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2011年10月15日号 2面〜3面 

自治体労働者の皆さんに訴える

労働党神奈川県委員会

 以下は、労働党党神奈川県委員会(山本正治委員長)が十月七日、自治労県本部大会に際して発表したものである。神奈川県のみならず、全国の自治体労働者、公務員労働者などの闘いの参考になれば幸いである。


 今年の自治労県本部大会は、かつてなく重要な大会となった。非現業公務員の協約締結権付与(それすらまだ確かではないが)と「自律的労使関係制度」が目前に迫ったというだけではない。
 世界の資本主義に、リーマン危機を超える未曽有の危機、破局が迫り、各国では労働者人民の闘いが発展している。わが国は、東日本大震災と原発大災害の克服のメドも立たない中で、超円高と国内産業空洞化が急テンポで進んでいる。労働者の大失業時代が迫っている。国民には大増税時代である。震災と原発災害の被災者は放置され、「特区」など大企業の金もうけ計画と増税議論だけが先行している。政府は、復興を口実に公務員の賃金一〇%削減を策動している。
 闘わなくては文字通り生きていけない、そんな時代の始まりである。この十年を振り返るとき「公務員労働者も例外でない」、このことを皆さんは肌身で実感されているであろう。
 自治労・各単組を、文字通り労働組合として強化し、闘いを準備しなくてはならない。
 日本労働党は、皆さんの大会に心からの連帯の挨拶を送るとともに、闘いに備えて、団結の願いを込めて率直に問題を提起させていただく。

公務員労働者の2000年代は、「失われた十年」となった

 神奈川県下の地方公務員総数(教育と警察を除く)は、二〇〇〇年には八万五千百八十五人だったが、一〇年には七万一千八百七十九人と、十年間で一万三千三百七人、現業部門を中心に約一六%も大幅に削減された。市町村の一般行政職(教育、消防、公営企業会計を除く)では、〇五年から一〇年までの五年間で五千人余も削減された。
 公務職場には、一つとして不要な職はない。だから、公務員が削減された部分は非正規職員で埋め合わされ、あるいは外部に委託された。県内市町村財政決算の合計でみても、非正規職員の人件費は〇〇年から〇九年で約三二%も増加している。賃金単価は上がっていないので、この比率分だけ非正規職員数が増加したと見てよいだろう。年間二百万円にも満たない低賃金労働に置き換えられたのだ。
 そして公務員労働者の労働条件、とりわけ生活の基礎である賃金も大幅に切り下げられた。給料月額の全国平均でみて、〇二年から一〇年の間に一般行政職で二万一千七百三十五円(六・一%)、技能労務職で一万九十七円(三・一%)引き下げられた。横浜市や川崎市でみると、技能労務職の方が削減幅が大きく、しかも手当が集中的に廃止され、大幅な給与減となった。また、一般事務職では、年齢にしたがって削減幅は大きく、大ざっぱに全市町を平均してみると二十七歳では約一万円の賃金削減だが、三十五歳では約二万七千円、五十五歳では約四万五千円前後の削減となっている。これに、諸手当の大幅削減、期末・勤勉手当の約一カ月の削減などが重なる。
 〇〇年代は、公務員労働者の「失われた十年」となったと指摘したが、オーバーではないことが分かってもらえるであろう。
 なぜ、これほどの大合理化攻撃に直面して、労働組合がありながら、闘って跳ね返すことができなかったのか。職場には、長時間・過密労働、「心身を害する職員」などが激増、不満がうっ積しているにもかかわらずである。
 きちんとした総括が必要ではないだろうか。

「財政危機」キャンペーンを打ち破らなくては闘えない

 一九九八年、当時の岡崎県知事は、「赤字再建団体に転落すれば自治省(当時)の管理下になり財政自主権が貫けない」と、「県財政の危機」を宣言。川崎市の阿部市長は就任一年もたたない〇二年九月、「〇六年度には赤字団体、財政再建団体に転落してしまう」と危機感をあおり、市民と市職員労働者をどう喝した。その〇六年には、北海道夕張市の「財政破たん」が大々的にキャンペーンされた。
 どの自治体でも「財政再建」が最大の課題となり「行財政改革」が進められた。こうして、市民のための事業、施策が大幅に削られ、負担が押し付けられ、公務員数削減と賃金引き下げの攻撃が強まった。「財政再建」は必要との市民世論が形成された。「不祥事」等々の攻撃も加わった。「働かない」「賃金が高い」などのキャンペーンも強まった。残念ながら、労働組合もこの攻撃と十分には闘えなかった。
 大なり小なり「財政再建」攻撃を受け入れてしまった。それから十年余。
 県内どの自治体も、「財政再建団体」には転落しなかった。だが、今また「財政危機」があおられている。
 財政の、事実に基づいた総括が不可欠である。「財政危機」は本当か? 借金が増えたのは事実だが、何故か?誰の責任か?

90年代以後、国も地方も「金持ち大減税」、市民大多数には増税
 県内市町村の地方税収は、〇〇年代を通じて若干の上がり下がりはあるが、減ってはいない。決算データが発表され、リーマン危機で税収が落ち込んだ〇九年でも〇〇年水準を上回っている。もっとも、税収不足は地方交付税で補てんされるので、実際の財政運営が大きく影響を受けることはない。
 むしろ問題は、九〇年以後、それまで右肩上がりで順調に伸びてきた税収が停滞に変わったことである。それは、デフレというだけでない要因がある。国税も同じだが、減税が繰り返されたことである。国税では法人税や高額所得者の所得税、それに相続税が大幅に減税され、代わりに消費税が導入され、さらに税率も引き上げられた。
 地方では、住民税の「均等割」が九六年に二千円から二千五百円に、さらに〇四年に三千円へと相次いで引き上げられ、代わりに「所得割」の段階刻みが七段階から三段階にフラット化され(九五年)、最高税率もどんどん引き下げられた。しかも、特別減税、定率減税が毎年のように実施された。
 国税の消費税と住民税の均等割の増税で貧困層には増税で、金持ちや大企業には大減税。この結果、国の税収は大幅に減り、財政赤字増の最大の要因となる。地方では、税収は大幅減とはならなかったが、低迷し、財政運営は大きな制約を受けた。
 デフレの九〇年代以後、露骨な金持ち優遇で、貧困層に冷たい政治が国でも地方でもやられたのだ。

国から地方への財政赤字の転嫁
 地方自治体歳入のもう一つの柱である地方交付税や国庫支出金など国からの歳入が、「三位一体改革」で減らされた。県内では地方交付税不交付団体も多く(最近は交付団体が増えたが)、また、国庫支出金は県と政令市、一般市等で違いがあるので、県内自治体を一括しては扱いにくい。この項は、国の全体の予算で見る。
 本来的に地方固有の財源である「地方交付税」は、大幅に削減された(九九年に二十兆九千億円だったが、〇七年には十五兆二千億円)。法律で決められている「義務教育職員給与費」や「公共事業費」などの負担金、補助金が大幅に削減され、国庫支出金の全体が大幅に減った(九九年十三兆二千億円が、〇八年十兆八百億円にまで減少。一一年度は十二兆二千億円となった。これには新たな支出金である「子ども手当交付金」の二兆円余、および「公立高等学校授業料不徴収交付金及び高等学校等就学支援金交付金」三千八百六十七億円が含まれる)。
 また、国が責任をもっている地方交付税の財源が不足し、臨時財政対策債や減収補てん債などの発行が激増、地方債残高が増え、財政を圧迫している。地方が犠牲になった。


急増した公共事業で「一部勢力」だけが大もうけ
 歳出では、少子高齢化と不安定雇用労働者・貧困層の増加などによる扶助費などで財政需要は増大。これは当然にも自治体がやらなくてはならない仕事である。借金しても市民生活を守る必要があるが、財政を圧迫している。
 歳出面での大きな問題は、九〇年代に地方債発行額が激増(ほぼ三倍増!)し、それにともなって元利払いのための公債費が激増したことである。これが自治体財政を大きく圧迫し、いまもその状況が続いている(さらに〇〇年代になると、臨時財政対策債や補てん債などが上乗せされた)。
 九〇年から地方債が大量発行され、普通建設事業、それも地方の「単独事業」が激増している。県では「湘南国際村」や「MM(横浜みなとみらい)21」などに、横浜市ではMM21他の六大事業に、川崎市でも港湾と関連事業などに集中的に投資された。MM21の三菱資本や東急電鉄など大手資本が大いに潤ったし、建設事業を受注した大手建設会社も潤った。地場・下請の建設会社などには仕事も回ったが、下請で搾り取られもした。
 自治体とその首長を背後で牛耳る、地域経済での支配的な勢力が、さんざん地方財政を食い物にしたのだ。また、市債発行を「引き受けた」横浜銀行など、地域の金融機関も潤った。そのツケが自治体財政を圧迫し、市民生活と公務員に困難を強いている。
 この構造は、いまも変わっていない。〇〇年代には普通建設事業を拡大した自治体もあれば、大幅に減らした自治体もある。やり方はさまざまで、同じ金額の道路事業でも、その道路を「どこに通すか」で利害関係はガラリと変わる。また、松沢前知事は「インベスト神奈川」政策と称して日産自動車に百二十億円余、武田薬品に八十億円など計数百億円を助成し、替わった黒岩知事もその政策を継承している。
 「地域経済での支配的な勢力が、さんざん地方財政を食い物に」という基本的性格は変わらない。


地方政治にも、階級利害対立が鮮明に存在する
 この利害関係こそ、自治体政治の本質問題である。
 高度成長期にはあいまいにでき、隠されていたこの利害対立は、経済困難、財政困難と共に赤裸々となっている。労働者と労働組合はこの問題から目をそらしてはならない。国政ももちろんだが、地方自治体、その政治をめぐっても、「誰のための政治か」という問題が決定的である。
 犠牲となっている市民とともに、一部勢力のための自治体政治を打ち破らなくてはならない。労働組合は、市民大多数と手を握り、首長を取り替えなくてはならない。
 「地方政治には敵も味方もない。保守も革新もない」といった考え方がまん延している。不満はあっても、選挙でこうした首長を無批判に支持する労働組合も多い。民主党が推薦したなどという事情があるにしても、これでは、市民と公務員労働者を犠牲にする地方政治と闘えないのは当然である。
 こうした考え方、態度は、労働者と市民大多数の利害問題をあいまいにし、一部勢力の利益のための地方政治を行う首長、自治体当局を喜ばし、助けるものである。こうした考え方を打ち破り、自治体労働者の中から一掃しなくては闘えない。
 とりわけ神奈川県政を、労働組合が中心となって、日産など一握りの大企業が潤う県政から、県民大多数の県政に取り替えるための県民戦線を形成しなくてはならない。
 「財政再建」というのであれば、誰がまず第一に「負担」すべきか。市民や地方公務員でないことは明らかである。
 もうけた奴に払わせろ! これ以外にない。「インベスト神奈川」をとり止めるだけで、六百七十億円もの財政赤字がなくなるのだ!

地方は、対米従属・財界中心の国家の財政危機を押し付けられた

 地域では、一部の企業だけが潤った。だが同時に、地方自治体は国の悪政のツケを押し付けられたのである。
 すでに触れたが、地方の「財政危機」の原因は、九〇年代に膨れ上がった借金、地方債発行にある。
 その直接的契機は、九一年に妥結した「日米構造協議」での公共投資拡大をはじめとする対米公約とそれに基づく「公共投資基本計画」にあった。


米国が要求した「東京臨海部開発」や 「東京湾横断道路」など公共事業
 日米構造協議は、冷戦終えんと日本が世界最大の債権国、米国が債務国という経済的関係の中で、米国が日本の構造改革、内需拡大や市場開放を迫ったものである。その中心に、公共投資の大幅増額による内需拡大要求があった。米国は長期計画の策定まで要求、東京湾横断道路、東京臨海部開発などを対象にあげ、実現を迫った。県や横浜市、川崎市が進めた公共事業は、まさにそのものだった。また、この構造協議で米国は、大店法改悪、さらに都市・建築関係規制緩和など、一連の市場開放、規制緩和要求を強めた。
 自民党の売国政権は、米国の不当な内政干渉に屈服した。多国籍に展開し、米国市場を中心に稼いでいたわが国巨大企業もこれを後押しし、米国の思いのままに交渉は妥結した。この対米公約を受けて、海部政権時に当初十年で四百三十兆円、さらに村山政権時に六百三十兆円と増額された「公共投資基本計画」が策定され、実施された。
 しかも、中央財政の悪化に直面した政府は、地方財政をこの公共投資に意図的に動員した。道路整備事業など国の指定する特別事業で地方債の特例枠が認められ、返済は地方交付税を使って優遇されるなど、数々の誘導策で地方単独事業が奨励された。
 地方の支配層は、この時期、政府の誘導策に積極的に呼応し、ゼネコンなどとも結びついて、野放図な地方債発行に頼った公共事業を積み上げた。これこそ地方財政危機の根源である。すでに触れたが、結構な額の事業がその後も積み重なっている。
 だから、こんにちの財政危機なるものは、天災など自然現象や少子高齢化などの社会現象によって、抗しがたく生まれたものではない。根源には売国政権による対米追随の政治がある。しかも、この過程で米国に付き従う売国奴どもは、国と地方の財政を食い物にして肥え太ったのである。国債や地方債を受け入れている銀行にすれば、確実な債務者から手堅く利子が転がり込むわけで、こんな有利な商売はない。
 地域住民や自治体労働者には借金の責任はなく、いわんやその負担を押し付けられる何の根拠もない。これをまず明確にしなければならない。


米国に追随し、「構造改革」で地方に犠牲を転嫁
 九〇年代のバブル崩壊とデフレ時代以後、とくに、〇〇年前後から、非正規労働者が激増、賃金は上がらなくなったが、公務員も例外でなかった。「失われた十年」となった。
 小泉政権は、財界の意向に添って「安上がり、強靱(きょうじん)な行政組織」をめざして「構造改革」を進めた。財界が日本経団連に統合され、トヨタの奥田会長を加えて経済財政諮問会議がつくられ、政治を牛耳った。「構造改革」と「国家財政の危機」がキャンペーンされた。国の借金を地方自治体に付け替える攻撃を強め、「平成の大合併」「三位一体改革」が強行された。
 すでにいくらか触れたが、九〇年代以来の大企業・カネ持ち減税のツケ、バブル崩壊後に「三つの過剰(設備、負債、雇用)」を処理するため大企業・銀行に財政を注ぎ込んだツケ、銀行が国債を買って大もうけしたツケ、これらをどこかに押し付けなくてはならなかった。これが、政府の「財政危機」である。増税が政治的に容易でないもとで、政府は地方にツケ回しした。


国の完全独立の達成と地方政治の前進は切り離せない
 しかも小泉政権は、数十兆円もの短期国債を発行し、ドル買いの為替介入した。円高対策ということで、トヨタなど輸出大企業もなにがしか助かったかもしれない。だが、確かなことは、手にしたドルで米国債を購入し、米国を助けたことであった。
 財政危機をキャンペーンし、地方に犠牲を転嫁する政府が、米国を助けるためには巨額の国債を発行する。ここにこそ、わが国政権の真の性格があらわれている。
 民主党政権になっても、その真の性格は変わらない。菅政権は、就任直後にも、そして退陣直前の八月には四・五兆円ものドル買い介入・米国支援を行った。震災復興財源では十兆円の財源探しも容易でなく迷走を続けた政権にもかかわらずだ。野田政権は、その介入資金枠を百六十五兆円に十兆円も増やす決定を、就任直後に行った。米国に対しては、まことに気前のよい「売国政権」だ!
 しかも野田政権は、大震災復興も口実にして、地方交付税削減や公務員賃金引き下げなどの地方自治体への攻撃と大増税の準備を進めている。断じて許してはならない。
 国の完全独立なしには、地方政治を前進させ、地域住民と自治体労働者の生活を守ることもできない!
 だから、国の政治の根本課題、国の完全独立の達成について、明確な認識、態度なしに闘いを前進させることは不可能である。「福祉社会」とか、ましてや「脱原発」などの政治方向では真の敵と闘えず、広範な勢力の結集をできず、「福祉社会」や「脱原発」すら達成できないのである。


財界中心の売国政権、野田政権と闘う地方の壮大な戦線形成を
 財政危機の責任は米帝国主義と売国政府、さらに国を捨てて米国市場と世界で大もうけを続けている財界の主流、多国籍大企業とその頭目どもに負わせなければならない。
 小泉「構造改革」に対して、全国知事会や市長会、町村長会など地方自治体団体も一定の抵抗を試みた。地方では支配層の一員であるこうした首長の抵抗は、自治労など労働運動にとって非常に有利である。地方では、いくつかの県で自治労なども共同して大規模に闘った。これは重要な経験である。
 地方自治体は、首長や議会を公選し、財政ももち、条例制定もできるなど、独立性もあるが、同時に国家権力機構の末端の執行機関でもある。「三割自治」と以前に言われたが、実態は「一割」もあるか。「財政自主権がなくなる」などと、首長は労働者をどう喝するが、「そんなに自主権がありますか?」と聞かなくてはならない。民主党政権は「地域主権改革」などというが、実態は変わらない。
 その首長の限界を、労働者は見抜かなくてはならない。あくまで首長が抵抗しようとすると、三位一体改革や大型店の出店規制、何よりも福島原発の危険性を摘発した佐藤栄作久前福島県知事が、見せしめで「収賄罪」攻撃を受けたような仕打ちを覚悟しなくてはならない。
 自治労など労働組合が、地域住民への犠牲転嫁に反対するとともに、民主党政権の地方への犠牲転嫁に反対する広範な戦線形成のため奮闘しなくてはならない。労働組合の強力な闘いだけが、佐藤前知事に代表される地方首長の「決起」を生かすことができる。その時が近づいている!

世界は破局に! 闘わなくては労働者は生きていけない時代に

 大恐慌と戦争につながった三〇年代の危機を想起させたリーマン危機を、各国支配層は国際協調で、何十兆ドルもの札を刷り銀行に注ぎ込み金融システム崩壊をくい止め、財政もやはり何十兆ドルもの国債を発行し経済の底割れをくい止めた。だが、そのツケが、いま重く各国財政と金融を破たんに追い込んでいる。
 米国もギリシャなど西欧諸国も財政は破たん状況だ。財政のたれ流しが止まったら、すぐに景気は「二番底」の危機。じゃぶじゃぶと注ぎ込まれた「過剰資金」で、中国など新興国も、米国も、今度はインフレで貧困層の生活は大変だ。
 「アラブの春」に始まって、英国など西欧でも、中国でも、労働者人民の抗議行動が高まっている。ついに米国ウオール街でも反乱が始まった!


各国で国内矛盾が激化、闘いが発展
 各国支配層・政府は、「国益第一」で国際協調は崩れ、二十カ国・地域(G20)首脳会議などと会議をやっても何も決まらず、「合意」したふりをするのが精いっぱい。米国がドル安政策を進めるように、「通貨戦争」「貿易戦争」の世界になってきた。米国など主要各国の銀行を頂点に、金融資本が危機を押しつけ合い、生き延びようと血道を上げている。連中は、平気で戦争でも引き起こす!
 負けた国は、ギリシャのように国内の労働者に押し付ける以外にない。西欧諸国では戦後に労働者が闘い取った生活条件、権利が根こそぎ奪われようとしている。ギリシャ支援の分担要求に、各国で「なぜ、ドイツやフランスの銀行のためにわれわれが犠牲にならなくてはならないのだ!」と、労働者人民が激しく闘っている。当然だ!
 中国やインドなど、BRICS諸国は、米帝国主義の危機の転嫁に反対し、ドルに代わる通貨制度をめざして動き始めた。これも当然だ!
 世界は、米国を先頭とする帝国主義が大きく後退・衰退し、帝国主義に反対する勢力が大前進する、政変や革命が相次ぐ大激動の時代となった。


対米追随の民主党政権、化けの皮は剥(は)がれた
 この世界で、民主党政権の日本だが、自国の利益のための政治がない。先日の野田首相の訪米では、米国財政と経済を支えるためドル安円高を受け入れ、四・五兆ドルも米国債を購入し、米国中心(すなわち中国の抑え込みだ!)のアジア太平洋(ドル支配)のために環太平洋経済連携協定(TPP)推進を合意した。農業だけでなく、医療も公共事業など建設も、投資も、すべての分野で「国境なし」となって、国民経済は崩壊する。
 安全保障では、普天間基地の県内移設強化など中国・アジア敵対の軍備増強、沖縄などへの自衛隊ミサイルや艦船配備促進。これからの世界で、中国などアジア諸国を敵視してわが国がやっていけるのか。米国にどう喝され動揺し崩壊したが鳩山政権は「東アジア共同体」を掲げた。掲げたのも崩壊も、ある種必然だった。いまこそ、それを貫く戦略と力のある労働者階級中心の強力な政権が必要だ。
 大企業は国を捨て、いっせいに海外展開を強めている。野田政権は一千億ドル準備して、企業の国際展開を支援する。これでは空洞化対策ではなく「空洞化促進」政策だ。
 対米従属で、大企業中心の、この民主党政権の下では、国内経済は空洞化。大失業と大増税時代が避けられない。地方にも、押しつけが強まる。
 自民党以上に自民党的な野田政権を、労働組合の連合が支えるのは労働者への裏切りだ。
 自治労など先進的労働組合は、経済空洞化で危機的状況にある国民各層と連携し壮大な戦線を形成し闘おう! TPP問題などでは、JA全中も日本医師会も、各層が立ち上がっている。闘いを前進させるチャンスだ!


闘いの時が迫った!
 経済を空洞化させ国民大多数を犠牲にする財界中心の対米従属政権、野田政権を打ち倒し、独立自主でアジアの平和・共生、国民生活と国民経済を発展させる政治を実現しよう!
 神奈川県政を県民大多数の県政へ、労働組合は広範な県民の先頭に立ち、県政奪取を闘う戦線を構築しよう!
 労働者は自らの政党を選び、強化し、破局に備えよう! 日本労働党への結集を呼びかける。


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