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2013年7月25日号 1面〜3面・社説

第23回参議院選挙の結果について

 第二十三回参議院選挙が七月二十一日、投開票された。
 リーマン・ショック後の世界資本主義の危機はいちだんと深まり、各国間の対立は激しい。とりわけ東アジアで緊張が激化し、日本では誕生して半年余の安倍政権が「日米同盟強化」と「アベノミクス」という冒険的政策を推し進める中、今回の参議院選挙が行われた。
 だからこの選挙戦でも、安倍政権の進める亡国の道に対し、国の完全な独立を掲げた、明確な政策対置と論争、国民的闘争が必要であった。
 だが、安倍政権は持論の憲法改悪を隠して「政治の安定」を押し出すなど欺まん的戦術をとる一方、野党は危機への認識と対抗軸の提起もなく「アベノミクスの副作用」など部分的批判だけで、総じて無力であった。
 安倍首相は「国民に背中を押された」などと自賛している。財界も「必要な政策を迅速に実行できる政治体制になった」(米倉・経団連会長)などと歓迎している。
 だが、深まる危機と対米従属下での内外の難題、労働者をはじめとする国民生活の危機という現実は変わっていないし、打開の見通しもない。安倍政権は、さまざまな懸案の実行を迫られ、どれも国民的抵抗を覚悟しなければならない。
 安倍政権は早晩、行き詰まる。
 悪政を覆そうとするならば、長期的展望の下で闘う道にこそ展望がある。労働運動を基礎とする広範で強力な国民運動を基礎に、政権を握ることである。
 先進的労働者は、選挙結果に意気消沈する必要はない。安倍政権の「安定」がきわめて一時的・条件的なものであることを見抜けば、闘いようがある。迫り来る破局に備え、展望のある道に踏み出すべきである。
 わが党はそれを歓迎し、ともに闘う。

与野党の消長−与党
 自民、公明の与党は合計で七十六議席を得、改選前の四十四議席から三十二議席増加、非改選と合わせて百三十五議席となり、参議院の過半数を超え衆参の「ねじれ」は解消、各委員会ポストを握る「安定多数」となった。

・自民党
 六十五議席(選挙区四十七・比例十八)を得、改選前から三十一議席増。前回獲得議席も超え、非改選と合わせた議席数は百十五議席。
 選挙区の得票率が四二・七%で前回比九・三ポイント増加。比例区は三四・七%で同一〇・六ポイント増加。
 現行制度下では最大の議席を獲得する「大勝」を得た。

・公明党
 十一議席(選挙区四・比例七)を得、改選議席から一議席増。非改選と合わせて二十議席。
 選挙区得票率は五・一%で、一・二ポイント増加。比例区は一四・二%で一・一ポイント増。
 議席は増やしたが、実質は「現状維持」である。



与野党の消長−野党
 野党は合計で四十五議席にとどまり、改選前の七十一議席から二十六議席の後退。非改選と合わせて百七議席となって過半数を下回った(以下は改選前議席数順)。

・民主党
 十七議席(選挙区十、比例七)と、結党以来最小の獲得議席に終わった。改選前、前回から二十七議席の激減。非改選と合わせ五十九議席。
 選挙区得票率は一六・三%で二二・七ポイントの大幅減。比例区も一三・四%で一八・二ポイントの大幅減。公明党を下回った。
 昨年の総選挙に続いて有権者の厳しい批判を受け、大惨敗となった。細野幹事長は辞表を提出した。

・生活の党
 選挙区・比例とも議席を獲得できなかった。「小沢王国」と言われた岩手県でさえ、当選した無所属候補の半分以下の得票という大敗であった。
 選挙区得票率は一・二%、比例区一・八%。
 小沢代表の影響力は完全に失墜した。

・みどりの風
 議席を獲得できず、非改選・衆議院と合わせても、政党法上の「要件」を失った。
 選挙区得票率は一・二%、比例区〇・八%。

・みんなの党
 八議席(選挙区四、比例四)の獲得で、改選前から五増。初めて議席を獲得した県もあったが、前回からは後退した。
 選挙区得票率は七・八%で二・四ポイント減少。比例区は八・九%で四・七ポイントの減少。
 改選議席からは増やしたが、党への支持は減らした。

・共産党
 八議席(選挙区三、比例五)で、改選前・前回から五増。選挙区では十二年ぶりに議席を獲得した。
 選挙区得票率は一〇・六%で、前回から三・三ポイント増加。比例区は九・七%で、三・六ポイント増加。
 安倍政権に対する不満や危機感の、一定の受け皿になったといえる。

・日本維新の会
 八議席(選挙区二・比例六)で、改選二議席から六増。
 選挙区得票率は七・二%、比例区一一・九%。
 改選議席よりは「前進」だが、比例区の得票数は昨年の総選挙時の五一・八%にとどまり、敗北である。

・社民党
 辛うじて一議席(比例)を獲得した。
 選挙区得票率は〇・五%で、前回比〇・五ポイント減少。比例区は二・四%で一・四ポイント減少。
 「政党要件」は維持したが過去最低の得票数、獲得議席数という大幅後退で、存亡の危機は進んだといえる。福島党首は辞任を表明した。

 沖縄選挙区では沖縄社会大衆党(社民、共産などの推薦・支持)の候補が、激戦の中で勝ち上がった。
 その他、東京選挙区と岩手選挙区では無所属候補が当選した。新党大地や緑の党なども候補を擁立したが、いずれも議席を得られなかった。



内外の危機が深まる中での参院選
 二〇〇八年秋のリーマン・ショックに始まる、「百年の一度」と言われる危機に直面した世界資本主義は、今や末期症状を呈している。二十カ国・地域(G20)会合などの「国際協調」、中央銀行による膨大な金融緩和と財政出動などの対策は限界に達し、逆に、財政赤字の累積などの新たな危機要因となっている。
 米国の金融緩和「出口」をめぐる世界的な資金の流れの変化、「バブル退治」を余儀なくされた中国経済の混乱など、リスクは世界のいたるところにある。
 各国で国民への犠牲を押しつけは強まり、最近でもブラジルでの大デモなど、労働者・人民は闘いに立ち上がっている。
 各国とも内政に余裕はない。米国を中心とする帝国主義諸国と、その他の国々の対立はいちだんと激しい。米中関係も、依存関係を深めつつ対立が激化している。
 経済・国民生活の危機も、東アジアの危機も、そのリスクを避けようとしても、その多くはわが国から手の届かない要因で動いており、これからもそうである。独立・自主、主権のある国家、政権が不可欠なゆえんである。
 ところが安倍政権は、中国への対抗を強める「日米同盟強化」と、米国のお墨付きによる「アベノミクス」「三本の矢」(大胆な金融緩和、機動的財政政策、成長戦略)に突き進んでいる。
 その外交政策は、わが国を従来以上にアジアで孤立させ、米国の手先として戦争の危機に直面させかねないものである。環太平洋経済連携協定(TPP)などで、わが国国民経済・国民生活を損ない、ますます米国に収奪・支配される。
 「アベノミクス」は、支配層が危機感に駆られて打ち出したバクチ的な政策である。
 一方、金融緩和は日本から米英への資金還流を招き、わが国の国富は米巨大金融機関にいちだんと収奪されている。失業と低賃金に直面させられている労働者をはじめ、輸入物価の上昇に苦しむ中小商工業者など、大多数の国民の生活難はいちだんと深刻化している。
 今回の参院選は、こうした安倍政権の外交・安全保障政策や「アベノミクス」と闘うこと、つまりは国の独立の問題こそ争われなければならなかった。

 結果から読み取れるいくつかの点
・自民党の勝因は何か
 自民党は、参議院選挙の帰すうを決めるとされる一人区で二十九勝二敗となるなど、現行制度下で最多の議席を獲得した。
 勝利の最大の要因は「アベノミクス効果」であり、自民党はこの点に争点を絞り、さらに「政治の安定」を叫んで有権者を欺いた。TPPや消費税増税、規制緩和など国民生活に関連する問題、何よりも安倍政権の「本質」ともいうべき憲法改悪や対米従属下の軍事大国化、中国や韓国、朝鮮民主主義人民共和国への敵視とけん制強化などは封印された。野党は「アベノミクス」も暴露できず、この「争点隠し」にも対抗できなかった。
 振り返れば、リーマン・ショックでわが国が危機に直面する中、対米従属政治を続けた自公政権は行き詰まり、国民は民主党政権に期待をつないだ。だが、鳩山、菅、野田と続いた民主党政権はこれに応えられず、東日本大震災にも揺さぶられ、自民党以上の対米従属政治を行って国民を苦しめたあげくに見捨てられた。
 こうした下で登場した安倍政権は「安倍カラー」を封印し、成立直後から、参院選での「ねじれ解消」を戦略課題としてきた。「デフレ脱却が最優先」などと言って「アベノミクス」を掲げ、マスコミを動員してあおったのは、危機対応であると同時に選挙対策でもあった。
 この政策で利益を得た社会層がいるし、利益はなくても、国民の中にはばく然とした「期待感」があおられ、高い政権支持率につながった。
 その上、安倍政権は選挙目当てに「一人当たり国民総所得(GNI)百五十万円増」や「農業・農村所得倍増目標」など、数々の欺まん的政策を打ち出した。
 また、TPPでは「国益にかなう最善の道を追求」などといい、消費税増税も延期するかのような言い方を通した。医療や雇用など国民の反発が強い分野での規制緩和、究極の行政改革策である道州制も先送りし、争点化を避けた。
 こうした欺まんは、自民党の支持団体に対しても有効だった。
 「日本を取り戻す」というスローガンは引き続き掲げたが、安倍首相の訴えは、終盤まで経済問題で徹底していた。だが、右からの不満もあったのか、勝利が見通せて余裕が出たのか、最終局面では憲法問題にも触れた。
 こうして得た勝利ゆえに、自民党は内部にさまざまな矛盾を抱え、「強さ」は「弱さ」ともなり得るのである。

・根本である独立を提起できぬ野党
 野党は、昨年の総選挙と同様、国民が望む生活危機の打開とアジアの平和のために国の運命を自国が握る、という問題を提起できなかった。
 「アベノミクス」と「日米同盟強化」に、日本維新の会、みんなの党は明確に追随した。民主党も事実上違いがなく、「副作用」を訴えた程度である。社民党は相変わらず日米関係にあいまいな態度をとり、「脱原発」「反TPP」などの部分的政策を繰り返した。議席を増やした共産党も、「基地も安保もない日本をめざす」とは言ったが、消費税増税反対などに続く「各論」として、おずおずと取り上げただけである。
 リスクだらけの世界で、国の独立なしには国民生活の危機打開も、国の進路の打開もあり得ない。それにもかかわらず、野党は国の独立をめぐる根本問題で安倍政権と同じかあいまいで、主導権は終始、安倍・自民党の側にあった。
 野党は全体として「負けるべくして負けた」のである。

・史上3番目の低投票率
 投票率は選挙区、比例代表ともに五二・六一%で、過去三番目の低さとなった。投票時間の延長(〇〇年)、期日前投票の導入(〇五年)後では過去最低である。
 都道府県別では、沖縄を除く四十六都道府県で下落。中でも、秋田、群馬、鹿児島など十県で史上最低となり、一〇ポイント以上の大幅下落となった県も富山、山口など五県もある。保守基盤が強いとされる地方でも、大きく落ち込んだ。
 支配層がさんざんあおったにもかかわらず、半数近い有権者が投票所に足を運ばなかった。
 政治に不満を持ち、怒りを高める有権者に真の争点は提起されず、政党間の違いも不鮮明で、しかもマスコミは「自民党の優勢」をあおった。「選挙では何も変わらない」と思う有権者が増えて当然である。棄権および無効票を投じた有権者は、そうした形で、現状の政治・政党に不信任を表明したといえる。
 野党の支持者だけでなく、棄権した人びとの要求と怒りを結集した、院外での国民運動がますます必要で、重要となっている。議会で自公与党が多数を握ったいま、それこそが労働者国民が政治に対して効果的に発言でき、何よりも政治を変える道である。これは、繰り返し県民大会を開くなどして政府を揺さぶっている、沖縄県民の闘いを見れば明らかである。



安倍政権の将来は安泰ではない
 議会内では「安定」を手に入れた安倍政権だが、前途は難題だらけである。
 安倍首相は選挙後の会見で、改めて「脱デフレ最優先」を掲げた。
 それは財界の意向に沿い、規制緩和や減税などで大企業に多大な恩恵を与え、さらに政権への国民の支持を維持して長期政権を実現し、安倍が本来狙う集団的自衛権の行使容認や憲法改悪など、いちだんの「日米同盟強化」にも踏み込むためである。それは中国への対抗を強め、わが国をアジアでの孤立と戦争の危険にさらす道である。国民大多数には増税や雇用のいっそうの不安定化、社会保障制度の改悪、負担増加などの犠牲をもたらすものである。
 だが、そうした政策の成功は保証されていない。とくに「アベノミクス」の破たんは避けがたい。
 すでに述べたように、わが国が結びついている世界的経済は危機的である。
 円安傾向は、米国経済次第で変わり得る。円安政策を続ければ、諸外国からの「為替誘導批判」はさらに高まる。
 日銀の大量の国債買取は事実上の財政ファイナンスだが、国内総生産(GDP)の二倍を超える累積財政赤字を解決するメドはない。安倍政権は財政再建の旗を掲げ続けざるを得ないが、来年四月に迫る消費税増税一つさえ、容易ではない。増税は「デフレ脱却」に逆行し、何よりも国民生活を直撃して政権批判を高める。だが、これは「国際公約」になっており、延期は困難である。財政再建の成功が「危うい」と判断されれば、たちまち投機家につけ込まれて長期金利が上昇する。そうなれば「日本発の金融危機」として、世界的危機の引き金をひきかねない。
 法人税減税や雇用制度の規制緩和など、わが国財界の要求にも際限がない。安倍政権は秋に予定する「成長戦略第二弾」でこれに応えようとしているが、どこまで満足させられるか。他方、投資減税などの手立てを取っても、大企業は海外への展開を強めて国内には投資しない。
 国内経済のいっそうの空洞化、失業と低賃金、零細・中小企業の経営危機は止まらない。
 安倍政権の正否はほぼ「経済次第」だが、その先行きは危ういものである。


展望、独立を掲げた国民運動こそ打開の力
 何より、安倍政権によるざまざまな犠牲の押しつけに対し、国民の怒りと反発が広がることは避けられない。
 沖縄県民は普天間基地(宜野湾市)の県内移設と垂直離着陸輸送機オスプレイの配備に反対する県民的闘いを続けている。JAも、今回の参議院選挙で複数の選挙区で自民党から離反しただけでなく、TPPに対する抵抗の意思を堅持している。漁業者やトラック業者など、円安による原燃料値上げなどへの抗議も広がっている。
 財界や官僚さえ、安倍政権の外交政策への懸念を強めよう。経団連の夏季セミナーでも「中国、韓国とビジネスを拡大したいが、こういう政治状況では踏み込みにくい」などと、対中韓外交への不満が噴出した。
 自民党内の事情も複雑である。今回、沖縄や北海道、福島など複数の県連・候補者、さらに業界団体推薦を含む一部の比例区候補者が、政府・党執行部と異なる政策を掲げた。こうして当選した議員は、容易に有権者を裏切ることはできない。安倍政権がTPP参加やいわゆる「岩盤規制」に手をつけようとすれば、「抵抗勢力」となる可能性がある。与党の公明党も、支持基盤の意向を気にせざるを得まい。
 曲折はあれ、こうした動きは発展し、安倍政権は揺さぶられる。
 闘う勢力は、目先の「政権支持率」や議会内の議席数に圧倒されず、独立のための旗を掲げた広範な戦線をめざし、敵を分化させ、戦略的に闘うべきである。


 ・野党について
 その際、議会内の駆け引きに頼ることはできない。
 惨敗した民主党執行部は「敗北をバネに再起を」と言うが、安倍政権との違いは依然示せない。日本維新の会やみんなの党は対米従属で安倍政権と大差ない。小沢・生活の党の影響力はもはや小さくなった。
 「アベノミクス」の先行きと関連しながらだが、「巨大与党」に対抗する必要性から、また、財界が保守二大政党制による安定した政治支配を捨てていないことから、何らかの政治・政党再編はあろう。
 向こう三年間、大きな国政選挙が行われる可能性は、ゼロではないが低い。選挙を待っていても展望は描けないし、そもそも、国民の生活危機やアジアの危機は待ってくれない。議会内の駆け引きに期待できないことはさらに鮮明で、確かなことは直接行動、国民運動である。


・犯罪的役割果たす共産党
 共産党は、国民の闘いをますます議会だけに押しとどめる犯罪的役割を演じることになる。
 共産党は「一九七〇年代、九〇年代後半に続く第三の躍進の波の始まり」などと幻想をあおり、支持拡大を画策している。
 だが、「躍進」は長く続くものではない。これまでの「波」と同じく、すぐに引くであろう。今回の約五百十五万票は「第二の波」の約八百十九万票(九八年)に遠く及ばないが、選挙の票は「増えたり減ったり」である。「第二の波」の次の〇一年には約四百三十二万票と、実質半減させているのである。
 今回の結果は、民主党が激減、政党の乱立、低投票率などが、比較的組織力がある共産党に幸いした。共産党の掲げた政策も、他の野党に比べれば、多くの有権者にはいくぶん特色があるものと映った。つまり、政党事情が変わり、投票率が上がれば別の結果となり得る。
 共産党指導部は、かつての「躍進」の時期もそうだったように、「月並みな政党」への堕落を深めるだろう。選挙でさらに「前進」しようとすれば、もっと右の票を狙うしかないからである。すでに、志位委員長は選挙中、「大企業に増税しない」などと財界にへつらっていた。
 国民は院外の国民運動に頼る以外にないのに、共産党はそれを国会、さらに自党への支持に取り込もうと策動を強めようとしている。新たな裏切りを準備する共産党に期待してはならない。

・社民党、社民主義者の展望について
 社民党は参院選での得票数は一貫して減り続け、九八年と比べて三〇%以下になった。かろうじて「政党要件」を維持したが、がけっぷちの状況に変わりはない。
 選挙後の社民党の声明は「候補者の不足、宣伝力や力量の低下により全国への発信力が弱まり支持を広げられなかった」と述べているが、この打開は「政策や課題ごとに野党共闘を追求」(声明)だけではまったく不十分である。
 国民運動の組織者になること、これだけが、議席が激減した社民党が「発信力」を強める道であろう。
 福島党首の辞任に際し、菅官房長官は「日米安保反対の旗を降ろす中で国民の理解が得られなくなったのではないか」と述べた。政敵ながら、社民党の衰退の原因の一つについて言い当てているとは言えないだろうか。
 社民党、社民主義者の皆さんにとっての展望があるとすれば、議会内での闘いだけでなく、労働運動をはじめとする国民運動と結合すること、何よりも日米安保条約破棄のような民族全体の課題、国の進路の課題で国民の先頭に立つことである。そうしてこそ、議会内でも効果的に闘えると、われわれは信じる。


・労働運動の発展こそカギ
 独立・自主をめざす国民運動の中心勢力は、労働者階級である。
 最大のナショナルセンターである連合は、参議院選挙の結果をどう総括するのか。
 連合結成以来追求してきた「政権交代」は、総選挙による民主党政権の崩壊と今回の民主党惨敗で完全に破たんした。これは誰が見ても否定できない。組合員、労働者の要求に応えて闘わず、保守二大政党の一方で、本質上財界のための党である民主党を支持し、すべてを選挙に流し込んできた連合路線が完全に行き詰まったのだ。指導部は、重大な責任が問われて当然である。
 連合中央幹部の裏切りを打ち破り、闘いを発展させなければならない。
 労働者は国民の中でもっとも数が多い社会層で、組織労働者だけでも一千万人に達する。本来、自分の力に依拠して闘い、要求を実現することが可能なはずである。
 問題は「思想」で、労働組合が財界の後ろにくっついているようではどうにもならない。連合中央や「左派」の一部が主張する「福祉国家論」は幻想で、展望はない。
 労働者・労働組合は自らの経済的要求で闘うことはもちろん、自国の運命を労働者国民が握る、国の完全な独立をめざす国民運動の組織者とならなければならない。


 わが党は、労働運動の断固たる発展のために尽力する。自らの党の建設と併せ、独立・自主の政権をめざす強力な国民運動の発展に力を尽くす。
 先進的労働者は、日本労働党に結集しよう!。


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