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労働新聞 2018年1月25日号・6〜7面

2018/新春地方議員メッセージ

地域支配層と争い、大多数の住民守る自治体実現を

  「自国第一主義」を掲げる米国のトランプ政権の登場、いっそう存在感を増す中国など国際情勢が激変するなか、わが国安倍政権は欺まん的な「自主性」を演じながらこれまでの政権以上に対米従属に踏み込んだ。また安倍政権が掲げてきた「アベノミクス」も国民大多数の生活向上とは程遠いことも明らかになり、「地方創生」もそのメッキははがれてきた。こうしたなか、わが国の地方自治体をめぐっても地域支配層と犠牲を受ける住民、また地域支配層内部での矛盾が高まっている。地方自治体を住民大多数の手に取り戻す闘いは重要だ。折しも来年二〇一九年は統一地方選挙の年であり、今年は地方自治体をめぐる争いが激しくなることが予想される。地方自治体議員のメッセージを紹介する。


変わる世界。日本の政治と地域の暮らしを良くする1年に
東京都荒川区議会議員 斉藤ゆうこ
 寒中お見舞い申し上げます 新しい年を迎え、いかがお過ごしでしょうか。
 昨年来、「第三次産業革命」が言われ、AI(人工知能)や無人運転、ロボットなどの技術革新が空前のスピードで進んでいます。一方で、「世界経済は堅調」との論評にもかかわらず成長は鈍化。低成長と金融危機が止まらぬ現状に、「資本主義は限界に来た」と説く高名な経済学者もいます。
 なにしろ、世界最高の大金持ち八人の資産が、低い方から数えて三十六億人の所得と同じだというのですから、満足に食べられない人が増え続ける世界経済が需要不足で低成長になるのは当たり前です。中東や南アジアでは国を追われ難民となった人があふれています。難民の子どもたちの目に、この世界はどう映っているのでしょうか。
 米国の衰退と中国の台頭で世界の力関係も大きく変わりました。トランプ氏の登場で米国と欧州の亀裂が深まり、一方で中国と欧州との連携が強まっていて、日本はどう舵を切るのかが問われます。
 昨年は政党再編もありましたが、多くの国民が疑問に感じる日米同盟への批判は、野党各党からほとんど聞かれません。トランプ氏はマッカーサー司令官よろしく、米軍横田基地と麻布ヘリポートから出入国しました。国会議員は屈辱を感じないのでしょうか。
 憲法改正をめぐる議論についても、独立国として自衛隊をどう位置付け、任務をどう定めるのか…。米国からの自立と、台頭する中国をはじめアジア諸国・地域との平和的な共存共栄を志向する立場で、もっと国民的な議論を起こしたいものです。
 私は自主・平和・民主のための広範な国民連合の役員を務めていますが、昨年は全国総会で元伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏が講演し、日米合同委員会の存在にも言及して、大きく変わる世界の中の日本の進路に財界人として強い危機感を表明されたのが印象的でした。
 安倍首相が進める「日米同盟の強化」が日本の真の国益、国民の豊かさにつながるとは思えません。今年はよりいっそう広範な各界各層の方々と連携して日本の進路変更をめざします。それが私たちの地域の暮らしを大きく左右するからです。
 東京では、小池都政が政府の強力なバックアップを受けて、下水道など公共インフラの運営権売却(PFI・コンセッション)を進める計画を打ち出しました。労働組合、都民、反対する政治勢力との連携で必ず阻止したいと思っています。
 みんなで暖かい春を迎えましょう。


区長選の年、区政変革へ 「変えよう! 杉並区政」合い言葉に
松尾ゆり・東京都杉並区議会議員
 明けましておめでとうございます。
 昨年は七月に東京都議会議員選挙、十月には総選挙が行われました。都議選では小池百合子都知事の「都民ファースト」が圧勝、杉並区でも一、二位を独占しました。安倍政権への批判や長く続いてきた都議会の利権構造に対する都民の厳しい批判が「都民ファースト」に集まった結果でしたが、都政を変革する政治勢力にはなり得ません。
 総選挙の公示直後に沖縄で米軍ヘリが墜落炎上、その後も保育園・小学校に相次いでヘリ部品が落下しましたが、政府は事故の原因究明、飛行差し止めすらできません。朝鮮半島をめぐって南北対話が進む中、安倍首相、河野外相が世界に対して制裁強化や国交断絶を訴えている日本外交は、対米従属と軍事大国化にのめり込み国際的な孤立の道を歩んでいるとすら感じられます。対米自立、自主外交を実現できる政治勢力を幅広く形成していく必要を痛感します。
 杉並区では昨年末、二十年ぶりの保育料の値上げが決定されました。春からはさらに国民健康保険料や介護保険料の引き上げも予測されます。区民負担を引き上げる一方、小中一貫校の建設に八十億円、小学校の前倒し改築に三十億円など不要不急かつ巨額な公共事業が次々に着工され、建設利権優先の区政の姿が明らかになりました。
 また保育園の民営化では区長と旧知の元国会議員が理事長をつとめる法人が、評点で二位だったにもかかわらず選定され、保護者も含む選定委員の意思はわい曲されました。小中一貫校問題では抗議行動を行った住民が訴えられたり、無実の暴行容疑で警察の取り調べを受けたり(不起訴処分済み)という事件が起き、国会の共謀罪審議と相まって「言論弾圧」との声が起こりました。どの問題をとっても「森友・加計問題」のような不正が問答無用でまかり通っている杉並区政です。
 今年は区長選の年です。国政と同様、地域でも区政の変革を実現する幅広い区民各層の政治的連携が求められています。「変えよう! 杉並区政」を合言葉に、住民自治にもとづく区政をめざして活動していきます。よろしくお願いします。


日米地位協定の抜本改定、土地開発中心の市政の転換を訴える
神奈川県綾瀬市議会議員 こしかわ好昭
 二〇一八年の年頭に当たりまして、新年のメッセージをお送りします。
 昨年は、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の登場で、世界情勢が大きく変化しました。とりわけ東アジアでは、米国による朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する圧力強化で朝鮮半島の緊張が激化しました。米国に付き従い、米国と共に圧力強化だけを唱える安倍総理のもとで、米軍基地を抱える日本が戦場になる危険が高まりました。在日米軍厚木基地を抱える本市市民にとっては、基地があることで市民の生命・財産が危険にさらされています。米軍基地の一日も早い撤去が必要です。
 本市と議会では米軍基地の整理・縮小・返還を市是としており、米軍に占領軍としての特権を与えている日米地位協定の抜本改定と併せて毎年国に要望し、「市民と共に静かな空を!」というスローガンを市役所の壁に掲げています。厚木基地にオスプレイが飛来すると、米軍に対して市民負担が増すということで市長が抗議もしています。しかし、それはパフォーマンスに終わっていると言わざるを得ません。
 私は、議会の場で日米地位協定の抜本改定や基地の整理・縮小を求めて、市が主催して市民集会を開いて市民の声を背景に、国や米軍に対してアピールせよと訴えてきました。
 昨年からは厚木基地の第五次爆音訴訟が始まり、私はこの原告団の綾瀬支部の支部長として活動しています。爆音による被害の損害賠償と爆音の元となっている戦闘機の飛行停止を求める裁判闘争です。支部員の皆さんといっしょに市民のお宅を訪ねると、生活不安と怒りの切実な声がはね返ってきます。原告になってもらうようお願いしていますが、最近は比較的若い世代の方が加わるようになり、市内でも九百人を超えました。大和市、座間市など基地周辺の住民全体では八千人を超える原告団となっています。
 厚木基地に配備されていた米軍艦載機は今年の五月ですべて、岩国基地に移駐するといわれていますが、米第七艦隊の横須賀基地がある限り、米軍機の飛来がなくなることはあり得ません。米軍司令官は使用継続を明言しており、現にオスプレイの飛来が多くなっています。
 また私は昨年前半、黒岩県知事に日米地位協定の抜本改定案の策定を求め、地元の皆さんや地方議員、学者、弁護士、中小企業経営者など、幅広い各層各地域の皆さんと連携して、県民運動を広げて来ました。しかし、昨年八月の渉外知事会で黒岩知事が提案した独自案は、私たちの要求とは相容れないもので、沖縄県の翁長知事から「米軍基地の強化につながる」と批判されるほどひどいものでした。
 一方、沖縄県では昨年九月、米軍機の事故時に日本側が捜査権を持つことなどを盛り込んだ十七年ぶりとなる日米地位協定の改定案を策定し、国に対して実現を迫りました。年末から新年にかけても、沖縄での米軍機、ヘリコプターによる事件は後を絶たず、沖縄県民の怒りは我慢の限界を超えています。
 東京では、二〇二〇年の東京五輪に合わせて羽田空港の国際線を増加するために、都心を低空で降下するルートが提案され、住民から反対の声が上がっています。これも、日米地位協定で守られている米軍専用の管制空域「横田ラプコン」が影響しています。
 今年は、怒りの爆音訴訟の闘いを市内住民の皆さんといっしょに闘いながら、それを基礎に、日米地位協定抜本改定の県民運動のうねりを神奈川からつくり、沖縄の闘いと連帯して闘う決意です。
 もう一つ、住民各層の暮らしや営業の具体的要求を掲げ、困難を打開するために働きたいとの決意ももっています。
 今年、市内を通る東名高速道路にスマートインターチェンジが開通します。市ではこれを契機に、農業専用地を区画整理して工業用地に変え、市外から大手の物流企業を誘致しようとしている区画整理事業組合を支援しています。けれども、対象地域内の専業農家は移転できるような優良農地が見つからないので移転できないと言います。良好な住環境を失いたくないという住民もいます。一部の大企業や大規模地権者のために土地を開発し、一方で市民の生活を悪化させることは許せません。
 今年も土地開発優先の市政から市民の生命・財産を守り、市民生活を第一とする市政に変えるために、労働者を始め、市民の皆さんと力を合わせてがんばっていきます。
 そのためには、何と言っても中心となるべき労働党の建設・拡大が必要です。市民の皆さんと共にさまざまな問題解決に取り組む中で、労働党の建設・拡大に努めて参ります。


市民生活防衛へ 先頭で声上げ、行動する
福岡県筑紫野市議会議員 上村和男

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は皆様のご支援によって市議会副議長に就任いたしました。議会が市民目線を基本に行政へのチェック機能、役割を果たせるようにがんばっています。
 昨年は、米国のトランプ大統領の登場で国際情勢は戦争の危険をはらむ動乱の様相が一気に進み、ギクシャクした内外情勢であったように思います。
 また、私たち市町村自治体は揺さぶられ続けた一年でもありました。今年も引き続き不安定な状況、厳しい市民生活が予想されます。市民の暮らしを守ることを第一にがんばっていくことが大切だと考えています。特に自動車産業が集積する福岡県経済を考えると電気自動車への転換など約四百社あるといわれる自動車部品生産の下請け企業における経営危機が心配されます。「石炭から石油へのエネルギー転換」によって筑豊・大牟田などにおける炭鉱閉山がもたらしたかつての地域疲弊の状況を自動車産業集積地域の自治体は背負い込むことになるのではないでしょうか。労働組合の皆さんと手を取り合って対応していく必要があると考えています。
 自主・平和・民主のための広範な国民連合・福岡では地方議員の皆さんと連携して調査活動を進めていきます。これが今年の最大の課題になりそうです。
 筑紫野市政では新庁舎の建設が進み年末には完成予定です。市民の要望・意見を大切にして庁舎建設を推進してきました。これからの市政運営にあたって組織機構の再編成が進んいきます。市民の声が生かされる市政運営を心掛けて、仲間の議員と連携して取り組んでいく決意です。併せて、議会改革も大きな成果を達成するだろうと期待しています。高齢者・子ども・障がい者が地域のなかで共に生きるまちづくりの根幹をなす地域包括ケアシステムの構築を市民協働で推進しきます。また、格差、子どもの貧困問題は深刻です。児童生徒の就学支援の受給率は年々増え続けています。子育て世代の親たちが不安定な就労・非正規労働のなかにあるからです。地場企業では、「景気が良くなった」という政府の言い分とは随分と違う状況です。経営は青息吐息です。高齢者の生活保護世帯が増加しています。市民の暮らしを守るために声を上げ、行動していく時が来ているように思います。地域の労働運動と連携しながら政治を動かす力をつくり出す先頭に立っていきたいと考えています。
 今年は地方議員訪朝団を皆さんと成功させ、アジアの平和・共生の動きを進めていきたいと思います。皆さんよろしくお願いします。


合併後、進む住民サービス低下 犠牲受ける住民の声議会に
福岡県みやこ町議会議員 柿野よしなお

 新年明けましておめでとうございます。
 私の町は合併して十二年になります。人口は約二万人人で合併から約三千人も減少しました。十五年先には一万五千人に、四十年先には一万人を切るという見通しがあります。
 合併から十年が過ぎ、地方交付税は五年をかけた算定の見直しで段階的に十億円もの減額が始まっています。
 こうしたことを背景にすでに学校、入浴施設、図書館、運動公園などの公共施設が廃止や統廃合の計画にあります。町の職員や議員などの削減で人権費だけでも十億円近い縮減が進んでいます。
 こうしたなか、町の住民に対するサービスに職員の手が回らないという声が聞えます。職員の残業時間数の多さが議会で問題になっています。いま、合併による住民サービスの低下が誰の目にも明らかになっています。
 現在、学識経験者や駐在員会の役員などによる行政改革審議会で統廃合の方針を決めるということが進んでいます。町の執行部は審議会が出した方針だとして統廃合の方針をマスコミや住民説明会で説明するなどして、住民の反対の意思を削ごうとしています。
 人口減少は歴代政権や財界・大企業の失政によるものです。社会保障予算の削減により待機児童解消のために公的保育所や保育士の待遇改善をしてこなかったことです。さらに歴代政権の規制緩和・民営化路線の下、労働法制や労働者派遣法の改悪を繰り返し、低賃金、不安定雇用の労働者を急増したことです。 
 国の政策も正していかねばなりませんが、地方議員として住民の目前にある住民サービスの切り捨てとどう闘っていくべきか考えをめぐらしています。
 わが町は財政的には地方債百十億円で、一方で積立金は百三十億円です。財政ひっ迫を持ち出して施設の統廃合を計画しながら使える施設を壊して新しい施設に建て替える計画を進めています。例えば、小学校の統廃合の場合四校を一校に統合する場合があります。児童の数は今ある一つの学校で間に合います。耐震補強も済んでいて学校施設として十分使えます。これを約十億円で新しく建て替えることになりました。議会では意見が割れました。地域に学校があることで地域の元気が維持できる。過疎化がますます進むことになる。今ある学校が使えるのだから新しい学校をつくらなくていいのではないか。この場合も審議会は統廃合で建て替えの方針を出しているということで議会を通過してしまいました。
 私は「サービスは高い方に、負担は低い方に」という合併の約束を忘れないようがんばります。来年は選挙の年です。住民の声を議会に届けたいとがんばる決意です。今年もよろしくお願いします。



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