20010115

闘う決意あふれる2001年旗開き

「安保破棄アジアの共生へ」国民的闘いを

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


1兆ドルのアジア基金など
いくつかの具体的提案


 もう少し、具体的にどう打開するかに触れたい。
 まず、日米安保条約を破棄して、従属的な日米関係から脱却することです。もちろん、米国と戦争するわけではありませんし、五十年間の経過もあります。そうした経過をふまえた日米友好条約が必要だと思います。
 そしてアジアの共生を実現する。そのために特に東アジアで、集団的な安全保障を含む、この地域の協力機構、共同体をつくったらどうか、こうわれわれは考えております。安全保障も含めてです。
 これは、これまた私どもだけの考えではございません。アジアの側もそういう考え方があります。例えば、昨年十二月に、マレーシアのマハティール首相が日本の記者団にその問題を提唱しております。「安全保障問題を米国抜きで話し合うことは可能だ。太平洋に軍艦を浮かべるんではなくて、話し合いの場を持つ必要がある」と。他の国はどうか知りませんが、米国抜きでやろうと、日本の政治家たちでこれにこたえる勇気ある人物がいるでしょうか。こたえる政治が必要です。
 そのマハティール首相の知恵袋のような人物が、日本の新聞で言っておりました。アジアは隣人なんだからどう関係をもつか、考える必要があると言って、三通りの方法がある。一つは隣人同士ケンカするやり方で、日本はかつてそれをやりましたが、これはダメでしょうと。それから二つめは、日本の都会の隣人の暮らし、隣は何をしても知らないと(笑い)。こういう過ごし方。これもあると。三番めは協力し合う、仲良くし合う道ですと。こう言っているんです。そして、ここが良いですね、引っ越しできないんだから(笑い)。未来永ごう引っ越し出来ないんだから、仲良くするのが一番じゃありませんかと。そしてその結論部分は、仲良くしようとすると、なぜお前ら仲良くするのかといって、われわれを被告席に座らせて、説明しろというやつがいると。名指しはしていないのですが、米国ですね。
 そこまで言われて、さて日本の政治家たち、これに対してどうこたえるかなんです。残念ながらこたえられない。
 この点でわれわれは、まずアジアはきちんと協力しよ合おう、という世論をつくる必要があると思います。
 それから三番め。アジアの共生のためには、第二次世界大戦、太平洋戦争、あるいはそれに先立つ朝鮮半島に対する三十六年間の植民地支配、さらに百年におよぶ台湾植民地化以来の中国侵略に対する歴史、これらをきちんと総括して、反省することだと思うんです。公式にその責任を認め、謝罪を行い、必要な補償を行うと。これこそが、私はアジア共生の前提だと思うんです。国会決議をしたり、これはまったく私の案でございますが、憲法改正をいうのだったら、こういう反省をきちんと憲法の前文に書き込む。これなしにアジアで日本が生きていく道はないと思います。これが三番めです。
 ですから歴史認識にかかわるいまの教科書問題とか、あるいは教育基本法の改悪問題とか、ましてや憲法の改悪問題は非常に重大な課題です。もちろん、日本の反動化だから反対する、あるいは過去の問題というだけでなく、これからの二十一世紀の日本の生き方にかかわる問題として、大変重視していく必要があると思います。
 四点めには、私どもは非武装中立という考え方はとりません。最低限の自衛力を持つ、これは当然のことだと考えております。世界が国に分かれておって、争っている状況の下で、それなしというわけにはいかない。しかし、先ほど申しましたように、自衛隊は日本人が引き金を握ってはおりません。完全に独立・自主の軍隊、こういう軍隊を独立国家としてつくる必要があります。もちろん核武装はしない、あるいは軍事費をこれ以上増やさない、きちんと専守防衛に徹した、そういう最低限の軍事力は必要だと思います。
 五点めですが、アジアでいっしょに生きていく上でも、そしてわが国の経済を再建するためにも、私は米国依存をやめて、ドル依存をやめて、アジアの市場、アジアで生きるべきだと考えます。そのために、例えば一兆ドル程度の基金をつくって、アジアの国々に自由に使ってもらい、その発展に貢献することです。かつて二次大戦後に米国がマーシャルプランということでヨーロッパでやったことがございますが、まあ似たようなものかも知れません。
 一兆ドルというと、百二十兆円位、大変な金額でございますが、しかし、考えて見れば原資はいっぱいあるんです。米国に日本の政府が持っておる財務省債が三千六百億ドル位あるんです。まず、これを売る。もうこれで一兆ドルの三分の一は確保したんです。まだあります。日本の「思いやり予算」という米軍支援、大体これ一兆円弱位でしょう、今は。十年分として一千億ドル近く、これだけでもう半分近くですよ、大体。いよいよ原資がなくなったら、いやなくならなくてもいいんですが、銀行支援の七十兆円、政府は銀行のために七千億ドル準備した。すでに二十五兆円、二千五百億ドルは銀行につぎ込みました。まったくのドブに捨てるカネでしょう、アジアのために使ったら本当に生きますよ。アジアのために使ったら生きる(拍手)。そういう意味で一兆ドルなんていうのは大した金額じゃないんです、日本の経済からしてみると。
 しかし、日本を除く東アジアの中国を含んだこの地域のGDPは全部で年間二兆ドルちょっとですよ。そこにもし一兆ドルの基金をつくって、どうぞご自由にお使いくださいと、アジアは沸きかえるでしょう。かつての戦争に対する謝罪と基金創設、この二つだけでも、日本の国がアジアで肩身が狭い状況は少しは克服されるでしょう。いまは全く、肩身が狭いですね。いまこうやっていかないと、アジアで生きていけないですよ。
 これは突拍子もない提案じゃないんです。
 例えばですね、米国債を売る、例の石原慎太郎もそう言っているんです。ところが石原慎太郎は、米国の国債を売れというんですが、売って円にして全部持って来ちゃったら、先ほど申し上げましたようにドルのシステムが崩壊すると、それじゃ困るといってそのおカネで米国の株を買えというのです。こういうのをなんと言いましょうかね、腰抜け(笑い)、これ以外ないと思うんですよね。あれ、強そうなこと言っていますけれども、本当に腰抜けですよ。
 それから、九七年にアジア通貨危機が起こった際に、日本の大蔵省の中にもこの通貨危機を乗り切るためにということで、一千億ドル程度の、私の構想の十分の一ですけれども、基金をつくろうという話があったんです。榊原英資が暴露をしておりましたが、米国に言われてダメになった。日本の政府の中にだってこういうことを考えるやつはいるんです。しかし、一千億ドル、ちゃちなんですね。
 同じ頃に韓国の金鐘泌首相が鹿児島に来て、日本は三千億ドル程度の基金をつくったらどうだと。向こうの方がスケール大きいですね。アジアは求めているんです。
 その結果出来たのが、「宮沢構想」というやつで、わずか三百億ドル。それすらも、これも榊原が暴露しておりますが、そのころにブラジルの通貨危機が起こったんでこの対策に日本もゼニを出すから、アジアに三百億ドルも認めてくれと米国に頼んだ。ブラジルが吹っ飛ぶと、あれ米国の裏庭ですから米国は大変ですよ。みじめな話じゃございませんか。それでようやく三百億ドルの基金が出来たんです。
 私、この十一日からベトナムに行くんですけれども、ベトナム外務省の高官が前にも言ってましたよ。その三百億ドルでも自分たちは非常に助かっていると。それはアジア経済の発展段階から見れば当然でしょう。本当に切実に日本の協力、これを求めているわけです。
 現実の政治問題ですから、もう少し触れてみたいんですが、亀井静香、あの騒ぎ立てる男が、日本の政府開発援助(ODA)を三割削れなどと言う。こうなるともう、こういう場で言っていい言葉かどうか知りませんが、ケツの穴が小さいというか、本当に恥ずかしい限りでございます。アジアがみな反発しております。
 ということで、私は日本がアジアで生きていくうえでも、そしてアジアの発展に貢献するためにも、この問題というのは非常に差し迫った重要な課題ではないかと思います。
 いつでも、また「アジア通貨危機」のような、もっと巨大な危機が訪れかねないわけで、緊急に必要になっていると思います。
 こんな方向で日米安保条約を破棄して、アジア諸国と本当に共生できる関係をつくっていきたい。

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