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第5回総会 情勢は急転 力ある国民連合を

北海道、愛媛で、県組織相ついで結成

親泊那覇市長、奥田前福岡県知事など多彩な来ひん


 自主・平和・民主のための広範な国民連合(国民連合)の第五回全国総会が十一月二十二〜二十三日、福岡市の県教育会館でで開催された。わが国金融機関の相つぐ破たんや改革政治での犠牲の拡大、新ガイドラインの策定など急転する情勢のなかで、広範な国民連合の役割と展望が実感できる総会となった。(関連社説)



 国民連合第五回全国総会は、全国の代議員、傍聴者など約四百四十人が参加して開催された。
 議長団には、片岡健氏(東京・東京都日中友好協会副理事長)、須見正昭氏(神奈川・専修大学講師)、吉田伸氏(大阪・全日建運輸連帯労組近畿地本委員長)、石橋固氏(福岡・福岡県退職教職員協議会会長)が選出された。
 大槻勲子・代表世話人が「広範な国民連合は一九九三年の結成以来、国内問題だけでなく、外交問題も含めて、自主的で平和で民主的な新しい日本の進路の実現をめざす広範な国民運動の発展のために、全国で共同の努力を行ってきました。昨年の第四回全国総会では、国民運動の課題として『日米基軸を転換しアジアの共生へ』『沖縄と全国の米軍基地の縮小・撤去』『消費税率引き上げや社会保障切り下げに反対し、国民生活を守る』の三点と、運動を発展させるために賛同人の倍化など組織強化を決議しました。
 新ガイドライン問題については、アジアの共生の問題、平和憲法の問題、国民生活や地方自治問題の面からその危険性を訴えるアピール発表や分かりやすいハンドブック出版を行いました。各地で取り組まれたさまざまな集会など非常に意欲的で、すばらしい活動については皆さんからの発言があると思います。来年の通常国会では有事法制が提案される予定ですから、私たちの運動をますます強めなければなりません。
 組織の面では一回り強化されましたが、急速に進む情勢からすればもっと頑張らなければと感じます。
 各地の元気な発言を通じて、二日間にわたってこれからの方針を討議し、広範な国民連合の新しい出発となる決議をつくりましょう」と開会のあいさつを述べた。
 記念講演は親泊康晴・那覇市長が「沖縄は訴える―日本の進路と新ガイドライン」と題して行った。親泊氏は、戦後直後から米軍によって銃剣とブルトーザーによって沖縄の土地が取り上げられていった様子を詳しく報告した。米軍による土地取り上げが沖縄の発展ではなく、基地があるがゆえにさまざまな困難が押しつけられていると指摘した。新ガイドラインによる米軍基地の強化を許さず、基地のない平和な沖縄こそが発展の道であると講演した。
 今回の総会には、麻生渡・福岡県知事(代理)、桑原敬一・福岡市長(代理)、奥田八二・前福岡県知事、本島等・前長崎市長、合屋洋一・福岡県農協青年組織協議会委員長、金城秀雄・前福岡沖縄県人会会長、牧園五郎次・全港湾労組博多支部委員長が来ひんとしてあいさつを行った。
 続いて加藤毅事務局長から総会の議案(1)総会の意義と任務、(2)一年間の総括、(3)情勢の主な特徴、(4)今後一年間の方針、が提案された。
 討論は二日間にわたり三十人以上の代議員が積極的に発言した。
 橋本政権の「改革」で犠牲にされる中小商工業者などとの意見交換や連携によって、国民連合への期待が高まっているなどの意見が出された。
 また組織拡大では、北海道、愛媛の代議員はそれぞれが最近、県組織を結成して参加したことを報告し、会場から盛大な拍手が送られた。東京の北事務局長からは「杉並区では介護保険問題で年四回の集会を取り組み、会員が増えている。信頼関係をつくる取り組みをすれば会員が増えることが教訓だ」との意見が出された。
 また各地からは、沖縄の基地問題、新ガイドラインに反対する集会や民間施設の使用に反対するよう行政に要請行動を行った経験などが報告された。
 討論のまとめを槙枝元文代表世話人が行った。
 その後、補強意見や規約一部改正と役員改正が全員の賛成で承認された。続いて「弱肉強食の規制緩和に反対する特別決議」「新ガイドラインと関連法案に反対する特別決議」が採択された。
 第五回総会は、熱気あふれるなかで、成功裏に終了した。
 なお総会には、全国農政協、津和慶子(日本婦人会議議長)、紀平悌子(日本婦人有権者同盟会長)、中江要介・元駐中国大使、横田晟(福岡県歯科保険医協会会長)の各氏をはじめ議員、行政、学者・文化人など七十六通の祝電・メッセージが寄せられた。


来ひんあいさつから

 合屋洋一氏

 百姓はどんなこつあってん、日本の農地を、日本の緑を守らんばいかんとです。私は今月十三日、自民党本部に押しかけました。「行政改革で農という字を消すな。これは九州農業を見捨てることじゃないか」と言いました。ところが今朝の新聞では農林水産省が残っていました。やっぱり、出かけていってよかったと思っています。『蟻の一穴土手をも崩す』という言葉があります。われわれは数は少ないが、みんなが一丸となっていつかは日本丸を揺さぶるような組織になりたいと思います。

 牧園五郎次氏

私たちは昨日、全国規模の二十四時間ストライキを闘いました。その理由はまず第一に労資協定である事前協議について、政府が不当介入してきたことへの抗議と撤回を求めるためです。第二は港の規制緩和に反対することです。第三は新ガイドラインです。その次に来るのが労働法の改悪です。要するに、港を自由に扱う、安く労働者を使う、ストをする組合はいらないという攻撃です。われわれとしては攻撃が最大の防御だと考えています。今後、皆様のご支援を受けながら、死ぬまで闘うことを誓います。


槙枝元文氏まとめ(要旨)

 議案に対し活発な意見が出されたが、積極的に国民連合を発展させようというものであり、修正して成文化する。それを前提に四点ほど意見を述べさせてもらう。
 一つは、人権・教育・文化についてだ。特に歴史認識問題だが、学校教育では一九五五年から太平洋戦争については教えていない。政府はこのままでは侵略戦争ができなくなると、侵略戦争を教えなくし、文部省も教科書検定を始めた。だが歴史認識は、平和な環境やわが国の進路にかかわる重要な問題であり、国民連合でも努力していきたい。
二つめの問題は、朝鮮民主主義人民共和国の問題だ。私は、「らち疑惑」にしてもマスコミがゆがめて報道しているのが恐ろしいと思う。北朝鮮が悪い国だとしなくては、新ガイドラインも成立できない。そこで日朝国交正常化を求める世論を発展させたい。
 三つ目は中国への代表団派遣問題だが、中国のアジア戦略を知ることは、アジアの平和にとって役立つだろうし、新ガイドライン問題でも意見交換してみることは今後の運動にとっても重要だ。そういうことで訪中団をだしたい。
 四つめは新ガイドラインの問題。それに伴い出てくるであろう有事法制はこれからの重要な闘いになるだろう。日本の将来にかかわる問題であり、このままでは日本は米国のいいなりで臨戦体制をとらされる。民間空港、港湾をはじめ国土、国民が戦争に動員されることになる。また沖縄も本土もなくなる。
 自主・平和・民主がわれわれのスローガンだが、米国との関係では追随ではなく、従属になっている。国の進路の問題としても、新ガイドラインに反対する闘いは重要で、国民連合の課題そのものになる。
 今後、国民連合の果たす役割は非常に重要になっている。国民連合は、基本は各地での運動である。中央は情報を伝え、必要にあわせてアピールなどをだしていく。そうしたことを確認してまとめとしたい。


広範な国民連合

北海道、愛媛で結成

 「自主・平和・民主のための広範な国民連合・北海道連帯の会」設立総会が十一月二十一日、札幌市民会館において開催された。北海道では九三年に準備会を結成して以来、農業、消費税、住専問題などで集会を開くなど、運動を積み重ねてきた。
 総会では渋谷澄夫氏(道議)、小田原要四蔵氏(道議)、舟山広治氏(道議)、太田一男氏(酪農学園大教授)の四氏が代表世話人に選出された。
 続いて沖縄県事務所の田里正夫氏が記念講演を行った。田里氏は沖縄の歴史を振り返りながら、国際都市構想について報告した。新しい沖縄の未来を描く講演は示唆(しさ)に富むものであった。
 参加者は、国民連合が道民の声を代弁して運動のうねりをつくりだすために頑張ることを誓いあった。

 「自主・平和・民主のための広範な国民連合・愛媛」結成総会が十六日、松山市民会館で開かれた。総会は山崎幾右衛門氏(愛媛玉串料違憲訴訟原告)の司会ですすめられ、準備委員代表の石水伴清氏(県日中副会長、全日農県会長)が、「きょうを出発点として頑張っていこう」と力強くあいさつ。 討議のなかでは、わが国の戦争責任、規制緩和、消費税、介護保険制度の課題などについて活発な意見が出された。続いて、本島前長崎市長が記念講演を行い、結成総会は成功のうち閉会した。  


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