20010115

闘う決意あふれる2001年旗開き

「安保破棄アジアの共生へ」国民的闘いを

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


 おめでとうございます。新しく副議長となった山本正治です。二十一世紀、全国の同志の皆さん、全国の友人の皆様と共に、日本の政治を変えるために、全力を尽くします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 今日は、私どもの旗開きに多数のご来賓の皆様方、友人の皆さん、同志の皆さんがおいでくださいまして、ありがとうございます。昨年一年間、いや、世紀を超えておりますから、結党以来の二十七年間、皆さんと共に闘って、党が大きく前進した中でこの新世紀を迎えられたこと、新しい闘いにいま乗り出そうとしていることに、中央委員会を代表してお礼を申し上げます。今年もいっそう団結して闘いましょう。
 この一年、二十一世紀を、日本労働党がどう闘おうとしているか、述べてみたいと思います。
 ひとことで申しまして、後ろの幕に、「日米安保破棄、アジアの共生へ」と書いてある通りです。いまこそ、日米安保条約を破棄し従属的な日米関係を変える、そしてアジアと共に歩む日本に切り換えていく。この方向に国民世論を導く闘いを、皆さんと共に進めたい。この問題について、報告いたします。
 報告の構成ですが、まず、日本の国がどんな状況に直面しているか。その後、二点ほど、特に経済の問題、それに安全保障や外交の問題について話し、最後に、危機の現状とこの政治をどう打開するか、闘いの方向、あるいは構想について報告します。

わが国が直面する危機の現状

 この年頭、さきほど大隈議長が申し上げましたように、また皆さんが一番ご存じのように、日本の社会が完全に行き詰まって閉塞状況、政治がこれほど行き詰まって、新年を迎えたこと、少なくとも私が物心ついてからはありません。年輩の皆さんはたくさんあったのかもしれませんが、少なくともこの二十世紀の後半以来、五十年ぶりのことだと思うんです。
 いくつか指摘してみたいと思いますが、まず何と言っても、不況の問題だと思います。「失われた十年」などということが、年末から年頭にかけていろいろなところでいわれました。経済は、評論家にいわせれば「上がった」「下がった」「どうなる」という話で済む問題ですが、非常にリアルな問題です。
 中小企業、自営業者の皆さんからすれば、企業が生き残るか死ぬか、倒産の問題でしょう。私たち労働者にとってみれば、失業の問題。現実に失業者は三百二十万を超しているといわれるわけですが、これとて少ない数字です。改めて調べてみましたが、最近一年間で離職した人、仕事を失った人がおよそ六百万おります。全就業者の一割が一年間の間に仕事をなくす。新しく仕事についても、いまの状況では労働条件はほぼ確実に低下いたします。もちろん、かろうじて同じ仕事を続けても、労働条件が低下する。政府の統計でも、三百二十万失業者以外に、家庭にいるが仕事があったらいつでも仕事に就きたいという方が、百八十万人おります。ですから失業者は、少なくとも五百万人。労働者の一割が、長期の失業状態にいるんです。
 また、財政赤字とその結末が、国民に押しつけられている問題。この一月一日から、また老人医療費が上がりました。去年は介護保険制度が導入されて、これまで公費でまかなわれていた介護が保険料を払わされ、しかもサービスを受ける際には自己負担分もある。こうしてたくさんの人びとが、泣く泣く介護を追い出されております。
 さきほど大隈議長が、中曽根康弘がこのことに触れていると申しました。中曽根がこれはどういう性格の問題なのかといって次のように言っております。「いまの日本の最大の問題は、この財政赤字を、政府も民間も深刻に受け止めていないことだ、これが最大の問題だ」と。「日本は死の縁に臨んでいる」。そして、「こういうことは歴史では昭和二十年代後半にあった。それは朝鮮戦争の特需で解消された」「世界でも同じように、戦争によってしか解決しなかった」と述べて、「一九二九年の米国の恐慌は第二次世界大戦に結びついた」「こういうことを考えると暗澹(あんたん)たる気持ちになる」と、中曽根はこう言っているんです。
 現状の深刻さはそういうことだと思います。
 ところで、「二〇〇二年の陰謀」という言葉をご存じでしょうか。推理小説ではございません。今年参議院選挙があって、来年、再来年はうまくすると国政選挙なしですまされる。この国政選挙がない間に、消費税率引き上げをはじめ大増税をやって、とりあえず乗り切ろうと。これが政府や財界、永田町の界隈(かいわい)でささやかれている「二〇〇二年の陰謀」だそうです。地方行革、市町村合併などの攻撃も本格化しています。
 中曽根の財政赤字論の問題点は、そこにとどまりません。中曽根が、六百六十六兆円にのぼる累積債務を「塩漬け」して、利子を払い続ける方法を提唱していることです。いま政府と地方の債務の利払いが、計三十兆円です。銀行が持っている公債は半分ぐらいでございますが、ずっと、銀行に利子を払い続けようというわけです。そうなれば銀行は、この危機のもとでも元本は確実で確かな利息を取れ、安穏と暮らせる、それを保証しようと。
 財政危機の打開を、国民大多数が引き受けるのか、それとも大もうけした銀行や巨大企業に負担させるのか、この争いが避けがたいのです。
 この経済危機は、何と言っても労働者、国民の将来に対する不安となって表れています。この問題を考えると、本当に胸が痛むわけでございますが、例えばここ最近、自殺者がたいへん増えている。年間三万四千人ぐらい。そして、自殺が増えた結果、男子の平均年齢が下がっている。こんな国が皆さん、世界第二位の経済大国といわれる国ですよ。こういう実態です。
 一九三〇年に東京市、いまの東京二十三区で、千七百九十九人の「ルンペン」がおった。それでいまどのぐらいかと思って、東京都庁に聞いてみました。同じ二十三区で、路上生活者(ホームレス)が五千七百人だそうです。三倍以上。人口は倍になっておりません。
 誰も、いまが恐慌だとは言いません。だけれども、社会の下層の人びとには、そういうむごい事実がしわ寄せされているんです。とても永田町にいるような与野党問わず議会政党の政治家たち、あるいは連合の一部の幹部には、こういう事態は目に見えないんだと思います。
 経済の不況の問題は、こういうことだと私は思います。この危機の打開はまさに緊急のことです。

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