20010131

日本労働党2001年旗開き

大隈鉄二議長のあいさつ(2)

日本労働党中央委員会議長 大隈 鉄二


(3)
 さて、どうするかの当面の問題ですが。
 目前には参議院選挙がある。これで小沢はどう言っているかというと、自民党を倒すのに、さしあたって自民党など与党が過半数を割るように隊伍(たいご)を整えようと言っている。選挙での協力ですね。だけれども、そのあとどうしますか。
 過半数割れすれば、政治再編が間違いなく起こるんです。自民党は困るんでしょうが、企業家たちは困らないんです。保守政治は全体として続くんです。例えば、憲法改正といっても民主党の鳩山などは憲法改正論者でしょう。小沢もそうでしょう。自民党も含めそれらがゴチャゴチャと政治再編したらどうなりますか。野党、ちっぽけな社民党などには展望ないでしょう。
 野党というより、少なくとも憲法改悪を阻止したり、国民の暮らしをよくしたい、つまり先ほど申し上げた自民党政治からの完全な転換を願う勢力と、仮にそれを望む政党があっても、展望ないでしょう。
 どうなりますか。つまり土井さんが、私はだめなものはだめよ、と言ったところでどうにもならない。憲法改正はだめだという。しかし、小沢と手を組んで、自民党を倒すようにしているが、そのあとの政治再編に打つ手がありますか。社民党には打つ手はない。
 目前の選挙で一か二かのプラス、つまり十を取りたいと言ってるが、仮に取っても展望ないですよ。うまくいって過半数割れが起こり、政治再編が起こればポツーンと独りになるんではないですか。もちろん、加わるかも知れないですが。
 少なくとも、現実に政治を動かそうとすれば、目前の駆け引きではなく、本当に憲法改悪を阻止するためならば、主張だけではなく工夫しなくてはならない。自民党政治が行き詰まったもとで、これを具体的に打ち破り転換しようとすれば、そのための具体的な仕組みと力をつくらなくてはならない。
 私は主張したわよ、これだけで正しいというならば、政党の値打ちはないも同然です。戦前がそうです。わが国の支配者たちは、戦争に国民を動員した。誰も反対しなかった。共産党は反対したというが、監獄の中で反対していた。責任を果たせましたか。説を曲げないだけで仕事はしなかったんです。生きた政治、生きた国民の生活の頼りになる政党というのは、自分の主張を曲げないだけでなく、勝つ方法を考えなくてはならない。それが政党の責任でしょう。
 憲法改悪、どうですか。憲法改悪阻止にしても無力ですよ。鳩山は堂々と改憲を言っています。横路がすこし抵抗した。だが、横路が割れたなら、連合はどうするか決めなくてはならない。本当に阻止するためなら、横路が本当に阻止する気があるなら、民主党を割ればよい。横路には腰がない、割れない。割れないことを前提にして連合は、日本の労働運動全体を敵陣営に持っていっているんです。
 民主党が改憲派と護憲派に割れれば、憲法改悪阻止に不利になるのではなく、むしろ有利になるんです。その時、連合は困る。憲法改悪の方に連れていくには鷲尾だって自信がない。割れないから、なんだかんだ言って民主党を支持していけるんです。割れたら赤裸々にどちらかを支持しなくてはならない。だから連合は割れないことを望むんです。
 社民党はどうでしょうか。社民党は憲法改悪反対と言ってます。だが具体的なことは何もしてないですよ。土井氏は左のポーズをとっていますが、具体的なことはしていないですよ。そう思いませんか。もし阻止しようとするなら、社民勢力は団結すべきで、それ実行できるのは社民党の中枢、とりわけ土井氏で、その決断にかかっています。
 われわれは、新社会党の諸君にも社民勢力の団結を訴えていますが、この局面では、社民党の中枢が動くことが必要だと思います。社民党にそうした姿勢があれば、目前の参議院選挙で実現できなくても、流れが始まり状況が好転する、これが重要なんです。
 目前のことだけ、小沢ら自由党、民主党、社民党が選挙協力だとか、そうしたことに熱中しているが、そのあとの構想はない。憲法問題は四、五年はもたないでしょう。敵側の日程には入っていますよ。
 憲法改悪にしても、自民党の戦後政治、経済でも、アジア外交でも、完全に行き詰まっているわけですから、少し先を見て、盤石の労働運動に基礎を置き、闘う勢力を団結させ、労働党と社民党が手を結べという話ではないのですから、もちろんその話も重要ですが、もう少し物分かりがよいと思ったんですが……。つまり、われわれがいま呼びかけているのは、旧社会党の人びとはもう少し団結したらどうかと、ということなんです。
 労働運動に携わり、社民党を支持する人びとはそれを望んでいるんです。地方の社民勢力もそれを望んでいるんです。われわれはそこが少し前進すれば、闘いは有利になるし、連合の内部にいる社民党支持勢力はもう少し元気になる。連合路線に対する有力な反対勢力が形成されると私どもは思うんです。
 正月早々ですから、憎まれ口を言ってみましたが、内心は彼らに奮起していただきたいのです。ついでにですが、労働新聞の年頭のあいさつ文で「コップの中の嵐(あらし)」といって、少々乱暴に、国会内での議員の闘いを批判しましたが、反省しております。ただ、国会外での嵐のような国民運動がなければ、どんな政治的な努力も実らない。これは強調しなければなりません。
 野党議員の中には、多くの熱心な方がいます。国の現状を心配する人がいますよ。もちろん保守党の中にだっています。自民党員だって地方には手を結べる人がいます。ここには自民党の方がお見えですが、同じ船に乗っているんですから、この船がどうなるか話し合いましょう、と申し上げたんです。国民が真に望む生きた政治をすることが必要だと思うんです。
 最後に目前の参議院選挙についてですが、わが労働党は、独自候補者を立てては闘いません。どの党かを支持するのも一つの選択肢ですが、社民党を支持できるかについての難点はすでに申し上げたとおりです。村山政権時の問題も歯切れが悪いし、もう一度九三年以降の過ちを繰り返さない保証もみえていませんね。結論を出すには早すぎます。もう少し待ちたいと思います。
 長くなりましたが、今年は、熱心に闘いを組織して、なにがしか労働運動の前進、国民運動の前進に尽くしたいと思っています。皆さんといっしょに、あるいは皆さんの相変わらぬご支持を当てにして仕事を進めたいんです。どうぞ、よろしくお願いします。