労働新聞 2003年7月15日号 青年

国立大学法人化法の成立糾弾!
学生生活守る闘いはこれから

茨木 多重子

 国立大学法人法など関連6法案が、7月9日、参議院で可決され、成立した。
 国立大学99校を89法人に再統合、教職員約12万人の非公務員化、学長の独断権限強化、学外者を含めた経営協議会の設置、中期目標の達成程度で決定される予算配分(第3者評価機関の設置)などが盛り込まれている。来春以降、国立大学は1企業として経営効率を問われ、一方では、予算を握った国によるより強力な統制の下に置かれることとなる。
 多数の教員や学生が抗議し廃案を求めてきたが、それを無視し、強引に法案を通過させた政府、与党3党の暴挙を許してはならない。
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 わが国支配層(多国籍大企業)の真の狙いは、国立大学法人化にとどまらず、国公私大を含む再編、淘汰(とうた)、完全な民営化である。今年の正月に発表された、日本経団連の「奥田ビジョン」は、それを明けすけに表明した。公教育への国の責任を放棄し、大学を競争の中に放り込み、コスト(公費)削減を進める一方、大企業が国際競争で勝ち残るための有利な研究の推進、効率的な人材育成をはかることが、その目的である。これは、国民の高等教育を受ける権利を根本から奪うものである。
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 すでに、この大学改革の流れの中で、自治会や自治寮、サークルなどの学生らの自主活動に対する大学当局の妨害、解体の攻撃が強まっている。経営効率を高め、大学評価を上げようとする当局にとって、邪魔者、異議を唱える学生を一掃するのが狙いだが、これは歴史的に築き上げた大学自治の自殺行為である。
 しかし、戦後最大の就職難の中、法人化で学費の高騰や管理強化が、学生全体に降りかかる。すでに、親のリストラで学費が払えない、50〜60社の就職面接を受けても就職できないといった問題で、学生の不満は高まっている。追い討ちをかければかけるほど、反撃のエネルギーは高まらざるを得ないだろう。
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 今、何より大学の現場で、その不満をすくい取り、闘いを呼びかける活動家の存在は重要である。法案が通過したとはいえ、大学と学問、学生生活を守るための1つひとつの闘いは、まさにこれからである。これまでの独法化反対の闘いの、正反の経験を総括し、以降の反撃の闘いの柱とならなくてはならない。
 国立大学民営化への一里塚、国立大学法人法国会通過と支配層の教育改革全体の狙いを暴露し、今こそ広く仲間に呼びかけ、団結して闘おう!


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