労働新聞 2003年5月25日号 10面・青年

「共産党宣言」を学習して
労青団の役割を再確認

日本労働青年団A地域運営委員会 
八嶋 圭

 先日、労青団の学生の同志たちとともに、マルクス・エンゲルス著「共産党宣言」の学習会を行いました。
 この学習会は、実は現場の同志の強い要望があって行ったものです。この期間、党に続く失業者闘争や大学改革など学園の課題、そして特に米帝国主義のイラク攻撃と日本の追随に反対する闘いを、多くの学生に呼びかけ、行動してきました。仲間も増え、大きな行動も用意できるようになりました。
 しかし、大衆運動の枠をどう超えるかという課題に迫ったとき、改めて、何のために運動を呼びかけているのか、労青団の役割を再確認したい、という意見が出てきたのです。反動的なイデオロギーが吹き荒れている中で、確信を堅持したり展望を見出すことは容易ではないはずです。労青団を拡大しようとして、心から自信を持てなかった同志もいたのではないだろうかとも思います。これは大変よい機会だと感じ、私自身が勉強することも含めて、チューターとしてこの学習会を用意しました。
   *  *  *
 第1
章のはじめで、「今日まであらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」と述べられています。
 討議しておもしろかったのは、倒される階級と倒す階級の関係についてです。ブルジョア階級も、大工業の発展と封建社会の没落という歴史の中に生まれた階級であること。そしてブルジョア階級が存在するために必要なのが、大工場に集められ、その資本をつくり出していながら、搾取され続ける多くの賃金労働者・プロレタリア階級であり、資本が巨大になるにつれ、その分ブルジョア階級は、自ら巨大な対立階級をつくり出していったという歴史は、何度読んでも新鮮なところで、イメージしながら皆で議論しました。
 ブルジョア階級の支配する社会について、この当時(1840年代)のヨーロッパを中心に描かれていますが、同志のだれもが「現在の社会と共通する、ブルジョアによるプロレタリアの搾取という資本主義の性質」を読み取ったようでした。わが国の支配層である多国籍大企業が、国際競争に勝つために、国内の産業や企業を切り捨て、労働者を簡単に路頭に放り出しているさまは、危機において、労働者からの搾取を強めることでしか生き延びられない、そしてそのことが自らの首をしめてしまうというブルジョア階級の性質を物語っています。表面的には見えにくくても、中小企業や失業者の闘争が起こりはじめたことで、対応に必死になる資本家や政治家からは、何千万人という労働者が団結し、立ち向かってきたらどうなるかという恐れを感じていることを見て取れます。
 また、第2章のプロレタリアと共産主義者では、特にこれまでの自分たちの活動の中で意識されていなかった「共産主義者の使命」について、深い議論になりました。労働者階級の長期の利益を代弁し、労働者を激励して運動を発展させること。労働者階級の運動を代行することではなく、労働者に歴史的役割と展望を指し示すことが、私たちに何よりも求められているということを改めて実感しました。
 ここで、一昨年から、党に続き労青団も取り組んでいる失業者・就職難闘争について話が及びました。職安前で失業対策を求める署名を呼びかけていても、自信がなかったり、話をすることが恐くもあった。「大変ですね」としか言えない自分がいた。ところが、専従党員のようすはまったく違ったと言います。「おい、展望あるよ。いっしょに闘おう」と、何度も何度も力強く激励し、行動を促していました。そして、昨年の失業者の国会行動では、労働者がひとたび団結すると、かなわないと思っていた国を相手に闘える、そのことで最も勇気づけられたのは間違いなく私たちであったのです。
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 読み終えてみて、皆一様に元気になったようすでした。感想をあげると、「みんなで読むと、理解できるし楽しい。この時代に書かれたことが、今も通じることがとても新鮮。共産主義者という自覚をすぐにもてるか分からないが、学習する機会のない人もたくさんいるので、広めていきたい」「労働者がいかに搾取されているのか、印象に残った。所有の問題など新たに興味がわいたので、別の古典にも挑戦したい」「たいへん勉強になった。今回印象に残ったのは、失業者闘争の経験。学生運動も、常に労働運動と連帯していくことで展望がある。古典を読んで感じ方がまったく変わった」などです。
これまでの運動の経過を、「行動ばかりが先行していた」といってしまうのは間違いで、その中から今回のような貴重な学習の経験を積んだことは素晴らしいことです。どんな状況でも、階級闘争の中で共産主義者の立場を貫くことで、これまでの経過も今後の展望も開けるものと実感しました。以降も、学習と行動、どちらも欠けることなく、情勢の先頭で闘っていく決意です。


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