ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

2010年12月15日号 2面・社説 

茨城県議選大敗、
支持率急落の菅政権

売国政権の悪あがき許さず、
退陣を要求する

 茨城県議選が十二月十二日、投開票された。
 来年の統一地方選挙、さらに総選挙を占うものとして与野党とも力を入れ、全国的にも注目された選挙戦であった。民主党は推薦を含め二十四人の候補を擁立、執行部は「半数以上の当選は当たり前」と意気込んで臨んだものの、当選は現有と同じ六議席という惨敗であった。
 民主党は七月の参議院選挙以来、衆議院北海道五区補選、福岡市長選、和歌山県知事選などの地方選挙で連敗。「党自体が信用されなくなっている」との声もあるほど、国民から見捨てられている。
 菅政権は、衰退する米国の悪あがきに加担する亡国の道を歩んでいる。深刻さを増す国民の生活と営業も打開できない。補正予算案は何とか成立させ、日銀にはさらなる金融緩和を行わせたものの、効果はない。
 菅政権への支持率は二割そこそこにまで落ち、成立して半年、早くも末期症状を呈している。
 民主党執行部は、小沢前幹事長の国会招致と「離党勧告」で政権浮揚を図ろうとあえいでいる。小沢グループは反発を強め、「離党も辞さず」「大連立」などと騒ぎ、党内は混乱のきわみである。
 わが国の抱える内外の危機は深い。衰退する米国に加担し、多国籍大企業のために国民犠牲を進める菅・民主党政権の命運は、すでに尽きた。
 菅・民主党政権は、即刻退陣すべきである。
 連合中央幹部は、なおも菅政権への幻想をあおる犯罪的役割を演じている。
 再度、与党化しようとする社民党中央の態度は、地方・現場党員はもちろん、国民への裏切りである。
 核心問題は、国民大多数が政権を握ることである。これは、労働者階級の任務である。

衰退する米帝国主義の悪あがき
 米帝国主義は、国際競争力を失いながら、基軸通貨・ドルの特権と金融グローバリズムで食いつないできたが、国際的不均衡を極度に拡大させ、リーマン・ショックで破たんした。
 膨大な公的資金投入などの対策でも危機は落ち着かず、オバマ政権に対する国民の不満は高まっている。オバマは「輸出倍増計画」、とくにアジアへの輸出による雇用増加で、危機打開を狙っている。空前の量的緩和による「ドル安政策」にも踏み込んだ。
 米日韓同盟による朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への圧迫、中国への人民元改革要求などは、米国がアジアに介入するための悪あがきである。
 だが、アフガニスタン、イラク、イランと同様、この策動もうまくいっていない。逆に、二十カ国・地域(G20)首脳会合などでは、新興国や欧州諸国が量的緩和政策に批判を強め、孤立を深めている。
 米帝国主義の歴史的衰退は、ますます急速である。


米国の「火遊び」に加担する菅政権
 菅政権はアジアへの介入を強める米国に加担し、米韓との合同軍事演習と挑発を繰り返し、中国や朝鮮への敵視とけん制を強め、東北アジアの緊張を極度に激化させ、瀬戸際政策に踏み込んだ。「邦人救出」を口実とする有事態勢づくりにも乗り出した。
 これらは、来春に策定される予定の、日米両国による新たな「共通戦略目標」を軸とする日米安保条約「深化」と言われるものの実態である。米国の世界戦略をいっそう支える道に、すでに具体的に踏み出した。これはアジアを敵視し、沖縄県民にさらなる基地負担を押し付け、在日米軍再編で日本全土を出撃拠点化する亡国の道である。
 海外派兵、武器輸出、自衛隊の新たな展開、排外主義もあおっている。非人道的な朝鮮への制裁を継続し、朝鮮学校への無償化手続き停止まで行った。
 さらに、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加意思を表明した。
 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件、北方領土問題など、民族の利益にかかわる問題で断固たる態度を取っていない。
 このように、菅・民主党政権は対米追随で多国籍大企業のために働くことはあっても、民族の運命を切り開き、戦争に反対して平和を守る国の進路ではまったく戦略がない。国民にとって、まことに危うい政権である。

国民犠牲、大企業に奉仕する菅政権
 何より、多国籍大企業の代理人である菅政権には、国民生活の深刻な現状を解決することはできない。
 官製統計で約三百四十万人、五・一%とされる完全失業者は、リーマン・ショック以降、約八十万人も増えた。現実の失業者数は、一千万人近い。秋からの円高を口実に、大企業は雇用情勢をさらに悪化させており、ハローワークには求人がない。大学生でさえ四割以上に職に就けない、過去最悪の状況である。
 労働者は、その四人に一人以上、約一千百万人が年収二百万円以下という貧困状態である。給料は十年以上も上がらず、労働条件はいっそう悪化、不当労働行為も増えている。正社員でありながら、副業をしなければ生活できない労働者が増加の一途にある。「時給千円」の公約はすでに棚上げされ、ますますアジアの労働者と低賃金を競わされる。
 農機具や肥料価格が値上がりする一方、米価は低下し、農民の経営はますます成り立たない。民主党政権による戸別所得補償制度は、営農の「保証」にならず、しかも大規模農家優遇である。TPPで農産物が完全自由化されれば、日本農業は壊滅である。
 中小零細企業の倒産は、負債総額が一千万円超だけで、年間一万三千件以上もある。営業をあきらめざるを得ず、廃業を選ぶ零細企業はさらに多い。大企業からのコストダウン要求はますます過酷である。大銀行は中小零細企業を見捨てている。
 菅政権は、国民には各種控除の廃止やたばこ税など、増税を押しつけている。消費税増税も策動されている。健康・介護保険料負担などの負担もますます増える。
 一方、財界が要求し、菅政権が策定した「新成長戦略」は、大企業には法人税減税などで優遇している。海外、とくにアジアへのインフラ輸出では、閣僚は大企業のセールスマンと化した。

支持を失った菅政権は退陣せよ
 わが党は、国民の支持を失った菅政権の退陣を要求する。内外の危機が深まる中、打開策もなく行き詰まった菅政権が退陣すれば、国民多数には大歓迎である。
 菅政権の悪あがき、首のすげ替えによる延命策、小沢グループの「分裂」の脅しや「大連立」策動にも展望はない。
 この期に及んで、なおも菅・民主党政権を擁護し、幻想をあおる連合中央幹部の果たしている役割は犯罪的で、打ち破らなければならない。連合だけでなく、「左」の一部にもある「福祉国家論」にも展望はない。大企業が握る政権を倒さない限り、問題は解決しない。
 社民党の動きも奇妙なものである。社民党中央は苦境の民主党から秋波を送られ、野党で唯一、仙谷官房長官の問責決議に反対した。朝鮮非難決議にも賛成している。「与党」と言ってもよいこの態度は、闘おうとする国民への裏切りである。破産しつつある民主党の道連れになるつもりだろうか。地方や現場活動家、労働運動の心ある人びともそう言っている。
 幻想を捨て、日米安保条約破棄を掲げ、全土からの米軍基地撤去と生活防衛の闘いを前進させなければならない。まず、目前の菅政権を追いつめ打倒しなればならない。
 問題の核心は、国民大多数が国の命運を握ることである。
 これは、先進的労働者の任務である。わが党は、このことを繰り返し訴える


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2010