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2013年9月5日号 4面・労働運動

4.26全国統一ストの成果基礎に
戦略的に闘ってこそ道は開ける

日本労働党中央委員会

 自治労は八月二十六〜二十八日にかけて第八十六回定期大会を大阪市で開催した。大会に際し、労働党中央委員会及び京都、大阪各府党は参加した代議員、傍聴者などの組合員に「4・ 全国統一ストの成果基礎に―戦略的に闘ってこそ道は開ける」と訴えるビラを配布、激励した。また、大会初日には会場近くの大阪城公園で「自治の未来を『劇場型政治』から取り戻す大阪集会」が開かれ、地元大阪をはじめ、大会参加の全国の組合員約三千二百人が結集、橋下・大阪市長=日本維新の会による公務員攻撃、労組破壊への反撃を誓い合った。


  安倍・自公政権による地方交付税削減をテコにした地方公務員給与削減攻撃に対し、自治労は全国統一ストライキを闘い、久方ぶりに存在感を示しました。
 私たち日本労働党は今回の大会で皆さんがこうした経験の上に、いっそう断固として闘う方針を確立するよう熱烈な連帯のあいさつを送ります。

4・26全国統一闘争の経験を活かそう
 闘う方針を確立する上で、第一に強調したいのは、4・ 全国統一闘争の経験を総括して、「闘ってこそ展望は切り開ける」ことを教訓化することではないでしょうか。
 この点では、課題も明らかになっているので、ぜひとも先進的に闘えた県本部、単組とそうでないところを比較し、先進に学んで全国的に前進を図られんことを希望します。


参院選の結果に圧倒されてはならない
 闘う方針を確立するうえで、第二に強調したいのは、参院選挙の結果に圧倒されてはならないということです。
 参院選の結果は、「アベノミクス」の成果を大宣伝し、「政治の安定」を争点化した安倍自民党の圧勝、民主党の惨敗に終わりました。
 これを受け、組合員、活動家の中にも、安倍自公政権は「衆参ねじれ」を解消したのだから、やりたい放題の悪政をやるのではないか、地方公務員に対する攻撃がさらに強まり、すぐにも憲法改悪に踏み込むのではないか。もはや闘いようがないのではないかと、圧倒されている状況が見られます。
 しかし、われわれはこういう時こそ冷静になり、安倍・自公政権が置かれている客観的状況をキチンと見きわめ、強さだけでなく、困難さも抱えており、政策を具体化すればするほど国民各界の抵抗を呼び起こすこと、わが方には闘いようがあることを理解しなければなりません。
 それは、安倍政権が「アベノミクスで景気が良くなった」などと言いながら、消費税増税を予定通りやるかどうかで躊躇(ちゅうちょ)している点を見るだけで十分です。それほどに内外の経済危機は深く、「デフレ脱却」が容易でないからです。
 また、安倍政権は参院選に勝つために先延ばししていた三本目の矢・「成長戦略」を本格的に具体化しようとしています。環太平洋経済連携協定(TPP)も米国の圧力で「年内妥結」が迫られています。そのために「国家戦略特区」を東京、大阪、愛知につくり、「企業がいちばん儲(もう)けやす」くするための異次元の規制緩和を首相直属で推進しようとしていますが、これが大企業を含む再編淘汰(とうた)、混合医療の解禁、解雇の金銭解決、非正規雇用のさらなる緩和を通じて、国民に耐え難い痛みをもたらし、地方経済を疲弊(ひへい)させることは明らかです。
 TPPによる農業破壊、農業への株式会社の参入解禁など、農業者と地域経済に深刻な打撃をもたらすことは目に見えています。
 併せて台頭する中国をにらんだ米国のアジア再均衡戦略に追随し、「日米同盟強化」で中国に対峙(たいじ)しようとして集団的自衛権行使の容認に踏み込もうとすれば、中国のさらなる反発を強め、取り返しのつかない関係悪化を招くのは必然です。
 すでに安倍自公政権が安定多数を制した国会の外では、犠牲を押し付けられた国民の怒りが闘いとなって高まっています。
 沖縄県民は普天間基地の県内移設と垂直離着陸輸送機オスプレイの配備に反対し、「オール沖縄」の全県的闘いを続けています。米軍ヘリ墜落問題でも県民大会が準備されています。
 またTPPをめぐっても、JAを中心とする農業者は各地で自民党に反旗を翻し、北海道では参院選直後に二千人規模の集会とデモが行われました。
 このような抵抗と闘いは必至で、これが全国的に広がれば、安倍政権は「安定した政治」が大きく揺さぶられ、立ち往生せざるを得ないでしょう。
 活動家の皆さんが、今回の選挙の結果だけに、また議会内の勢力関係だけに目を奪われず、安倍政権が置かれている諸条件や難問山積の課題、さらには国会外の国民の怒りと闘いの発展にも広く目を向けるなら、闘いようがあること、安倍政権の悪政を打ち破ることは可能であることを強く訴えます。


民主党政権崩壊に学び、独立・自主の政権樹立の戦略を
 闘う方針を確立する上で、第三に強調したいのは、安倍自公政権を打ち破るには、戦略的な対抗軸が不可欠で、その点から見て民主党基軸の本部方針は、再検討が必要だということです。
 今回の運動方針案には、「原発や憲法などに対する国民意識に対応した政治勢力を、民主党など、協力政党を中心に再構築することが急務」と提案されています。
 しかし、これでは「デフレ脱却」「日本を取り戻す」と主張し、国難からの危機を明確に多国籍大企業中心の国際競争力強化によって、「日米同盟強化」によって、脱却するとしている安倍政権の対抗軸にはなりえず、したがって国民の多数の支持は得られない、と率直に述べたいと思います。
 それは、民主党政権の三年三カ月の経験からも、また民主党が惨敗した衆議院選、参議院選の結果からも、明らかではないでしょうか。
 二〇〇九年総選挙で政権の座に就いた民主党は、「生活者の党」「共生社会」などと主張していましたが、三年三カ月を振り返ってみると、「自民党より自民党的政治ではないか」と言われたように、国民の期待を裏切るものでした。その挙句の果てに、瓦解し、政権の座から追われました。
 そうなったもっとも本質的な理由は、「保守二大政党」の一翼を担う政党として形成されたゆえに、「日米同盟」に対する態度はもちろん、財界との関係も決して対立するものではなく、自民党と基本的に同じ路線でした。
 危機の中で民主党政権の弱点を突き、安倍・自民党が「日本を取り戻す」と公然と大企業主導の経済危機脱却、日米同盟強化の外交危機脱却を唱えて、政治的主導権を奪ったのです。
 したがって、安倍政権を打ち破ろうとするなら、「共生社会」とか、「国民意識に対応した」などとあいまいなものでは戦略的対抗軸足りえないということです。
 われわれが戦略というのは「日米同盟強化」に対抗軸足りえる「独立・自主の政権の樹立」です。この道こそが危機の中でわが国の進路を過(あやま)たず、アジアと共生でき、国民多数の利益を確保できる道だと主張しているのです。
 今一つ、危機の中では議会制民主主義が民意を吸収できないことも明らかになっています。
 戦後六十数年間、選挙に動員されてもそれに見合う生活改善はもたらされなかったこと、「政権交代」に裏切られた経験から、真の打開の道は選挙ではなく直接民主主義、労働者自身の断固たる闘争、広範で強力な統一戦線の力による政権樹立の道である、という結論を下すべきでしょう。
 議会闘争は、国民運動と結びついてこそ大きな力を発揮したことは、戦後の経験が示しています。これこそ真の対抗軸となり得ます。
 われわれは、こんにちの政党の状況が複雑な状況であっても、安倍自民党に対する戦略的な対抗軸を持ち、長期的な展望に立って闘えば事態は切り開けると確信します。
 独立・自主の政権をめざして、労働運動を基礎にもっとも広範で強力な国民運動を発展させましょう。
 そのためには、その組織者たる強固な革命党が必要です。最後に活動家の皆さんに わが党に結集し、ともに革命政党建設の事業を担われるよう心から訴えてあいさつを終わります。


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