20000515


ベトナム戦争終結25周年記念

ベトナム青年代表が来日

日本各地で学生と交流


 ベトナム戦争終結二十五周年を記念して、ベトナム青年代表二人が五月九日から十九日まで、日本アジア学生交流センター(JASIC)の招きで来日。東京、大阪、岡山、福岡、長崎を訪問し、各地の大学生たちと交流を深めている。日本とベトナムの友好関係をいっそう前進させ、アジアの平和と共生を実現していく上で、未来を担う青年学生の交流は重要となっている。東京の国際基督教大学での「日本ベトナム友好交流会」を取材した。


 東京の国際基督教大学で五月十日、来日中のグエン・ヴァン・ニエム氏とレ・アイン・チュアン氏を囲んで、「日本ベトナム友好交流会」が開かれた。
 交流会では、ホーチミン市外交事務所のニエム氏がベトナム戦争や日本とベトナムの友好について講演(詳細)
 「ベトナムは長い間、他国から侵略を受けてきた。独立の大切さ、再び侵略されそうになったら闘わなければならないことを子供たちにも語り伝えていかなくてはならない。ベトナム戦争当時は、反戦運動で米国や日本の若者と連帯していた。いまそれに代わるものは、国際交流に参加することだ。直接顔を合わせる交流が大切だ」と語った。
 ホーチミン市青年連合のチュアン氏は、「ベトナム戦争のために経済発展がたいへん遅れて、いまも貧乏な国だ。将来のためにしっかり勉強して貢献したい。ベトナムの若者は日本に関心が高く、日本語を勉強している人も多いが、日本人と話すチャンスがない」と日本人との交流の拡大を訴えた。
 日本の学生からは、「ベトナム戦争の化学兵器の影響を受けた障害児たちはどうなっているのか」「社会主義制度のもとで思想の自由があるのか」「若者たちの将来の目標は何か」など率直な質問が出され、相互理解が深まった。
 この交流会を企画したICU実行委員会は、同大学で日本の戦争報道の草分けであるジャーナリストの故岡村昭彦氏のベトナム戦争写真展も開催した。
 学生たちがベトナムと日本の関係を考えるきっかけをつくる、企画となった。


学内で写真展・交流会を開催
多くの人に支えられて大成功
国際基督教大学(ICU)・友坂 真史

 私は東京の国際基督教大学で、ベトナム青年との交流を実現するため、学内の実行委員会代表となって活動してきました。ベトナム青年との交流会を無事成功させたほか、岡村昭彦氏の写真展を現在行っています。ここに今回の体験を記したいと思います。
今回の企画は、私のほかに学内の友人数人といっしょに取り組みました。みんながすべての時間をこの活動にさけるわけではなく、思うように準備が進まない場面も多々ありました。そんな時は、代表としては胃が痛くなるような思いをさせられましたが、この企画の社会的な意義(大げさな言い方ですが)を誇りとし、それぞれが自分たちの活動に自信をもって進んできたことが、ここまでがんばってこられた要因であったと思います。
私がこの企画の準備を三月に本格的に開始したときは、学生が興味をもってくれるのかどうか、自分でも半信半疑のまま進めていました。上述の友達が仲間に加わってくれて、非常に心強くはなりましたが、自分たちがごく一部の変わり者なのではないかとの懸念はぬぐい切れなかったのが正直なところです。
 しかし自分たちの活動を紹介していく中で、学内の学生や先生方にも、心情的な励ましや実際的な協力の申し出を少なからず受けるようになりました。写真展の会場設営に際しては、「AKIHIKOの会」の関係者の方が不慣れな私たちを指導し、非常に親切に手伝ってくれました。写真パネルを張り付けている横から、興味深そうに写真を見る学生がかなりいたのもうれしかったですし。「多くの人に支えられながらやっている」という実感がもてたのです。
そして交流会当日。一般学生から参加者を募っての交流会なので、集まってくれるかどうか心配しましたが、地道な宣伝のかいもあって、それなりの人数を集めることができました。
 前半の教室での講演とディスカッションには、ニエムさんたちの話に皆真剣な表情で聴き入り、鋭い質問を飛ばしていました。彼らの表情を見て、今後私たちの活動の輪を広げていけそうな手ごたえを感じたものです。
 学生との夕食会を挟んだ後の歓迎パーティーでは、私の司会術(?)のせいもあってかどうか大盛り上がり。結果的にICUでの交流会は大成功と言っていいでしょう。「活動を続けてきて良かった」と心の底から思えた瞬間でした。
でも私たちの活動はまだ始まったばかり。私の周囲の学生には、日本とベトナムの現代史について十分な知識をもっている人がまだまだ少ないのも事実です。夏のベトナム訪問団に向けて再度スタートを切り、勉強と両立させながら地道に活動の輪を広げていきたいと思っています。
 


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