2018年11月25日号 1面
特区連・東京清掃
前例なき賃下げの
実質撤回勝ち取る
実力闘争構えてこそ勝利できる
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一時間のストライキを構えて特別区長会との交渉に臨んでいた東京清掃労働組合と特別区職員労働組合連合会(特区連)は十一月二十二日、かつてない賃下げ攻撃を事実上、跳ね返した。
特区連、東京清掃は、人事委への抗議集会、区長会に対する闘いを推し進めてきた。東京地方公務員関係労働組合連合会(東京地公労)や東京都労働組合連合会(都労連)もストライキを設定して闘った。
とくに清掃事業は二〇〇〇年に東京都から区へと移管され、職員の不補充と非正規化、民間委託が強行されている。現場労働者が不満を高め、闘いを望んだのは当然である。
現在、全国の都道府県、政令指定都市などの自治体で人事委による勧告が行われ、一八秋季確定闘争がヤマ場を迎えている。
東京での勝利は、公務労働者のみならず、全国の労働者・労働組合を激励するものである。
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東京都特別区人事委員会は十月十日、一般職月給を平均九千六百七十一円も引き下げるマイナス勧告を出した。年収ベースで平均十二万三千円、年三十万円近くも減る職員もいる。給与を基礎に計算される退職金や年金も減額される。
まさに、史上最悪というべき大幅な賃金切り下げ攻撃である。東京都人事委も、例月給を三年連続据置きなどの勧告を行った。
都人事委、特別区人事委は不当勧告の口実として、「公民較差」やラスパイレス指数(国家・地方公務員の較差)などをあげた。これらは、地方公務員の生活実態にそぐわないデタラメなものである。
少なくても名目ベースでは、いわゆる「人手不足」業界を中心に、わずかだが賃金引き上げが進んでいる。都人事委、特別区人事委の策動は突出した「低額回答ありき」のものである。制約された労働基本権の「代替策」とされる人事委制度が中立・公正なものではないことが示された。
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これは、東京都だけの問題ではない。
安倍政権、総務省は「自治体戦略二〇四〇構想研究会」を発足させ、「従来の半分の職員でも自治体が機能を発揮」(第二次報告)などと、人工知能(AI)などを利用した「スマートな自治体」化、公務員労働者への大リストラを準備している。小池・東京都知事も、東京を金融都市へと改造することを狙って「二〇二〇改革プラン」を作成、能力・業績主義のいちだんの導入をもくろんでいる。
バブル崩壊後、大企業は多国籍化を進め、コストダウンのために労働者への首切りと賃下げ、非正規化を進めてきた。政府に迫って、企業法制なども次々と改悪させた。多国籍大企業が望むのは、「小さな政府・自治体」である。
こんにち、世界経済の低成長と危機の深まり、国際競争が激化する下で、わが国多国籍大企業はますます、自らの競争力の維持・強化をもくろんでいる。
これを実現するため、労働者への賃下げにとどまらず、労働運動の解体をもくろんでいるのである。
これは、全国で労働者・国民諸階層の生活が悪化して政治への不満が高まるなか、闘いの発展を阻止するもくろみもある。公務員に対する人件費削減攻撃で公民の分断を図ろうとしているのである。これは、財界、支配層、手先であるマスコミなどの常套(じょうとう)手段である。
東京における公務員労働者への攻撃は、その突破口なのである。
公務員への攻撃を許すことは、いずれ民間労働者、全労働者への賃下げ、労働条件悪化となり、さらには地域経済の疲弊へとつながるのである。
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特別区長会は当面の賃下げ強行の断念に追い込まれたものの、「引き続き、慎重に検討を重ねてまいります」などと、将来的な賃下げを放棄していない。
闘いはこれからが正念場である。
国民各層には、既存の政治への怒りと不満が充満している。公務員労働者が民間労働者や地域を含む世論に訴えれば、広い支持と共感を獲得できる条件は拡大している。
労働者・労働組合は、政府・支配層・自治体当局による攻撃の背景を見抜き、ストライキを構えて闘わなければならない。 (O)
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