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2010年1月2日5号 1面〜7面 

労働党
新春講演会・旗開き盛会

大隈議長が断固たる訴え

 日本労働党中央委員会は一月十日、新春講演会・旗開きを東京で開催した。会場には、友党や労働組合、諸団体などからの多数の来賓、友人、党員が参加した。大隈鉄二・党中央委員会議長が講演、世界資本主義の危機の現状、鳩山政権の性格や展望、党の課題などについて熱烈に訴えた。続く旗開きでは、多くの来賓が連帯のあいさつを述べ、党員の決意表明と併せ、闘いと団結を誓った。以下、大隈議長の講演要旨を、編集部の責任において掲載する。講演の全文は、別の機会に発表される予定である。



大隈鉄二議長の講演(要旨)

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 また、ご列席の来賓の方々、祝電・メッセージなどをいただいた皆さんに、お礼を申し上げます。
 今日は、わが党員もおりますが、友人、先輩の方もいらっしゃいます。改めて、新年のあいさつと感謝の気持ちをあらわしたいと思います。


 恒例ですので、この新年から見て、過ぎた一年はどうだったのか、これから先、どんなふうに情勢が移り変わるだろうか、というようなことについて、われわれが見ているところを話すことにします。また、労働党がこれからどう闘うかというようなことも、少し話してみたいと思います。

 情勢を話すだけでなく、その情勢についてのいろいろな見解を、布団でいえば少し引きはがして、実態を話せばよいのかな、ということですね。そんな試みをこれまでもやってきましたが、今回は情勢が複雑ですので、いっそうそうしてみたい。

過ぎた1年ーー概括的に

●金融や経済の危機

どの時期から振り返ればよいのか
 過ぎた一年ですが、今、考えてみると、どこからを「過ぎた一年」というのかということは、簡単ではない。
 この情勢、米国発の金融危機が起こり、実体経済が世界同時不況となって、各国の中央銀行と政府のカネで金融機関もとりあえず維持され、実体経済の不況も公的資金で維持されるが、失業者も急増するという大騒動になった、そういう情勢がいつ始まったかというと、暦の通りの、二〇〇九年正月からとはいかない。
 少なくともサブプライムローンが問題になって、バブルで世界経済がもつような形が〇七年八月に崩れた。あれは、フランスの金融機関、BNPパリバから顕在化したわけです。そこからこの危機、この世界情勢は始まった。

米国発の金融危機、簡単にその経過
 そこから始まって、〇八年九月のリーマン・ショックまでが一つの期間です。過ぎた一年とは、いわばこの時期からですね。
 その後、昨年四月ぐらいまでが、その次の時期。リーマンが破たんしたことに象徴され始まるこの危機は、世界の金融システムを崩壊の危機に直面させ、米国の輸入激減から世界の実体経済を大幅なマイナス成長に陥れた。この危機に対処しようと、国際的な協調であるG20(二十カ国・地域首脳会議、金融サミット)が始まった。G20はその前の〇八年十一月に始まっていますが、第二回会議が〇九年四月の英ロンドンで開かれて、以降の世界について本格的に「協調」する仕組みとなった。議論百出したにしても、G20の中で、従来のG7(先進国首脳会議)とかG8(主要国首脳会議)ではなくて、G20で相談をしながら、以降の、世界の難しい問題は話し合っていこうという仕組みがだいたい確立した。
 そこでは、各国みな、公的資金を使って銀行や大企業を支えるだけでなく、経済が停滞して社会問題になるようなことではダメなので、もっと財政を使おうというようなことになった。米国が七千億ドルぐらい支出した。中国が四兆元、日本円にすると五十三〜五十四兆円。世界中でゼニを使った。こうして金融危機も、実体経済の危機も一服した。

 だが、お互いに苦しんでいるので、それぞれは自国本位で仕事をする。財政を投入しても需要をよその国の輸出に奪われては国内が納得しないということで保護主義を強化したり、通貨を下げて競争したりするようだと、一九三〇年代のように国際協調が崩れていくので、「それはやめよう」とか、WTO(世界貿易機関)を早く合意させようとか決めた。まあ決めはしましたが、結果は誰も実行しない。
 「過ぎた一年」の情勢は、以上のようなリーマン・ブラザーズが破たんして大騒動になった以降の情勢といえます。その中で何が起こったか、そしてこんにちに至ったのかと話を持っていけば、今の情勢が、つまり、現状がおおかた分かるのではないかということです。

「がけの途中の木にひっかかっている」現状
 世界情勢を下部構造と上部構造、つまり世界の金融とか経済の動きと国際政治という二つに分けて、経済や金融の方から見てみるとどんなことになるんだろうか。
 リーマン・ショック以降、米国はじめ各国の中央銀行は、実質ゼロ金利の超低金利政策、銀行への直接の資本注入、そして不良資産の買い取り等々で、市場への大量の札・紙幣を放出した。
 それから各国政府は景気刺激策と称して、国債を発行し、膨大な財政支出をやった。先の中国の四兆元もそれですね。
 こうして各国の巨大銀行も大企業もかろうじて助かっています。しかし、市中に膨大なカネを垂れ流したわけですから、いつまでもそうしておくとインフレになる、あるいはバブルが起こる。そんなことですから、本当に経済を健全化させるには、「どうやってこの状況から抜け出すか」という議論をしなければならない。これが「出口論」と言われるものですね。
 本当に銀行が立ち直るには、「自分で」利益を上げなければならない。一般企業も、公的支援に支えられて、たとえば自動車でも税金をまけたり補助金をつけたり、こうした支えがなくても売れる状態、つまり最後的には、国の経済が、買う人が買えるような状態、会社がつくれば売れていくらか利益が上がる状態、そうしたことが「正常化」なんですね。そこまでいくかいかないかが、今は大変なんですね。
 いずれにしても、世界のどの国も、すべて、まだ公的資金に支えられて手が離せない、というところです。
 したがって、この状況をたとえるとーー
 〇八年の九月以前の世界経済の状態は、いわば山のがけっぷちにあって、理由はともかく、米国がカネもろくに払わず、払わんのに世界中から膨大な商品を買って消費する、輸出国はそれで経済を引っ張ってもらっておったというか、いずれにしてもそういう状態で、世界は回っておった。
 そういう状態がちょうどがけっぷちのいちばん上でした。
 それがリーマン・ショックで、世界経済は谷底に向けて転げ落ちた。ところが各国が協調し、公的資金を投入して、銀行・金融も、実体経済もとりあえず救われて、絶壁の下までは落ちずに、いわば途中の、それもまだ相当に高いところの木の枝にひっかかっている。しかし、銀行も企業も、下りるに下りられない、さりとて、がけの上にも上れない。「さてどうしたもんか」というのが、現状ということなんです。
 これが、過ぎた一年の下部構造です。
 過ぎた一年で、経済、下部構造が正常化するには、相当な時間がかかる状況だということですね。
 こうした激変の下部構造の基盤の上で、世界の再編、重心の移動が進み、上部構造、政治も激変した。先進資本主義大国が牛耳るG7とかG8ではなく、国際協調がG20でやられるようになったことなどもその激変を象徴しています。世界は文字通りの「多極化」の世界となった


●オバマ政権の登場

 その次に、世界で昨年の大きなできごとは、一昨年の米国の大統領選挙でブッシュの共和党が敗北して、〇九年の初めにオバマ大統領が登場した。これが、世界の大きな期待を集めた。もちろんこんにち、一年足らずで支持率五〇%を割ったわけですね。
 それにしても、この幻想は大変なものです。ブッシュが勝手にイラク戦争を始めて行き詰まった。その後はアフガン占領でも追い込まれる。そういう状況だったのですが、少なくともオバマはイラクからは手を引くことになった。それから「世界とは話し合って仕事をする」と国際的に公約として掲げ、大統領に就任してからそういうふうに仕事を始めたわけです。
 考えてみると、イラク撤退も各国との協調政策も、オバマ以前からブッシュ大統領が行き詰まって、始めていたことだった。
 また、ブッシュ大統領の下で米国経済も大変になっていた。われわれから見ると、オバマが登場したからといってブッシュと異なった大きな転換がやれるんだろうかというと、そう簡単ではない。つまり、ブッシュの下で行き詰まってきた米国、すなわち経常赤字、それから財政危機、深刻な金融破たん等々、オバマはそれを受け継いだわけです。オバマにできるのならば、ブッシュもできたはずですね、本来なら。
 そういうわけですが、日本では連合などが、それに共産党も大変な期待で、「オバマ政権の登場で世界は変わる」と言ったわけです。
 われわれは唯物論者ですから、足元を見て情勢を判断して、何をしゃべっているかではなく、何を主張しても、それを可能とする諸条件がどうなっているか、そこから問題を検討する。ところが、日本の連合やその他、皆、苦しいからでしょうか、何か、ちょっとでも期待があればどっと行くんですね。
 いずれにしてもオバマが登場しなくてはならないほど、米国は行き詰まって衰退していたということは間違いない。しかしそれは、オバマが何をやれるかは別のことですね。

●鳩山政権の成立

 さて、もう一つ、日本にかかわって。私は、冷めて見ているだけに期待はしていないんですが、鳩山政権の成立は、日本の情勢の中では一つの大きな事件ですね。
 昨年八月の総選挙で、自民党、あるいは自公政権が負けて民主党が勝利した。自民党が戦後おおかたずっと単独支配して、途中で九三年から九四年に短期間、政権から離れたわけですが、再び村山政権、さらに橋本政権として復活するわけですね。それ以後ずっと、麻生政権まで続いたわけです。
 この事件は、自民党がこれほど徹底的に敗北したというのは、いわばこの政権の階級的な性格、階級間の力関係の大きな変化か、等々から見ると、まゆつばにしても、しかし形の上で、戦後政治上の大きなできごとです。これは議会制でのことですから、ある階級から別な階級に政権が移ったというものではない。しかし、それを前提にしたにしても、いうところの憲政史上に大きな変化が起こった。
 世界の金融・経済危機、オバマ政権、それに鳩山政権成立、だいたいこの三つが、現象的に、過ぎたこの一年の内外情勢での大きな変化ではなかったかと思います。

国際情勢の変化と展望

 次に、国際情勢の流れ、現状と以降がどうなるかというところをもう少し話してみたいと思います。

 まず、わが党なりの国際情勢の見方を最初に申し上げておきたい。
 国際情勢、その基礎となる世界資本主義経済の今後のおおよその発展、見通しを得るためにも、米国、中国、欧州とその周辺、ロシアと資源諸国などについては、分析しなければならないだろうと思います。
 これは一昨年の演説で申し上げましたが、かつては米国が非常に決定的な影響をもっていた。経済だけでなく政治の世界でも指導権をもって世界を支配していた。
 その時期には、もし世界情勢を見通そうとすれば、米国がどのように世界情勢を見て、以後どうしようとしているかということを十分に分析すればよかった。他国はいろいろあったにしても、それでおおかた違わなかった。つまり米国の腹さえ探っておけば、情勢の以降の変化の仕方が分かるということだった。
 しかし、今は米国の力が衰退した。経済の上でもヨロヨロしておるわけでしょう。それでも世界のGDP(国内総生産)で米国が二五%ですから主要です。EU(欧州連合)は三〇%ある。中国は比率は六%そこそこだが、世界経済成長への貢献度は抜群等々。そんな具合ですから、少なくとも世界情勢の以降を考えると、米国だけでなく、中国はどうなるか、EUやその周辺、それから資源国などについては、検討しなくてはならない。

各国内部の階級矛盾と各国間の矛盾
 それから、もう一つ。なぜ世界の経済関係を全体として分析し、それだけでなく、具体的に地域としても分析する必要があるんだろうかということで、二つ、われわれが今、世界情勢をいろいろ分析したり研究したり見通しを立てたりするときに、頭においていることがあります。
 それは第一には、諸国内部における諸階級の相互関係、諸矛盾ですね。それらが激化する方向にあるだろうか、あるいは緩和する方向にあるだろうか、という問題。
 第二に、諸国間の相互関係、諸矛盾は、人びとの願望に沿って緩和、協調に向かうのか、それとも三〇年代のように分裂に向かうのか、これらの見通しを得たいからです。

 リーマン・ショック以降の状況が、三〇年代と比較してどうしてこの程度にとどまっているか。それは先ほどふれたようにがけの途中でひっかかっている。すばやく先進諸国間で協調しながら、各国中央銀行や政府は公的資金で金融システムを安定させ、また、財政出動で実体経済を刺激することによって、支えている。そういうことによって世界経済は小康を保っている。それでも「出口」、あるいは「正常化」するにはまだほど遠い。
 だから、以降どうなるかは、国際協調が本当に継続されていくのか、先進諸国等々の、あるいはG20のような枠内に収まって協調が維持されていくのか、それとも三〇年代のように維持されなくなるか。そうなればもう、今の木にひっかかっておった世界の金融や経済の状態はたちどころに下に転落する。国際関係がもめて協調が崩れると、世界の金融や経済は、三〇年代と同じように大変なことになるということですね。
 しかも、今はドルを中心に各国が通貨を大量に供給し、過剰流動性が世界にいっぱいあって、今まだ「出口」さえ見つからないのに、もうバブルが出ているわけですね。その中で米国の銀行などは、中央銀行にカネ(公的資金)を返したほかに、もう「実績」を上げ始めているというようなことですね。
 そういうわけで、各国関係、国際協調がどうなるか、国際世界は分裂に向かうかどうかというのは大問題です。

 つまり、見どころは二つですね。
 第一に、諸国内部の階級矛盾は激化するだろうか、もう一つは、諸国間の矛盾は激化するだろうかということ、この二つのきちんとした見通しを立てておきたい。
 しかし、この二つの問題、つまり、諸国内部の階級関係の発展と諸国間の相互関係とは関連がある。結局のところ、第一義的に重要なのは、諸国内部における階級間の相互関係、その矛盾がどうなるかです。
 国際関係が激化してもですね、それは戦争になるかもしれん、紛争になるかもしれん等々ということもあるかもしれないが、権力が移行するかどうか、ある階級が支配階級を打倒できるかどうかの条件は、その国内にあるんですね。
 それぞれの国内で、その資本主義のシステムは、上部構造から権力によって守られているんですね。憲法でも「私有財産を侵してはならん」とかいろいろあって、資本主義の仕組みというのは、法によって守られている。別の言い方をすれば、武力によって支えられています。そして、このシステムを有利と考える人たちが、この武力を支配することによって、資本家に有利で、労働者は首切られてもストライキもできんようなこの状態は維持されているということですね。
 ですから、それぞれの国で闘っておる労働者階級、その革命家たちにとってもっとも重要なことは、結局のところ、それぞれの国の階級闘争が緩和する方向にあるか、激化する方向にあるかです。それがここにお集まりの皆さんにもっとも利害、かかわりがある。日本の階級闘争が激化する方向にあるのか、緩和する方向にあるだろうか、この問題です。
 今、連合の人たちや社民勢力が何と言っているかというと、鳩山政権ができて、小沢さんがやってくれるので、「日本は福祉社会になる」とこう言っている。「福祉社会になる」と。
 資本家が権力を握っているのか、誰が権力を握っているのかという問題をきっちり考えてみたら、こんな考えは成り立たない。今、企業家たちは「国内はよろしくやっておいてくれ、国内は当面はあんまり見通しがないのでオレらは外国で稼ぐよ」とこう言っているではありませんか。ところがそれらに忠実な鳩山政権は、日本の労働者階級なり国民の諸階層に、苦しくない日本にする、「幸せな世界に導く」「その入り口だ」と言っている。
 われわれはこういう謬論(びゅうろん)、寝ぼけた考え方を払拭(ふっしょく)する上からも、現実に階級闘争の前提になっておる経済諸関係がどんなふうになるだろうかということを明らかにしなくてはならない。これがいちばん重要なことです。人が何を話しているかではなく、それぞれの階級、とりわけ労働者階級が、経済の移り変わりの中で、どういう困難に遭遇するんだろうか、この問題です。
 もっとも最近の社民党の、あるいは労働組合の大幹部のように、どういう「幸せ」に遭遇するかといえば、それはそう、「オレは大臣になれるかも」という「幸せ」もありますからね(笑)。
 それはそうですが、世界がどうなるか。米国、その次に中国は、それからヨーロッパ、その三方面の状態を見てみたい。そうすれば世界の推移のおおかたは分かるだろうと思います。

●米国について

戦後史、衰退する米国
 米国経済についてです。米国が世界のGDPの二五%だと言いましたが、戦後の五〇年頃から見ると半分以下に落ちてきているわけです。国力が衰退した。米国のGDPの規模が小さくなったわけではない。世界経済全体が増えてきたわけです。そしてその中で、米国の伸びも相当なものでしょうが、それよりも、ヨーロッパのドイツとかフランス、それから日本が急速に伸びた。特に日本は第二位になって、八〇年代の後半には三位との差もずっと飛び抜けていた。これらの国々は、米国に相当に追いついた、米国の競争力が急速に衰えた、そんな具合だった。
 米国の実体経済はずいぶん弱って、貿易赤字がたまった。経常赤字の大部分というのはこの貿易赤字ですね。

危機発生、最近までの米国
 そうした中で、貿易でまともに食えないから悪知恵が働くんです。
 米国の競争力のある優位の産業というのは、金融産業です。つまり、世界からドルを還流させて、それで貿易赤字その他を支払って、それでも残った資金を世界中で運用する。もちろん米国は基軸通貨国ですから、そういう建前になっておりますが、それだけで成り立っているわけではない。中央銀行のFRB(連邦準備理事会)がどんどん輪転機を回してドル札を印刷して、そして低金利で金融機関に貸した。特に今は実質ゼロ金利で米国の金融機関が借りることができる。それを金利の高いアジア等々で運用している。
 米国の金融産業は、さまざまな産業部門、非製造業の部門の中でもっとも稼ぐ、利益を上げる、そういう産業だった。
 今度、バブルが崩壊して、しかも金融機関の「やり過ぎ」といわれるような形で、ごうごうと非難が出ている。日本では銀行へ押しかけたりしないでしょうが、米国では押しかけている。日本の銀行だってさんざんもうけているわけだけれども、米国のウォール街の連中というのは、稼ぎがすごい。だから「あれほどぜいたく三昧(ざんまい)で荒稼ぎをした連中を、なぜ助けねばならないのか」と、米国民が怒るのは当然です。オバマ政権が政治をやっていく上で、銀行に対する規制が国内外から要求されるなど、いろいろと面倒になってきている。
 というわけですが、こういう産業に依存していただけに、米国が今、立ち直ろうとしてもなかなか容易でない。
 オバマは昨年十一月に日本に来て、以後、米国は、貿易つまり輸出を強めることによって、競争力を強めることによって「経済を立て直す」と打ち出した。もう一つは国内では例の環境、グリーン・ニューディール等々ですね。まあ、その二つが大きな柱なんでしょう。
 その輸出を伸ばすという地域が実はアジアなんですね。しかし、アジアといっても、米国のGDPの相当の部分を金融産業が占めていて製造業は競争力があまり強くない。ここに制約されるわけですね。
 そういうわけで、米国が国民経済を立て直す仕事は容易ではあるまいというのが、われわれの見方です。

 それと関連があるのは、今、米国は実質ゼロ金利政策で、金利を大幅に下げた。それで何をしているか。
 各国が金利を下げると、たとえば消費者がローンを組んで自動車を買う等々というときに有利で、消費を刺激することにならないわけではない。もう一つ、企業家たちが生産をするにも設備投資をやるにもカネを借りるわけですから、それにも有利でしょう。だが、企業家が設備投資するかどうかは需要、消費があるかどうか、つまり「つくったら売れる」ということがなければ企業家たちは設備投資しない。
 そういう問題があるのですが、FRBが低金利を継続している理由の大きな一つは、米国の金融機関が低金利でカネを借りて、そしてアジアに投機するためでしょう。成長するアジアは金利が高い。だからその金利差でもうけることができるわけです。金融で大きな仕事ができる。
 米国は金利が低くたって、ドルが下がっているわけですから、外国に直接の何かの投資というのにはなかなかうまくいかないかもしれない。しかし、高金利のところに、ずいぶんと不動産だとか何かに投資しているんですね。そこで稼げるということでしょう。

 アジア各国には、軒並み、米国の低金利で動かせるこのドルが殺到している。それぞれの国の通貨はみんな高くなっている。そうすると、それらの国は、自国通貨高で輸出がしにくくなる。そこで自国通貨を下げねばならないので、売られたドルを、それぞれの政府は自国通貨で買わねばならない。買うと、自国の通貨を大量に市中に放出することになる。だからアジア各国はみな、通貨供給量が増えている。それをやりませんと、自国の輸出業者たちが困るんですね。
 まあ、そんな具合で、米国が大量のドル紙幣を印刷し、そして低金利で市場に放出している政策は、米国の大銀行を助けることになるにしても、アジアのところにはやっかいな問題が引き起こされている。
 オバマはそういう内外政策をとっているわけです。米国が立ち直るさまざまな政策それ自身が、金融や通貨を通じて、また、アジアの過剰生産をいっそう拡大するなど、さまざまな危機をつくり出すことになろうかと思います。

米国の現状と展望

 当の米国自身も依然として、深刻です。
 一番目には、GM(ゼネラル・モーターズ)でさえ、まだ公的資金で下支えしている。けれど、失業と倒産や、中小銀行、地方銀行の倒産はどんどん増えている、そういう実態があります。
 米国の失業率は一〇%で、下がらないですね。そして、米国には千五百二十六万人の失業者がいる。昨年、〇九年一年間で四百十六万人の雇用者が減った。建設業とか製造業は、引き続き雇用者が減っている。
 だからオバマ政権は、議会だって乗り切れる保証はない。
 外交でも、米国の存亡にかかわる課題で、米欧間、米中間等々に容易でない対立がある。G20会議で不均衡是正が問題となっているが、米国がこれを是正するのは容易でない。それから金融問題、金融規制の問題も、G20のところ、あるいは先進諸国間で問題になってくるんですが、この規制にいちばん反対しているのが米国なんですね。なぜかというと、これが規制されると米国の金融産業は立ち行かないことになる。
 したがって、米国が危機を脱して再び上昇する展望は、今のところありそうにない。 米国の衰退と指導力の衰え、それに米国の金融産業への依存経済、保護貿易への傾斜を見ればそれは明らかです。米国経済とオバマ政権の先行きはまだ不透明です。
 国際政治で、もはや米国に指導力がない。そして米国は、どちらかというと「友」がいないという状況。
 したがって米国が、自国の利益を守りながら国際協調を維持するということは困難です。つまり、自国の利益を守ろうとすると国際的な反発を受ける。国際協調をすると自国の身がもたない、というような具合であるということですね。

●中国について


 次に、中国のことについて。
 世界経済のこの小康状態は、国際協調もありますが、中国がとりあえず四兆元を支出して国内経済を刺激し、そして世界の生産財等々を買う、あるいは資源国などから見ると、中国が外貨を利用して、盛んに買いだめするわけですね。原油も買いだめしている。そういうことが影響している。
 そういうわけで、中国経済がどうなるかは、世界経済を見る上で、二番目に重要なことですね。あるいは、成長が維持できるかという寄与度から見ると、中国が第一番目に重要ということになります。
 しかし、それは膨大な財政支出に支えられているということで、中国も本式ではない、本当の健康ではない。公共投資で鉄道や道路がつくられたり、日本も同じですが自動車や電気製品購入への財政支援がやられたりして効果が出ている。金融緩和で大量の資金供給がなされ、バブルも膨らんでいる。
 温家宝首相は、「中国には財政という弾丸はいくらでもある。弾丸には事欠かない」と。確かに国債の対GDP比はそれほど大きくない。
 しかし、中国にもいろんな矛盾があるんですね。

ドルの下落は中国金融資産の損失
 中国では最近こんな議論がやられているんですね。
 ドルが大量に放出されて、ドルの価値が下がった。世界に同じ使用価値のある商品があったとしたら、通貨量が倍になると、その商品、自動車だろうが金だろうが何だろうが、その物価は倍になるということですよね。つまりそれは、物価が上がったといっていいか、カネの値打ちが下がったといっていいか。
 さて今の特徴は、ドルの値打ちが下がったということですよね、米国は、ドルを垂れ流している、じゃんじゃん輪転機を回している。富をつくっておるわけじゃないですよ。札を増やしておるわけですから。だから、当然、その札は値打ちが下がっている。
 さて、ドルの下落で中国がどうなるか。
 よく言われるように、日本は千四百あるいは千五百兆円の金融資産がある。もしこれが全部ドルになったとすれば、ドルが倍印刷されると、その価値は実質七百五十兆円になってしまうわけで、略奪されるということですね。
 中国の本などを見ると、この問題を「米国から略奪される」と書いている。中国の金融資産は四十五兆元。米国のドルに直すと六・六兆ドルなんです。六・六兆米ドルですが、ドルがこの一年間、たとえば二〇%〜三〇%下がったりすると、さっきも言うように中国の金融資産は米国に略奪されるということになる。その議論が盛んなわけです。
 さて中国の四十五兆元の中身ですが、その三分の一の十五兆元、二・二兆ドルは外貨準備です。「これが下落するので大変だ」という議論が起こって、批判が政府や中国共産党内でもドンドン出ているわけです。
 昨年初め、クリントン国務長官が中国に行って「中国に感謝する」と言ったのは、引き続き、外貨準備で「米国の財務省債を買っていただけますか?」ということなんですよ。というのは、財務省債等々、米国の資産を中国は持っていて、買い続けているわけです。米国は、それがないと国家が回らないから、ヒヤヒヤしているわけです。その後、五月だったか、中国の大型代表団が米国に行った時、中国の副総理が言うことには、「感謝されるのはよいけれども、損をさせないでくれ」と、つまり「略奪しないでくれ」と、こう言ったわけだ。ドルの値打ちが下がるとね、黙ってたって、中国の金融資産は米国に略奪されるわけです。
 そういう批判が絶えないので、中国は最近はどうしてるかというと、これを金に換えたりし始めた。もうずいぶんと損をしてるんですが、暴落する可能性があるので、大損しないうちに金に換える。原油を買いだめ、備蓄する。世界の、たとえばチャベス大統領のところ、ベネズエラの油田、アフリカの油田、これに投資をして確保する等々で、ドルをじゃんじゃん使っている。それから先端技術、日本の中小企業、技術があってもつぶれそうなところを中国が買いに来ている。もっと目減りしないように買っておきたい。ということで、引き続き黒字を稼いでドルを手に入れながらも、いつまでもじっと置いておくことをせず、ドンドン運用している。ということで、大変なんですよ。

過剰流動性とバブル問題
 そうした中で、元の一〇%切り上げ説が、去年の暮れに北京で出た。今まで元切り上げは、米国などが中国に要求するかお願いすることだった。欧州も遅ればせながら「元を上げてくれ」と言った。しかし、中国政府は、ずっと慎重姿勢だった。
 ところが昨年の暮れ、中国社会科学院の有力な人が、「一〇%切り上げよ」とこう言った。異例の提言をやったというのが記事に載っている。
 これは中国の今までの金融や通貨の運営の仕方が、曲がり角に来ているということです。この問題は、他のアジア諸国も同じですがドルを買って外貨準備を多くした。それをすると、自国の通貨が今度自国内にあふれるわけです。それでバブルになる。中国の元が中国内にあふれているわけですね。ドルを買わなければあふれないですが、それでは元が上がる。元を安くしておこうとドルを買う。ドルを買うためには、中国も元を印刷して市中に流さにゃならん。そうしたら、元が市中にあふれる。
 さて、中国では、命令すれば銀行が言うことを聞くわけです。だから、けっこうそれで調節できるんです。あそこは自由な金融システムじゃないですから。だけれども、それではどうにもならんところまできていて、金融を引き締めたい。元を低く維持しておくためにする政策が、元が市中にあふれるということになって、「いっそのこと上げようか」と。これで上げるとどうなるかというと、たちどころに市中の流動性は少なくなるんですね。回収できるわけですから。しかし、中国の輸出業者、これまた困るんですよ。つまりそういうことで、よく、米国がインフレの調節に迷うことがあるでしょう。一〇%切り上げ説が公然と出たということは、中国もそういう分岐点に来ているという状況をあらわしていると思います。

格差、不平等……国内階級関係の変化
 中国では格差や不平等、役人の不正などが横行しています。所得分配、これは日本とか先進国と比べても同じか、より不平等という説もある。
 結局、GDPは誰かの所得になるわけですね。付加価値の分配、所得の分配は、たとえば労働者の賃金、それから公的部門つまり政府・財政のところに使われる、もう一つは資本家たちの取り分・利益、三つに分かれるわけです。ところが中国では、資本家たちの分け前より賃金に回る部分の方が、先進国と比べてはるかに低い。つまり中国の資本部分の取り分は、分配上、労働者に賃金を払う部分よりもとても高い。
 同時に、中国の工業の四割は外資によるものですね。貿易の六割も外資によるものなんですよ。つまり、外国人が中国人の低賃金をあてに利益を上げているということ。もちろん中国の資本家も、労働者に低賃金を押しつけることによって利益を上げ続けているということですね。
 だから、エコノミストの武者陵司氏が「新帝国主義論」という本を三年前に書いた。そして言葉は悪いが、こういうことを書いた。「中国共産党が中国に奴隷制を敷くことによって、低価格商品を先進諸国に提供しているのだ」と。「それで先進諸国はもっているんだ」と、こう言った。グリーンスパン(前FRB議長)は、それがいつまで続くかということで、三十年ぐらいの見通しを立てたが、書いてから半年もたたずにしくじった。
 もう一つ。中国は、先進国と比べると労働者が付加価値の中で受け取るものより政府の取る付加価値、つまり公的政府部門、ここに使うカネの方が多い。これはだから、国家の権力が非常に強いということで、不平等が、これが格差が広がっている理由だと、こう言っている中国の人がいますね。
 それから、失業者が増大しています。九二年から〇六年の間に、総人口は一二%、労働力は一億人増加したものの、就業できた人たちの増加率は、経済の成長率と比べるとそう高くなくて、失業者が増えている。深刻な問題となっている。つまり日本でいう「就職氷河期」は中国にも当てはまる。大学を卒業しても勤めるところがないというような状況。
 ここでは、都市と農村の矛盾や、地方間の格差等々は入れていない。民族問題も入れていない。ですが、さしあたって、少なくとも中国の資本主義的な生産様式、市場経済、これを中心にしてですが、いずれにしても中国の国内にもさまざまな階級的な矛盾があるということですね。
 世界資本主義の「救世主」で居続けられる保証はないのです。


●欧州と周辺国について

 それから、三番目に欧州のところですが、一昨年あたりから「欧州に大変な危機がある」と言われた。EUの中心諸国が、ラトビアやエストニアなど、周辺国にたくさん債権を持っておるわけですが、それが焦げつく可能性があると。そこでデフォルト(返済不履行)が起きれば、ちょうど九〇年代、ブラジルやあの辺の南米一帯で焦げ付けば、心臓部である米国で金融危機がぼっ発するという危機的状況になったことになぞらえてですね、「EUは大変だ」と。確かに大変で、銀行が国家管理されたところもあれば、失業率が二〇%といった国もあったり等々です。
 ただ、次のことだけはハッキリさせておく必要があると思います。
 この危機のさなかに、「ユーロ圏に入ってしか助かる道はない」と思う国が三カ国増えて十六カ国になった。来年、一一年には十七カ国になることが予定されるというわけです。通貨変動の問題は、ユーロ圏内では起こらないわけですから。
 もちろん、各国国内やユーロ圏内にさまざまな矛盾はあるにしても、少なくともユーロは各国が生き延びる上で役割が大きい。主要国の経済は、急速な復活ではありませんが、すでにプラスに転じましたね。
 もう一つの大事な事件は政治統合の深化です。昨年の暮れ、若干の修正はやったものの、ポーランドが最終的にリスボン条約(欧州連合新基本条約)を批准することによってですね、EUの大統領(EU首脳会議常任議長)が誕生し、今年から仕事を始めたということですね。まあ、「ヨーロッパ合衆国」のずっと「入り口」という面もあると思いますね。米国もずっと州の軍隊も財政もあったし、州の憲法もあったわけですが、次第に、時間をかけて統合し「合衆国」となったわけです。
 こうしたことで、これから先の激動する危機の中で、ユーロ圏が一つの大きなブロックとして、ひょっとしたら「大国」として登場する可能性もなきにしもあらずというようなことで、世界情勢の以降の推移を見る上で大事なことではないかと思います。


情勢評価や政策をめぐって

●鳩山政権の性格

 次にわが国のところですが、さっきも申し上げたように、鳩山政権が登場したということです。いくつかの問題にふれますが、まず鳩山政権の性格をめぐってです。

 われわれの興味がある意見として、たとえば社民党の一部の人たちの中に「鳩山政権は小泉政権と対極にある」という言い方、評価があります。
 よく言われる格差問題。麻生が解散した結果の総選挙だったんですが、誰も麻生政権をたたいて選挙を闘っていないし、民主党もそうしていない。「格差社会」「小泉が拡大した格差社会だ」とこう批判した。格差社会を小泉が推進したということで、その政権の弱点、格差をつくったことを批判することによって、あの鳩山政権は成立したわけですね。
 しかし、われわれは今度、鳩山政権の性格を分析するときに、安倍とか福田とか麻生というような政権と比較して、たとえば「麻生政権と比較して鳩山政権は……」というようにはしなかった。戦後自民党政治、とりわけ小泉政権が、改革を進めるという意味で特徴的な政権だった。少なくとも、改革政治というのがどこから始まったかといえば、橋本政権は「六大改革」を唱えた。しかし、八〇年代に中曽根政権は国鉄の改革もやったし、電電公社の民営化その他もありました。だから、改革は橋本から始まったわけではない。
 しかし、橋本政権の「六大改革」は、今の政府の機構改革とか、基本的なものを出していた。財政再建も言っています。今と比べるなら政府の借金累積は、一〇分の一とは言いませんが、それに近いぐらいの借金だったんですが、にもかかわらず橋本は「六大改革」と言って必死になった。
 それから小渕政権のときにですね、バブル崩壊の後のアジア通貨危機もあって、「何でもあり」で財政支出をやって、今のような財政危機をつくった。


 その流れの中で、小泉はきわだって改革をやったわけです。
 その流れを、わが党の分析の中で私は、当時、日本の財界が統合されて、奥田が最初の会長となったが、戦後一九五五年の保守合同の前提になった財界の統一、それを思い出すと述べたことがあった。二〇〇二年も、財界が統一したことによって、財界の政治に対する掌握力が非常に強くなって、その下で、政権に対してさまざまな要求を出すようになったと評価した。
 小泉政権の成立を、財界が再編・統合されたことを基礎に説明していたんですが、今度の鳩山政権成立とその評価に際して、もう少し詳しく調べてみた。その経済界が統一された前提になっているのは、日本の銀行、金融システムが、今の三大メガバンク、三菱UFJ、三井住友、みずほに集中統合されたこと。りそなを加えれば四つになりますが。この三つが持ち株会社をつくって、十行以上あった都市銀行を再編統合し、地方銀行など中小銀行も傘下に収めて、さらにさまざまな企業への支配力を強め、強力なシステムをつくった。独占禁止法はまるで形骸化された。
 そしてこの巨大金融機関は、世界の十大銀行の中でも、五位とか六位とかにずらっといて、世界の金融市場で米国に次ぐ、大きな位置を占めるようになった。
 その力を背景にして「国際競争で優位に立つため、国内の改革をいっそう進めろ」ということになった。それが奥田・日本経団連会長の登場であり、政府の経済財政諮問会議で「骨太の方針」をガバっと提起して、国家の運営も上から、自民党内で議論してという仕組みを変えてしまった。それが、小泉改革なんです。
 それにしても、「自民党をぶっ壊す」と言って登場した小泉だが、自民党を基盤とする政権でやれることは限界があって、それ以上進めなかった。族議員たちもいて自民党ではやれなかったんですね。


 そこで、私は、あの民主党のマニフェストを分析して、その小泉改革の継続を鳩山政権がやるんだとの結論を出した。
 「コンクリートから人へ」というのを、「人」というとみな、「オレも人だからな」と、貧乏人もそう思う(笑)。カネ持ちもそう思う。だけど、「人」は人だけれど、財界なんですよ。「国際市場で競争できるような条件を、日本で整備してくれ」と。つまり、企業減税をやってくれというのが強い要求なんですよ。


 それからもう一つは、これは鳩山政権だけでなくて以前からある、海外派兵問題です。小沢一郎・民主党幹事長が「日本改造計画」で書いている「普通の国」、あれは九一年の湾岸戦争の経験ですね。冷戦崩壊後の国際情勢を見て、米国がどのように振る舞うかということの中で、「日本はカネだけを出すのでは、世界の中で発言権がない」ということで、小沢の結論は「『普通の国』になることだ」と言っている。つまり、キッシンジャー元米国務長官が言うように、「経済大国が軍事大国にならなかったためしは、歴史上ない」わけですね。経済力にふさわしい、世界で安全保障で口出しができる体制を整えるというのが、小沢の一貫した戦略なんです。
 その、小沢の戦略なども詳しく調べてみました。小沢は、細川政権で、あの「お公家さん」を代打のように使って、最後は失敗したんですが。鳩山も似たような役割を演じるということを、われわれは鳩山政権が成立した直後に、そういう結論を出しておりました。
 小沢は、九二年から九三年にかけて、当時の自民党幹事長ですが、財界や官僚、知識人などで二年をかけて議論して、「日本改造計画」を書いた。その中に、米国と同盟は維持するが、いずれにしても日本が軍事力を持たなければならない、ということを書いているんですね。
 当時の外務官僚の代表格は、田中均(現・東大客員教授)なんですよ。これが今度、「外交の力」という本で二十一世紀の外交戦略を書いています。彼が書いたのを見ると、ほとんど小沢と同じ戦略をやっているにすぎない、というのがわれわれの見方です。
 表面的には寺島実郎・日本総合研究所会長、これが一昨年から昨年にかけて連合と議論したり、「鳩山のブレーン」と言われています。これも調べましたが、彼は外務官僚と違って商社マンで、経済は分かるけれども、その上部構造の政治は分からない。安全保障問題は詳細には言っていない。彼の主張は、米国の経済が弱って、世界市場の中で影響力がなくなって等々ということで、いわば、日本が遠慮せずアジアに進出するというようなことです。
 たぶん鳩山も、政治家としても、彼は家庭的にも苦労知らずなんですが(笑)、国際政治の苦労はないんですね。その点では小沢の方ははるかに深刻なんですよ。彼は自民党幹事長当時、北方領土問題で、当時のソ連のゴルバチョフから北方領土を買おうとしたが、米国からはねつけられた。米国の恐ろしさというのを、きわめてよく知っている。それから湾岸戦争の時に、百三十億ドルを支出したのは小沢の強力な要求で、それに応えたのは、今度、日本郵政の社長になった斎藤次郎。これは大蔵官僚(元事務次官)。あの「普通の国」のグループなんですよ。


 だから小沢は、そういうことを画策しながら、しかし当面は「七月の参議院選挙に勝たなくちゃ」ということで、幻想であれ何であれ、すべて利用して連立を維持し、参院選挙に勝利するためにとやっている。
 鳩山政権の性格はそういうわけで、これは、しばらく前に小泉が言った通りですよ。自分の改革は進まなかったんだけれども、「それを引き継いでくれるのは民主党だ」と、こう言った。小泉は、鳩山政権の本質をズバっと言い当てた。


●対米関係、アジア外交

 その次に、対米関係、アジア関係です。


普天間基地の問題
 普天間問題ですが、沖縄県民の期待と闘いは当然で、断固支持します。しかし、連立政権の周りはもうみな固められているんです。実際の仕事はもう進み始めた。
 鳩山政権のいいところは、一つある。選挙のとき沖縄に行って「普天間基地を県外、あるいは国外に出しましょう」と、こう言ったので、基地問題解決への沖縄の期待が高まった。途中までは信じたけれども、今はやや違ってきた。まあしかし、悪いことばかりではない、鳩山政権は立ち往生した。
 というのは、嘉手納基地と普天間基地の機能、特に海兵隊は、中東から朝鮮まで、これらのところでの、米国の実力部隊なんです。ヨーロッパからこちらでは、これが、米軍の最大の出先機関、第一線なんですよ。米国がここを手放すことはあり得ない。
 かれらが手放すことはあり得ないので、われわれも敵側が恐れているように、闘わなくてはならない。
 敵側は、沖縄の人たちを納得させる「何らかの譲歩をしなくちゃ」ということでしょう。「万が一、事故でも起これば取り返しがつかない」ということで、九六年に、基地を維持するために、維持するためにですよ! 海兵隊の多くをグアムに、実際の機能を名護市辺野古に移転しようということなんです。今も基地を維持するためにやっているんです。県民負担を軽減するためではないですよ、維持するための政策ですね。
 したがって、この闘いを政権に対する期待で実現できるなどというのは、ナンセンスです。もぎ取る必要がある。基地の兵隊が外に出てきても、「どうにも、精神的にもたまらない」と(笑)、連日、外を歩けば非難され、夜も「出ていけ」という声が聞こえるということがない限り闘い取れないと、私は思うんです。
 民主党は、安保条約破棄を言っていませんし、日米軍事同盟を堅持することは歴代自民党政権と変わりはないわけです。どこを探してですね、この政権に期待するというのか。


小沢の基盤は強くない
 小沢は以前にも中国で「日本はいつだって核武装できるんだよ」というようなことで、脅したことがありますね。
 今回も、中国でもいろいろと駆け引きをやったようですが、私は、小沢は議会制民主主義者では珍しく、議会の本質を知っており、議会を信用していない唯一の人物だと思います(笑)。しかし議会制民主主義を形式的に利用することについては長けている。
 だが、私は、彼が今、日本という舞台で存分に踊れるかというと、そうではないと思います。
 細川政権のときには、小沢は自分の集団を持たなかった。自分の党(新生党)は弱く、議席も少なかった。今度は自分の直接の、「チルドレン」というものを持っているから、民主党の中では最大実力者ですね。
 小沢は、「日本改造計画」で「強力な権力基盤」がなくては政治のリーダーシップは発揮できないと言って、その点を徹底させて成功した何人かの明治以降の政治家を「尊敬している」と言っている。「権力を握れば……」と言っているわけですね。そういう意味では、彼は議会制民主主義での政治権力を握ったんですね。参院選でも勝利すれば完全だと。
 握ったにもかかわらず、仮に小沢が踊ったとすると重大な困難さに直面する。小沢もそれ以前の政権と同じ困難を抱えた日本の経済の上に成り立っている。日本の破局的な財政の上に成り立っている。舞台装置でいえば、小沢が乗って演技しようとしている、この床板が、オバマも大変ですが、しっかりしているかどうかという問題がある。ガチャガチャ演技したらーーあれは乱暴だからね(笑)ーー床が抜ければどうなるか、こういう問題がある。
 私は「労働新聞」の新春インタビューで言いましたが、小沢の具体的な条件を考えてみると、彼がよって立つ国の経済と国の財政は深刻そのものです。小沢は、公約さえ守れず、動揺する鳩山を叱咤(しった)激励し「なあに、マニフェストは関係ない」と、ガソリンの暫定税率も「まけなくたっていいよ」と、乗り切った。だから「さすが小沢さんだ」と言う人もおったが、公約を反故(ほご)にしてやはり評判は悪いですよね(笑)。支持率はガタっと下がってきている。
 まだ今のところ、民主党は結束している。自民党は負けて党を逃げ出すやつが続出している。船が難破しそうになると、ネズミが逃げるというじゃないですか(笑)。鳩山のあの船、小沢船長の船から、まだ逃げ出していないんです。だけれど、水漏れがしてくると逃げるやつが出てくる。支持率が下がったとすれば、どうなります?

「福祉社会」論について
 同様のことはですね、「福祉社会論」についても言わなくてはならない。どこから考えて、福祉社会の展望がありますか?
 むしろ鳩山政権は、目前にも、大増税をしなければ乗り切れない。消費税増税問題は四年間待てないでしょう。もう閣僚からも出ていますね。一〇年度予算さえ、組めなかったんですから。一〇年度予算を組むために、マニフェストを犠牲にしなきゃならなかった。
 最近の世論調査では、従来の民主党支持層の政権支持率はあまり下がっていないそうですが、「支持政党なし」層ーー選挙では鳩山民主党に入れたーーの政権支持率はごっそり減ったですね。だから、政権を取ってまだ間がないので「辛抱してくれ」と言っている。その人たちは「ダマされた」と言っているんです。民主党支持、あるいは連合傘下のダマされた人たちは、まだしばらく期待をする、ということになっておりますが、その「福祉社会」は、どこから見ても、それどころでない。この数カ年は、大増税をしなければ、税収不足と財政難で予算さえ組めないほどになる。一一年度予算はもうどうにもならない。藤井さん、いいときに財務相を辞めたと思うよ(笑)。
 そういうわけでですね、「福祉社会がこれから始まる」と言った人びとは、証拠をあげてほしい。どこを根拠にして言うのか、と聞きたい。それに、世界経済それ自身が、展望がまだ開けないではないですか。もう一段の危機になったときに、日本はどうなりますか。とても福祉社会ではないですね。


東アジア共同体構想について
 経済では、日本は依然として外需依存で、日本の国内でまっとうに商売ができると思っている企業家は一人もいない。三井住友などの三大メガバンクは、みなアジアに殺到している。製造業も流通産業も、保険業から何からアジアに殺到し、「ここで付加価値をいただく」と。これが、鳩山政権が「東アジア共同体構想」を出している背景ですね。
 ところが、オバマが「オレも加えろ」と言っている。先進各国企業がみなアジアに殺到しているんです。
 巨大な先進国の資本がこれほどアジアに殺到するということは、不動産とかは急速にバブルになる。製造業など直接投資した部分は、急速に過剰生産になる。
 昔、十年か二十年かかって、遅れた国がだんだんに生産を伸ばして、という話ではないですよ。今は、またたく間に巨大な資金が流れ込む。自国で資金をつくらなくていい。外国で余った巨大な資金、輪転機を回してつくった資金が来て、工場を動かす。かれらは、その国の人民に食わせますか? 買ってもらいますか? かれらは貧乏しているから売れないので、「とりあえず先進国に売ろう」という以外にない。この過剰生産は、たちどころに世界の新たな不況、立ち直らないうちにさらに困難になる。
 他方、日本企業がアジアで稼ごうというのは、資本が低賃金のところに移っていくわけで、よほど付加価値が高くない限りは企業は日本の工場をたたんで、外国でつくる。労働者には働く場所がなくなり、アジアの低賃金労働と今まで以上の競争にさらされる。
 さらに、進出した企業が、そこでも売るが、日本にも持ってくる、ということになればそれも大変。


 もう一つ、これは田中均が書いているんですが、「東アジア共同体」のためには日本の内政面で、内部の構造を変えなくてはならないという。
 いくつかあるが、その一つは農業の自由化です。民主党のマニフェストには日米自由貿易協定の交渉というのが書いてあって、農家への戸別所得補償政策は、それを促進するための政策措置として明確に位置づけられている。
 もう一つ、労働力の自由化。たとえば、看護師さんを「入れる」とか「入れない」とか言っていた、フィリピンとかインドネシアの。これらも自由化で、人の自由。
 つまり、「東アジア共同体構想」で、大資本は行ってアジアで稼いで、そしてあの地域の発展を応援する代わりに、所得をいただくと。いただいたその大事な利益、資金を、国内で分けてくれますか?
 鳩山政権だから分けてくれる?(笑) そうではなくて、稼いだ利益は新たな研究費・開発費だとかに使うわけね。高度な技術をもった人たちは、これまた給料が高い。研究所もあっちにつくって、外国人を雇った方が安い、という具合。
 そういうわけで、インタビューでも言いましたが、財界は「アジアを内需と思えばいいではないか」と言っている。そうすると、アジアで、低いところは上げ、高いところは下げるという「地ならし」があるということでしょう。
 つまり、新興国諸国、人件費の安いところは、うまくすればーー格差もつく、社会の矛盾も起こる、農民も零落する等々はあるですよーー中間層が育つかもしれない。かつて七〇年代以降、台湾や韓国などがそうでした。
 しかし、日本のような賃金水準が相対的に高い、そういう先進諸国はどうなるか。今や年間百万円以下の給料の人たちがいっぱいいるでしょう。少し前は「二百万円以下がいる」と言っていたが、もう百万円以下がいる。そういうことが常態化していくということです。労働者が売り手、資本家が買い手だとすると、買い手市場、買い手が有利になる市場です。そうすると、労働者にとって、賃金問題等々で厳しい時代がやってくるということですね。
 鳩山政権がいう「東アジア共同体構想」は、多国籍大企業、巨大銀行等々にとって、アジアの付加価値を手に入れるというもの。そこには米国も参入しているし、ヨーロッパも参入している。そしてかれらにとってはもう、内需・外需はないんです。もうかるところに行くわけですから。


 鳩山政権が日本国内に基盤を置くーー日本人でしょう?ーー政権であるならば、国内の諸階級の利益を考慮した国内政策と、それを基礎とした戦略のあるアジア外交でなければいかん。もちろん、日米安保条約などを破棄した独立・自主の外交政策です。そういう路線は、財界のための政権ではできないんです。
 そういう政権は、労働者にしっかりと基盤があり、農民や中小業者等々、国民大多数へと政権の軸が移る、そういう統一戦線の基礎の上での政権でなければいけない。
 国民諸階級の利益を考慮したですねーーもちろん、人数は労働者がいちばん多いですから、それですむような話ですがーー、政治は多国籍大企業のような、一部の巨大なもの以外についての利益を考慮できる、そういう政権、そういう政治でなければいけない。

 そういう政権を打ち立てようではないか。そういう政権は、戦略的見通しのある、階級基盤のハッキリした、そういう党でなければできないと思う。今の社会民主主義者、あるいは労働運動の指導者たちは、中央・地方官庁や民間大企業等々の出身なんですね。かれらは労使協調型なんですよ。大企業と一体となって、アジアで利益を上げようとしている。一種の労働官僚ですね。
 私はそういう意味で、これからの闘いは、きわめて重要になる。しっかりとした戦略や戦術をもった、そういう政党、そういう政治的な連携のある統一戦線、それこそが大事だと思うんです。


●危機の評価と闘い

これまでの危機との違い
 さて、最後ですが、今回の危機の評価です。
 過剰な商品生産で、資本も有り余っている。したがって、落ち着くヒマもなく、次のバブルが起こる。そういう時代で、この金融危機は頻度が非常に高くなっている。つまり、間隔がえらく狭まって、繰り返し危機が起こる。グリーンスパンがそれを言っているわけですね。
 しかし、それでも、ある危機と次の危機との間には、きわめて限られた、相対的均衡状態、相対的安定期というような時期を予定しているんです。が、今の危機の進行を見ていますと、もうすでに、多くの国で、先進国だけじゃなく新興国、BRICsその他のような国でも、バブルが起こっています。バブルは必ず崩壊し、危機になる。
 しかも、先進国大企業は、アジアに殺到して、争奪が激しくなっていますが、そのアジアで誰が勝つにしても、過剰生産がまた世界経済に跳ね返ってくるという時代。
 そういう意味で、資本主義のシステム、世界資本主義がこれまでと違う危機にあると言える。これまでの危機についての認識、たとえばレーニンが「帝国主義論」で、「資本主義の最後の段階」と言った。その帝国主義がずいぶんと長い間、続いて、危機について慣れっこになったのかもしれない。
 しかし、今度の危機を見ていますと、これからしばらくの間、起伏はあると思うんですが、しかし、どこまで落ち着いたんだろうか、「正常化」したんだろうか、分からないほど、いたるところで危機が起こる。この間のドバイで起こった危機も、「落ち着いたな」と思ったら、あれが起こったので、またみんなヒヤっとして、「やはり片づいていないんだな」と。こういう状態がいっぱいあるということですね。


危機からの脱却とその必然性、社会主義、権力問題
 さてこの問題、資本主義の危機の深さを前提にすると、少なくとも社民党の人たちはもう言わないかもしれませんが、「左」がかった人たちの中で、「資本主義の危機、したがって社会主義革命ではないか」という議論がある。
 しかし私は、この危機を打開する流れは、それ自身の、つまり今の資本主義の仕組みの矛盾のうちに、これを乗り越える諸要因が含まれている、すなわち危機からの脱却とその必然性は、資本主義それ自身のうちに内在する矛盾性にある、というふうに見るべきだと思います。その分析こそ、確固たる戦略・戦術の土台です。
 そしてまた、この必然性、危機からの脱却は、すぐれて政治問題なんですね。権力をどうやって掌握するかという問題なんです。経済が、資本主義が行き詰まってどうにもならないところに来たので、以後は「社会主義革命」だと、経済自身のシステムから見ると、そうなると思いますね。
 しかし、その社会主義を実現するためには上部領域で、政権奪取のための複雑な諸階級の相互関係、その政治闘争で打ち勝たなければいけない。政治で勝利しなければいけない。政治で勝利してこそ権力を握り、そしてその権力が下部構造に反作用を及ぼす。そして、必要な下部構造についての改革を打ち出すという過程なんですね。
 そういうわけで、資本主義の危機がおのずと社会主義革命、という結論にはならない。資本主義が行き詰まって、次に移行せざるを得ない矛盾を含んだにしても、それ自身の具体的な、そしてそれは各階級の具体的な利害に大きく響くわけですから。その各階級の闘争が組織される、その闘争の頂点には、党派が立っている。
 このどの党派が打ち勝つかで、引き続き資本主義体制が、それこそ破壊の後、また緩やかに資本主義が動きだす道をたどるか、決定的にそれを転機にして、後戻りできず、生産諸関係を新しい諸関係に置き換えるかという問題は、政治権力の問題として存在するということですね。
 したがって、党のきちんとした理論がなければやっていけない、そういう時期に来たといえます。


わが党はいかに闘うか

 わが党はいかに闘うか。危機に満ちて、起伏があり、そういう波瀾(はらん)万丈の時代の到来です。毛沢東が生きていれば喜んだと思うんですね。「天下大乱」で喜んだと思います。私も本当にそう思いますね。そういう時代が目前に迫ってきている

 第一に、労働党の旗を高々と掲げて、誰からも見えるように闘いたい。労働者と労働組合の人びとに、この党に参加することを、強く呼びかけたいと思います。
 関連してですが、わが党は、再び国政選挙を争うことをめざす決定をいたしました。昨年の九月の中央委員会で、そういう決議をいたしましたので、ここで公表したいと思います。同様に、地方議員の選挙も、順次、そういう方向を取るようにします。
 それは、党として全国民に、とりわけ労働者階級に呼びかけて、堂々と党の主張をして他の党派と争う。国の政権をめぐって争うという姿勢を鮮明にするためです。小なりといえど、高い志をもって闘うことを、お誓いしたいと思います。
 第二番目に、党の旗を高々と掲げるだけでなく、労働者、国民諸階級、階層の要求を基礎に、いっそう精力的に、大胆に闘うようにします。それが求められる、そしてその闘いが成果を上げられる時代に入ったと思います。
 小沢民主党は、自公政権を倒すために「自民党離れ」に目をつけて、農民や中小企業をひきつけたんですが、この数カ月、そのかれらが「何だったんだろうか」ということで、失望に変わってきています。したがって、戦線の状況は大きく変わったといえます。闘い方も変わってきた、これは当然だと思うんです。民主党が一時的に獲得した、かれらの幻想が崩れているわけですから、急速にわが党は、これらの人たちと結びつくことが可能になっている。ということで、さっき言ったように、原則的な闘いを堅持して大胆に進みたい。
 第三に、これが大事なことですが、資本主義の破局が近づいて、起伏はあろうが、いっそうの闘いの日々が、しかも頻繁にやってくる。わが党は、そのように情勢の見通しを立てて、歴史や時代感覚をもった、理論に強く、しっかりした政策がつくれる、そんな強い党の建設をめざして努力します。
 最後に、わが党は危機を見据え、展望をもって、ひたむきに前進する決意です。
 労働者の皆さんの、わが党への参加を再度、強く呼びかけます。
 ご清聴、ありがとうございました。(拍手)


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