるかどうかではない。こうした現実が公に認められるかどうか、それはいつなのかが問題なのだ」と指摘しています。

秋山 その指摘は、日本を取り巻く外部環境と日本の課題を理解する上で重要なポイントの一つですね。
 ジャック・アタリの「新世界秩序」(作品社)は読みましたか? 彼は歴史学者で、「金融危機後の世界」(〇九年、作品社)、「国家債務危機」(一一年、同)など、世界情勢の推移について鋭い分析と提起を行ってきた人物です。現在追い詰められているマクロン政権のブレーンでもあります。
 私は期待して読んだのですが、期待外れでした。

大嶋 同感です。古代以降の歴史を概観し、国家の力が「都市の力」に規定されていること、さらに「覇者の交代」「中心の移動」について叙述しているのは、歴史好きの人間としては興味深かったですが。米国が衰退し中国が台頭する世界が、一極支配が可能な国家が存在しないという意味で「カオス(混沌)」であるというのも一面の事実でしょう。 そこで彼は、世界の将来像を展望しようとして、金融危機や人口増加、地域紛争、環境破壊、さらに小天体の衝突の可能性など、実に多方面のことを検討しています。
 それはよいのですが、めざすべき世界の秩序として、「世界連邦」というSFまがいの結論に行き着いています。欧州の人ですから、欧州連合(EU)をはじめ普遍的な機構を願う心理は理解できます。ですが、各国内で階級矛盾が激化し、米中間をはじめ国家間対立も激化する世界の現実の前では、夢想以上ではないですね。また、急速に進む技術革新についてほとんど言及がないのは不思議でさえあります。

秋山 本当に、帝国主義者には打開策がなくなってきているということですね。

大嶋 そのようななか、トランプ米政権は「米国第一」を掲げ、世界支配のための巻き返し策を強力に推し進めています。昨年、秋山同志は「トランプ政権は他国に負担を押し付け、乗り切りを図るでしょう。それは、世界経済のリスクを拡大させます」と述べていますが、その通りですね。

秋山 そのような情勢です。だからこそ、米帝国主義の悪らつさについての暴露を、もっともっと強調する必要があると思うのです。
 昨年も紹介したのですが、「アメリカ 暴力の世紀ーー第二次大戦以降の戦争とテロ」(ジョン・W・ダワー著、岩波書店)は、とても参考になります。
 米国が世界支配を維持するために、テロや謀略、軍事行動を駆使してきたこと、海外約八百カ所に軍事基地を維持し、米国の利益に反する政治家や経済人へのテロ・暗殺などを行っていることが暴露されています。
 戦後七十年以上に及ぶ「パクス・アメリカーナ」は、実質上、「平和の破壊」をもたらす暴力の歴史でした。米国は「反テロ」を掲げていますが、自らの歴史と現在を振り返れば「天に唾する」とはこのことです。

大嶋 エドワード・ルトワック戦略国際問題研究所(CSIS)シニアアドバイザーによる「中国4・0」「日本4・0」(いずれも文春新書)も興味深かったです。

秋山 「労働新聞」でも紹介していましたね。ルトワックの言い分は、昨年十月のペンス演説と同じです。彼は「米中対立は中国共産党政権が崩壊するまで続く」と、中国の中長期的な「体制転覆」まで公言しています。
 米国による対日世論工作に対する暴露は欠かせませんね。

大嶋 米国を暴露する上では、少し古いですが「ショック・ドクトリン」(ナオミ・クライン著、岩波書店)も面白く読みました。
 「ショック・ドクトリン」とは「惨事便乗型資本主義」と言われるものです。

秋山 インドネシアのスマトラ島沖地震(〇四年)から「復興」に便乗して、大規模な規制緩和や巨大資本の導入が進み、人民生活が悪化させられました。日本でも、東日本大震災からの「復興」を口実に、漁業特区など規制緩和が大きく進みました。そういった内容ですか?

大嶋 そうした天災に乗じた資本の策動だけではありません。軍事クーデターや国家のデフォルト(債務不履行)といったショッキングな事態を悪用して、まさにドサクサ紛れに、米国や多国籍大企業は自らの階級的利害を貫徹しようとします。シカゴ学派の故フリードマンが、その代表的イデオローグでした。

秋山 具体例としては、どのようなことが挙げられているのですか?

大嶋 チリのピノチェト政権をはじめ、中南米諸国での軍事クーデターと人民虐殺、南アフリカの黒人政権による自由化政策、冷戦崩壊後のロシアでの資本主義化などです。
 米帝国主義はこれらの事件や政変の影で糸を引き、多国籍大企業の利益のための政治を推進させました。米国は、苦痛を与え続けられた際の人間心理の変化など、ありとあらゆる研究を行い、その「成果」を応用することで、思うままの政策を貫徹させたことが暴露されています。

秋山 米帝国主義の悪どさには吐き気がします。
 昨年も話題にした、技術革新の問題ではどうですか? 昨年末、いく人かの労組幹部と話して気付いたのですが、人工知能(AI)などの劇的な技術革新に対する対応は、労働組合でも初歩的ながら始まっています。
 この問題を考えるには、その影響を短期と中長期に分けることです。技術革新そのものは人類に幸福をもたらす可能性を含むものですが、資本主義の下では、技術やその成果が一握りの資本家の手に握られています。
 短期的には、労働者は合理化などで職を失いますし、賃金も引き下げられるでしょう。しかし中長期的には、資本主義の基礎を掘り崩す方向に働きます。それは、工場などの資産をほとんど持たずにもっぱら知的財産で勝負し、ばく大な利益をあげている、米国の巨大IT(情報技術)企業の姿に、初歩的にあらわれていると思います。

大嶋 「ホモ・デウス」(ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社)は興味深いものでした。著者は、人類は飢饉、疫病、戦争という「最悪の敵」を葬り去り、老化と死の克服、つまり「神性の獲得」に向かっていると述べています。
 こうした著者の見解には賛成できませんが、彼は人類(ホモ・サピエンス)が「神」にアップグレードした「ホモ・デウス」となれるのは少数の特権エリートだけで、大半の人たちは「無用者階級」「劣等カースト」に転落すると指摘しています。二十一世紀経済の最も重要な課題は、膨大な数の「余剰人員」をどうするかという問題だとも述べています。著者によれば、「無用者階級」は失業しているだけではなく、社会自身が「雇用不能」になるとも言っています。
 大隈議長は時局講演会で、資本主義の下での技術革新は「ゾッとする時代」をもたらすと述べていますが、まさにその通りです。秋山同志が言うように、ごく小数の資本家の手に技術が独占される限り、人類に幸福は訪れません。しかも「雇用不能」な社会とは、まさに資本主義の末期症状を示すものだと思います。

秋山 その本は、ある産別役員から紹介されました。近々、読んでみるつもりです。

国際情勢について何点か

大嶋 本の紹介のところで、国際情勢の特徴については少し話していただきました。
 情勢を見通す上で基礎となる経済について、付け足すべきことはありますか?

秋山 世界経済の成長鈍化と、そのわずかな成長さえ、官民による債務の拡大によって辛うじてささえられていることは述べました。付け加えれば、低金利による経済下支えもあります。
 リーマン・ショック後、先進諸国の中央銀行はいっせいに「ゼロ金利」政策を採り、さらに量的緩和政策による国債購入の拡大などで、長期金利を押し下げました。欧州中央銀行(ECB)や日銀は、マイナス金利まで導入しました。

大嶋 ここ数年、米国を先頭に利上げが進み、ECBも量的緩和を終了して今年後半には利上げを行うとしています。経済学者やアナリストなどは、これを「金融正常化」と述べていますが、どうでしょうね。

秋山 大隈議長が演説会で指摘しましたが、一九八〇年前後には米国の政策金利は二〇%以上ありました。以降、多少の上下動はありますが、世界の金利はほぼ一貫して下がっています。投資家などは米国の長期金利が三%を超えたと騒いでいますが、本来、この程度で「正常化」などと言えるはずがありません。
 世界経済は、低金利というカンフル剤を打ち続けざるを得ない状況に変化はないと思います。
 この結果、米国をはじめ、世界で社債、コマーシャルペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)などの金融商品、いわゆる各種の「札まがい」は増え続けています。むろん、中央銀行の発行する紙幣も著しく増えています。これらは、投機と経済の不安定化を激化させています。

大嶋 別の面から見ると、低金利が慢性化したからこそ金融商品が「発達」し、そこに膨大な資金が流れ込んで、言うところの「金融肥大化」に進んだとも言えます。
 結果は、「一%対九九%」(実際は一%よりも小さいが)と言われるほどに「格差」が広がり、世界の労働者・人民は貧困に突き落とされています。
 資本主義は、そのような手段を使って全世界への収奪を強化することで生き残ってきたともいえます。

秋山 そうですね。こうした中長期の歴史のすう勢を見ないと情勢に対する認識を誤りかねないので、これからも注意したいポイントです。

大嶋 国際関係では、昨年は米中関係が非常に厳しくなりました。

秋山 そうですね。わが党は一九九五年、米国が「東アジア戦略」(ナイ・レポート)を策定した直後から、米国が冷戦崩壊後の世界支配を維持するために、中国へのけん制と対抗を強めようとしていることを暴露してきました。
 この点で、わが党の見解は先見性と一貫性があり、正しいものだったと思います。

大嶋 米中間の対立について、マスコミは「どっちもどっち」「トランプ政権も困ったものだが、習近平政権も悪い」という論調が支配的です。ともすると、闘う勢力もそれに乗せられている。ペンス副大統領は「中国は米国の民主主義に干渉している」などと、事実上の「宣戦布告」といえる演説を行いました。米国は自らの世界支配の維持のため、死活をかけて中国の追い落としを謀っているわけです。
 ファーウェイに対する措置などは、技術覇権を維持しようとする米国の意思を感じます。そもそも、米国は「エシュロン」(通信傍受システム)など世界中でスパイ活動を行い、気に入らない政権の転覆を繰り返してきました。かれらに、中国の通信機器による「情報抜き取り」を非難する資格などありません。また、中国がそのようなことを行っている証拠もありません。
 南シナ海問題にしても、岩礁埋め立てなどを行っているのは中国だけではありません。また、中国は今のところ、「航行の自由」を妨げてもいません。中国だけが非難されるいわれはないのです。
 米中対立において、「中立」的な態度を取ることは許されませんね。

秋山 ペンス演説との関連ですが、米国は日本の軍備増強、とくに米国からの武器購入拡大を求めています。中国の「一帯一路構想」に対抗した日米による「インフラ整備基金」も進んでいます。先に紹介したルトワックは、日米「合同統合任務部隊」の創設、米軍と自衛隊基地の共同運用、日本の国内総生産(GDP)一%以上の防衛費支出などを提言しており、安倍政権は大筋でその方向を取っています。
 年末に策定した新たな「防衛計画大綱」「中期防衛力整備計画」は、そのためのものです。日本は文字通り、軍事的にも米国の対中戦略の矢面に立たされています。
 私たちは、米中間の対立は激化し、向こう三年〜五年以内の武力衝突さえあり得ると考えています。多くの皆さんは驚くかもしれませんが、世界、アジアの危機と争奪の現状はそこまで来ています。
 もし、その間に対立を「しのぐ」ことができれば、米中間の対抗関係は数十年単位の長期に及ぶものとなるでしょう。

大嶋 わが国にとっては、国の独立と平和の問題が正面から問われる事態ですね。

秋山 日本共産党に典型ですが、近年、「左」の勢力の中では、米国に対する批判が弱まっているように思います。米帝国主義による巻きかえし策の危険性は、それに追随する安倍政権と闘う上でも、ぜひとも踏まえておきたい事実です。
 先ほど紹介した書籍は、参考になると思いますよ。
 文政権など、アジアで自主性を強める政権や人民との連帯も、重要な課題になっていると思いますね。

大嶋 もう一つ、フランスの大衆行動に代表される、人民の闘いについてはどうでしょう。

秋山 フランスの闘いはマクロン政権を追い詰め、譲歩を勝ち取り、さらに継続されています。
 この闘いは燃料税の大幅引き上げを契機に始まり、緊縮財政をはじめとする改革政治全体に対する闘いです。その意義は、フランス一国にとどまるものではないと思います。
 背景には、すでに述べた世界資本主義の末期症状があるからです。その下で国民諸階層の生活の悪化が進んでいます。
 リーマン・ショック後の欧州では、ソブリン(国家債務)危機が発生し、人民に多大な犠牲が押し付けられました。これへの怒りと不満を背景に、議会制度の枠内ではあれ、各国で政権交代が続きました。既存の議会政党は信頼を失い、「左」右のいわゆる「ポピュリズム勢力」が台頭しました。その一部は、政権を担うまでになっています。

大嶋 マクロン政権の登場で「ポピュリズムの前進が食い止められた」と喜んだ欧州支配層にとっては「希望の星」だったですよね。

秋山 はい。しかしその政権が、議会制度の枠内の力関係の変化にとどまらず、労働者・人民の実力闘争に直面しているわけです。フランスは歴史的に、階級闘争が激烈に闘われてきた歴史を持つ国です。それにしても欧州の階級情勢は、選挙で「ポピュリズム勢力」が台頭した時期とは異なる、新しい局面に入りつつあると評価できると思いますね。

大嶋 ただ、フランスで労働運動が主導権を握っているようには思えませんし、革命党の姿も見えません。

秋山 それこそが、根本的打開の道を阻んでいます。
 マクロン政権は、あの手この手で運動の分断をたくらみ、実際、デモの動員数は減っていると報じられています。フランス労働者の闘いはこれからが正念場で、労働運動を基礎にマルクス・レーニン主義の革命政党を育て、鍛え、政権をめざせるかどうかが決定的に重要です。
 こんにちのフランス、欧州の事態は、「明日の日本」です。日本の労働者階級にとっても、革命政党を育てる歴史的任務に直面する時代だということでしょう。
日本の状況と安倍政権

大嶋 激動の情勢ですから、国際情勢だけでも話題は尽きないのですが、この辺で、国内情勢に移りたいと思います。話題に入る前に、日本を取り巻く環境について整理しておきましょうか。

秋山 大隈議長の時局講演会で、適切にまとめられています。
 先進国中で最低水準の経済成長率が続いていること、大企業に奉仕してきた結果、政府財務残高の対GDP比が最悪であること、労働者の実質賃金も諸国に例がないほど下がり続けていること、技術革新面でも立ち後れていることなどです。付け加えれば、市場も資源も世界に依存しています。

大嶋 政府債務の問題については書籍のところで述べました。個人的には、学術論文数でインドの後塵を拝するほどになっているという事実には、少し驚きました。

秋山 こうした課題の上に、トランプ政権が「米国第一」を掲げていることがあります。さらに、その米国による対中国政策に追随する安倍首相が政権を担っています。
 安倍首相は習近平国家主席との首脳会談で「関係改善」をアピールし、対ロシア外交でも北方領土問題が前進するかのように演出しています。しかし、これらは欺まんです。

大嶋 それでも、安倍政権が対米追随一辺倒ではなく、ある種の「自主性」を見せているという側面もありますよね。秋の所信表明演説では「戦後外交の総決算」とまで言いましたし、軍備増強も「米国の要求」だけでは説明できません。先に紹介されたブックレットの資料になっていますが、石破元幹事長も、日中平和友好条約四十周年を記念した「東京・北京フォーラム」で、日米安保条約の「限界」や日本の核武装に言及しています。

秋山 そうです。わが党は結党以来、政治路線において、「わが国支配層もまた、国の独立を必要としている」ことを認めています。それは、世界に権益を持つようになった、わが国多国籍大企業の要求でもあります。
 安倍政権は衰退する米国を横目に見ながら、外交の幅を広げたいと思っているのでしょう。とくに昨年後半の対中・対ロ外交は、そのあらわれだと思います。
 対米従属で中国への対抗を強め、米国製戦闘機を購入し、護衛艦を空母に改装しようとしている安倍政権、「一帯一路に協力する」といいつつ「質の高いインフラ」と言って対抗する安倍政権を、中国が本気で信用するはずはありません。
 ロシアにしても、返還後の北方領土が米軍によって使われれば、オホーツク海から太平洋に出る要衝を押さえられてしまう。とても応じられないでしょう。
 対米従属の安倍政権がさまざまに策動したとしても、対中関係の本格的打開や領土問題の解決は不可能です。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)との首脳会談や国交正常化も困難でしょう。
 それでも、世論調査の結果を見れば分かりますが、安倍政権の対中・対ロ外交には六割以上の国民が「支持」を寄せています。歴代売国政権は、沖縄「返還」(実態的には沖縄へ米軍の占領下にあるにもかかわらず)などの「成果」を打ち出すことで広範な国民をダマして支持を集め、政権を維持してきました。
 ですから、安倍政権の対米従属性を厳しく批判することにとどまらず、対中・対ロなどでの欺まん的外交、「ニセの独立」を暴露して闘うことが、非常に重要になっていると思います。安倍政権が憲法第九条の改悪を日程に上らせるなか、その重要性は増しています。
 この暴露は、わが党が率先して行わなければなりません。さらに、労働者階級が農漁民、商工業者など幅広い国民各層と連携して統一戦線を構築し、独立の旗を高く掲げて主導権を取って多国籍大企業のための対米従属政治を打ち破り、国民大多数のための政権を樹立して独立を実現することです。
 この道を進まない限り、わが国支配層が民族的な課題を掲げ国民各層をひきつけ、欺まん的ではあれ「独立」を実現することもあり得るからです。

党の闘い、党派闘争

大嶋 時局演説会の意義については、すでに触れていただきました。
 昨一年を通して、わが党の経験についてはどうでしょうか。

秋山 都道府県での党建設に向けた県責任者の決意については、「党生活」欄(6〜7面)で述べられていると思います。
 いずれにしても、時局演説会を通して、わが党組織は活気を増したことは間違いないと思います。
 演説会は中央での取り組みが先行したわけですが、党の催しに数年ぶりに参加した同志も幾人かいました。党の旗を公然と掲げた集会ですから、労働組合の中央役員が参加するには困難さもあるのですが、それでも、何人かの幹部が参加しています。他党派の人も数人ですが参加しました。
 情勢が激動するなか、労働党が革命政党として旗を掲げたことで、いくらかの注目を集めたことは間違いないと思います。
 私も労働組合の現場で党の見解を広めようと、いくつかの産別に入りました。「最近の労働組合幹部は階級教育を受けていないな」と思うことがある半面、「現場は闘いを望んでいる」ということを確信させられることも多々ありました。詳しく述べられないのは残念ですが…。
 一連の取り組みを通して激励されたのでしょうか、ある地方の労働者党員から「中央に呼応して演説会を行うべきだ」という声も上がったと聞いています。県指導部の確信の高まりを背景に現場の同志が地方選挙への立候補を決意するという状況も出ています。
 総じて、全国の現場で闘う同志の皆さんは、本当にがんばっていると思います。
 学ぶべき経験は多数あるわけで、これらを促し、党建設に結びつけられるよう、県党組織を援助・指導できる中央の役割がますます重要だと思います。

大嶋 さて、二〇一九年は統一地方選挙、さらに参議院選挙があります。議会内野党はこれに集中しています。

秋山 選挙で安倍政権に厳しい審判を下さなければならないことは当然です。
 率直に言って、政治の主導性は依然として安倍政権、自民党にあるのではないでしょうか。世論調査の結果を見ても、野党は劣勢だと思います。ですから、少しばかりの議席の増減で右往左往するのはやめるべきではないでしょうか。仮に、共産党の議席数が二倍になったところで、国会での質問時間が少し長くなる程度で、安倍政権は倒れません。
 議会政党や労働組合の皆さんに「選挙をやめろ」とは言いません。しかし、歴史を真に動かし、支配層に譲歩を強いるのが大衆自身の行動であることは、昨年末のフランスの事態を見ても明らかです。改めて、国民運動を重視してこそ選挙でも前進できると、呼びかけたいと思います。国民運動と結びついて闘ってこそ選挙でも勝利の可能性が出てくるのではないでしょうか。

大嶋 共産党の話が出ましたが、政党への評価はどうですか。
秋山 与党の一角にある公明党の果たしている役割は、きわめて犯罪的だと思います。憲法問題、最近では消費税再増税時の対策などで「独自性」を発揮しようとしていますが、いろいろ言っても与党の立場を捨てることはありません。自民党が公明党の要求に応えないのであれば、連立政権から離脱すればよいのにそうせず、それを「政治の安定」などと言ってゴマかしている。そもそも、公明党の支持なしに、自民党は選挙で勝ち抜けないのです。
 「野党共闘」を叫ぶ共産党は、帝国主義と売国政権と闘う上での内部の第一の敵です。

大嶋 なぜそう言うのですか? もう少し展開して下さい。

秋山 共産党は、口では「安倍政権は米国いいなり」などと批判していますが、米帝国主義への暴露・批判はほとんどありません。米国による中国敵視政策への批判もほとんどありません。オバマ前政権時代には、その核政策を賞賛さえしたのは、知られている通りです。むしろ共産党は、中国を核問題で「新たな覇権主義」などと非難しています。中国を批判しないと政権に近づけないと思っているのでしょうかね。
 ですが、かれらの犯罪性はこれにとどまりません。世界の危機は深刻化し、支配層は騒然となって緊迫感を強め、人民に襲いかかっています。労働者階級が実力を背景に、政治に登場することが本格的に問われる時代へと突入しています。
 こうした時代であるにもかかわらず、共産党はますます「議会の道」にのめり込み、闘いの方向をねじ曲げようとしています。その犯罪性は、いよいよ顕著になっていると思いますね。

大嶋 少し付け加えると、共産党をはじめ、多くの労働組合も、最近は国際情勢に言及することがほとんどなくなっています。
 これでは、労働者階級を教育することなど到底できません。自らが「どのような時代、世界に生きているのか」を語る必要があると思います。政治変革をめざす政党にとっては、義務といってもよいはずです。
 その任務を放棄している共産党は、きわめて無責任だと思います。

秋山 その通りですね。

2019年、今年の闘い

大嶋 まさに激動といえる情勢下、闘うべき課題はどうでしょうか。

秋山 米帝国主義を暴露することに、ますます力を入れたいと思います。「労働新聞」の貢献にも期待しています。

大嶋 例年にも増して、身の引き締まる思いです。

秋山 併せて、安倍政権への暴露と闘争を強めることです。
 ますます悪化する国民生活の実態に近づき、大幅賃上げ、リストラ反対、消費税増税反対、水道民営化などの規制緩和反対などを掲げて闘いたい。政策的には、もっと煮詰めることが必要で、今、検討を進めている最中ですが。
 国の進路の課題では、米戦略に追随した中国包囲網づくり、政治軍事大国化に反対です。全国の米軍基地の撤去、沖縄県名護市辺野古への新基地建設反対、日米地位協定の抜本改定、朝鮮との即時・無条件の国交正常化、憲法第九条の改悪反対などの課題に取り組みたい。
 そのためには、まず、敵のイデオロギー攻撃と政治思想面での党派闘争に勝利することです。
 また、統一地方選挙では、一握りの地域支配層の政治を暴露して、全国で闘いたい。

大嶋 党建設はどう進めますか。

秋山 イデオロギー面での党派闘争が激化するわけで、事態に立ち後れないように日夜学習や政治議論を積み上げていくこと、昨年の時局講演会のように党の旗を振って闘うことが前提です。その上でー
 第六回党大会の決定を堅持し、各都道府県での県政奪取を戦略目標とする建党路線を徹底させることが前提です。各県党が確固として組織建設にまい進できるよう、指導と支援を強めたいと思います。
 そのためには、中央や県党が、人びとの暮らしや政治意識にもっと敏感にならなければなりません。時局演説会の経験からも、現場に入ることも重要です。
 何より、具体的に入党オルグを進め、党員を増やすことです。「力が必要」だからです。

大嶋 中央機関の一員として、団結してがんばる決意です。本日は、ありがとうございました。


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