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労働新聞 2018年3月15日号 投稿・通信

住民連絡会を結成、運動が発展

立野ダム建設中止をめざして

熊本県・ももがわまゆ

 二月二十四日、これまで現地見学会、講演会、勉強会、宣伝活動などを行ってきた熊本県南阿蘇村、大津町、菊陽町、熊本市の流域住民が中心になり「白川の安全と立野ダムを考える流域住民連絡会」を結成しました。紙面をお借りし、簡単にそのご報告をさせていただきます。
 私は白川という一級河川の近くに住んでいます。白川は阿蘇、大津、菊陽、熊本市を流れ最後は有明海にそそいでいます。阿蘇には多くの湧水がありますが、「白川水源」は日本名水百選にも選定され、多くの観光客が訪れるところです。
 七年前の二〇一二年七月九州北部豪雨では、白川が氾濫し、家屋倒壊、道路損壊、農業被害と甚大な被害が出ました。その時は自宅前の県道まで浸水し大きな恐怖を覚えました。それ以来白川の様子はいつも気になるようになりました。
 現在、白川の上流部の南阿蘇村立野峡谷に立野ダムが建設されつつあります。洪水調節専用の「穴あきダム」で、「通常はダム最下部に設けられた三カ所の穴から通水する」と説明されています。一九八三年に事業が着手されましたが、多くの問題をはらみこんにちに至っています。
 そして先月初め、ダム建設の工事入札が行われ、西松建設JVに決まりました。工事金額は九百億円余りとなっていますが、これよりもかなり膨らむものといわれており、巨額の税金がゼネコンに流れようとしています。
 立野ダム建設については流域住民を中心に疑問や反対の声が上がり続けています。「ダムの建設ではなく、白川の河川工事で流量を増やすことで災害が予防できる」「湧水地や田んぼダムを造れば災害予防効果が期待できる」「断層が近くにあるダム建設は危険だ」「大雨により土砂や流木が流れてきた場合、ダムの洪水調節はできず下流域に被害をもたらす」「阿蘇の自然が破壊される」など多様な角度から問題が指摘されています。
 昨年、福岡や大分を襲った九州北部豪雨では、流出した膨大な土砂や流木が家々を押し潰し、集落を崩壊させ、人びとの暮らしを直撃したのは記憶に新しいところです。特に近年の集中豪雨やゲリラ豪雨の状況は、「過去経験したことのない」ようなものになっています。また、国や県が、立野ダム建設などといわないで、こうした河川改修工事をもっと早く行っていれば、六年前の白川の氾濫も防げていたかもしれないと思います。
 国土交通省はこれまでこうした住民の声を無視し、工事を強行しています。
 こうした状況の中、「住民連絡会」を結成した次第です。連絡会は今後、各市町村に対して、立野ダム工事は一旦中止して住民への説明会を地域ごとに開くことを求めることや、立野ダムについての学習、宣伝活動を旺盛に進めることや、集会開催などを計画しています。またさらに立場を超えて、白川流域の住民がつながり、交流し、力を合わせ、立野ダム建設中止の運動を発展させていくことを確認しあいました。
 私もこの会に参加して、ダム建設中止の声をあげていくつもりです。


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