20001115


民主党 船舶検査法、思いやり予算に賛成

米国に呼応、集団自衛権あおる


 森政権は、中川官房長官の辞任、不支持率七一%など、国民の不信を背景に完全な末期症状を呈している。自民党の加藤紘一氏は内閣不信任案が出れば反対しないと、事実上の倒閣を宣言し、自民党内の対立は激化している。他方、この機に乗じて民主党は、加藤氏らとの連携を通じて、内閣不信任案成立、政局の主導権確保などをもくろんでいる。だが、その民主党の鳩山由紀夫代表は九月の大会以来、集団的自衛権が行使できるよう改憲すべきだと一段と声を張り上げている。これは最近、米国からの一連の対日安保政策見直しに呼応するものである。民主党は、国会審議でも新ガイドラインの具体化の一つである船舶検査法案などに賛成、その実現に一役買っている。これらの事実は、民主党が自民党も顔負けする対米追随であり、軍事大国化をめざす党であることを物語っている。こうした鳩山代表の反動的言動に党内の矛盾が激化、十一月に入って反執行部の党内組織が次々と結成されるほどである。民主党は財界の政治を支える党であり、決して労働者や中小商工業者など勤労国民の党ではない。野党面しながら、国民を欺く民主党を信用せず、闘いを前進させよう。(関連記事)


 民主党の鳩山代表は最近、集団的自衛権を憲法に明記するよう求める発言を繰り返しトーンを高めている。
 「集団的でも個別的でも本来あるものなら(自衛権の行使)を明記すべきだ」「国際貢献の中、周辺事態の時は自衛の意味をもつ。日米で協力する集団的自衛権の範囲を憲法であいまいにできない」(十月十六日)などである。
 そして十一月七日には「後方支援と前方の行動で明確な区別ができるのかという議論がある。後方支援でも敵国は日本に攻撃を加えてくる。日本が脅かされているときに、手をこまねいているだけでよいのか」と、強調している。
 これは、単なる鳩山個人の意見ではない。岡田克也・民主党政調会長は、鳩山発言について「解釈改憲を認めず、憲法改正論は議論を尽くすとした党見解と矛盾しない」「集団的自衛権行使の是非を憲法解釈の変更で行うべきでない」とし、改憲によって集団的自衛権を行使できるようにすることを否定しない。
 さらに「国連平和維持活動(PKO)参加五原則を緩やかにし、他国のPKO部隊を守るために武器を使うことは、改憲しないと対応できない」と改憲を強調した。
 自民党顔負けの対米追随の姿であり、軍事大国化の道を突き進もうとすることを鮮明に示している。
 そして、アミーテージ元米国防次官補らが十月十一日、「米英関係を日米関係のモデルにすべきだ」と、集団的自衛権の容認、PKOへの全面参加などを求めた政策提言に呼応するものである。

新ガイドライン具体化で協力

 こうした改憲、軍事大国化発言と並行して、民主党は国会では政府・与党の提出した船舶検査法についても十一月九日に賛成方針を決定した。
 船舶検査法は、「国連安保理事会決議に基づいて、あるいは旗国(船舶が所属する国)の同意を得て、自衛隊が(1)航行状況の監視、(2)船舶の名称、目的地、積み荷などを照会、(3)乗船・検査、(4)航路変更の要請を行う」と明記している。さらに武器使用も容認している。文字通り、日米新ガイドラインに沿って、米軍の戦争を支援・協力するものである。
 また、十一月八日の衆議院外務委員会では、米軍への思いやり予算についての新特別協定(来年から五年間)を審議し、民主党はこれにも賛成した。

民主党内で広がる反発

 民主党は日米安保体制、新ガイドラインを容認しながらも、こうした改憲、集団的自衛権を主張する鳩山代表らに反発し、鉢呂吉雄氏は発言撤回の署名運動を行った。そして旧社会党出身者など衆参両院議員二十八人は十一月一日、「二十一世紀の民主党を考える会」を結成した。
 民主党憲法調査会でも、鳩山代表は鉢呂、横路氏らと激しいやりとりを展開した。また、当選一期の衆議院議員でつくる「いっきの会」も鳩山発言に困惑が広がっている。
 民主党内の矛盾は拡大しており、その過程でさらに財界のための政党であることを自己暴露していくであろう。

民主党を信用せず、闘おう

 このように、民主党は自民党以上に反動的である。文字通り支配層がもくろむ「保守二大政党」の一方の党そのものである。
 この民主党を支持する連合の方針は、労働者を民主党の改憲、軍事大国化の道に引きずり込む犯罪的役割を果たしている。
 労働組合の役員、活動家は、こうした鷲尾らの反動的役割を許さず、民主党を信用せず、闘おう。
 労働者階級の闘いなどを基礎に、広範な政治戦線形成こそが、政治変革の保証である。


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