労働新聞 2003年4月25日号 青年

第74回メーデー万歳!
青年学生は労働者と連帯しよう

 第74回メーデーを迎えた。世界各国の労働者階級と資本家階級との対立はいちだんと激しくなり、その衝突は避けがたいものとなっている。こうした中で、青年学生運動の発展のためには、労働者階級の闘いとしっかりと結びつくことがますます重要となっている。日本労働青年団は最近、三池闘争を学ぶ学習活動を始めた。注目に値する活動なので、紹介する。

労働者の誇りかけた三池闘争
情熱こそ人の心つかむ

学生 池中 輝明

 先日、私の下宿先の部屋で学生数人が参加して、三池炭鉱闘争の学習会を行なった。内容は三池炭鉱労働者の313日に及ぶストライキを記録したビデオ、『三池闘争』の上映と、担当者による補足説明、参加者全員による意見交換であった。
 私がこれまで三池炭鉱闘争について知っていたことは、ほんのわずかであった。せいぜい、三池の炭鉱労働者が三井資本の横暴に耐えかねて、ストライキを起こしたというぐらいのものであった。今回『三池闘争』を見ることで、まずこの事件に対するより多くの知識を得ることができた。1959年12月の三井鉱山側からの指名解雇に始まり、さらに会社側のロックアウトを受け、三池労組は無期限ストを開始する。その後、スト批判勢力による第二組合の結成と彼らの強行就労、暴力団の介入による久保清さんの刺殺、ホッパー(貯炭槽)前での10人集会などを経る。そして60年9月、中央労働委員会(中労委)のあっせん案を日本炭鉱労働組合(炭労)が受諾し、三池労組もこれを受諾。同年11月、三池労組は無期限ストを解除し、三池闘争は終わる。
 このような流れを理解することができた。ただ、この事実の羅列(られつ)が三池闘争のすべてであるかと問われれば、決してそうではない。三池闘争とは、炭鉱労働者がその生活、労働者としての誇り、未来への希望、これらをかけて闘ったものである。その切実さ、強靭(きょうじん)さ、そして優しさを抜きにしては語れないものである。私が今回の学習会で得ることができた最大のものは、事実に対する知識ではなく、こういった彼らの情熱であった。
 彼ら三池労組は313日という長期間にわたって、途中に第二組合の結成という悲劇があったものの、一貫した結束力を発揮した。私がその中で特に感動したことは、労働者のみならずその家族も一丸となって闘争を組織し、組合の結束を支えたことである。妻たちは主婦会を結成し、闘う夫と共に声を上げ、拳を突き上げた。これは、夫に対する力強い優しさであると私は感じた。そして、子供たちも両親といっしょになって集会に参加した。子供たちに希望ある未来を残したい、その思いが、子供たちと共にある大人たちの闘いから伝わってきた。
 彼らの闘いは生活そのものであった。この家族、それを含む地域に支えられた労働者の闘いは、全国の闘う者の心を動かした。各地から多くの炭鉱労働者や学生運動家たちが三池に合流したことがそれを物語っている。三池で生きる人びとの生きるための闘いに、彼らは賛同したのであろう。
 エネルギー資源の転換の中で、消える運命にあった炭鉱と労働者、こういった文脈において語られがちな炭鉱闘争であるが、三池炭鉱労働者の闘いには、そのような結果論では決して語ることのできないメッセージを読むことができる。それは人として生きることへの情熱である。そして、この情熱があってこそ、闘いは人の心をつかむのである。 私は今回の学習会で学んだこのメッセージを、学生青年の闘いの場でも生かしていきたいと考える。現在イラク問題に取り組む私たちであるが、この闘いの根本にも、人として生きる、このことがあるはずである。どのようにして日本に暮らす私たちが切実さを持ち得るか、これが今後の課題であると、私は考える。


三池闘争の団結力に学ぶ
権力がストに震え上がった

学生 倉馬 かりん

 労働青年団で『三池闘争ー日本を揺るがした313日』を見る学習会をしました。前からこのビデオを見たいと団員とも話していて、三井資本、政府を震え上がらせたあの大闘争の歴史から私たちも学ぼうと、学習の場を設けました。
 今から約四十年前の出来事、時代背景も想像もつかない過去を映像で見て圧倒されました。指名解雇に対する連日のストライキ、「山の上クラブ」を包囲しピケを張る労働者、主婦会のデモ、ホッパー前での10万人大集会、何十万人のジグザグデモ。
 三井は労働者をこき使い、劣悪な労働条件の下でさんざん働かせ多くの死者を出し、その上で日本最大規模の三池炭鉱を誇っていたのです。そして度重なる指名解雇。三池の労働者の人たちが怒りで立ち上がるのは、当然です。何が日本一の炭鉱か。三井財閥のしてきたことは犯罪です。
 三池労組は53年、当時の吉田内閣が出した炭鉱、電産のスト規制法が公布された日に、会社が出した5738人の指名解雇に対し113日のストライキを打って指名解雇を撤回させました。労働者全員の力で要求を勝ち取った「英雄なき113日の闘い」をはじめ、自分たちの生活向上、当然の権利要求のため闘っていました。
 居住地に地域分会や主婦会などの組織をつくり、家族ぐるみでの闘いは、生活かけての闘いを感じました。主婦も子供もみんな決起し、不当な攻撃に対し立ち向かっていました。現実にストライキを起こし、長期間続く闘いの中で生活をしていくのは容易でない厳しさがあるでしょう。だからこそ団結が必要だということを感じました。
 家族や仲間たちが、みんなで支え合っている。それでも敵は労働者の要求を聞き入れるわけでもなく、組合つぶしまで作戦し何度も指名解雇を打ち出し、三池労組の組合員、地域や職場の分会長、政党員などを解雇に追い込み組合を分裂させました。
 『三池闘争と私』の著者である藤沢孝雄氏は、「私たちは分裂させらてあらためて、仲間を信じることの尊さと仲間を裏切ることの愚かさとを体に刻みつけられました」と書いていました。分裂したことでいかに団結することが重要か、実感します。
 また、資本家に対して労働者がものを言える立場になろうと思えば、話し合いでは要求は勝ち取れない。労働者が団結してストを打って闘うからこそ、権力は震え上がるのだということを実感しました。だから三池闘争は、岸首相を退陣に追い込み、三井資本や池田新内閣を震え上がらせたのだと思います。
 この三池闘争からの教訓は、やっぱり選挙や国会では世の中変わらない。今の巨大銀行や大企業など、一部の人間だけが生き血を吸う社会構造を打開するためには、敵によって圧迫されている労働者や農民、中小商工業者などと共に闘う広範な国民運動が重要です。私たち学生・青年も労働者階級と連帯し、この闘いに結集していきたいと思います。


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