大隈議長・99年新春インタビュー (1)


昨一年を振り返って


―新年おめでとうございます。年があけて、二十一世紀はもう目の前になりました。わが党は、今年、党創立二十五周年を迎えます。この歴史的な節目の年の年頭に当たって、労働新聞の編集部として日本労働党中央委員会議長の大隈鉄二同志に、インタビューをお願いしたいと思います。
 まずはじめに、昨一年を振り返っての感想のようなところからおうかがいしたい。

大隈議長 おめでとうございます。結党して二十五周年になりますが、全国の同志の皆さんと、長い期間にわたってわが党の活動になにかと関心を寄せ、友情を示していただいた皆さんに、最初に、おめでとうございますと申し上げたいと思います。

 もう一九九九年ですから、今世紀も終わりで、すぐ二十一世紀です。ですからいろいろな意味で、二十一世紀の初頭にどんな姿になるのか、一昨年より昨年が、昨年より今年という具合に、ますます分かりやすくなってきていると思います。
 昨年のおおざっぱな変化の状況について、触れてみたいと思います。
 なんと言いましても、一昨年、九七年の夏以降、タイの通貨危機からはじまったアジアの危機、これが昨年はアジアにとどまらないで、ロシアや中南米まで広がって、世界が当面している危機が一九二九年の大恐慌、日本でいえば昭和恐慌のような、そういう破局になるのではないか、むしろ後半になりますとそれが避けられるだろうかというような深刻な状況になり、ユーロの影響をどう評価するかのような問題もありますが、世界資本主義の危機はいちだんと深まったことが特徴だったような気がします。
 八月末には、世界同時株安の状況が見られ、十月にはロシアの通貨危機と関連してのヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)その他の損失が表面化した。こうした中で、主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)などの国際会議があわただしく開かれた。
 国際政治の面でも、大きな動きがありましたね。
 五月にインドが核実験をやった。それに続いてパキスタンも核実験。これに対して米国はもちろんですが、中国を含めて核保有国を中心に激しい非難が世界に広がりましたが、この問題はとても大きな問題で、二十一世紀を展望する上でいろいろとヒントになる、そういうことだったと思います。
 六月には、クリントン米大統領が訪中し、米中首脳会談がやられた。これも国際情勢の中での、とりわけアジアにはいろんな影響をもつ事件でした。十一月末には、中国の江沢民さんが来日した。
 十二月十七日には、米国のイラク攻撃。数日してクリントン大統領の弾劾決議案が米下院で可決された。
 国内のことでいえば、なんといっても七月の参議院選挙で自民党が大敗しました。その結果として橋本首相が辞任し、小渕政権が成立した。これはたんに政権が代わっただけでなく、橋本が始めた財政改革など「改革」が、危機の深まりの中で改革どころではないということで、改革政治とはまるで反対の、なりふり構わぬ財政支出に踏み切った。
 膨大な国民負担で銀行を救済し、大量の赤字国債を発行して経済を不況から脱出させようとしておりますが、この効果が出るかどうか定かではありません。だがこれによって財政危機がいちだんと進むわけで、公債の依存度はますます危機的になる。
そういう点を考えますと、企業がいよいよ本格的なリストラ、人減らしをやって大失業時代は避けがたくなってきましたが、加えて財政危機のいっそうの深刻化は、やがて国民の大多数に対する大攻撃、いちだんと厳しい収奪政治がやられる流れになる。
 ですから、九八年を回顧しながら思うことは、この新しい年、危機がさらに深まって、労働者だけでなく、国民の広範な諸階層にとって、支配層の側から攻撃がいちだんと強まることは確実な流れになる、そう思いますね。

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