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労働新聞 2022年1月1日号・8面〜9面

2022 新春各界メッセージ

要旨・見出しは編集部による
(順不同・敬称略)

戦争準備阻止しアジアの平和構築を 社会民主党全国連合党首 福島みずほ
 新年明けましておめでとうございます。
 昨年の衆院選で多くの皆様にご支援を頂き、ありがとうございました。社民党は沖縄二区の唯一の選挙区の議席を守り、また前回の衆院選より比例票を上積みするなと再生に向けた一歩を踏み出すことが出来ました。
 しかし、衆院選では残念ながら岸田政権に信任を与える結果となり、加えて日本維新の会や野党共闘から離脱した国民民主党が議席を伸ばし、憲法や安全保障政策は重大な局面を迎えています。憲法審査会では自公に維新・国民が与党側の幹事懇談会に入り、改憲議論を加速させています。自民党は「憲法改正推進本部」を同「実施本部」と衣替えし、岸田首相自身が「一部先行させる」と踏み込み、むしろ安倍政権の時よりも改憲の危機が迫っています。
 岸田政権は安倍元首相らと「台湾有事」をあおり、戦争準備を進めるとともに、「敵基地攻撃能力の保持」について国家安全保障戦略を改定して、防衛計画大綱や中期防衛力整備計画に反映させようとしています。また昨年末の補正予算審議では八千億円もの軍事費を積み上げ、青天井の軍事費拡大に拍車をかけています。まさにこれ以上の憲法九条の危機はありません。沖縄や南西諸島を再び戦場にすることなど絶対に許せません。
 今年は改めて申し上げるまでもなく日中国交回復五十年の節目の年です。嫌中ムードがあおられる中、私たちは戦後日中間で交わしたさまざまな政治文書を再度確認し、外交でアジアの平和を創っていくべきです。平和憲法を持つ日本の役割は、戦争準備ではなく平和外交にこそ全力を尽くさなければなりません。
 今年は参院選の年です。社民党は改憲の動きを阻止し、日米の戦争準備にストップをかけ、外交でアジアの平和を構築していくためにも、参院選でそのテーマを前面に掲げて闘います。日本を再び戦争への道に引き戻してはなりません。ともに闘いましょう!


「護憲の三極」政治勢力共同へ
新社会党中央本部執行委員長 岡崎ひろみ

 大隈鉄二前議長の逝去を乗り越え、その遺志を引き継ぐ新たな中央指導体制を発足させた貴党の今後のご活躍を心より祈念致します。
 昨年の総選挙は周知のように自民党の圧勝と言っていい結果に終わりました。維新は、大阪では十五人全員が、兵庫でも一選挙区で勝利し、多くの選挙区でも立憲を上回って次点に入り、比例は前回の倍以上となる八百五万票を獲得しました。選挙結果は少なからず衝撃でした。しかし維新の政治では、民衆の暮らしと生命を守ることはできません。ご承知のようにコロナ第四波で大阪では一万五千人以上が自宅に放置され、第五波が終わった段階で死亡率は全国平均の三倍と突出しています。
 一方、野党共闘の在り様が執拗に論じられています。しかし立憲野党の共闘の前進なくして日本の政治は変わらないことは明らかです。そもそも立民が比例で伸びなかったのは立憲野党共闘に対する及び腰こそが有権者の信頼を失った最大の要因だと思います。だからこそ私たちは立憲でも共産でも代表できない「護憲の三極」の政治勢力の共同を呼びかけてきました。この護憲の三極の存在が憲法を活かす政治への転換のための条件である考えています。
 参院選は半年に迫っています。改憲勢力に「黄金の三年間」を与えるのかどうか分水嶺になる選挙です。ぜひ本年は新自由主義的政策から決別し、人間の尊厳こそが最大の価値である政治への出発点にすべく、市民と野党と労働者の共闘をより深化させ参院選を勝利しましょう。
 新社会党は微力ながら政治的共同を切望する市民の声を実現するために全力で奮闘します。
改憲勢力を3分の2以下に
元参議院副議長/自主・平和・民主ための広範な国民連合代表世話人 角田 義一

 昨秋行われた総選挙は意外な結果で終わりました。今や衆議院においては、改憲勢力は優に議席の三分の二以上を確保してしまいました。容易ならざる事態に我々は直面いたしました。岸田政権の欺瞞性を暴き、徹底した対決姿勢をとるべきではないでしょうか。岸田政権の危険な点を三つ上げたいと思います。
 一つは「敵基地攻撃能力の保有」の問題です。歴代政権の憲法解釈は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(一九五九年三月十九日、伊能防衛庁長官=当時)であり、これまた従前の憲法解釈を踏みにじり、侵略戦争を肯定する、まさに現行憲法とは相容れない政策を突き進む恐るべき態度であり、絶対に許容できません。
 二つ目は、言うところの台湾有事に際し、日本のとるべき態度につき、戦争法に基づき対応するということです。麻生副総裁は米中と台湾海峡を巡り軍事衝突が発生した場合、日本は参戦すると公然と言い放っております。仮に日米同盟を許容するにしても、憲法九条に則り日本は参戦しないと言うべきであり、そのことを強く米政府に宣告すべきであります。
 三つ目は、改憲の危機が迫っているということであります。自公に加え、維新は公然と憲法改正を掲げ、国民民主党も憲法審査会へ与党の立場で参加しようとしております。
 以上、これらの課題をことごとく打破するため、広範な国民戦線を結集し、闘う必要があるのではないでしょうか。来年の七月には参議院選挙があります。三十二の一人区で野党共闘を実現し、なんとしても改憲勢力を三分の二以下に押し込んでしまうことが絶対に必要であります。
 皆さんと一緒に闘い抜くことを新年の誓いといたします。
「オール沖縄」候補の勝利に向けて
沖縄県議会議員 照屋 大河

 迎えた本年も「ウィズ・コロナ」の生活様式が求められております。オミクロン株が確認され、「第六波」の到来も危惧されるなど、まだまだ厳しい状況が続きますが、今年こそ「アフター・コロナ」時代の到来を願いつつ、沖縄の諸課題解決のための政治をがんばってまいります。
 昨年十月の衆議院解散総選挙では、多くの皆様のお力添えをいただき、照屋寛徳氏の後継者・新垣邦男衆議院議員を誕生させることができました。嘉手納基地や普天間飛行場などの米軍基地が集中し、この国の安全保障体制の犠牲の縮図ともいえる沖縄二区で、社民党は新垣邦男代議士を先頭に、今年も県民の人権と尊厳を守るためにがんばってまいります。
 岸田政権は、民意無視の辺野古新基地建設の強行、過重な基地負担という国策の犠牲強要、沖縄振興予算の減額措置など安倍・菅政権から続く沖縄冷遇の自民党政治は何ら変わりません。
 岸田総理の特技は「人の話をしっかり聞くこと」だとか。そうであれば、基地被害に苦しむ県民の悲痛な訴えを「聞き置き」「聞き流す」ことなく、民意に忠実な、沖縄に寄り添った政治を行うべきです。
 今年は、沖縄の本土復帰から五十年の節目です。沖縄振興特措法や米軍基地跡利用特措法などが期限切れを迎える中、五十年先を見据えた「新たな沖縄振興」に道筋をつけられるよう、社民党沖縄県連一丸となって取り組んでまいります。
 また、今年の沖縄は、参議院選挙と知事選挙が重なる十二年に一度の「選挙イヤー」です。年明け早々には辺野古を抱える名護市長選が控え、県内各地で首長選挙や自治体議員選挙が続きます。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」候補の勝利に向けて、私も社民党も全力を尽くす覚悟です。読者の皆さまのご支持ご支援をよろしくお願い致します。
 結びに、年頭にあたり、皆さまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
誰一人取り残されない社会に向けて
ものづくり産業労働組合=JAM会長 安河内 賢弘

 謹んで新年のご祝辞を申し上げます。働く仲間の皆様におかれましては、幸多き初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、旧年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 第六波への懸念はあるものの、新型コロナウイルス感染症の悲劇もようやく終幕を迎えつつあるように感じられ、少しずつではありますが、私たちの日常が戻り始めています。これまでに把握されているだけでも約百七十二万人の方が感染し、一万八千人を超える尊い命が失われました。感染症を恐れ、通院をためらったために治療が遅れ亡くなられた方や、困窮の中で絶望し自ら命を絶たれた方などを加えるとさらに多くの命が失われたことになります。東日本大震災に匹敵する大災害であり、一万人を超える死者を出したのは戦後二回目となります。もっと政治が私たちの生活に寄り添っていれば、救えた命があったのではないかと考えざるを得ません。二度とこのような悲劇を繰り返さないように私たちの手に政治を取り戻していかなければなりません。
 パンデミック後の社会を見据え、今次春季生活闘争における労使の議論はきわめて重要です。カーボンニュートラルなどの技術革新にどう対応していくのか。私たちの雇用や働き方はどう変わるのか。職場での議論を重ね、力強い要求を確立し、労使対等な立場で団体交渉を粘り強く行っていかなければなりません。現存する三つの格差、すなわち規模間格差、男女間格差、雇用形態間格差がさらに拡大するのか、それとも自由で寛容で包摂的な社会の実現に向けて動き出し、格差が縮小に向かうのか、私たちは大きな岐路に立たされています。すべての働く仲間との強固な団結を胸に刻み、誰一人取り残されない新しい社会に向けて共に歩みを進めていきましょう。
 国内外で働くすべての働く仲間の皆様とそのご家族の皆様にとって、本年が健康で幸多き年となりますようにご祈念を申し上げます。
闘う労組が求められる時代
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 湯川 裕司

 昨年十二月十三日、大阪高裁で下された加茂生コン事件の控訴審判決は、一審判決を破棄し、組合員一名に無罪、組合役員に罰金三十万円の内容でした。組合役員が有罪とされる不十分な判決ではありますが、関生支部が行ってきた活動が「正当な労働組合である」と司法にようやく認められた意義は大きいです。権力弾圧を打ち砕く本格的な反転攻勢の闘いはここから始まると決意を新たにしています。
 私たちは、今ほど闘う労働組合の存在が求められている時代はないと思います。新自由主義的な政策があらゆる分野で進められています。本来、国や自治体が負うべき公的責任が放棄され、「自己責任」の一言で負担はすべて個々人に背負わされています。コロナ禍であっても、中小企業や労働者を犠牲にしながら、大企業は内部留保金として五百兆円をため込んでいます。その陰で立場の弱い多くの非正規労働者は職を失い、住む家も追われ、今日の食べる物もなく路頭に迷っています。この人びとに寄り添い、炊き出しを行っているのは市民団体・労働組合の仲間たちです。
 このような日本社会になった大きな責任は労働組合にあります。日本のほとんどが企業内労働組合であり、組合員の多くが大企業の労働者で比較的労働条件が良く、安定した雇用環境にあります。そして企業内労働組合の最大の弱点は企業間競争に労働組合が埋没してしまうことです。「これ以上の賃上げは会社がつぶれる」「会社あっての労働者」との発想から抜け出すのは困難です。
 関生支部は二〇一八年に始まった権力弾圧で大きなダメージを受けました。しかし不当労働行為救済を求めた労働委員会ではほぼ勝利をおさめ、大阪広域協組の不当性が明らかになっています。関生支部は「背水の陣」を強いられる状況下でもまったく希望を失っていません。それは組織を信じて踏ん張っている組合員、権力弾圧を跳ね返して近畿の生コン関連業界をもう一度、労働者主導に転換する闘いの先頭に立っている組合役員の存在があるからです。大事なことは、状況を正確にとらえ、敵の弱点に刺さりこむ闘いを展開できるか否かです。「絶対にあきらめない」との真剣な思いをどこまで共有できるかにかかっています。この一年間、組合員・役員が一丸となり闘い抜けば、必ず道は拓けます。闘いにこそ未来あり!
地域の期待にこたえるJAに
全国農業協同組合中央会会長 中家 徹

 コロナ禍のなか、昨年から本格的なワクチン接種が始まっておりますが、変異株などの感染が確認されるなど依然として予断を許さない状況が続いています。
 農業分野でも、外食や業務用需要の減退により、米や牛乳などを中心として幅広い品目で影響が続いています。JAグループでは、影響を受けた品目対策をはじめさまざまな支援に取り組んでいますが、先が見通せないなか、当面は厳しい状況が続くことが想定されます。
 一方、コロナ禍により身近な食への関心が高まってきています。こうした状況なども踏まえ、JAグループでは、「国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する」という「国消国産」を独自のキーメッセージとして活用し、国民理解醸成を進めています。こうしたなか、国連が制定した「世界食料デー」に合わせ、昨年十月十六日を「国消国産の日」に制定しました。本年は国消国産の日を契機に皆様に食料を生産する農業・農村などを支えたいと思っていただけるよう、さらなる情報発信を強化します。
 コロナ禍等の環境変化に直面するなか、JAグループでは昨年の全国大会で「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」に向け、「十年後のJAグループのめざす姿」として次の三つを掲げました。「持続可能な農業の実現」「豊かで暮らしやすい地域共生社会の実現」「協同組合としての役割発揮」です。
 どのような環境変化があろうとも、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として、持続可能な食と地域づくりに貢献してまいります。
燃料高騰対策等の諸課題に総力
全日本トラック協会会長 坂本 克己

 私たちトラック運送事業者は、国民の暮らしやわが国の産業活動を支えるエッセンシャルな公共輸送サービスの担い手としての重要な使命を果たすべく日夜懸命に努力してきました。一方でコロナ感染拡大や燃料価格高騰に見舞われ、多くの事業者が厳しい状況に直面しております。
 全ト協としましては、地域経済と国民の暮らしを支えるトラック輸送サービスを守り抜いていくべく、燃料高騰対策等の諸課題に総力を挙げて取り組んでまいります。
 また「標準的な運賃」の活用等による適正な運賃・料金収受をはじめ、「荷主対策の深度化」や「規制の適正化」など改正貨物自動車運送事業法に係る対応も加速していかなければなりません。わが国の物流の将来のためには、標準的な運賃のさらなる浸透に向けて取り組みを加速させ、各事業者が荷主との交渉を積み重ね、ドライバーの労働環境改善の原資となる運賃・料金を適正に収受していくことなどを通じ当業界を取り巻くさまざまな課題を解消させていかなければなりません。
 わが国経済の屋台骨であるトラックによる物流を維持していくためには、優秀な人材を確保し、労働力不足を解消させていくことがも必要です。多様な施策による良質なドライバーの確保対策を積極的に推進し、女性、高齢者および若年層などといった労働力の確保・育成・定着対策を力強く推し進めてまいります。
 トラック運送業界にとっては、厳しい状況が続いておりますが、「トラック運送業界こそが、わが国の経済とくらしを力強く支えている」という強い気概をもちながら、業界が一丸となってこの難局を切り抜けてまいりたいと考えております。
インボイス制度の中止を
元静岡大学教授(税理士)湖東 京至

 二〇二三年十月から事業者にはインボイス方式という、税務署長が付番した事業者登録番号を付した領収書や請求書でやり取りしなければならなくなります。税務署が認めた正規の請求書・領収書で取引を監視し、今は免税となっている零細な事業者、たとえば社内外注の労働者まで消費税の納税義務者に取り込もうというのです。
 この仕組みは消費税の税率を欧州並みに引き上げるために必要だからです。欧州諸国は二〇%前後の高い税率のため、消費税(付加価値税)の仕組みをインボイス制度で行い、零細事業者も課税事業者に巻き込んでいます。日本は年間売上高一千万円以下の零細事業者には消費税を免除していますが、税率が一〇%以上になると国際社会から非難されるため免税事業者をなくそうとしています。
 いま最も必要な経済政策はインボイス制度の中止、消費税の税率を当面五%に引き下げ、やがて廃止することです。

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