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2012年11月25日号 1面〜3面・社説 

第46回総選挙に際して訴える

 衆議院が十一月十六日、解散した。与野党は十二月十六日の投票日に向け、十以上の与野党が入り乱れ、事実上の選挙戦に突入している。
 総選挙は、日本を取り巻く内外の危機がいちだんと深まる中で行われる。衰退する米国は中国へのけん制を強め、東アジア情勢は緊迫し「波高し」である。
 危機の中、日米関係への態度、日中関係の打開策、経済政策を明確にすることが必要である。諸政党はとりわけ、国の独立をめぐる根本問題であいまいであってはならない。
 だが、野党各党は野田・民主党や安倍・自民党が掲げる対米従属政治に対する対抗軸を示せず、「イメージ選挙」に明け暮れている。
 わが党は、長期的戦略から、今回の総選挙に候補者を擁立せず、原則としてどの党派も支持しない。
 自民党が政権につくことが有力視されているが、安倍総裁の掲げる危険な政策との闘いに備えるときである。
 労働者階級は戦略的展望に立ち、広範で強力な国民運動の発展に力を尽くさなければならない。

各党はどんな政策を掲げているか
 野田首相は十一月十四日、突如、解散に言及した。首相は、自民・公明両党と八月に約束した「近いうちの解散」を引き延ばしてきたが、経済の悪化、参議院での問責決議などで追い込まれ、民主党からの相次ぐ離党、日本維新の会などいわゆる「第三極」の登場で政権が「死に体」化しつつあった。「やぶれかぶれ解散」などと言われるが、前原経済財政担当相などと示し合わせ、野党の不意をついて主導権を握ろうとしたのである。
 衆議院の解散で、各党は十二月四日の公示を待たず、事実上の選挙戦に突入した。今回の選挙には既成政党を含めて十以上の党が乱立、実ににぎやかである。
 いまだ公約を成文化していない党もあるが、出そろいつつある主要政党の政策はどのようなものか。


・民主党
 消費税増税を中心とする税と社会保障一体改革の推進、環太平洋経済連携協定(TPP)と日中韓自由貿易協定(FTA)の同時推進、二〇三〇年代までの原発ゼロ、地域主権改革(道州制)などを掲げている。外交では「現実的な外交防衛政策」を掲げているが、中身は、野田政権が進めてきた日米同盟「深化」である。
 自民党の掲げる公共事業の拡大や日銀法改正に反対、憲法改悪については自公の矛盾を突いて揺さぶろうとしている。また「世襲禁止」を打ち上げ、世襲候補の多い自民党を「古い政治」と呼んで有権者をひきつけようとしている。

・自民党
 外交・安全保障政策では、憲法改悪による自衛隊の「国防軍」への改組や集団的自衛権の行使容認、防衛費増額、尖閣諸島への公務員常駐、教科書検定における「近隣諸国条項」の見直しなどを掲げた。原子力発電所の再稼働、TPPへの参加でも踏み込み、まさに日米同盟「深化」路線そのものである。
 経済政策では、二%の「インフレ目標」に向けて日銀法改正も視野に入れた政府・日銀の連携強化、法人税の「大胆な引き下げ」、公共事業拡大などの景気対策を挙げた。さらに安倍総裁は、講演で「無制限の金融緩和」「日銀による建設国債引き受け」にまで言及している。

・国民の生活が第一
 小沢一郎率いる「国民の生活が第一」は、脱原発、消費税問題、地方分権の三つを掲げるだけで、国の進路、全体像に関する政策はほとんどない。民主党当時のマニフェスト(政権公約)と同様、票目当てのものである。小沢の増税「反対」も、要は「時期の問題」でしかなく、欺まんである。

注:この後、嘉田・滋賀県知事が結成する「日本未来の党」への合流を決めた。

・公明党
 「防災・減災」目的の公共事業、一〜二%の「インフレ目標」による金融政策、道州制、日米関係の「再構築」など、連立の協議対象とする自民党とすり合わせた内外政策となっている。自衛隊の「国防軍」化には「反対」としているが、自公政権下で繰り返されてきた、支持基盤を気にしての「平和」のポーズをまたも演じているのであろう。

・共産党
 脱原発やTPP反対などさまざまに掲げてはいるが、「安保破棄」は垂直離着陸機オスプレイの配備「反対」に続く付け足し的な意味しかなく、国の進路をめぐって民主党や自民党と正面から争うものではない。増税「反対」も掲げるが、支配層の宣伝する「財政再建」は前提として受け入れており、これでは闘えない。何より、大衆行動と結びつかない議会主義に展望はない。

・日本維新の会
 今回の総選挙で注目を集める、石原前都知事、橋下大阪市長らによる「維新の会」だが、防衛費増額や憲法改悪、TPP参加など、外交・安全保障政策は従来の自公政権や民主党政権とほぼ同じ対米従属政治で、その最右翼といえる。
 道州制などに加え、石原の「太陽の党」との合同に際して、欺まん的に掲げていた「原発ゼロ」を放棄し、財界の求める方向にいちだんと接近した。内政上の政策でも、「地方共有税」などを除いて自民党との違いはない


・みんなの党
 消費税増税の「凍結」、脱原発を掲げる点で維新の会と異なるが、外交など基本政策ではほぼ同じである。
 維新の会からは合流するよう秋波を送られる一方、対立も表面化しており、党の存続自身が不透明である


・社民党
 「脱原発」を最重視するようだが、国の進路や経済の再建など、国をどこに導くのか、国政上不可欠な包括的かつ長期的な戦略、政策がないのが致命的弱点である。右傾化に「反対」するのはよいとしても、対米、対中外交はどうするのか。対米関係の転換なしには、「脱原発」さえ実現できないはずである。
 又市副党首ら中央の一部は小沢らとともに「主権者国民連合」を結成、連携を深めているが、この道に未来はない


 野党各党は、政権党である民主党、それに次期政権を担うかもしれず、しかも政治的右傾化の中心勢力たる自民党、この二つの党の政策とどこが違うのか、これは必ず明確にすべきである。だが、実際には争点はあいまいで、各党は真の姿を隠して票を盗もうとしている。
 政治の打開を求める人びと、とりわけ先進的労働者は、「イメージ選挙」に惑わされず、複雑な政治情勢を分析して真の争点をつかんで、闘いの方向を見いださなければならない


世界の危機が深まる中で行われる総選挙
 前回、二〇〇九年八月の総選挙は、〇八年九月のリーマン・ショックを機に、世界が「百年に一度」という危機に襲われる中で行われたが、こんにちの危機はいちだんと深い。わが国の七〜九月期の経済成長率も、マイナスへと悪化した。
 十月に東京で開かれた国際通貨基金(IMF)年次総会であらわになったように、米国、欧州、中国など世界的な景気後退は鮮明で、諸国は「財政再建と成長の両立」と言わざるを得ない。
 各国で人民への犠牲の押しつけが強まり、欧州諸国を中心に労働組合のストライキなど階級闘争が激化、政治は不安定化している。
 諸国は金融緩和による通貨安、輸出拡大で経済再建を図っている。その激しさは「通貨戦争」と言われるほどで、とくにアジア市場をめぐる争奪が激化している。
 他方、十一月初旬にメキシコで行われた二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、先進国の緩和策によってインフレに見舞われている新興国の反発が噴出、何も合意できなかった。
 米国を中心とする帝国主義諸国とその他の国々の矛盾はいちだんと激化し、世界は戦争を含む乱世である。
 とくに米国は雇用問題が深刻で、国内総生産(GDP)の七割を占める個人消費の本格回復にはほど遠い。新たに量的緩和第三弾(QE3)でさらなる金融緩和に踏み込んだが、効果はない。来年には巨額の財政削減となる「財政の崖」が迫っている。
 米国は、経済・政治・軍事すべての面での「アジアシフト」を急速に進めている。再選後のオバマ大統領は真っ先にミャンマーを訪問するほどに焦りに駆られ、さらにTPPにアジア諸国を取り込もうと画策している。「航行の自由」を掲げ、南シナ海をめぐる協議にも介入している。
 これらの狙いは、アジアでの経済権益を確保して危機を打開すると同時に、台頭し、相互依存も深い中国へのけん制を強め、自らが主導する国際秩序に取り込むことである。衰退する米国は、軍事面も含め、わが国にいっそう役割を果たさせようとしている。
 南シナ海、尖閣諸島などめぐり、軍事を含む緊張が高まっている。アジアは「波高し」である。
 わが国経済の成長率がマイナスへと落ち込んだことは先に述べたが、以上に見る世界の経済と政治の状況は、「わが国を取り巻く国際環境」が、いかに厳しく深刻なものであるかを示している。リスクを避けようにも、その多くは「手の届かない」要因で動いてきたし、これからも動く。
 独立・自主、主権のある国家、政権が不可欠なゆえんで、そうでなければリスクの最小化あるいは避けようはないのである。


総選挙の真の争点は何か
 わが国はすでにマイナス成長に落ち込み、先行きもリスクは大きい。
 〇九年に民主党政権が誕生して以降も、長期不況に何らの積極的な打開策も見いだせなかったわが国経済は、世界経済のいちだんの減速、中でも第一の貿易相手である中国経済の減速でさらなる打撃を受けた。エコカー減税など政府による各種補助金も終了、内需も伸びない。需給ギャップは十五兆円にも達し、多国籍大企業、製造業だけでなく、サービス産業などあらゆる産業業種、中小資本規模まで海外展開を強めている。地方経済の疲弊(ひへい)は止まらない。
 労働者の失業率は四%台だが、職探しをあきらめた人を含めれば、実際の失業率は一二%以上とされる。とくに若者の失業率は公式統計でも一〇%近くで、職に就けても多くは派遣などの非正規である。電機を中心に無慈悲な大リストラは、深刻な雇用状況に追い打ちをかけている。平均賃金は十四年間も下落傾向で、今冬のボーナスは大企業でさえ減った。とりわけ中小企業の労働者、パートなど非正規労働者の懐の寒さは著しい。公務員労働者にも、急速な人員削減と非正規化、賃金カットが襲いかかっている。
 十月の中小企業の倒産は五カ月ぶりに増加、中でも、期限切れが近づく金融円滑化法関連の倒産が増加している。大銀行が中小企業の選別を強化しているためだが、来年三月に同法が切れれば、さらに多くの中小企業が資金難に直面、倒産件数は三倍に増えるとの試算もある。農民は農産物価格の下落に苦しみ、TPP参加で希望をもてない。
 三年余の間、鳩山、菅、野田と続いた民主党政権は、代を重ねるごとに、日米同盟「深化」、尖閣諸島や竹島問題を口実とする中国、アジア敵視など、対米従属、国民に犠牲を押しつける政治にいちだんと踏み込んだ。
 普天間代替基地の名護市辺野古への移設策動、米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイの配備容認、武器輸出三原則の実質的な撤廃、南スーダンなど海外派兵の強化、韓国・オーストラリアを含めた同盟強化と合同演習、南西諸島への自衛隊配備など、米国の戦略に追随する策動には際限がない。暴行、住居侵入など、米兵の度重なる蛮行にも抗議一つできない売国ぶりである。
 大銀行、大企業を助ける資産買い取りなどの金融政策を強め、海外展開を支援する「再生戦略」も進める一方、国民には消費税増税を押しつけ、社会保障制度を改悪した。TPP参加は、わが国農業に壊滅的打撃を与えるものでもある。
 東日本大震災、福島第一原子力発電所事故による被災者への対策は、遅々としており、住宅建設は半分以下のペースにとどまっている。
 民主党政権下、わが国はますます米国の世界戦略に縛り付けられた。中国との関係は国交回復以来最悪ともいえる状況になった。国民の生活と営業も困難さを増した。


 この深刻な情勢下での総選挙、わが国政は何を、あるいはどんな課題を打開して進むべきか、争点はどうあるべきか。
 「外交は内政の延長」と言われるように、国内の必要さで国外、国際関係は論じられ、調整あるいは打開される。国内の政治も経済も、外の世界と深く関わり、しかも作用し合っている。問題は、国内の諸階級、諸階層の生存の諸条件である諸産業・業種の経営、あるいは営業の諸条件、労働者の賃金などが、内政だけでなく外交とどんな関係にあるか、どの階級の利害を多く反映したものであるか、ということである。
 諸政党がこうした観点から、内外政治と経済での首尾一貫した政策を、しかも長期の戦略的視点で、国民大多数の利益を考慮して掲げているか、これが問われている。
 わが党は結党以来、独立・自主の旗を高く掲げてきた。とりわけ現情勢の中では喫緊の課題として第一番にそれを主張する。対中国政策一つをとっても、民主党、自民党はもちろん多くの党派が「まず日米同盟を強化あるいは深化…」と言っている。米国のアジア政策に加担し、寄り添ってしか外交ができない。安倍、石原などの右派政治家、論客は「美しい日本」を取り戻すとか独立・自主などと言うが、日米同盟の破棄とか、米軍基地のわが国全土からの撤去などは決して主張しない。こんな日本の政権、米国の軍事力とその対中戦略を背景にしての外交を、中国が隣国として「長く共存せざるを得ない日本」との真心からの外交とみなすだろうか。独立国家の意思とみなすだろうか。
 わが党は、自国人民と民族の中に独立・自主の力、自国の運命を握る力があると信じる。わが国一部の支配層は、一握りであるがゆえに、本質的に人民を恐れて他国の力を頼むのである。
 わが国経済、国民生活の打開も重大な争点である。
 安倍・自民党は大規模な金融緩和だけでなく、国債発行による需要創出で「デフレ脱却」を図ると唱えている。
 民主党、他の諸政党は、これにどのような政策を対置するのか。
 野田政権は、「財政再建」の名による消費税増税など、国民への犠牲の押しつけを続けようとしている。世界経済の僥倖(ぎょうこう)をあてにし、せいぜい予算の配分を少し変える程度である。これが効果がないことは、この間に証明済みである。
 野田政権・民主党と安倍・自民党の経済政策については、際立った政策論戦が必要で、両党の金融・財政・経済政策と同じか、反対か、反対ならどんな政策を提示するのか、深刻な世界経済、日本経済の危機下で展望は描けるのか、無責任な幻想を振りまいて良いのか。「消費税増税反対」等々のようなことで、危機脱出ができるような世界でも、日本でもないところに、こんにちの危機の深刻さがあるのだ。
 わが党は、国の独立と経済再建が重大な争点である、と主張する。
 とりわけ、諸政党は、国の独立をめぐる根本問題であいまいであってはならず、どんなに困難な道であっても、それを示すことが政党の責任である。リスクだらけの世界で、「自国の選択があってこその経済」である。その上で、消費税問題、エネルギー政策、憲法問題などでの態度が問われている。
 ところが、重大な情勢下での総選挙であるにもかかわらず、真の争点はごまかされ、眼前ではイメージ選挙が繰り広げられている。まさしく茶番である。

展望、労働運動にとって正念場
 わが党は長期的戦略とその展望ゆえに、今回の総選挙に候補者を擁立せず、どの党派も原則として支持しない。ただ、心ある政治家、勢力の努力には大いに注目しているし、わが党の戦略、国の未来にとって有益である限り、われわれなりの支援を行うし、前進も切に願っている。
 各種予想によれば、総選挙後、安倍・自民党を中心とする政権が誕生する可能性が高い。維新の会など「第三極」が第二勢力となるか、民主党が踏みとどまるか、あるいは「左派」の消長なども、以降の政局に影響を与えよう。
 安倍・自民党が政権につけば、憲法改悪や核武装の検討を含む策動を強めるだろう。すでに、アジアからは「日本の保守化が加速」(シンガポール・聯合早報)、「攻撃的軍事大国に進む」(韓国・中央日報)など、危ぐの声が上がっている。当然の反応である。
 安倍の掲げる政策とそのたどる道行きは、緩急は別として本質的には中国への敵視を強め、わが国をアジアでさらに孤立させ、戦争さえ招きかねない危険なものである。
 安倍・自民党の掲げる内政政策は、国民を塗炭の苦しみに突き落とし「格差社会」と言われる状況をつくった「小泉改革政治の継続」という面もあるが、従来の自公政権、民主党政権以上に「デフレ脱却」への「思い切った政策」を掲げてもいる。
 金融緩和は「通貨戦争」へのいちだんの参入でもあるが、これが直近では円安、株高につながり、財界はむろん、苦境にある中小企業経営者などに幻想を広げている。安倍はTPP参加に反対する農民を考慮しているかのように、「条件付き」を装ってもいる。
 これらの金融緩和と不況脱出策は、長期、短期の成否で評価も分かれ、具体的進行は複雑となろう。われわれは、政治状況の進行も複雑となりうることを考慮しておかなければならない。短期的にではあれ、闘いにくい局面となることもあり得るからである。
 これらの政策を行えば、銀行はますます濡れ手にアワの資金を得、マネーゲームで荒稼ぎできる。投機マネーが増えれば株式の売買が増えて株価も上がりやすくなり、投資家は喜ぶ。実際にインフレになれば、債務を抱える政府も企業も返済が目減りして大助かりである。当面の円安で、輸出企業も当面は潤うかもしれない。公共事業はゼネコンなどの大企業に恩恵だ。安倍の思惑通りなら、労働市場にも若干の影響はあろう。他方、インフレで労働者の給与やなけなしの預金は目減りする。国民にとっては収奪の強化となり、「格差」はいちだんと広がる。
 まさに、大銀行、大企業、投資家のための政策である。しかし、未曽有(みぞう)の危機の時代に大規模な金融緩和と財政支出による不況脱出策を行うことに、財界も不安があることを隠していない。ただでさえ危機的な財政状況がより深刻化して成長が維持できなくなれば、投機筋の攻撃で、わが国を新たな、より大きな危機に直面させる危険性が増大するからである。
 維新の会が果たそうとしている役割は、安倍らと同様に、財界、多国籍大企業が願う内外政治を実現することである。既成政党を批判することで、生活苦にあえぐ有権者の支持をかすめ取ろうとしているが、その手口は、「自民党をぶっ壊す」と叫んで自民党政権を延命させた小泉政権と同類である。
 石原が米国の保守系財団で「尖閣諸島購入」をぶち上げたことを見れば、この勢力の「国士」気取りはペテンで、日米同盟の枠を一歩も出ない、対米従属下の軍事大国化の「露払い役」とも言うべきである。
 粋がる安倍らだが、内外の危機はいよいよ深く、早晩、国民の反発に直面して立ち往生することは必定である。維新の会も、民主党と同様、遠からず馬脚をあらわすであろうし、すでにあらわしつつある。
 闘う勢力、労働運動にとって、いよいよ正念場である。先進的労働者は戦略的展望に立ち、野田政権と民主党に反対し、安倍らの掲げる内外政策を断固として打ち破らなければならない。
 労働者が国民諸階層を率いて、直接に政治権力を握らなければならない。そのためには、独立の旗を断固として掲げなければならない。

強力な国民運動こそ打開の道
 先進的労働者、心ある人びとに、ぜひとも思い起こしてほしいことがある。
 社民党の前身である社会党は、安保闘争直前の一九五八年には百六十六議席を有していた。冷戦崩壊直前の九〇年でさえ、百三十六議席あった。現在は、離党者もあって五議席と激減している。「議席倍増」を掲げる共産党も、現在九議席だが、七九年には三十九議席あった。
 わが国は明治以来四十五回、戦後だけで二十四回も総選挙を行った。参議院選挙を含めれば、国政選挙はさらに多い。四十六回目、戦後二十五回目の総選挙で、社民党・共産党は議席を増やせるのだろうか。
 熱心な党員・運動員諸君は、むなしさをおぼえないだろうか。「今度こそ増える」とがんばって、予想が外れると理由を探す。「党の分裂」とか、選挙制度改悪をはじめ「敵の攻撃」などといった言い訳は見つけるが、本当は理由にならない。それらを前提にしない闘いなど、あり得ないからである。
 議会での闘争は人民の闘争手段の一部でしかなく、大衆行動との結合があって初めて効果を発揮しうる。労働運動に確固として依拠し、農民や中小商工業者などの要求と結びついた、広範で強力な国民運動が必要なのである。
 安倍や石原らの掲げる道には、自民党など保守層、財界の一部からも危ぐの声が上がっている。広範な戦線を形成する条件はある。この点で、オスプレイ配備に反対し、保守層を含む「島ぐるみ」の闘いが発展している沖縄県民の闘いは、重要な教訓となろう。
 肝心なことは、労働運動が主導的役割を果たすことである。
 だが、連合中央の一部幹部は相も変わらず民主党を支え、「共同宣言」まで結んだ。「自民党よりまし」と、すでに国民の信を失った民主党への支持を合理化し、労働者をあてのない選挙運動に駆り立てている。連合中央の振りまく欺まんを打ち破らなければならない。


 社民党が真に政党として生きようとするなら、長期的展望を立て、どの階級に依拠して闘い、戦線を形成するのかを明確にすべきではないだろうか。
 小沢に追随して国会議員の生き残りを図る道には展望はない。自民党時代から「日米同盟が何よりも大事」と繰り返してきた小沢らが、国の独立の問題で対抗軸を提起できるはずもなく、その主張は徹頭徹尾の欺まんである。又市氏らは、意図的か無意識にかは知らないが、細川連立政権で小沢にさんざんに利用され、党が分裂した教訓を忘れたようである。
 小沢との連携は現場党員や支持者を裏切るもので、社民党にとって自殺行為である。一部有識者が「社民党は消滅」と書いているのも、理由がないことではない。
 われわれは、社民党、社会民主主義勢力が長期的展望の道に立って闘うことを希望し、以上のことを真剣に提案したい。


 わが党は、労働運動を発展させ、革命党建設を本格的に推し進め、時期を選んで国政選挙にも断固として登場する決意である。
 先進的労働者は労働党に結集し、ともに闘おう!


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