労働新聞 2018年2月15日号 投稿・通信
いつまでも黙っていませんよ!
声上げて賃金削減案跳ね返す
議論重ね意識も高まる
パート労働者・野原 清美
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私はパートで介護関係の仕事をしています。
介護業界は利益率が高いといわれており、異業種からの参入も相次ぎ、競争が激しくなっています。そのあおりで小さな事業所では、利用者数が伸びないうえに介護報酬の引き下げが影響し、廃業に追い込まれるところも出ています。
私が働く事業所も、以前と比べれば経営状態は悪化しています。しかしそれでも経常剰余はなんとか黒字で推移しています。
にもかかわらず先日、本社から経費削減のための合理化案が突然出され、しかも、その中心は安い賃金をさらに削減するというものでした。
私たちはほとんどが主婦のパートですが、遊びで働いているわけではありません。「この提案は受け入れられない」との思いは強いものがありました。
そこで、事業所の中心的な人たちと相談しながら職場の会議でも相談し、この問題を全員で考えるようにしました。そして、アンケートを取って私たちの気持ちを本社に伝えることになりました。
アンケートにはこの合理化案に対する疑問と意見を書いてもらいました。「黒字なのになぜ賃下げ?」「一生懸命働いているのにひどすぎる。こんな低賃金では働く気が起きない」「若い人材が集まらなくなる」「サービス残業までやっている現場の実情が本社には分かっていない」「この会社は残業代もないブラック企業だ」など、会社の体質についての怒りも書かれていました。
私たちはこれらの声を元に議論を重ねました。その結果「こんな労働条件の悪い職場はないほうが世のためだ!」ということになり、「この提案をごり押しするのなら職場を全員で辞めるという強い気持ちで本社と交渉しよう」ということになりました。
交渉の場として、会社に合理化案の説明会を開いてもらうことにしました。そしてそこで参加者全員にそれぞれの思いを発言してもらいました。激しいやり取りにもなり、本社の社員たちもその気迫に圧倒されたと思います。私たちが強調したのは「安心・安全な介護を保証するためには、賃金面も含めて働きやすい職場環境が必要だ」ということでした。
その後もいろいろありましたが、粘った結果、合理化案は撤回されました。また、これまでサービス残業が当たり前のようになっていましたが、これも違法だということを確認し、残業代が支払われるようになりました。
長く働いている人も「これまで会社の要求をしぶしぶ受け入れるしかなかった。跳ね返すことができたなんて信じられない」と驚いていました。また、労働基準法などに関心のなかった人たちも関心を持つようになってきています。
政府も企業も主婦パートを使い捨ての安い労働力として便利に使おうとしているみたいですが、私たちはいつまでも黙ってはいませんよ!。
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