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日中平和友好条約締結20周年記念

各地でシンポジウム開催


歴史認識、台湾問題など

劉氏が率直に問題提起


 劉徳有氏(中華全国日本学会会長)を招き、日中平和友好条約締結二十周年を記念する取り組みが、東京に続いて神奈川、福岡で開かれた。福岡県では、奥田八二・元県知事、杉岡洋一・九大総長、盛貞人士・連合福岡会長などが呼びかけ、各級議員、労組などが賛同し、自治体、新聞社が後援するなど、広範な県民の関心を集めて開かれた。神奈川県でも同様に、各界の共同の努力で開かれた。

福 岡

各界の広い関心を集めて

 日中平和友好条約締結二十周年記念フォーラム「二十一世紀のアジアを展望して―日中両国のはたす役割」が十二月十一日、福岡市で開かれ、各界から百二十人が参加した。

 主催者を代表して、実行委員長の奥田八二氏があいさつを行ったあと、来賓として、吉浦公生・福岡県日中友好協会理事長があいさつ、李建民・中華人民共和国駐福岡総領事館領事が総領事のメッセージを代読した。

 祝電・メッセージに続いて、野田英二郎・元インド大使、劉徳有氏がそれぞれ、日本側、中国側の立場を代表して問題提起を行った。

 歴史認識問題、台湾問題などについて貴重な提起が行われた。「歴史に学ぶことはできても、歴史を書きかえることはできない」「なぜ『台湾は周辺地域には入らない』と明言できないのか」など、アジアの平和、発展にむけて日中両国が果たすべき役割について、エピソードを交えながら率直な提起がおこなわれた。

 また、日中共同声明や平和条約の精神は、江沢民主席と小渕首相との間で十一月二十六日に交わされた日中共同宣言にも引き継がれており、この精神にそって両国、人民が友好・協力の輪を発展させることが大切だと指摘した。

 フォーラム後、劉徳有先生歓迎レセプションが開かれた。

 レセプションでは、新宮松比古・福岡県日中友好議員連盟顧問が呼びかけ人を代表してあいさつ、乾杯の音頭を行った。また、来賓・各界からは、中村健・福岡県副知事、板橋元昭・福岡県県議会議長、田中慎一郎・北九州大学学長、陳東得・福岡華僑総会副会長、高野玄太・佐賀県日中友好協会副理事長、滝本憲二・(株)アジアビジネスセンター代表取締役社長がそれぞれ歓迎のあいさつをした。


神奈川

自治体、マスコミ各社が後援

中国進出企業の経営者も発言

 劉徳有氏を迎えて、実行委員会(代表・竹田四郎氏)主催のフォーラムが十二月八日、横浜市技能文化会館で開かれた。

 最初に野田英二郎氏と劉氏が、それぞれの立場から問題提起を行った。

 劉氏は、今年の八月、日本の「朝まで生テレビ」に出演した際、司会の田原総一郎氏に「中国は反日教育を行っている」と問いつめられたことを紹介し、それについて日中の間の歴史的事実をもってユーモアも交えながら話した。そして、現在の日中間が抱えている問題と二十一世紀への役割を話した。

 それを受けて、高良真木・日中友好神奈川県婦人連絡会会長と金子良明・日中技術経済交流協同組合理事長が発言した。

 高良氏は、歴史認識をしっかりして日中共同声明に基づいた日中友好を深めることの重要さを自らの体験をもとに話した。

 また金子氏は、中小企業の経営者という立場で、中国に工場を持ったいきさつを話し、「中国は日本をあてにしていない。米国とも欧州ともやっていける。このことをよく理解する必要がある。日本で元気にやっている中小企業は、中国で利益を上げている。自分の会社も、中国で利益を上げているので何とかやっていける。日本の技術はまだまだ優れており、これを中国に普及しながら中国やアジア各地と分業して生産できる仕組みができないか」など、中国人と日本人が協同生産を通じて相互理解し、お互いに意見を言い合っている興味深い実例を紹介した。

 フォーラム後には、会場近くの中華街で懇親会が行われ、問題提起者を中心に日中友好のための熱心な意見交換が行われた。



各地の呼びかけ人、後援

福岡

日中平和友好条約締結二十周年記念フォーラム実行委員会主催
呼びかけ人
奥田 八二(前福岡県知事、アクロス理事長)
杉岡 洋一(九州大学総長)
盛貞 人士(日本労働組合総連合会福岡県連合会会長)
高山 史子(福岡県総合女性センター・あすばる館長)
野口 郁子(福岡市女性センター・アミカス館長)
羽音 豊 (部落解放同盟福岡県連合会執行委員長)
松本 龍 (福岡県日中友好協会会長)
吉浦 公生(福岡県日中友好協会理事長)
新宮 松比古(福岡県日中友好議員連盟顧問)
原口 久人(福岡県日中友好議員連盟会長)
滝本 憲二(株式会社アジアビジネスセンター代表取締役社長)
久保山 教善(広範な国民連合福岡筆頭代表世話人)

後援
福岡県
福岡市
北九州市
福岡県市長会
福岡県町村会
(財)福岡県国際交流センター
読売新聞西部本社
朝日新聞社
毎日新聞社
西日本新聞社

神奈川

日中平和友好条約締結二十周年記念フォーラム実行委員会主催

後援
(財)神奈川県国際交流協会
(財)横浜市海外交流協会
(財)川崎市国際交流協会
横須賀市国際交流協会
神奈川新聞
テレビ神奈川
朝日新聞横浜支局
毎日新聞横浜支局
日本経済新聞横浜支局
産経新聞横浜総局


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