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労働新聞 2022年2月5日号・2面〜3面

各地の新春講演会・旗開き

「大衆にこそ力」の観点
貫き、党と闘いの前進誓う

 党中央委員会に続いて、各地の地方党組織主催による新春講演会・旗開きが相次いで開催された(長崎はコロナ過を理由とする会場側の要請により延期)。近畿、九州では秋山秀男議長が破局を迎えた資本主義と労働者階級の果たすべき任務などについて講演を行った。また現場同志も発言、党建設と闘いの前進に向けた決意が訴えられた。各地の模様を紹介する。


近畿/危機の時代、労働者階級の任務明らかに
多彩な来賓、地方選闘う同志から決意表明

 党近畿地方員会の主催による新春講演会・旗開きは一月二十三日、大阪市で開催された。昨年に続き、新型コロナウイルスの感染拡大が進むなかではあったが、感染予防を徹底して行い、大阪、京都、兵庫の同志をはじめ、共同して闘う労働組合、団体、地方議員、個人の人びとが多数参加した。
 開会あいさつに立った長岡親生・党大阪府委員長は、新たな党指導部や体制について紹介し、「危機が深まるなかで、すべての同志とともに大衆に依拠して闘いたい」と述べ、近畿地方委員会が今年重視している課題や戦線について、「一つは、近畿、関西は歴史的に中国、アジアとの文化的、経済的つながりが強い地域。日中国交正常化五十周年にあたり、また沖縄施政権返還五十周年という節目にあたり、『台湾有事』を叫ぶ政治的逆流に抗して、東アジアの平和と共生の世論をつくっていきたい。二つ目に、コロナ禍でさらに厳しくなった国民生活の課題で闘う。非正規雇用、女性、青年層の労働者に全党の同志で寄り添い、活動している団体や地方議員とのネットワークをつくっていく。三つ目に大阪、近畿で拡大した維新勢力の批判・暴露を、とくに労働者の下層のなかで強め、また地域で闘う人びととの政治的連携を広げていく」と三点に絞って述べた。また、労働組合の現場では停滞した状況を打開する新たな模索があることを紹介、連携を強めていくと表明、ともに闘おうと呼びかけた。
 第一部の記念講演は、秋山秀男・党中央委員会議長が行った。資本主義の限界について、富の偏在と貧富の格差拡大、気候変動、第四次産業革命、米中対立激化の四つから説明。GAFAなどのデジタル巨大企業は自ら価値をつくり出さず、資本主義の発生期のように、技術の「囲い込み」をしているだけと喝破した。そして世界の支配層が掲げる「ステークホルダー資本主義」、日本経団連の「サスティナブル資本主義」、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の欺まんを暴露、「資本主義的生産様式を根本から変え、社会的な所有に基礎を置く新しい生産様式をつくる以外に出口はない。これができるのは労働者階級以外にない。プロレタリア階級が指導性を発揮して、敵階級の抵抗を蹴(け)破り、諸階級を率いて新しい生産様式をつくる」と述べた。
 労働党が重視している課題について、(1)世界観、思想、イデオロギー戦線、(2)わが国の真の独立をめぐる闘い、(3)統一戦線の発展、(4)これらが担える党の建設―を挙げ、その上で今年一年の課題や闘い方についても鮮明に提起した。一時間の講演は、大局観や大きな時代認識に基くもので、参加者に展望と勇気を与えるものとなった。
 二部の旗開きは、各界からの来賓からのあいさつ、メッセージ紹介から始まった。来賓あいさつは自主・平和・民主のための広範な国民連合大阪の澁谷文孝事務局長、前八尾市長の田中誠太・「リアルオーサカ」代表、山田健太・大阪府議会議員、長崎由美子・社民党大阪府連合代表、細野直也・全日建連帯関西地区生コン支部書記長、朝鮮総連大阪府本部国際部長、立山寿幸・元三池労組書記次長(高次脳機能障碍の映画「命見つめて」実行委員長)、辺野古新基地建設に遺骨を含んだ土砂を使うことに反対する取り組みを行っているイエール大学の西尾慧吾さんが壇上に立った。岸田政権のもとで進む憲法改悪や沖縄との連帯の課題、日中国交正常化五十周年を節目とした文化交流の取り組み、労働運動再生のための課題、維新政治、大阪府政との闘いなど、広範な戦線での連帯と労働党への期待を表明した。
 最後に、京都府向日市で市議会議員選挙に立候補を予定している慶松和郎同志が決意表明を行った。慶松同志は自身が一人親のもとで幼少期から経験した貧困と壮絶な暮らしについて振り返りながら、「食えない親子を一人でも救いたい。声を上げられない人はたくさんいる。政府や行政の貧困問題の支援策は不十分だ。維新が掲げる『稼げる町』は一部の利益になるだけ。選挙戦を精一杯闘っていきたい」と力強くあいさつした。
 閉会あいさつを行った由良隆・党京都府委員長は、「世界中の人びとが闘いに立ち上がっている。日本でも、格差はこれからいっそう広がり、社会の矛盾は一気に噴出する。それに備え、わが党は闘い、党をつくっていきたい」と訴えた。
 最後に全員で団結ガンバロー三唱を行い、今年一年の闘いの前進を誓い閉会した。
九州/資本主義の延命策す敵・支配層の見解突く
現場同志が発言、今年の闘いへ共同の輪

 党九州地方委員会主催の新春講演会が一月十六日、福岡市で開催された。
 新春講演会は、渡邉浩・党熊本県委員長の司会で進行した。渡邉同志は主催者あいさつの冒頭、参加者に謝意を示すとともに、「私たちは大隈議長の遺志を引き継いで、昨年の暮れに新しい指導体制、秋山新議長を正式に選出し、闘いの決意を新たにしている。同志や友人の皆さんとの団結を深めるために、新しい年に向けた決意を述べさてもらいたい」と述べ、新春講演会の意義を強調した。
 講演は、故大隈議長に代わって新たに選出された秋山秀男・党中央委員会議長が行った。
 秋山議長は最初に、参加した来賓や友人に感謝するとともに、九州の地で活動する同志の活動に敬意を表した。
 続いて講演に入り、格差の拡大や新型コロナ感染の再拡大、地球環境の危機、急速な技術革新、国際的、地政学的な危機の激化と米中対立を挙げ、「世界は未曽有の危機にあり、資本主義がもたないことが明らかになりつつある」と指摘した。
 続けて、「世界の支配層は、『行き過ぎた金融資本主義』から『ステークホルダー資本主義』への転換で危機打開を図ろうとしている。岸田政権の『新しい資本主義』も中身は同じだ」と述べた上で、それを「本気で実現するには、相当に強力な力が必要だが、資本主義が果たしてそれを認めるだろうか」と疑問を呈した。
 次に、「では、われわれはどうしようとしているのか」と話題を移し、資本主義がどのようにして生成、発展したかや、現在のGAFAに象徴される世界的なIT(情報技術)大企業が世界で何をやっているかをとりあげ、「資本主義は結局のところ、富を生み出している労働者を食わせることができない」「資本主義的生産様式を根本から変える以外にない」と結論付けた。
 続いて当面する闘いについて、「日本政府に対して、対中外交の転換を求める国民運動を最優先の課題として追求する」「日中国交正常化と沖縄返還という、二つの五十周年にあたる今年は、アジアの平和、共生の広範な世論と運動をつくりたいと」述べた。また、「生活に苦しんでいる多くの人たちの問題を取り上げ、いっしょになって闘っていきたい」と強調した。
 さらに政治の現状については、野党の現状に触れ、「外交問題で自民党と同じでは闘えない」と述べ、とくに中国問題で敵を利するような共産党の見解を鋭く批判した。
 最後に秋山議長は、「困難な情勢だが、われわれは生まれつきの楽観主義者で、一生懸命勉強したり、闘ったりして自信もついてきたところ。運動の力の源泉は大衆にあり、大衆と結びついて、また、その最先端にいるすべての党員と結びついて闘っていきたい」と決意を述べて締めくくった。
 続いて来賓からあいさつを受けた。
 福岡県議会議員の原竹岩海氏は、「本年もさまざまな課題で皆さんといろいろな意見を交わしながら、しっかりがんばっていきた」とあいさつ。
 朝鮮総聯福岡県本部の李周学委員長は、「今後とも日本労働党と深い絆をもって、朝鮮半島の平和と友好親善のために尽力していきたい」と述べた。
 自主・平和・民主のための広範な国民連合全国世話人の中村元氣氏は、「福岡県日中友好協会、福岡県日朝友好協会の役員でもあるが、アジアの平和、共生という分野でいっしょにがんばっている。今年は中国と沖縄という大きな二つの課題があります。これをどう私たちが大衆運動として闘っていくのかが問われている。共にがんばろう」と訴えた。
 平和・人権・環境福岡県フォーラムの松尾純一事務局長は、「米国べったりではなく、アジアの平和・共生に視点をおきながら、今年も一緒に運動を展開していきたい」と決意の一端を述べた。
 来賓あいさつ後、佐賀県平和運動センターなど、各界からの祝電・メッセージが紹介された。
 続いて、現場で闘う同志から決意表明を受けた。同志は「資本家は労働者がいなくなっても成り立つのか、どう考えても資本主義というのは成り立たない。商品を作っても労働者の賃金がなければ食えない、生活ができない、物を買うこともできない。社会がAI(人工知能)などどんなに発達しても、首切りなどが最初は表面にあらわれてくる。これがだんだん行き詰まってくれば、皆が立ち上がらざるを得ない。そんな状況がこれから見えてくる。『小さな火花も広野を焼き尽くす』という有名な言葉がある。いまそんな状況がどんどん広がろうとしている。今年もがんばっていきたい」と決意を表明した。
 閉会に当たって、党福岡県委員会の中村哲郎委員長が参加者へのお礼を述べた後、「大隈同志が亡くなり、自分たちの足で立って日本の人民、労働者の解放のために闘っていく決意を新たにしている。今後さらに青年学生対策、あるいは女性の要求や運動にも関心を払っていきながら、共に闘っていきたい。党を強め、国民連合を強め、人びとの期待に応える活動と闘いを展開していく」と結び、今年一年も団結してがんばっていく決意を表明した。
 最後に、「いま必死に生きている全ての人びとが本当に幸せに生きていける社会をつくっていこう」と訴え、団結ガンバローを三唱。意気軒昂に今年の前進を誓い合った。
熊本/国の進路転換に向けた闘い提起
地域情勢など活発な議論、県党の前進誓う

 党熊本県委員会主催の新春講演会が、一月二十三日、熊本市で開かれた。講演会には県下から同志が駆けつけた。また、社民党、立憲民主党、熊本県民主改革協議会などの県組織役員、県議会議員の西聖一氏、平和運動センター、沖縄県人会、現場労働者など幅広い人びとが参加した。
 冒頭、渡邉浩・党熊本県委員長が「今年は大隈議長が亡くなった後、新しい体制で、闘う決意だ」とあいさつした。
 続いて、党総政治部責任者の大嶋和広同志が講演を行った。講演では、今の社会をわれわれがどう見ているか、今年一年どう闘うかという二点について話した。
 最初に大嶋同志は、われわれの時代認識、「社会革命の時代」について、資本主義自身がつくり出した格差拡大、地球環境危機・コロナパンデミック、技術革新の加速、地政学的な危機の激化と米中対立など四つの根拠を挙げ、まさに社会が激変していく時代とと述べた。
 次に、こうした状況に対して、世界や日本の支配層は何とか資本主義を延命させたいと、「ステークホルダー資本主義」などと言っているが、そんなことは可能なのか。岸田首相の「新しい資本主義」は、安倍政権と同じで中身が全くないと断じた。そして、こうした見解はすべて欺まんであると痛烈に批判。命脈が尽きた資本主義を、打ち破る事業を前進させなければならない時代だと述べた。
 さらに、闘う課題について、今年は日中国交正常化と沖縄の施政権返還という二つの五十年であり、対中国外交の転換、沖縄の闘いの前進のために闘い、アジアの平和、共生の国の進路、それを実現できる政治、政権の実現をめざそうと訴えた。また、生活、営業、営農・経営危機の打開のための闘いに力を入れ、貧困打開のためのさまざまな行動を支持し、現場に駆けつけて共に闘うと述べた。
 また、野党の現状について、岸田政権の外交政策に対する態度を鮮明にすべきと指摘、とくに北京五輪の「外交ボイコット」を真っ先に呼び掛けた共産党を批判した。
 さらに、韓国敵視に反対し日韓関係の正常化、日朝の即時・無条件の国交正常化のための闘い、憲法改悪など政治反動との闘いなどを訴えた。
 労働運動については、大衆運動、国民運動こそ政治を変える力。組合自身の闘いだけでなく、国民生活の問題や、国の進路の課題など視野を広げて闘うべきだと訴えた。
 続いて、熊本に進出が決まったTSMCの問題に触れ、税金を四千億円つぎ込んで十年も前の技術の工場をつくっても、政府の言うような半導体産業の回復はできないと断言した。
 最後に、「労働党は社会革命の時代にふさわしく、大望を抱いて前進したい。大衆にこそ力があるという観点を貫き、全党の力に頼って前進を図る。同志、友人の皆さんと固く団結して闘う一年にしたい」と決意を述べ、講演を締めくくった。
 質疑応答の時間では、TSMCに対する地元の反応や実情が報告された。また、「以前、過疎を人質に原発が誘致されて大騒ぎになっている。過疎地帯をどうするかという過去の産業政策の総括の上で誘致を考えるべき。熊本県の将来は第一次産業、農業、環境を基軸に考えていくべきで、そういう考えを広める必要がある」との意見が出された。
 終わりに、渡邉同志は、「国の進路や、平和問題、また、最も苦しんでいる人びとの課題を取り上げて闘っていきたい。団結して今年もがんばろう」と述べ、講演会は成功に終了した。
各地の新春講演会・旗開きに祝電・メッセージを寄せた方々(順不同・敬称略)

【近畿】
・全日本港湾労働組合関西地方大阪支部執行委員長 小林勝彦
・全日本港湾労働組合関西地方神戸支部執行委員長 碓氷良介
・大阪市職員労働組合 執行委員長 金子俊雄
・社会民主党兵庫県連合会代表 梶川美佐男、副代表大島淡紅子
・部落解放同盟大阪府連合会 執行委員長 赤井隆史
・衆議院議員 森山浩行
・参議院議員 嘉田由紀子
・前衆議院議員 辻元清美
・前衆議院議員 尾辻かな子
・大阪府議会議員 野々上愛
・和歌山県議会議員 藤本眞利子
・大阪市会議員 武直樹
・吹田市会議員 馬場けいじろう
・摂津市会議員 西谷知美
・伊丹市会議員 おおつる求
・向日市会議員 飛鳥井佳子
・元京都府会議員 角替豊
・前大阪府会議員 中村哲之介
・前大阪狭山市会議員 丸山高廣
・一般社団法人大阪府トラック協会 会長 中川才助
・在日本朝鮮人総聯合会京都府本部国際統一部長 金賢一
・在日韓国民主統一連合(韓統連)大阪本部
 代表委員 金隆司
・高石市長 坂口伸六

【九州】
・佐賀県平和運動センター議長 井上次人
・衆議院議員   稲冨修二
・衆議院議員   堤かなめ
・参議院議員   野田国義
・福岡県議会議員 原竹岩海
・北九州市議会議員 村上さとこ
・飯塚市長    片峯誠
・筑紫野市長   藤田陽三
・大宰府市長   楠田大蔵
・大野城市長   井本宗司
・添田町長    寺西明男
・みやこ町長   井上幸春

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