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2015年2月15日号 2面〜3面

当面の課題と政策

(第11回中央委員会総会決議より抜粋)

 労働党は昨年末、第十一回中央委員会総会(十一中総)を開き、当面の情勢や課題、党建設などについて決議した。以下に、決議の「当面の課題と政策」の一部を掲載する。統一地方選挙が近づくなか、「地方創生」など安倍政権が進める悪政を暴露して闘う上で、参考になれば幸いである。(編集部)


1 安倍政権の「地方創生」政策に反対し、住民生活と地域(経済)の発展をめざす

 安倍・自公政権は「地方創生」と盛んに「期待」をあおり、統一地方選挙の争点に据えている。公明党は「人が生きる、地方創生」などとキャッチコピー化している。需要減退に苦しむ地方の企業家たち、保守層には、財政の「バラマキ」も含めて期待が高い。世論調査でも「期待する」が結構な割合となっている。
 出生率の低下・少子化は、現実である。それはドイツなど先進国にある程度共通した面もあるが、フランスやスウェーデンなどでは、政策措置である程度盛り返している実際もある。自然現象ではない。
 この問題は、争奪戦を強める金融独占体・支配階級からすると、利潤の根源である労働力が減少するという問題である。政治としては「軍事力」の問題でもあり、「国力」の問題である。
 安倍政権、支配層の「地方政策」は、「地方創生」政策だけではない。「国家戦略特区」もある。財界は、一貫して「道州制」を追求し、覇権的利潤追求のための「安上がりで強靭(きょうじん)な国家」を求めている。その財界の要求の実質は、戦略特区でも、地方創生でも貫かれている。
 地方創生も、「岩盤規制の突破口」という国家戦略特区も、資本効率の良い社会をめざすものである。すなわち安倍首相がいう「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざすものである。

(1)地方衰退・人口減少の根本原因は何か
 「地方衰退・人口減少」の理由は明瞭である。
 第二次世界大戦後すぐ米軍の占領下から始まった、財界中心の対米従属政治の結果ーー

(1)余剰農産物のはけ口を求める米国穀物メジャー要求にそって、また、わが国輸出産業大企業が対米輸出と農村から低賃金労働者を獲得するために、米国の余剰農産物の輸入が始まった(一九五四年のMSA協定)。こうして政府が五〇年代から進めた市場開放政策の結果、地方経済と雇用の中心であった農業も、林業も、水産業も崩壊させられた。
 九〇年前後には、基幹農作物であるコメと畜産物などの自由化が進められ、さらにいま、環太平洋経済連携協定(TPP)締結で、わずかに残された農産物分野も完全に崩壊させられようとしている。
(2)米国石油メジャーの対日要求とわが国資本の効率化要求で、六〇年前後に石炭から石油(さらに原子力)への「エネルギー転換」という民族的エネルギーを放棄する政策が進められた。これによって、家庭に燃料としての薪や木炭などを供給する林業と、産業エネルギー供給源の中心だった石炭産業は完全に崩壊させられた。
 全国の中山間地域と九州、山口、常磐、北海道などの産炭地は壊滅的打撃を受けた。
(3)五〇年代の繊維、六〇年代後半の鉄鋼、七〇年代のカラーテレビ、八〇年代の自動車・半導体など個別品目の日米「経済摩擦」で、対米従属政府は業界に「自主規制」を強要し、弱いところから次々とわが国産業をつぶした。
 さらに八〇年代後半から九〇年代にかけて、米国の経済危機打開のために日本は集中的に攻撃された。ドル安・円高攻撃で、輸出産業は大打撃を受け、地方の地場製造産業は崩壊させられ、大企業は生産拠点の海外移転を進めた。空洞化が始まった。
(4)冷戦終えんを前後して、米国は経済危機をわが国に押し付け、かつ、世界一の資金供給国となったわが国を抑え込むために、日米構造協議と称して、日本の経済・社会制度、規制などに全面的な攻撃が加えられた。自民党売国政府は「グローバル化は時代の流れ」と国民を欺き、開放体制を受け入れた。
 大規模小売店舗法(大店法)が緩和廃止されるなどして零細商店(街)は壊滅させられた。地方にも代わりに大型店が進出し、地域需要を奪い中小商店街を滅ぼし、わずかな商店がコンビニエンスストアとなって生き延びたが、売上あるいは利益の大半は大都市の本社に吸い上げられた。地域に資金がとどまり循環することはなくなった。
 構造協議では、わが国の公共投資の大幅拡大が押しつけられた。六百三十兆円に上る公共投資は、若干の大手建設企業は潤ったが、国民の富は浪費された。膨大な借金が、国と、特に地方自治体に残された。
 地方での資金循環が崩壊し、地方産業、地域は急速に衰退した。
(5)国と地方自治体の財政は、米国に絞り取られて、バブルの後始末もあり、一気に悪化した。
 地方交付税など地方への財政の流れも急激に絞られた。地方の中小地場の建設業などは需要が大きく減退、建設業就業者はピーク(九七年の六百八十五万人)から五百万人に激減させられた。
 「財政再建」と称して社会保障費などが削減され、国民生活はいちだんと貧困化に拍車がかかった。
(6)二〇〇〇年代、とりわけリーマン・ショック後、わが国大企業は資本輸出を強めますます多国籍企業化した。海外進出は製造業だけでなく非製造業も含めて進み、国内経済は空洞化が進んだ。
 それを乗り越えようと、いまでも多くの自治体が「企業誘致」政策を打ち出している。だが、九〇年前後に大都市から地方に、自治体が莫大な財政支援策も行って進出した工場だったが、それがいま次々と撤退、海外に展開している。地域の疲弊を加速している。
(7)地方経済は崩壊し、地方には働き口がなくなった。地方からの都市部への人口流失が急速に進んだ。若年女性も地方では暮らせなくなって、大都市部に引き付けられた。地方は、出生減で、人口減少に拍車がかかった。
 逆に、都市部では「都市問題」が深刻化した。とくに東京では、早くも六〇年代から問題が露呈した。過密化の工場が近隣地域、さらには全国に分散するようになった。住居も近隣地域に分散した。高速道路と新幹線が全国に広がった。しかし、それは問題を全国に広げただけだった。
 若者は働き口を求めて大都市に集中させられた。だが、そこで、労働者は「ウサギ小屋」に住む「働きバチ」とさせられた。
 労働の規制緩和など大企業の国際競争力優先の政治によって、わが国青年労働者は「結婚・出産・子育て」もできない劣悪な労働・生活環境に放置されている。リーマン・ショック後の経済停滞で地方にはいちだんと働き口がなくなり、大都市圏集中に拍車がかかっている。
(8)貧困と少子化は自民党政権の政治の結果である。
 政府の政策で、労働者の生活水準は先進各国にも例をみないほど非常に劣悪な状況に追い込まれたのである。
 とくに、九〇年代末からの一連の労働の規制緩和が、青年と女性労働者を中心に低賃金で不安定雇用の非正規労働者を激増させている。
 最低賃金では、日本は平均賃金の三三・三%に過ぎない(フランスは四九・八%)。
 日本は社会保障支出も少なく、国内総生産(GDP)の二二・七%にすぎない。ドイツは二八・一%、フランスは三二・四%(米国ですらも二〇・三%)である。日本は全体に低いわけだが、内訳で見るととくに「家族(出産・子育て支援)」分野の給付がわずか〇・九%で、英国、スウェーデンは三・八%もある。「住宅」では、もっと差が大きく、わが国は〇・一%、他方、フランスは〇・九%。高齢化で金がかかるというが、高齢関係支出は経済協力開発機構(OECD)平均〇・三六に対して日本はわずか〇・一二で、これまた全くの貧困である。
 大都市部での「少子化」は、政治の結果であることが明白である。
(9)注意して暴露し、打ち破るべき論点
・「二割のグローバル経済」と「八割のローカル経済」とを「共存共栄」させると増田元総務相らはいう。だが、政治は、そのわずか二割のグローバル経済、金融を頂点に多国籍大企業に握られて、その利益のための、対米従属政治である。「共存共栄」はあり得ない。
・与党も野党も「地方、地域の力を発揮させる」と合唱する。だがそれは、地方自治体間の競争をあおるだけである。
・民主党や社民党などは「『地方創生』政策では問題を解決できない」と批判する。だが、こうした批判は不十分で、むしろ幻想を広めるだけである。対米従属政治の結果であることが暴露されないし、財界の利潤追求の階級的性格、狙いも暴露されない。
・共産党も、注意深く対米従属の政治という根本問題に触れていない。そして「マネー資本主義を否定し、それを乗り越えていく、対極としての新しい経済づくりとして、地域の取り組みを位置づけるべき」「地域経済再生の実践は、地域から、国のあり方、経済の仕組みを転換させていく力をもっている」などと幻想をあおる(「経済」十一月号)。真の敵である多国籍大企業の利益中心の対米従属を暴露せず、「国のあり方、経済の仕組み」をなし崩しに「転換」していくというまさに構造改革論的な見解、「敵なし論」である。

(2)当面の安倍政権との闘いの一つの政策的焦点にすえて暴露し闘う
 安倍政権の「地方創生」を暴露する。
 地方創生、少子化対策の全体の狙いは、「労働力」が減少する中で、「労働力を確保」し、その「生産性を高める」ことである。要するに「資本効率」を実現するである。日本経団連の「二〇五〇年シミュレーションと総合戦略」(一二年)では、「日本は(諸外国と比べて)人口減少の影響を甚大に被り、中長期的に労働・資本の二要素により、成長率の下押し圧力に恒常的にさらされる」と、労働生産性を引き上げることと労働参加率を高めることを露骨に求めている。
 多国籍企業の国際競争力のために、中山間地はもちろんのこと、地方都市も「選択と集中」で競争させて多くを切り捨て、地方をより「合理化」して少なくなる労働力を集中し、効率化させ、付加価値生産性を高めることが狙いである。経済財政諮問会議の専門調査会「選択する未来」委員会(会長=三村・日本商工会議所会頭、新日鐵住金相談役)報告書は「生産性の低いビジネスが淘汰(とうた)されるよう起業促進や事業再編などを通じ、新陳代謝や若返りが活発化することが必要」とこれまた露骨に提起している。こうして二〇年代初頭までに「生産性上昇率を世界トップレベルまで引き上げる」ことをめざしている。
 地方のことも、女性のことも、人口問題も、すべては儲(もう)けのためである。
・地方には地方切り捨ての売国政治への不満、怒りが渦巻いている。これを組織する。
 沖縄県民の怒りはその頂点である。原子力発電所事故とその後の政府・東京電力の仕打ちに怒る福島の人びともそうである。全国町村会は提言を発表し、地域再生のために「地域内の『ひと・もの・かね』を外部に流出させない地域循環型経済」という新しい経済のシステムを求めている。
 全国の地方、地域に蓄積されたこの不満と怒り、エネルギーを結集して闘う戦線を構築しなくてはならない。
 全国政治、全県政治としても、全国町村会の提言などを支持(利用)し、広く世論形成、戦線構築を促す。
 地方自治体の首長の中にも、全国知事会のようなところも含めて、さまざま中央政治への不満がある。労働者国民各層とおおかたの反動派首長とは地方政治では敵味方であるが、中央政府との闘いでは共同の余地が大きい。積極的に共同を追求する。

(3)当面の県や地域での闘いの一つの焦点に据えて県政や市政を闘う
・「少子高齢化・人口減少」や「地方創生」問題で県政との闘争を強める。
 各県の具体的な分析が必要だが、おおかたどの知事も「少子高齢化、人口減少」問題を基本政策(基本計画や施政方針)の中心、ないし一つの重要課題に据えている。だが、何ゆえに、わが県はそうなったかの具体的な根本的な原因分析はない。したがって、根本的解決策は出されない。
 どの知事の実際の政策は、それぞれ若干の粉飾はあるが、政府の「地方創生」「戦略特区」政策などに沿ったもの、その具体化以外ではない。それはまた、県政を牛耳るごく一部の独占大企業の利益を図るものである。
 労働運動に地域の(経済、各階級の生活の問題、地域政治闘争)問題を提起し、戦線構築を進める。原則的批判とともに、当面する具体的政策提起もして、県政と闘う県内各層の勢力結集を追求する。「人口減少」と「地方創生」で自治労などとも連携は可能で必要だろう。
・市町村、地域でも同様で、基本的暴露と具体的政策提起を結合して闘う。
 とくに、農林漁業や小零細企業などの地域産業の活性化政策、それに若者・青年労働者の賃金など生活条件と「結婚・出産・子育て」への支援政策などを大胆に提起して、闘いを組織する。
・中央では、「われわれの政策指針」を取りまとめ発表する。(補遺参照)

2 消費増税、円安・物価高、社会保障切り捨てなど生活破壊の安倍政権・アベノミクスに反対し、国民生活を守る課題

 アベノミクスなど、安倍政権への批判暴露を強める。苦難の根源を暴露し、闘いを促さなくてはならない。
 「成功しない」とか「破たん」とかの「批判」もあるが、核心は露骨な所得移転政策である。資産価格上昇で一握りの富裕層はますます豊かに、大多数の貧困層はますます貧困に、である(総選挙の結果分析からも、この所得移転の結果が人びとの政治意識、投票行動にまですでに反映している実際がおおかた明らかとなった)。
 同時に、具体的な要求の闘いを組織することを重視する。闘いがあれば、支援し発展を促す。
 中央と全党は、生活課題にもっと敏感にならなくてはならない。
(以下略)

3 中国などの近隣諸国への敵視政策に反対し、アジアの平和をめざす課題

  日中関係で「首脳会談」など若干の進展があったが、双方の政権の、少なくとも安倍政権の戦略に変化はない。何よりもわが国は米国の戦略の枠内でコントロールされている。両国関係は非常に不安定で、「戦略的な」大きな前進は不可能である。
 韓国との関係も、模索もされているようだが、安倍政権に従軍慰安婦問題など歴史問題を解決する意思はない。
 夏に向かって、「戦後七十年」談話問題などで、緊張が激化する可能性も大きい。
 近隣諸国敵視政策に反対し、アジアの平和をめざす民間交流を重視して進めなくてはならない。
(以下略)

4 沖縄県民の闘いを支持し、集団的自衛権行使法制化に反対し、すべての米軍基地の撤去をめざす課題

  沖縄県民のこの勝利は安倍を追い詰めた。また、当面して国の完全な独立をめざすわが党と統一戦線、広範な国民連合にとって非常に有利である。沖縄県民とともにさらに前進しなくてはならない。
 われわれは、沖縄県民の米軍基地撤去の闘いをいっそう支持し、全国で世論形成のために奮闘しなくてはならない。沖縄県民との連帯を発展させる。
 当然にも紆余(うよ)曲折があるにしても、米軍基地と事実上の軍事支配下にある彼ら県民大多数は、長期には全体として、米軍基地撤去、安保破棄、すなわち国の完全な独立の政権のために闘わざるを得ない。
 党と自主・平和・民主のための国民連合は、引き続き沖縄の保守派や経済界を含む広範な人びととの連携を進め、とりわけ労働運動(活動家)との連携に気を配らなくてはならない。
 国の完全な独立をめざす統一戦線の思想を広め、党と国民連合の組織建設を進めなくてはならない。
 全国で、沖縄に連帯する集会をはじめ、沖縄訪問団などさまざまな運動に取り組む。県人会との関係を強める。労働運動の中に、連帯の運動を広げ、民族的課題で労働運動が闘わなくてはならないという党の政治路線を広める。
 新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)反対、集団的自衛権法制化反対などの課題で闘う。
 垂直離着陸輸送機オスプレイの配備や訓練に反対する。すべての米軍基地撤去の闘いを発展させる。

 (補遺)
 以下はまだ検討中のもので、決議には盛り込まれていない。しかし、何かと役に立つと考えて掲載する。

われわれの政策指針案ーー基本的考え方


 すでに述べたように、地方衰退と少子化問題の根源は「歴代自民党政権による、財界中心で対米従属の政治」にある。したがって、基本的な解決は、国民経済と国民生活を崩壊させた対米従属政治から脱却し、独立自主で国民経済を再建することである。地方経済を再建し、子育て環境に優れた地方に、安定した働く場をつくり、豊かな国民生活を保障する。そのためには、一握りの財界中心の政権から国民大多数の政権へ、政治の根本的な転換が不可欠である。

ーー当面の自治体への要求、政策
 地方衰退と少子化問題は、地方に働く場所、経済的に生活を維持する条件が崩壊したことが始まり。そして、とりわけ若者の貧困化である。この二つを緩和打開するために、自治体として現制度内で限度があるにしても最大限の手を打つことを要求する。


・まずは、全国どこでも、そこに住む人びとの生活を支える、働く場を保証する経済政策が必要である。
 地域には、地域の人びとに必要な、歴史的に形成されてきた産業がある。農林水産業をはじめ、製造業でも、商工業でも、地域にあるどれかの産業、業種はそうしたものである。それによって、永年にわたって人びとは暮らしてきた。地域の人びとが必要とした(需要があった)からであった。戦後の、全国隅々までの急速な市場経済化で、それが破壊された。企業が進出した。地方だけでなく、都市部も同様だった。企業は、利益が十分に上がらなくなれば、人びとの暮らしも、地域にもいっさい関係なく撤退し、需要のある他の場所、業種で、海外にも新たな儲け口を求めるのは当然といえば当然でもある。
 しかし、企業にも社会的な責任があるはずだ。とくに、外部から進出してきた企業には、立地用地や道路や水道、さらには住宅や学校まで、自治体が税金で支援した。最近は、巨額の支援金まで支払う自治体間の競争となっている。こうした中、一部自治体が撤退企業の責任を追及しているのは当然である。
 企業に地域社会への社会的責任を果たさせなくてはならない。しかし、国内だけでなく世界的にも「需要不足」のこんにち、企業が現状にとどまるのも、もちろん新たな進出に期待するのはもっと、望み薄である。地域(産業)の発展についての考え方の転換が必要である。
 全国でも都道府県でも一極集中型から分散型へ、「地域内の『ひと・もの・かね』を外部に流出させない地域循環型の経済システム」(全国町村会提言)で自立した地域をめざす。
 食料とエネルギーの「自立」、それに安全な水と空気は、民族と国家存立の基礎であり、地域の自立的発展の基礎でもある。地域経済の基礎に据えなくてはならない。
 地域産業の具体的な分析のもとに、地域が必要とする、地域に需要がある「地域産業」を支援し、発展させる。
 製造業でも、新たな「工場誘致」ではなく、いま、地域経済を支えて困難にある産業、企業を支援し発展させる戦略と政策が必要である。企業進出を拒否するわけではない。だが、短期の利益でなく長期にわたる地域(経済)の発展に寄与させることを条件にしなくてはならない。
 現に自治体が誘致企業に行っている固定資産税等の減免などの優遇策を、これまで地域で営業している中小企業や自営業者に適用させる。こここそ支援しなくてはならない。
 農林水産業を中心に地方の産業を再建し、地方でこそ豊かな生活が保障されるという趣旨の全国町村会の提言を支持し、その実現をめざす。
 わが国農林業と農林家の持続的発展のためには、国境措置が欠かせない。TPPに反対するとともに、政府に要求しなくてはならない。
 農畜産物生産条件が、わが国とあまりにも異なる北米やオーストラリアとは競争にならず、国境措置なしに国の独立の基礎としての食料自給はあり得ない。全国町村会の提言も「国内の農業を維持するため諸外国からの輸入農産物に対し関税をかけ、輸入の増大を防ぎ、国内農業の保護・育成を図る」と明記されている。
 脱原発、輸入化石燃料エネルギー依存脱却、バイオマスや(小)水力などエネルギーの地産地消の推進、国産材の活用などまことに結構である。同様のことは、政府の「日本再興戦略改定版」にも出てくる。共産党も推奨している。ところが、その共産党も含めて、外国産木材の輸入を規制する問題が一切ない。
 地域の中小商店、商業者を支援し、地域の人びとが豊かに暮らす消費やサービスの条件を充実させ、地域での資金循環を実現する。地域での資金循環は地域の経済発展にとって、不可欠で地方自治体でも研究と地域商品券から地域通貨の試みなどまでさまざまな努力が始まっている。これらを支持する。「選択する未来」委員会でも提言している。
 しかし、大型店、それにコンビニエンスストアの出店は、利益はもちろん売上まで大都市の本社に集中させられて、地域のカネは吸い取られる一方である。これでは地域経済は回らず、すたれるのは当然である。自治体としてできる限りの規制を行うとともに、国に大型店舗出店の規制強化を求めなくてはならない。
・政府に最低賃金の大幅引き上げを求め、労働の規制緩和に反対し、とくに青年労働者への支援策の抜本的強化を求める。
  地方最低賃金の大幅引き上げを要求する。
 同時に、地方自治体に青年労働者への支援策を集中的に強めるよう要求する。
 増田元総務相は「若者・結婚・こそ子育て、年収五百万円モデル」と、夫婦で年収五百万円必要という。この「夫婦年収五百万円」は一つの手掛かり、目安であるが、不足分を政治が直接支援する必要があり、自治体としてもできるだけ手厚い支援が必要である。
 日本商工会議所の少子化についての「意見」でも「若者を中心とした経済的不安定の解消が必要」という。日商の「意見」は、「結婚奨励の経済的支援」ということで「一定期間、住宅等の諸費用負担を支援するなど」「出産・育児に伴う経済的負担の軽減」ということで「義務教育段階の医療費の完全無償化、教育資金贈与制度における資金使途の出産・育児費用への拡大、児童税額控除や諸手当等」を提言している。
 市区町村の実情、要求に合わせて、具体的な要求を掲げて闘う。
 財源措置では、日商などは「社会保障制度改革の徹底」(増田らも同じ)という社会保障削減、特に高齢者支出削減であり、これには断固反対する。
 「企業誘致」助成金や借金を増やすだけの不要不急の投資を止めて低所得青年支援の財源とする。地域発展のため地域金融機関にも「協力」を求め、金融機関の保有する地方債への利払いの停止ないし圧縮を求める。


(参考)支援の手法としては、現制度内でもさまざまな試みが行われている。
 「住宅等の諸費用負担支援」。これもさまざまな自治体が、「定住化促進」政策として実施しているし、「企業立地促進に伴う就業者転入奨励金制度」などもある。こうした制度を低所得青年男女への支援策として拡充すればよいであろう。「子育て給付金」の支給。消費税引き上げに伴って、臨時給付金を政府も出したわけで、必要さは認められている。「保育の無償化と充実」「義務教育段階の医療費完全無償化」、これはすでに実施している自治体もあり、十分可能で、必要なものである。


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