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6400人の死をむだにしないで

阪神大震災から3年(3)

「明日はわが身」と受けとめて

神戸市  秋月 香


 すでに東京・保谷市議会をはじめ、近畿、関東を中心に全国の多くの自治体・議会が「公的援助」の決議をあげています(一月十一日現在、都道府県・市・特別区で百十一)。読売新聞の調査では八割の国民が「公的援助を実施すべきだ」と考えていると報道しています(一月十二日付)。地方紙の社説を見ても「公的援助制度の実現をめざせ」(河北新報)などと、多くの新聞が震災三周年目にあたり述べています。「明日はわが身」という言葉がありますが、全国の皆さんに受け止めてほしいのです。

 被災地からも東京に行って、国会議員に、そして東京都民に理解してもらおうと努力してきました。雲仙にも、北海道にも行きました。雲仙では逆に市民の皆さんから励まされました。

これまで政府は「日本は資本主義・私有財産の国で個人の財産を国が保障することはできない」(震災のときの村山首相発言)としてきました。

 しかし、よく考えてほしいのです。これまで国が被災地復興のためにつぎ込んだといわれる五兆円もの国家財政は、道路、港湾の復旧にそのほとんどを使われてきました。もちろん、この五兆円の中には仮設住宅の建設や公営住宅の建設も含まれていますが、全体からみればごく一部です。ほとんどは「震災特需」とまでいわれたように建設業界に流れ、業界は膨大な利益を受けてきました。「個人保障はできない」といいながら、住専の穴埋めに使った数千億円もの金はまぎれもなく個人企業の救済に使われました。

 今また三十兆円もの金が「預金者保護」「金融安定化」と称して銀行支援に使われようとしています。しかも「いらない」とまでいっている銀行にまでも。バブル経済で失敗した銀行など金融機関をなぜ血税を使って助けなあかんのですか。そんなアホな話がどこにありますか。個人企業の救済に膨大な国家財政をつぎ込みながら、「公的援助は金がかかりすぎる」「財源がない」とはウソもいいところです。

 私たちが願っている「公的援助」(全壊世帯で五百万円、半壊世帯に最高二百五十万円)で必要な財源は一兆一千億円です。もちろん大金ですが、それで災害に遭った人が救えるなら安いものではないでしょうか。それが「人間の国」ではないでしょうか。「生活再建」がなければ真の復興とはいえません。自民党に言いたい! 「経済大国」であれば、人間がまともに生きられる法律を作ってください。社民党さんよ! 自民党の尻馬に乗って阪神・淡路大震災の被災者を見殺しにしてまで、屁の突っ張りにもならんような法律を作ることはやめるべきではないでしょうか。

 私たちといっしょに「公的援助」の声を上げてください。あなたの町の議会で「公的援助」決議をあげてください。知事、市長、町長にその先頭に立つように働きかけください。私たち阪神・淡路大震災で被災した人たちだけの問題だけではありません。あなたの問題です。あれほど公的援助を頑強に拒み続けた自民党でさえ、その必要性だけは口にするようになりつつあります。国民の声だけが実現する力です。もし「公的援助が必要ない」とお思いの方がおられたらいつでも神戸においでください。被災地の現状を自分の目と耳と体で感じてください。次はあなたの町が災害に遭わないとは限りません。

必要な方には資料を送ります。秋月078(303)8260

「公的援助実現ネットワーク」
http://www.dodirect.com/kobe/aid/


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