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労働新聞 2018年2月15日号・1面

佐賀ー自衛隊ヘリ墜落、
民家直撃し炎上 
沖縄ー保育園に米軍ヘリ
部品落下、相次ぐ事故

 「平和な空を返せ」 
安倍政権はこの声を聞け

 朝鮮民主主義人民共和国への攻撃をちらつかせ、中国へのけん制を強化するトランプ政権の下、沖縄をはじめとする米軍基地では実戦さながらの訓練が行われている。安倍政権はこれに追随、自衛隊も有事を想定した訓練を常態化させている。こうしたなか、昨年十二月に沖縄県宜野湾市の緑ケ丘保育園に普天間基地所属のヘリの部品が落下した事故で、同園の神谷園長と父母会役員が二月十三日に上京、米軍ヘリの同園上空の飛行禁止などを米国側に求めるよう日本政府に要請した。要請行動には内閣官房、防衛省、外務省の担当職員らが応対、事故原因が究明されるまでの飛行停止や、基地に離着陸するヘリの保育園上空の飛行禁止などを求める署名約十万筆分を渡した。提出済みを合わせ署名は約十二万七千筆分となった。また、二月五日は佐賀県神埼市で陸上自衛隊のヘリが墜落、民家を直撃する事態も起きた。独立国であるはずのわが国の上空を縦横無尽に米軍機が飛び交い、自衛隊はこれと一体となった訓練を行っている。要請行動に参加した同保育園関係者の声を紹介する。併せて、佐賀県平和運動センターの宮島正明事務局長に聞いた。


基地問題は日本全体の問題
普天間パブテスト教会付属緑ヶ丘保育園 神谷 武宏 園長
 落下物が落ちた屋根の下には一歳児クラスの園児八人、先生が二人いた。これから園庭に出て遊ぼうというときだった。「ドン」という激しい音に子どもたち、先生も「ワッ!」と驚いた。一人の先生はすぐにヘリから何か落ちたと感じ取った。同時にヘリの音が聞こえたからだ。最初、ヘリのプロペラが落ちたと思うほどの衝撃だった…一歩間違えれば子どもたち、先生たちに大変なことが起きたかもしれない…私たち被害者は誹謗・中傷という二重の被害を受けている。もし米軍がこれを「事故」と認めないなら、これは事件だ。これは殺人未遂事件だ。米軍の傲慢さは何も変わってない。これだけの事件・事故を起こし続けてもわびることもなく、隠ぺいさえしようとし、この落下物事故をいまだに認めていない。沖縄がいまだ占領地であるかのように感じてならない。沖縄の基地問題は決して沖縄だけの問題でないはずだ。日本の問題だ。どうか、平和な空を返してほしい。


保育園に通う園児の母の声
・もし子どもたちに落ちていたらと考えると、恐ろしい。今回の事故で基地の怖さや、これまでも事故と紙一重の状況だったことを知った。安全安心の保育園の上空を絶対に飛ばないでほしい。日米が対等な立場で話し合ってほしい。
・子どもたちを守るために親ができることは声を上げることだと思い、メディアの取材も受けたが、そのたびに誹謗・中傷の電話などもあり、心身に打撃を受けた。米軍が責任を認めたらこのような誹謗・中傷もなかったのではないか。日米政府にはこれを他人事だと思わないでほしい。
・どこにすがって助けを求めたらいいのか。十二月から眠れず、子どもたちを外で遊ばせるのも不安だ。今日も各省庁に要請をしたが、お役所的な対応で米軍の肩を持つかのような発言もあった。心がバラバラになりそうだ。子どもの命を守りたいだけなのに、なんでこんなシンプルな話が通らないのか。


住民ぐるみで配備許さず闘う
宮島 正明・佐賀県平和運動センター事務局長
 沖縄で起きているようなことが佐賀でも現実に起きたと感じた。沖縄ではヘリの部品が保育園に落下したが、その保育園に誹謗・中傷の電話などが相次いだようだが、佐賀でも被害者家族などを非難する声が上がっているとも聞いている。いつ自分たちの身に降りかかってもおかしくない事件なのにだ。落ちたヘリが在籍する目達原駐屯地は吉野ヶ里町のほぼ中心地にあり、周辺には住宅も密集している。
 この事故を受けて私たちは(1)事故原因の徹底究明、再発防止、原因究明までの自衛隊ヘリの運用停止、(2)墜落したヘリの一部部品に放射性物質が含まれているので、周辺への汚染がないか徹底した調査と情報開示、(3)被害に遭った女子やその家族、周辺住民(認定保育園)の心のケア、(4)佐賀空港へのオスプレイ配備計画の撤回ー
を県や防衛省に申し入れた。今回の事故を受けて配備反対の声は強くなっている。また佐賀空港を自衛隊が利用するようになれば、必ず米軍による利用が持ち上がってくるだろう。絶対に佐賀空港への自衛隊オスプレイの配備をさせてはいけない。
 佐賀空港周辺の海苔業者の皆さんも「配備反対」を訴えているが、まさに生活に直結する問題だ。すでに空港自体ができて海苔が取れなくなった場所もあるという。「住民の会」が主体となった反対集会が四月に行われる。こうした空港周辺の住民と連携し、バックアップしながら配備反対の取り組みを進めていく。


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