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2014年7月15日号 2面・社説

沖縄「島ぐるみ会議」が発足

沖縄県民と連帯して米戦略を
打ち破り、安倍政権と闘おう

  「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」(島ぐるみ会議)が七月二十七日、沖縄県宜野湾市で結成大会を開く。
 同会議は主に、米垂直離着陸輸送機オスプレイの配備撤回、普天間基地(宜野湾市)の閉鎖・撤去、同基地の県内移設断念を掲げている。発起人には、労働組合や社民党員など革新勢力の人びとだけでなく、仲里利信、外間盛善両元県議会議長などの保守政治家、平良朝敬・かりゆしグループCEO(最高経営責任者)、呉屋守将・金秀グループ会長などの財界人も含めた約九十人が名を連ねている。
 島ぐるみ会議は個人参加を基本とする団体で、今春から準備会合が重ねられてきた。六月には、島ぐるみ会議の「議員版」ともいうべき「議員団会議」が先行発足している。将来的には、一万人規模の組織への発展をめざすという。
 地元マスコミが「多くの県民の意思に沿うもので高く評価したい」(琉球新報社説)と評価するなど、島ぐるみ会議は県民世論を代弁する大衆組織である。
 島ぐるみ会議の結成は、保革を超えた「オール沖縄」の陣形をつくり、文字通り「島ぐるみ」で日米政府の策動に抗してきた沖縄県民の闘いの新たな前進である。
 わが党は、以前から沖縄県民の闘いを重視し、連帯して闘ってきた。最近も、県民と連帯する中央・地方での闘いを積極的に支持し、その成功のために力を尽くした。
 わが党は、島ぐるみ会議の結成を断固として支持し、引き続き、沖縄県民ともに闘う。

沖縄は米中対抗の最前線
 「島ぐるみ会議」は、米国と中国による争奪が激化し、対米追随の安倍政権が集団的自衛権の行使容認など、戦後安全保障政策の転換に踏み込んでアジアの緊張が高まるなか、これと闘う沖縄県民の闘いの新たな一歩である。
 リーマン・ショック後の危機はさらに深まり、世界的に市場や資源をめぐる争奪が激化している。世界は「戦争を含む乱世」である。
 衰退する米国は「アジア・リバランス戦略」を推し進めているが、ウクライナ、イラクなど難題を抱え、実行は容易ではない。米国にとって、成長するアジア市場を収奪し、中国に対して巻き返すことは死活的に重要で、それは日本の協力なしに成功しない。
 他方、中国は、購買力平価ベースの国内総生産(GDP)では米国に匹敵する大国となった。軍事大国でもあり、資源確保と格差拡大などに対する不満をそらす意図もあって海洋進出を強めている。南シナ海をめぐってはベトナムなどに対して大国主義的態度をとり、わが国の尖閣諸島の「領有権」も公言している。
 米中の力関係は大きく変化している。米中は経済面などで深い依存関係にあり、昨年は「新しい大国間関係」で事実上、合意した。だが、米中の「協調」は一時的なことである。先日の米中戦略対話も、人民元問題やアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立など、六十もの懸案でほとんど一致できなかった。両国のアジアをめぐる対抗は激化しており、人民の闘いだけが戦争を押しとどめることができる。
 安倍政権はこの米国を積極的に支え、日米同盟強化に踏み込んでいる。「強い日本を取り戻す」と粋がり、世界的に中国をけん制する「地球儀俯瞰外交」、特定秘密保護法、国家安全保障会議の設置、新「防衛計画大綱」、武器輸出三原則の廃止、さらに集団的自衛権の行使容認に踏み込み、同関連法の制定と日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定を準備するなど、わが国安全保障政策の大きな転換に踏み込んだ。憲法改悪も視野に入れようとている。
 これらは、米戦略への追随であると同時に、わが国多国籍大企業が世界に有する権益を守るためのもので、東アジアで戦争を招きかねない危険な道である。戦場に引き出されるのは日中の青年で、犠牲となるのも両国人民である。
 沖縄は、この米中対抗の最前線に立たされており、県民が危機感を強めるのも当然である。
 沖縄の基地機能はいちだんと強化されている。米軍による凶悪事件・事故もあとを絶たない。島ぐるみ会議の趣意書が、沖縄の現状を「社会的正義にもとる軍事植民地状態」とし、県民の「経済的、社会的および文化的発展の自由を否定」するものとしているのは当然である。

独立のための闘いに発展するもの
 安倍政権の亡国の道に対して、沖縄県民は果敢な闘いを続けている。
 昨年一月には、県内全市町村長・議長、県議らによる上京団を成功させ、政府に名護市辺野古への基地建設の撤回などを迫る「建白書」を突きつけた。この「オール沖縄」の陣形は、県民運動にとってはもちろん、わが国階級闘争にとっても画期的なことである。
 闘いに恐怖した支配層、安倍政権は、沖縄「振興策」をちらつかせつつ基地建設をゴリ押しすることで県民に屈服を迫った。昨年末、政府・自民党執行部は、県選出の自民党議員と仲井真弘多知事を屈服させた。
 だが、これは県民の怒りに油を注ぎ、運動の結束をさらに高めることになった。今年一月には、「基地反対」の立場をとる稲嶺進・名護市長が大差で再選された。
 さらに、今秋に予定される沖縄県知事選挙が大きなヤマ場である。
 こうしたなかでの「島ぐるみ会議」の発足である。恒常的な大衆団体として県民各層の人びとを結集し、運動を前進させることが期待されている。
 安倍政権は追い詰められている。基地建設を強引に進めようとしているのは、県知事選で争点化されることを防ぐための悪あがきで、かれらの弱さのあらわれである。
 沖縄は、安倍政権を打倒する闘いの、当面して最も重要な焦点である。しかも、沖縄県民の闘いは、わが国の完全な独立と日米安保条約破棄、安倍政権による集団的自衛権の行使などの内外政治との闘争に発展するものである。
 労働者階級が沖縄県民の闘争を支持して、本土でその発展を促し、連帯して闘うことは、日本の階級闘争全体の前進にとって必要不可欠である。米国のアジア・リバランス戦略を暴露し、米国が覇権と権益を維持するためにアジア・日本・沖縄を踏みにじることと闘わなければならない。安倍政権の対米従属で中国敵視の戦争政策を暴露して、政権を打倒するために闘わなければならない。

沖縄連帯の闘いを広げよう
 沖縄をはじめ全土からの米軍基地撤去、独立と日米安保条約破棄の闘いは、日本の労働者階級の課題であり、民族全体の課題である。わが国労働運動は、この課題を闘わずに前進することはできない。
 だが、本土の「左」の勢力の一部には、「オール沖縄」の県民運動の意義を理解できず、「保守勢力が加わっていること」を否定的に評価する向きがある。だが、それでは県民運動の前進を十分に評価できず、連帯することはできない。
 本土の労働者階級、闘う人びとは、対米従属政治からの転換、わが国階級闘争全体の発展という大きな観点から、沖縄県民との連帯に取り組まなければならない。
 沖縄においても、労働運動の役割がますます重要になる。労働運動が県民運動のなかで積極的、主導的役割を果たせば、県民運動の前進にとどまらず、日本の独立と平和の闘いの決定的な前進、労働運動の革命的前進に貢献できる。そうしてこそ労働組合運動も前進するし、沖縄県民の抱える課題も解決できる。
 われわれは、日本の独立・自主の政権樹立をめざして全国で幅広い統一戦線を形成・発展させて闘ってこそ、沖縄の米軍基地撤去の闘争も前進できると確信する。
 労働者階級とりわけその先進的人びとは、こうした戦略的観点から沖縄の課題を自らの課題として闘わなくてはならない。
 わが党は沖縄県民の闘いと固く団結し、全国で闘う決意である。ともに闘おう。


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