日本労働党政府綱領(案)

(一)21世紀にめざす新しい日本の目標

(4)新しい日本の目標
−−独立・自主、アジアの一員としてバランスある豊かな平和国家・日本


 わたしたちは、21世紀に輝かしい日本を築くため、以下のような新たな国家目標、国の進路を打ち立てるべきだと考えます。

(1)独立・自主の新しい日本

 戦後一貫してわが国は、外交・軍事でアメリカの世界戦略に縛られ朝鮮戦争はじめ世界の戦争に直面・加担させられ、平和と安全が脅かされ、自主的な外交も満足にとれず、また、コメの市場開放など国内の政治や経済政策への干渉も許してきました。
 新しい日本は、対米従属の根源、日米安保条約を破棄し、すべての米軍基地を撤去し、国の完全な独立を回復します。
 自主・平和外交を進め、独立国にふさわしい防衛・安全保障政策をとります。
 これは冷戦後の世界情勢の趨勢に合致し、21世紀の日本を準備する、すなわち、アジアの共生を実現する前提条件であり、バランスある国民経済、豊かな国民生活、民主的な日本をつくる前提です。

(2)アジアの一員として生きる新しい日本

 明治以来わが国は、植民地主義と第2次世界大戦までの侵略戦争で、また戦後は日米安保体制下でアメリカの「反共」侵略戦争政策の最前線基地となって、中国、朝鮮をはじめアジア各国に筆舌に尽くし難い困難を強いて、その犠牲の上に発展・繁栄してきました。こうした戦前、戦中はもちろん、戦後のいわば「特需」で繁栄するような国の生き方を厳しく反省し、アジア各国の自主的発展を支援し、貢献できる日本をめざします。
 長期にアジアの一員として共存し、ともに平和に繁栄できる構想をアジア諸国とともにつくります。アメリカなど大国のアジア支配に反対し自主的な経済発展をめざすEAEC構想を断固支持します。低賃金労働だけを追い求めるような植民地経済的垂直分業的な企業進出を許さず、アジアの求める技術移転を積極的に進めます。水平分業でそれぞれの国が特色ある役割を担い、自主的に発展するアジア諸国のネットワークをめざします。
 こうした新しい日本にならなければ、21世紀にアジアから孤立し、世界の発展からとり残されるでしょう。

(3)国際民主主義の新しい世界に積極貢献する平和国家・日本

 国家間の闘争や民族紛争が激化し、また、南北問題など世界的規模での不平等の拡大、さらに地球環境破壊という難問の解決が迫られている冷戦後の世界に、アメリカなど欧米の大国は、西欧的「人権」などその価値観を世界各国に押しつけ、大国主導の世界支配秩序形成をたくらんで、「国連」の名で世界各地への介入を繰り返しています。わが国は、「国際貢献」ということで、アメリカの要請するままに、資金を提供し、さらにPKO(国連平和維持活動)ということで自衛隊を派遣し紛争に介入しようとしてきましたが、これは世界の安定と各国の自主的発展の道を閉ざすものです。
 新しい日本は、さまざまな経済発展、社会制度、国土・人口規模の国ぐにのある世界で、どの国も長期に平和的に共存し、経済発展するための自主的努力が可能な国際環境をめざします。とくに、社会制度や価値観の違いを理由とした内政干渉、介入に断固反対します。いかなる国の覇権も許さず、徹底した民主主義を国際社会でのルールとするよう奮闘します。
 国連の民主的改革を進めます。「拒否権」などという大国の横暴を許さず、改革された国連で世界平和と各国の自主的発展に貢献し、それまでは安保常任理事国などに立候補もせず、世界の大多数である第3世界の国々とともに行動します。また、PKOなどにも参加せず、少なくとも自衛隊など軍事力での協力は拒否します。
 ODA(政府開発援助)を国際社会の要請にそって、即座にGNP1%まで引き上げるとともに、わが国の利己的外交のための戦略援助ではなく、各国の自主的努力をあくまで尊重し、支持するようにします。また、地球環境維持のための各国の努力を支持し、当面、GNP1%程度の財政支援や先進的技術支援を強め、国際的な環境研究教育センターを日本に設置するなど、地球環境維持に貢献する新しい日本をめざします。

(4)バランスある国民経済、豊かな国民生活の新しい日本

 ひとにぎりの大銀行や海外移転を進め国内空洞化を進める大企業だけが繁栄する日本ではなく、大量生産、輸出第1・大量消費の経済構造を転換して、自然環境と調和し、農業など第1次産業も、第2次産業も、第3次産業も、いずれも発展する「持続可能な経済」をめざします。
 「政・官・企業癒着」の根源となっているような規制は即座に撤廃し、また新しい産業のために必要な規制緩和は進めますが、大企業・金持ちだけが「完全自由な社会」で弱肉強食で繁栄するような「平岩レポート」路線での市場開放・内需拡大に反対します。民族独立の基礎として、農業を発展させ、食料自給をめざします。
 国民の労働の成果を国内での消費に向け、国民生活水準(生活ストック、社会的インフラストラクチャー)を大幅にレベルアップします。世界1の金融大国というまれにみるチャンスを大企業に独り占めさせず、国民のために生かし、豊かな国民生活を実現します。
 こうして内需拡大を活発にし、経常黒字の削減、経済摩擦の解消を進めます。

(5)民主・平和の新しい日本

 政治・軍事大国として世界で振る舞うための「リーダーシップの政治」を許さず、議会制民主主義の不平等を是正するため、小選挙区比例代表制を廃止し、有権者の意志がもっとも議席に反映しやすい完全比例代表制を導入します。政党への国民の税金による資金援助や金持ち・大政党に有利な選挙制度をいっさい廃止し、選挙活動の完全な自由を保証します。
 強力な中央政府のためのまやかしの「地方分権」に反対し、地方自治の真の充実をふくむ新しい民主的政府制度を実現します。
 国家に自衛権があることを明確にしますが、海外派兵のための憲法改悪、安全保障基本法制定には断固反対します。将来にわたって新政権は、現憲法の保障する国民の権利、民主的諸条項を堅持します。


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