大隈議長・新春インタビュー (3)


 
−−三つめに、さきほど議長もふれられましたが、橋本首相の六大改革。うまくいかないようですが、それでも支配層にしてみればやる以外にない。国民の側からみると危機のおしつけですから闘わなくてはならない。この改革政治と闘っていく上での問題点や展望ということについて、お聞かせ下さい。
 
大隈議長 去年の前半あるいは九月の第二次橋本改造内閣ができた当時は、いよいよこれからが本番といった感じで、まだ勢いというか、そんな雰囲気がありました。ところが、つまずく時は早いというか、例の佐藤問題がおこりましたね。あれから橋本はすっかり指導性をなくしてしまった。背景は、やはり経済など危機の深さ、もう一つは「改革」を進めていくことの難しさです。それは、つけを国民大衆に押しつけるだけではない。これまでの彼ら自身がよって立ってきたその政治的基盤を掘り崩すわけですから、内部で抵抗が起こる。これはわれわれがかねがね主張してきた通りなんです。
 行政改革一つだってあんな具合で、形だけはつくったみたいですが、本番はこれからです。財政改革は十一月に財政改革法を成立させて、十二月には金融危機、不況で、これを放棄する。すっかり調子が狂った。うまくいかないだろうことは一般的にはわかっていたが、それにアジア危機が加わった。財政改革はいっぺんにふっとんだ感じですね。
 支配層にとって財政再建は、今の全体の改革という流れからいえば、進めていかなければならないことは間違いない。日本資本主義というか企業家たちからみると「財政」、これはコストですから、削らなければならない。
 しかしこの改革は、彼らが立ってきた基盤それ自身をも掘り崩すわけで、よほどの政治的なリーダーシップ、支配層なりのエネルギーがなければできない。それがつくれないようですね。われわれには、結構なことです。
 それでもこれから先の改革政治は、支配層にとってはなんとしても通り抜けねばならない。そうしないと二十一世紀の世界で日本の企業が勝ち抜くとか、少なくとも生き残る、これを達成せねばならんという、ますますさしせまった必要さになってくる。
 だが、例えば財政改革一つとっても、そう言いながら、もっと赤字が膨らむかもしれないですね。ですから、彼らはとてもきついんだろうと思います。そのうえ経済危機がひょっとしてひょっと、もっと大変なことになる可能性がある。支配層にとっての困難さはいっそう増すだろうと思います。それは、われわれサイドから見ると闘いやすくなるということです。
 それからもう一つ。これは改革と関連しているんですが、政治、政党再編、これがどうなるかということです。
 たとえばよく梶山だとか小沢にもそういうのがあるようですが、改革政治を大胆にやっていくための救国内閣、挙国一致内閣みたいなもの、支配層の危機を救うための政治的な統合の試みも流れとしては出てくると思います。
 敵側にそれがどの程度出てくるか、その政治的状況という問題もありますが、闘う側からすると基本は、労働運動や国民諸階層の現実的な抵抗が組織されるという、この点にかかっていると思います。
 これから、悪政としての改革政治の進行や経済危機の進行を背景にして、労働者や国民諸階層の生活、経営あるいは営業の環境はいっそう深刻になる可能性がある。困難は増大すると思うんですね。ですから私は、ここの所をしっかり見据えて、そこにある闘いのエネルギーを組織することが一番大事だと思います。

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