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2010年3月5日号 2面・社説 

強まる消費税増税策動を
打ち破ろう

 政府の税制調査会は二月二十四日、専門家委員会(委員長=神野・関西学院大学教授)の初会合を開き、所得税や消費税、法人税など税制全般についての議論をスタートさせた。また、鳩山首相は三月一日、年金改革のための関係閣僚会議を三月中に設置することを指示した。消費税増税の論議を深める狙いである。
 これに先立ち、菅財務相は増税論議の前倒しを表明、仙谷国家戦略担当相らも同調している。まさに、増税論議は「花盛り」で、政府が六月にまとめる「中期財政フレーム」(二〇一一年度から三年間の予算を管理するもの)や「財政運営戦略」に、消費税増税が盛り込まれる可能性が高まっている。
 民主党の総選挙時のマニフェスト(政権公約)で「四年間は消費税率を引き上げない」とし、与党三党の政権合意も同様であった。しかし鳩山政権は早くもこれを反故(ほご)にしようとしている。一〇年度予算における控除廃止に続く、本格的な増税への踏み込みである。
 この背景には、鳩山政権がのっぴきならない危機に追い込まれ、「公約を守っていられない」状況に陥ったことがある。
 鳩山政権は「生活が第一」を掲げ、子ども手当や高校無償化、農家への戸別所得補償、高速道路無料化、ガソリン税暫定税率廃止など、さまざまな公約を掲げ、有権者をひきつけた。しかし、そのスローガンは欺まんで、公約のすべてを実現することはもともと不可能なものだった。実際、深まる経済危機に伴い税収は大幅に減少、増税の地ならしを狙った事業仕分けによる「ムダ排除」も限界で、いくつかの公約は見送りに追い込まれるか後退した。
 それでも、一〇年度予算は四十四兆円規模という空前の赤字国債の発行に踏み切らざるを得なかった。政府と自治体の累積赤字は国内総生産(GDP)の二倍に達しようとしている。「埋蔵金」などのあても乏しく、大企業は国内を顧みず、税収が増える見込みはない。一一年度予算は財源のメドさえ立たない。仮に、さらなる激動がわが国を襲えば、政府がとれる手段はきわめて限られている。欧州、ギリシャの財政危機は「他人事」ではなく、わが国の国債価格急落の危機さえささやかれ始めている。
 この危機が鳩山政権を消費税増税へと駆り立てているのである。
 消費税増税の動きが始まったことに対し、財界は「消費税を議論する機運が高まってきたことを歓迎する」(御手洗・日本経団連会長)と大喜びである。
 日本経団連は〇二年、「奥田ビジョン」で消費税率一六%を打ち出すなど、消費税増税は、財界のかねてからの願いであった。
 財界は激化する国際競争に勝ち抜くため、税や社会保障などの企業負担の軽減を求めている。これまでも、企業の納める法人税は消費税導入・増税に伴って引き下げられてきた。財界は厚かましくもさらなる負担減を求め、その穴埋めとして消費税増税を要求しているのである。鳩山政権の策動はこの財界の意に沿ったものでもある。
 高い支持率を誇った鳩山政権だが、内外の危機の前に自己暴露を早め、多国籍大企業のための政権であることはますます明白になってきている。
 労働者・国民の日々の暮らしをいっそう苦難に陥れる大増税を許してはならない。消費税は、低所得者ほど負担が重い上、子どもや年金生活者も税を搾り取られる。「福祉目的」などというのは詭弁(きべん)で、断固たる闘いで打ち破る以外にない。
 増税策動が強まっている事態に際し、社民党はどうするのか。かつて社会党は、「消費税反対」の国民運動の中心として闘い、選挙でも前進した経験がある。今こそ闘うべきである。現場党員と労働者はそれを望んでいるのではないか。
 労働者・労働組合は、増税策動と闘う国民運動の先頭に立とう。


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