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労働新聞 2019年2月5日号 投稿・通信

若者が辞めていく職場で思う 
長時間労働とパワハラの
横行する職場

人手不足で心身クタクタ

神奈川県・食品会社労働者 山城 俊和

 毎朝六時三分のバスに乗って出勤し、帰宅は十九時を過ぎる。十三時間以上の拘束で、朝夕の食事など労働のための準備を含めると十五時間近く拘束されてしまう。高給ならまだしも、安月給のために。
 十数人しかいないの社員のほとんどはアルバイトやパート社員で、その中に実働十五時間前後の人が数人もいる。封建時代や資本主義の初期から勃興期の労働者とは違うかもしれないが、「奴隷」であることに変わりはない。「こんな所にいたら殺される」と言って辞めていった者もいる。
 午前六時前、年末より少し明るくなってきたがまだ夜明け前、寒さも一日で一番寒い時刻だ。自宅近くのバス停には顔なじみの近所の年輩の人たちが五、六人並んでいる。「おはようございます、今日も寒いですね」などの会話は一服の清涼剤となる。ビルや学園の清掃の仕事に行く年配の人たち。午前中だけの労働とはいえ生活のために働かざるを得ない人たちのようだ。
 私の職場はターミナル駅近くにある。業務用の食品を扱う小さな卸売業の会社。通常午前七時からの配送で、場合によってはもっと早い時もある。
 大手宅配業のようなシステムはないので、伝票と荷物の確認を自分で一つ一つ確認しなければならない。その後、私の場合は二トントラックで約二時間、市内を駆け回る。
 配送先はホテルやレストランから小さな飲食店や居酒屋まで。同業者やほかの食品を供給する業者のドライバーと顔見知りにもなる。どこも同じような労働環境で給料も安いようだ。夏場は汗だくだくになることもあり、今は寒さに耐えている。
 午前中だけの勤務の者、午後から出勤する者、朝七時から終業時まで一日中勤務する人、土日が休み、日月が休み、火曜と木曜が休みの人など、休日もまちまち。昼食時間もそれぞれ。
 小さな惣菜工場や写真店を廃業して労働者になった人、今も半分自営業をやっている人。年配の人は月五〜六万円の国民年金プラスアルファでは生活できない人たちばかりである。ある人は「老後の生活資金を稼ぐためにガマンして働いている」と言うが、「だったら早く辞めないと、退職する時は身体がダメになった時だよ」「そうなると老後の生活はないよ」などと冗談を言い合っている。
 「時間が来ましたから退社します」という業務ではなく、注文があった分は配達しなければならない。そして翌朝の配達用荷物を作って、掃除が完了して終了だ。いつも二十二時頃になるという、時には二十三時を過ぎることもあるらしい。さすがに朝イチで出社する私は最後の掃除までは付き合ったことはないが。
 このような低賃金・長時間労働に加え、絶えることのないパワハラも横行している。社長は少し業務が予定通りにならないとすぐに声を荒げる。社員の小さなミスにも激しい怒声を浴びせる。
 こんな職場だから、同僚は皆「うちはブラック企業だよな」と口をそろえる。そして比較的若い人から次々に転職して出て行く。その度に平均年齢は高くなっている。
 昨年、何年も働き仕事に慣れた青年が辞めた後、毎日一時間近くの仕事が私など何人かに振り分けられている。そして今、インフルエンザで一人が休んでおり、さらに数十分の労働が付け加えられている。社長は「会社はハローワークなどで求人している」と言うが、こんな安い給料で来るはずがない。会社が真剣に求人しているとは思えない。
 パワハラがあっても長時間労働に低賃金であっても、ブラックでも生活するために働かざるを得ない労働者の実態である。

○昨年10月分の給料明細
扶養家族にしている妻との二人暮らし

基本給 177,000円
皆勤手当 3,000円
特別手当 40,000円
早朝時間外手当 42,500円
通勤手当 9,650円

健康保険(特定保健と介護保険) 12,800円
厚生年金 21,960円
雇用保険 816円
所得税 2,490円
市町村民税 4,700円

支給額合計 272,150円
控除額合計 42,766円
差引支給額 229,384円


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