労働新聞 2003年12月15日号 青年

自分にできることから行動へ
ひとりの1歩、みんなの1歩
4大学で「平和展」を開催
原爆、沖縄戦、イラクのパネルを展示

大学生 池田 裕子

 私が所属しているボランティアグループは、県内にある4大学で「平和展」を開催しました。昨年とは若干異なり、「原爆のパネル」のほかにも「沖縄戦のパネル」やイラク戦争時に撮影されたイラクの人びとの写真も展示し、平和継承のためにこれまで精力的に活動してきた人びとの紹介なども行いました。
 会場を訪れた人には、リボンに「平和へのメッセージ」を書いてもらいました。準備に少し時間がかかったものの、自分たちがこれまでの活動で感じたことを素直に表現する形で、平和展を開催できたことをとても心強く感じています。それと同時に、今回の企画で力を貸してくれた人びとに対する感謝の気持ちでいっぱいです。
 「平和展」に足を運んでくれた人びとは、平和問題に対して興味・関心をもっている人が多かったです。皆さんとても真剣なようすでパネルを見ていました。参観者からは、「自分たちが味わった苦しみを、孫の世代には受けさせたくないという思いがいっそう強くなりました」「沖縄戦のことはほとんど知らなかったが、会場に展示されているパネルを通して、沖縄が戦争で味わってきた苦しみを少しでも感じることができたのではないか」という感想がありました。
 「平和展」に足を運んでくれた人たちは、若者からお年寄りまで実に幅広く、外見は怖そうに見えるお兄さんでも、「リボンに平和へのメッセージを書いてください」と声をかければ、喜んでそれに応じてくれました。
 会場内のようすをながめていると、人びとが決して平和問題に対して無関心ではないということを強く感じました。みんなそれなりに関心は持っているものの、無関心になるように仕向けているのが、今の日本社会なのではないでしょうか。
 私たち国民は、今世界が劇的に変化を遂げるような時代の中を生きています。そのような時代の中で、私たちは日々大量に行き交う情報から、惑わされず事実を正確に認識できているのでしょうか。国民が大変な思いで生きているのに、情報は非常に偏っていて、しかも私たちの将来は財界や政治家によって決められているのです。
 先日、イラク復興支援特別措置法に基づいて自衛隊をイラクに派兵する「基本計画」が閣議決定されました。国民に対して説明がされないまま決定された上に、小泉首相は、決定を下した後に「国民の皆様に理解を求めたい」と発言しました。国民に対して理解を求めたいのなら、どうして閣議決定を下す前に自衛隊派兵の「意義」を説明しなかったのでしょうか。
 小泉首相は記者会見の際に、自衛隊派兵が憲法の理念に沿った活動であることを再度強調しましたが、果たして今回の自衛隊派兵が、イラクの安定そして平和的発展に寄与することができるのでしょうか。自衛隊派兵という新たな刺激が加わることで、イラクの安定・平和的発展が阻害される可能性が十分考えられると思います。
 今の時代を生きる中で大切なことは、私たちも変化していかなければならないということです。それは現実に起こっていることに目を向け、そしてその本質を見極め自分にできることを行動に移していくことです。
 ひとりの1歩より100人の1歩、もしくはそれ以上を目指して、継続的な活動をこれからも積極的に続けていきたいです。


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