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2010年6月5日号 2面・社説 

鳩山政権の崩壊について

 1
 鳩山首相は六月二日、民主党両院議員総会で辞意を表明、自ら政権を投げ出した。
 首相と党幹事長という政権中枢の自民党と変わらぬ金権体質の暴露、相次ぐ政権公約(マニフェスト)破り、普天間基地(沖縄県宜野湾市)移設問題での迷走と裏切りなど、国民の鳩山政権への失望と怒りは極限にまで高まっていた。
 当然にも、参議院選挙を控えて、内閣支持率は「危機ライン」を大幅に下回った。社民党の離脱による三党連立の破たんと、このままでは選挙を闘えないという民主党内からの圧力が鳩山を追い詰めた。
 鳩山と小沢の同時辞任で「クリーン」を演出しようとしているが、欺まんが効果を上げる保証は全くない。
 問題は「鳩山の失政」にとどまらない。

 2
 九カ月前の総選挙で、国民の多くが、自公政権への怒りを民主党に託し、民主党中心の鳩山連立政権が成立した。
 しかしそれから八カ月余。新政権、民主党の暴露は早かった。
 普天間移設問題を焦点に、迷走する対アジア外交など、対米従属の外交・安全保障政策の限界と欺まんは明白になった。内政でも、労働者や中小企業、農民、あるいは地方を犠牲にし、大銀行や一握りの大企業の競争力強化だけをめざす「成長戦略」の方向が明らかとなってきた。「事業仕分け」など、人気取りのためのパフォーマンスの一方で、高速道路無料化など公約は財源不足を口実に次々に反故(ほご)にされた。選挙目当てに実施を急いだ「子ども手当」の満額支給も保証の限りではない。消費税増税も公然と準備されるなど、国民犠牲の政治の本質は明確となった。
 自民党政治と変わらぬ、財界中心で対米従属、売国、国民犠牲の政治が行き詰まったのである。だから、誰が後釜にすわろうが、この政治を引き継ぐ限り、政権の末路は見えている。大銀行を頂点にする国家金融独占体として「覇権的利潤追求の内外政治」を運命づけられているからで、国民多数との矛盾、対立は激化せざるを得ないからである。

 3
 民主党や連合中央幹部は、「連立政権の改革の方向は間違っていなかった」などと強弁するが、参院選では「福祉社会」などまったく実感できない国民の、厳しい審判にさらされるであろう。
 社民党は、普天間移設問題を契機に連立離脱した。遅きに失したにしても、鳩山政権への幻想から目覚めたことは結構と言うほかない。だが日米安保体制にさわらぬままで普天間移設問題を解決できないことは、この八カ月の経験でも明白である。
 何よりも鳩山政権の問題は普天間移設問題にとどまらない。社民党は、この政治局面でなにがしかの積極的役割を果たそうとすれば、財界の党である民主党についての評価と態度を明確に正すことが求められている。民主党への幻想をあおってはならない。
 全国の労働運動の先進的活動家はそれを望んでいるであろう。
 建設的野党、「是々非々」などと言って、事実上民主党の尻押しをしてきた共産党も、その責任が問われる。


 
 わが党はすでに鳩山政権打倒を呼びかけて闘ってきたが、今後とも、民主党主導の連立政権を暴露し、打ち破り、労働者階級を中心とする国民多数のための政権を樹立するために奮闘する。
 とりわけ日米安保破棄の強力な国民世論形成に力を注ぎ、広範な国民の連合を促進する。


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