20000605


財界のための政治支える民主党
財界にこび売る共産党

野党への幻想を捨て闘いの前進を


 衆議院は六月二日解散し、二十五日に総選挙実施となった。森・自公保連立内閣は、支持率二〇数%前後と国民の支持を失い、連立与党は、過半数割れのおそれさえいわれており、国民の望む政治転換にとっては絶好のチャンスである。だが、野党は、森政権に明確に対決する政治方向を打ち出せず、国民の要求にこたえることはできない。とりわけ労働者階級は、次の保守支配を支えようとする民主党、共産党など野党にだまされず、民主主義と国民生活破壊の悪政転換のため先頭で闘おう。(関連記事)


 いよいよ総選挙となったものの、森内閣の支持率低下は目を覆うばかりである。最近の世論調査で、支持率は二〇%前後まで落ち込んだ。
 前回総選挙(九六年十月)以降、憲法改悪をめざす憲法調査会の設置(九九年)、新ガイドライン締結(九七年)と関連法制定(九九年)など国の進路の問題で反動的方向が進められた。
 内政面では多国籍化した大企業のための大競争、弱肉強食社会をつくり、労働者へのリストラ、中小企業つぶしを強行した。前回総選挙の行われた九六年の失業者は二百万人強だったが、現在は約三百五十万人にまで増大した。
 しかも労働者や中小企業への犠牲の一方で、大銀行への七十兆円への公的資金=税金の投入など、露骨な大企業優先を続けている。大企業優先政策の結果、国と地方の累積債務残高は六百四十兆円となり、小渕政権になって国債残高は約二倍に膨らんだ。
 自民党主導の連立政権は、大企業の利益を優先しながら国民大多数に犠牲を押しつけ、危機を乗り切ろうとしている。このような悪政を断固打ち破らなければならない。
 こうした状況は、自民党政治への国民の不信を増大させ、保守勢力は、自社さ、自自、自自公、自公保と連立の策略で切り抜けてきた。
 「神の国」発言は確かに国民の不信増大の大きなきっかけだが、背景に根強い民心の離反があることを見ておかねばならない。危機に立つ保守勢力・自民党と取り引きし、支えてきた自由、公明、保守党などは断じて許されない。

あてにできない民主、共産

 まさに野党にとっては絶好のチャンスである。
 だが、野党の多くは、与党に対して明確な姿勢をとらず、むしろ与野党の境界はあいまいである。
 野党第一党の民主党はどうか。
 かれらは昨年、改憲を狙う憲法調査会設置に賛成し、「必要に応じて改憲」をうち出している。さらに鳩山代表に至っては憲法九条改正、「徴兵制」すら提唱。
 選挙公約では、所得税の課税最低限の引き下げを公然と掲げ、その上、鳩山代表は消費税のアップについても述べており、国民大多数に犠牲を押しつけることで、財政再建を図ろうとしている。
 自公保対民主の非難合戦が激化しているように見えるが、実態は自、民なれ合いに過ぎない。
 この民主党が決して労働者の味方でないことは、すでに明らかである。この党は自民党と変わらないばかりか、財政再建などで自民党以上に支配層の声を代弁している。  では、野党第二党の共産党はどうか。
 第二十一回大会で、支配層に恭順の意を示し保守との連合政権づくりを決定した。そして、「よりまし」政権の実現のために限りなく、妥協を続けている。
 さらに欧米資本主義では、労働者の権利を守る制度が確立しているなどと限りなく持ち上げ、欧米並みの「ルールある資本主義」を要求している。
 財界からすれば、欧米並みの資本主義国が目標であれば、何の問題もない。事実、最近の経済懇談会では、関西経済同友会常任幹事から「資本主義の枠内での改革、違和感なかった」と言われるほどである。
 そして、先の国会では民主党との共闘を絶賛し、民主党にすり寄っている。こうして民主党への幻想をあおる犯罪的な役割を果たしている。
 自民党と反動ぶりを競演する民主党が、次の保守支配の予備軍とするならば、共産党は次の次の予備軍である。国民の望む政治転換にとって、こういう連中を決して信用してはならない。

真に闘える砦を築こう

 こうした悪政を打ち破る原動力は、労働者階級をはじめ国民諸階層の政治的な統一した力であり、これこそ政治の転換の保証である。
 わが党は、国民的大衆行動とともに政治変革のための統一戦線の発展のために引き続き努力するものである。
 同時に、この総選挙以後、国政選挙でもより大きな勢力を結集した「共同の模索=選挙のための政党」の準備に努力することが求められている。
 かつての社会党員や労働組合の活動家など闘いの前進と闘う人びとの団結を願い、目前の野党への幻想を捨てて、真に闘える砦を築く必要がある。


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