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2018年11月15日号 2面・解説

労働党時局演説会 
ロシア革命101周年記念

情勢に応える「力が必要である」

  日本労働党中央委員会主催による時局演説会「資本主義は末期、迫る破局 いかに闘うべきか ロシア革命一〇一周年記念」が十一月八日、東京で開かれた。「労働新聞」編集部の責任で概要を紹介する。なお、演説会の内容全体は別の機会に公表される予定である。

  演説会には、多数の支持者・友人、党員同志が参加した。
 司会は、党中央宣伝局の田中剛同志が行った。
 続いて、党中央委員会の大隈鉄二議長が講演した。
 大隈議長は、まず、六日に投票された、米国の中間選挙の結果に言及した。
 上下院が「ねじれ」となった中間選挙の結果について、大隈議長はトランプ政権には厳しい面があるとしつつ、中国の台頭を許さないという点では二大政党間に相違がなく、米中対立の構造は「強まりこそすれ弱まらない」と指摘した。
 次に、十一月初旬に行われた「第二十回日経フォーラム 世界経営者会議」を取り上げた。大隈議長は、スイス産業用機械大手・ABB(アセア・ブラウン・ボベリ)会長による「最も効率的で統制の取れた企業でも、ビジネスモデルが一夜にして覆されることもある」という発言を紹介、「敵の陣営は強い危機感の下で騒然となっている」と評価した。他方、労働組合や議会内野党には「緊張感がない」と断じた。
 次に、急速に進む技術革新に話題を移し、旧ソ連の経済学者である故ヴァルガの著作の一部を紹介しつつ、「技術革新は資本主義の延命させず矛盾をいっそう激化させ、それは労働者に転嫁される。問題は、技術革新が誰に用いられるかにある」と指摘した。
 大隈議長は「観点と具体的論点」に話題を移した。
 この冒頭、大隈議長は、中国に「宣戦布告」ともいえるほどに非難したペンス米副大統領らの発言を紹介。併せて、ボルカー元米連邦準備理事会(FRB)理事長が最新著作で「(五十歳代の人は)「少なくとも二回」、さらなる金融危機に遭うと警鐘を鳴らしていることを紹介した。
 大隈議長は、これらの事実を理解する上でも「より歴史的、本質的な観点」の重要性を指摘し、講演を進めた。
 まず、第一次世界大戦と第二次世界大戦を例に、さまざまなつながりの中で問題を見なければならないことを強調した。
 さらに、経済の分析から始める必要があることを力説、国内総生産(GDP)について述べた。
 大隈議長は、「新聞ではGDPが変動する理由についてはほとんど触れない」と指摘。「GDPは独立して存在すものではなく、いろいろな条件に左右される」とし、クルーグマン米プリンストン大学教授が、二〇〇一年の同時多発テロ後の再建は「成長に貢献した」という趣旨の発言をしていることを紹介した。さらに、巨大IT(情報技術)企業が台頭するなか、従来の方法ではGDPの計算さえできなくなっているという変化にも触れた。
 大隈議長はこれらを前提に、主要国における実質GDP成長率、長期金利、マネーストック、政府債務残高の対GDP比、消費者物価上昇率、為替レート、経常収支の対GDP比などの分析を進め、「これらの中に以降の問題を見る本質が含まれている」と喝破した。その結論の一つとして、世界経済のわずかな成長が、官民の債務拡大による「先食い」によって支えられていることを暴露、破局は必至であると断じた。
 大隈議長は、日本の現状の特徴として、マイナスを含む低成長、膨大な国家債務、低下し続ける実質賃金、技術革新に直結する学術論文数でも低迷しているなどの点を列挙した。また、資源も市場も世界に依存することが大きい現実の上、米国が「自国第一」であるという環境下にあることを念頭に、安倍政権は「対中国」で米国と運命を共にする道を選択していると批判した。
 当面する政局に関しては、来年の統一地方選挙と参議院選挙に関し、「政治の主導性は依然として安倍政権、あるいは自民党の側にある。野党は劣勢下にある」と断じた。
 そうしたなか、与党に居座る公明党を「犯罪的」を厳しく非難。さらに、全世界で帝国主義、あるいはわが国売国政権と闘う上で、日本共産党は「内部の第一の敵」と断じた。
 大隈議長は締めくくりとして、「力が必要である」と力説した。ただ、「宣伝の党にとどることなく、人びとと語り合い、夢を物質化できる組織者になりたい」と決意を表明。「激動の真っただ中を突っ走り、勝利を勝ち取れる革命党」と共に建設することを呼びかけた。
 激動の情勢下、参加者に確信を与え、奮起を促する演説会となった。 (O)


講演メモ

1、話し始め
・米中間選挙の結果ついて一言
・第20回日経フォーラム「世界経営者会議」の報道記事
 技術革新とマルクス主義(興味ある統計資料)、上記記事の比較

2、観点と具体的論点
・ペンス副大統領の発言とその衝撃、ボルカーによる警鐘等もあるが……。
(1)激動する世界を、より歴史的なより本質的な観点で
・第一次大戦、第二次大戦に勝利した、米帝国主義(ドル)が支配する戦後世界
・米国の衰退は著しく、戦後世界は「様変わり」。だが、最初に世界経済の論点と分析
・技術革新の論点と現在
(2)簡単なまとめ 注:若干の資料参照

3、情勢の展望と課題、闘い
 注:若干の資料参照
・資源も市場も世界に依存的大
・財政危機、競争力で衰え
・米国が「自国第一」であること
・その米国と「対中国」で運命を共にする安倍政権
・来る2019年は、4月統一地方選、7月参議院選
 だが、政治の主導性は依然として安倍政権あるいは自民党の側にあり、野党は劣勢下にある
・与党の公明党はまったく犯罪的である。野党戦線と労働運動内部での共産党は、まさに帝国主義とわが売国政権と闘う上での内部の第一の敵である

4、力が必要である
・わが党は、経済も政治も事実に基づいて、正確な展望をもって訴え続けたい
・ただ、宣伝の党にとどまらず、人びとと共に闘い、語り合って、夢を物質化できる組織者になりたい
・情勢はすでに観たように、内外ともに、敵側とその内部も騒然となっており、緊迫感がみなぎっている。むしろ闘う側に緊張感が足りないのでは……
・世界史、歴史の転換点に立って、激動の真っただ中を突っ走れる、そして勝利を勝ち取れる革命党、自主・平和・民主のための広範な国民連合、そのような壮大な夢、その力を共につくりませんか!

以上 (編集部の責任の下、若干の訂正を行った)!


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