20010131

日本労働党2001年旗開き

大隈鉄二議長のあいさつ(1)

日本労働党中央委員会議長 大隈 鉄二


 日本労働党二〇〇一年旗開き(一月七日、東京)における大隈鉄二中央委員会議長のあいさつは、以下の通り。

 皆さん、おめでとうございます。
 今回は、党のいろいろな主張については、この後、副議長の山本正治同志からございますので、私は党を代表して簡単なあいさつを行わさせていただきます。
 三つほど触れさせていただきます。

(1)
 一つは、二十一世紀だということで昨年の後半から、特に年末から年始にかけて、二十世紀はどんな時代だったのかということを、盛んに新聞・テレビなどマスコミが取り上げました。そして、それを前提に二十一世紀の夢や展望を描いてみせる、論じる、ということがありました。その世論の流れについて私は異論がありますので、若干ながら率直に申し上げたいと思います。
 二十世紀を振り返る際には、みな、戦争の問題、前半は特に世界大戦が二度ありましたから、触れるんですね。ヒトラーのことやあるいは革命についても触れるんですね。悲惨な結果をもたらしたということなので、私は流れに抗して意見を言わなくてはならないと思います。
 ご存じのように、二十世紀のはじめは一次大戦ですね。その流れでロシア革命が起こった。二次大戦は一九二九年の恐慌から起こったんですね。そして、わが国は四五年まで世界大戦の中にあり、敗戦を迎えた。
 そこで二十世紀を振り返るならば、少なくともこう言わなくてはならない。
 その前世紀、共産党宣言ができたのが一八四八年ですが、十九世紀七〇年代に入るとパリコミューンその他、たくさんの闘いがあって、そして二十世紀のはじめ、大戦の最中にロシアの労働者階級、レーニンの党に導かれた労働者階級が、外国と戦わないで、内戦を、つまり戦争を内乱に置き換えて自国の政府を倒し、革命に勝利したんですね。その時のスローガンは「平和、パン、土地」ですね。農民は土地を求め、労働者階級や広範な人民はパンを求めた。ロシアのすべての人民は平和を求めた。
 戦争を始めたのは誰か、誰が責めを負うべきか。この戦争を引き起こしたのは、支配階級。ヨーロッパの列強、つまり強国の利益をめぐっての争いだった。労働者階級は少なくとも戦争に反対して、一次大戦をやめさせる大きな役割を果たしたんです。
 二次大戦はどうでしょうか。二次大戦ではヒトラーを糾弾しなくてはなりませんが、しかし、あれは後進の帝国主義、新興の帝国主義、あとから力を増してきて、それ以前に勢力を握っていた帝国主義に争いを挑んだのですね。そして世界戦争が起こった。二次大戦を終わらせたのもまた、決定的な力は労働者階級であった。ロシアから始まった労働者階級のソビエト政権が、ドイツの真正面にはだかって二次大戦を終わらせる決定的な役割を果たしたのはご存じの通りだと思うんです。
 つまり二十世紀が、戦争の、特に前半が戦争の世紀だとすれば、企業家たちは戦争のさまざまな条件をつくり、戦争で分け前をめぐって争った。つまり世界の人民を戦争に巻き込んだわけですが、労働者階級はその戦争を阻止したわけですね。この点は忘れるべきではないですね。
 NHKの放送その他でも、例えばロシア革命で飢え死にした。何千万人も死んだと宣伝していますが、あのロシア革命は食うものがない、パンのためにロシアの労働者階級と人民は立ち上がって、戦争をやめさせた。当然新しい政権は食の問題、パンの問題を解決しなければならない。にもかかわらず、そういう飢え死にの状況が世界に伝わり、国際的な食料の支援、人道支援を進めようとした。これに真正面から反対したのは、英国などの帝国主義だった。ロシアに食料を送れば、革命政権が強まると反対した。つまり、餓死者を出したのは戦争だし、戦争を引き起こした者にこそ責任がある。いっそう悲惨な結果に導いたのは、帝国主義者だったわけですね。こういう実際をあべこべに描いている。
 私は、一次大戦も二次大戦もきちんと評価しなければならないと思う。その後、冷戦が長く続いたわけだが、この冷戦とて、帝国主義は各国がどういう政権を選ぶかは自由であるはずなのに、干渉し革命の広がりを妨害した。そして長い間、冷戦をやった。この事実を忘れてはならないと思います。
 少なくとも二十世紀は、深くものを考えてみると、前世紀からの労働運動がだんだんに発展し、そして一次大戦の時に政権を取るまでに発展し、二次大戦を通じて世界体制にまで発展し、その後の一九四五年以降も世界の労働運動は発展した。逆に戦争をやった帝国主義、労働運動と革命の発展を恐れた帝国主義、つまり各国の企業家たち。二十世紀の歴史の底流を流れているのは、この二大勢力ですね。
 労働者が大きく育ってきた。それに反対して、企業家が支配する各国で、あるいは世界の仕組みの中で、労働者をどうおとなしく閉じこめられるか。そして現存する支配階級の社会を安定させるか。この二つの階級が争ってきた底流があるんですね。このことを忘れてはならないですね。
 最近の十年間ぐらい、社会主義が敗北して大きく後退しましたが、世界には何十億人もの労働者階級が存在するという現実があります。思想政治上、指導部を失っているとしても、何億もの労働者階級が組織されている。日本でも連合が惨憺(さんたん)たる状況だが、それでも魂を、指導部をなくしたものの、一大社会勢力でしょう。だから企業家たちは連合に組織された労働運動を手なずけて、企業家の後ろにおとなしく従う労働運動を求めている。
 もし、この労働者階級が目覚めるなら、企業家にとっては大変恐ろしいことになる。つまり、二十世紀の最後に企業家たちは労働運動に打ち勝っていますが、数といい、組織された状況といい、指導部をなくした労働運動が存在するのが事実です。私は、そのことを皆さんが忘れないようにお願いしたい。
 労働者階級は、一時的にいま自分の指導部を持たないだけで、したがって、二十一世紀に企業家たちが世界をうまく運営できないとすれば、ましてや労働者階級をしたい放題に踏みつければ、この労働者階級が目覚めると思うんです。したがって、われわれは一時的な敗北に気を取られて、失望する必要はないですね。

(2)
 二つめ。
 戦後の自民党政治について申し上げたい。完全に行き詰まっている。バブルが崩壊して以来、十年。企業家たちが景気よく世界、あるいは日本の経済を運営する自信をなくしている。日本は金持ちだという。もちろん国家は膨大な借金を背負っていますが。金持ちだといい、個人金融資産が千四百兆円ある豊かな国だというのですが、この金を外国に投資しなくてはならない。日本では使えない。このうちの五分の一だって、日本国内に投資できれば、たちどころに日本経済はよくなるはずですね。できないんです。
 戦後自民党政治の中で、せっせと日本人を働かせて、かせいだ貿易黒字は全部米国に持っていっている。これはどうにもならない。向こうから引き上げてきたら、ドルが暴落する。円高になる。たちどころに日本経済が怪しくなるといって手がつけられない。企業家や自民党にはこれに手がつけられない。
 国家財政の六百数十兆円の借金も同じです。返せない。だから中曽根などは塩漬けにしよう。利子だけ払おうという。利子だけ払うなら、銀行は喜びますよ。他なら貸し倒れがある得るが、国家に貸すなら貸し倒れはない。銀行は仕事を何もしないで、年間に何十兆円も利子を取る。ダニのように国家機構に食らいついているのは、銀行でしょう。これは中央政府から地方自治体までも同じでしょう。自民党はこれを解決できないですよ。
 われわれならばできますよ。銀行家に対する膨大な借金を、われわれなら棒引きする、踏み倒す。しかし、銀行から金をもらって政党をつくっている政党ができますか。できないですよ。自民党は完全に行き詰まっている。これが実態ですね。だから、この国をどうするのかということにこれほど当面している時期はないのです。

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