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6400人の死をむだにしないで

阪神大震災から3年(2)

「公的援助」の実現を1日も早く

銀行は救っても被災者は救えず?

神戸市  秋月 香


 今、被災地で何が関心ある問題かなあと考えると、いくつかありますが、自分の住む家を持たない人(早く言えばホームレス!)がいまだに数万人もいることが、一番大きい問題です。

 それとあわせて、災害に遭った人に「公的援助」を実現してほしいということが大事な問題だと思っています。

 日本は世界に冠たる災害国。私たちは三年前の震災で今でも仮設住宅での生活を余儀なくさせられています。その前の雲仙普賢岳の噴火、北海道南西沖地震で奥尻島が大きな津波と火災に襲われ、多くの住民が亡くなられたことを覚えている方も多いでしょう。生活のかてをうばわれた農民、漁民が途方にくれたのはつい最近のことです。

 ただ、私たちが雲仙、奥尻の場合と大きく違っていたことがあります。災害が起き、全国の皆さんが被災地に義援金を送ってくれました。百万人を超える人びとがボランティアとして来てくれました。本当に助かりました。でも、被災規模が大きく、その義援金は、世帯当り二十五万円です。もちろんこの二十五万円は皆さんの暖かい気持ちとしてうれしく思っています。しかし、これだけでは家や家財道具をなくし、そして家族を亡くすなど、生活の基盤そのものを破壊された人にとってその再建はおよそ不可能なことは分かってもらえると思います。

 雲仙の場合も、奥尻の場合も義援金の規模は阪神大震災より少なかったものの、被災者の規模が小さく、一世帯で数百万円から多い人の場合、共済金も含めて一千万円を超える場合があり、今回ほどの大問題にはなりませんでした。

 今回のような災害が都市部を直撃した場合、その被害はわれわれの予想をはるかに超えるものになる可能性があります。しかもその衝撃は数年にとどまらず十年、二十年と続くことが予想されます。さらに、被害に遭うのは圧倒的に社会的、経済的な弱者です。被害に遭った人に対して、「自助努力で」「自分の力で立ち上がれ」というのはあまりにも酷な話ではないでしょうか。

 こうした現状を考えて、私たちは今、被災地から「政府が責任を持って被災地を救え」「すべての自然災害の被災者に公的援助を」と訴えています。市民と超党派の国会議員が中心になり、昨年五月に国会に「災害被災者等支援法案」を上程しました。

 これに対して自民党は、社民党、さきがけを巻き込んで阪神・淡路の被災者を見捨て、次に起きるであろう災害にほとんど役に立たない「基金案」(災害相互支援基金制度案)を上程しようとしています。自民党案の骨子では、第一に阪神の被災者には適用されません。年収制限を設け、年齢制限を作り、中高年者に限定しようとしています。しかもこの基金の使い道は役所が決めたものしか買うことができません。全壊世帯のみが対象で、もちろん住まいの再建には役立ちません。こんな法案が国会を通ってしまえば、私たちが救われないばかりか、これから災害が起きた場合でもまったく不十分なものとなってしまいます。

 自民党が提出を予定している法案を許すわけにはいきません。それは一人、私たちの利害だけで言っているのではありません。災害国日本に住む国民の一人として災害に遭ったすべての人を国は救う義務があると思って発言しているのです。今までこうした法律がなかったことのほうが不思議なくらいです。

必要な方には資料を送ります。秋月078(303)8260

「公的援助実現ネットワーク」
http://www.dodirect.com/kobe/aid/

つづく


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